昨日トンガの海底火山噴火を原因とした津波が日本全国を広範囲に襲いました。人的被害は少なかったようですが、皆さんのところは影響などなかったでしょうか。今回の津波、正確なメカニズムはまだ分かっていないそうで、世界でも随一の地震と津波の知見があってもなおまだ不明な現象が生じるところに大自然の恐ろしさと大きさを感じます。
こんばんは、小島@監督です。
それにしてもこれが更なる天災の前触れとかでないと良いのですが。
さて、今回の映画は「銀河鉄道999」です。
メガロポリスのスラムに住む少年・星野鉄郎(声・野沢雅子)は、機械の身体を無償でもらえるという星に行くため銀河鉄道に乗れる切符を必要としていた。ある時、鉄郎は切符を購入した者から奪取しようとするが鉄道警察に追われることになってしまう。その最中、鉄郎は謎めいた美女メーテル(声・池田昌子)と出会う。
「宇宙戦艦ヤマト」(1977年)の大ヒットを呼び水として、「機動戦士ガンダム」(1979年)、「うる星やつら」(1981年)「超時空要塞マクロス」(1982年)などが後に続き1980年代半ばまでの約10年間、アニメブームと呼ばれる現象が起きました。「ドラえもん」や「ルパン三世」など、現在まで連綿とシリーズが続く作品に初めての劇場版が製作されたのもこの頃です。それまで小学生くらいの子供が見るものという扱いと意識が強かったアニメがそれよりも上の世代であるティーンエイジャーや大人の鑑賞に耐えうる作品が登場するようにもなり、1983年にはよりコア・ターゲット層に向けてオリジナル・ビデオ・アニメーション(OVA)が発売され始めたりと製作体制や作品の在り様、マーケット規模に至るまで大きな変容を遂げた時期でもあります。
そんな最中に一つの金字塔と呼べる作品が登場しました。それが1979年に製作・公開された「銀河鉄道999」です。実はそれまで親会社の東映の下で劇場アニメを製作していた東映動画(現・東映アニメーション)の初の自社製作作品でもあります。同年の邦画配給収入の第1位となり、アニメ映画としては初めて映画雑誌「キネマ旬報」のベストテンにランク入りするなど興行的にも批評的にも大きな成功を収めました。また、青木望の手によるサウンドトラックもオリコンチャート1位を獲得。1997年に「新世紀エヴァンゲリオン」のサントラが並び立つまで、アニメのサウンドトラックでチャート1位を獲得した唯一のアルバムでした。
そんな日本アニメの歴史を語る上で外せない1作が、ドルビーシネマ版となって再上映されています。私もTV放送やDVDなどで何度も観た事がありますがスクリーンで鑑賞するのは今回が初めてです。
当時TVシリーズも放送されていた「銀河鉄道999」、総集編ではなく完全新作として製作された劇場版の方では大枠の筋立ては同じものの大胆なアレンジを行っています。主人公・星野鉄郎の年齢を原作やTVでの10歳から15歳へと引き上げられて顔つきも精悍なものになっているのも特徴。原作ではゲスト的に登場するキャプテン・ハーロック(声・井上真樹夫)やエメラルダス(声・田島令子)の物語上のウェイトも大きく増した形で登場するほか、何より当時はまだTVシリーズも放送中である上に原作の連載も続いていた最中でありながらその結末を先んじて語るという野心的な試みが取り入れられました。
世紀も変わり、時代も令和となった今観ると、やはり描かれている感覚が良くも悪くも昭和であることに少し目が行ってしまう部分もあります。ですがそれを差し引いてもダイナミックなアドベンチャーロマンであり、同時に少年の成長を描く青春物語としても骨太な語り口、そして比類なきヒロインであるメーテルの人物像に心動かされます。ラストシーンなどは何度も観ているはずなのに涙が出てきてしまったのは、やはりスクリーンで観ているせいでしょう。
非常に丁寧にリマスタリングされているようで、そのエネルギッシュな映像を余さず堪能できるようになっているのはドルビーシネマという形式がもたらす恩恵でしょうか。こういう形で旧作と再会できるようになるのは嬉しいですね。
中盤、鉄郎が亡き母の仇の情報を求めて酒場に立ち寄るくだりがあります。そこではリューズ(声・小原乃梨子)という名の女性の歌声に客達が涙を流して聴き入っており、酒場のマスターは鉄郎に「彼らはこの歌に二度と帰らぬ遠い日々を思い出して泣いている」のだと言います。この映画を初めて観たのは確か小6か中1の頃。TVで放送されたこれを観て心動かされた日から30年近くを経て今、ある種のノスタルジーにも押されてこの映画を観に行った私も気付けばあの酒場の客と同じところにいるのだろうかと思うと少し寂しさを覚えますが、それが歳を重ねるという事かもしれません。
さらば少年の日々と言いながら、変わらないままの部分もあると知る、まるでほろ苦さを覚える再会のよう。そんな感慨もまた旧作を観る楽しみの一つ。今週末からは続編である「さよなら銀河鉄道999」のドルビーシネマ版の公開も始まるそうで、せっかくだからこちらとも再会してみたいところですね。
こんばんは、小島@監督です。
それにしてもこれが更なる天災の前触れとかでないと良いのですが。
さて、今回の映画は「銀河鉄道999」です。
メガロポリスのスラムに住む少年・星野鉄郎(声・野沢雅子)は、機械の身体を無償でもらえるという星に行くため銀河鉄道に乗れる切符を必要としていた。ある時、鉄郎は切符を購入した者から奪取しようとするが鉄道警察に追われることになってしまう。その最中、鉄郎は謎めいた美女メーテル(声・池田昌子)と出会う。
「宇宙戦艦ヤマト」(1977年)の大ヒットを呼び水として、「機動戦士ガンダム」(1979年)、「うる星やつら」(1981年)「超時空要塞マクロス」(1982年)などが後に続き1980年代半ばまでの約10年間、アニメブームと呼ばれる現象が起きました。「ドラえもん」や「ルパン三世」など、現在まで連綿とシリーズが続く作品に初めての劇場版が製作されたのもこの頃です。それまで小学生くらいの子供が見るものという扱いと意識が強かったアニメがそれよりも上の世代であるティーンエイジャーや大人の鑑賞に耐えうる作品が登場するようにもなり、1983年にはよりコア・ターゲット層に向けてオリジナル・ビデオ・アニメーション(OVA)が発売され始めたりと製作体制や作品の在り様、マーケット規模に至るまで大きな変容を遂げた時期でもあります。
そんな最中に一つの金字塔と呼べる作品が登場しました。それが1979年に製作・公開された「銀河鉄道999」です。実はそれまで親会社の東映の下で劇場アニメを製作していた東映動画(現・東映アニメーション)の初の自社製作作品でもあります。同年の邦画配給収入の第1位となり、アニメ映画としては初めて映画雑誌「キネマ旬報」のベストテンにランク入りするなど興行的にも批評的にも大きな成功を収めました。また、青木望の手によるサウンドトラックもオリコンチャート1位を獲得。1997年に「新世紀エヴァンゲリオン」のサントラが並び立つまで、アニメのサウンドトラックでチャート1位を獲得した唯一のアルバムでした。
そんな日本アニメの歴史を語る上で外せない1作が、ドルビーシネマ版となって再上映されています。私もTV放送やDVDなどで何度も観た事がありますがスクリーンで鑑賞するのは今回が初めてです。
当時TVシリーズも放送されていた「銀河鉄道999」、総集編ではなく完全新作として製作された劇場版の方では大枠の筋立ては同じものの大胆なアレンジを行っています。主人公・星野鉄郎の年齢を原作やTVでの10歳から15歳へと引き上げられて顔つきも精悍なものになっているのも特徴。原作ではゲスト的に登場するキャプテン・ハーロック(声・井上真樹夫)やエメラルダス(声・田島令子)の物語上のウェイトも大きく増した形で登場するほか、何より当時はまだTVシリーズも放送中である上に原作の連載も続いていた最中でありながらその結末を先んじて語るという野心的な試みが取り入れられました。
世紀も変わり、時代も令和となった今観ると、やはり描かれている感覚が良くも悪くも昭和であることに少し目が行ってしまう部分もあります。ですがそれを差し引いてもダイナミックなアドベンチャーロマンであり、同時に少年の成長を描く青春物語としても骨太な語り口、そして比類なきヒロインであるメーテルの人物像に心動かされます。ラストシーンなどは何度も観ているはずなのに涙が出てきてしまったのは、やはりスクリーンで観ているせいでしょう。
非常に丁寧にリマスタリングされているようで、そのエネルギッシュな映像を余さず堪能できるようになっているのはドルビーシネマという形式がもたらす恩恵でしょうか。こういう形で旧作と再会できるようになるのは嬉しいですね。
中盤、鉄郎が亡き母の仇の情報を求めて酒場に立ち寄るくだりがあります。そこではリューズ(声・小原乃梨子)という名の女性の歌声に客達が涙を流して聴き入っており、酒場のマスターは鉄郎に「彼らはこの歌に二度と帰らぬ遠い日々を思い出して泣いている」のだと言います。この映画を初めて観たのは確か小6か中1の頃。TVで放送されたこれを観て心動かされた日から30年近くを経て今、ある種のノスタルジーにも押されてこの映画を観に行った私も気付けばあの酒場の客と同じところにいるのだろうかと思うと少し寂しさを覚えますが、それが歳を重ねるという事かもしれません。
さらば少年の日々と言いながら、変わらないままの部分もあると知る、まるでほろ苦さを覚える再会のよう。そんな感慨もまた旧作を観る楽しみの一つ。今週末からは続編である「さよなら銀河鉄道999」のドルビーシネマ版の公開も始まるそうで、せっかくだからこちらとも再会してみたいところですね。
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