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ちゅうカラぶろぐ


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昨日と一昨日、本来なら常滑市の愛知県国際展示場でライブを予定していたものの延期になった「アイドルマスターシンデレラガールズ」が、一種の代替企画として7年前に開催された1stライブを無料配信してくれ、私もせっかくの機会にと懐かしさ混じりで鑑賞してました。
 ドーム球場でもやれるようになった今と違って会場は席数2,200程度の舞浜アンフィシアター。演出も素朴だし出演者にも声が震えてるのが分かるくらい硬くなっている人がいたり観客の側もまだこなれていなかったり。そんなシンデレラガールズの出発点。なかなか感慨深いものがあります。
 当時私はDay1のみライブビューイングで観ているのですが、たまたまその日仕事が早く片付いたのと職場から近いセンチュリーシネマで上映してくれたのもあって急に思い立って駆け込んで観るというエクストリームなことしてました。そういうことをやろうとして普通に当日券が取れる程度の時期でもあったんですね。

 こんばんは、小島@監督です。
 ああ、会場でライブが観たい。

 さて、今回の映画は「アナザーラウンド」です。

 歴史教師のマーティン(マッツ・ミケルセン)は仕事でも行き詰まり、夜勤続きの妻アニカ(マリア・ボネヴィー)とはすれ違い、無気力な日々を過ごしていた。
 ある日、同僚で心理学教師のニコライ(マグナス・ミラン)の誕生パーティーに招かれたマーティン。その席でニコライはマーティンにノルウェー人哲学者フィン・スコルドゥールが提唱するある理論について語った。それは「人間は血中アルコール濃度を0.05%に保つと体にやる気と自信がみなぎり人生が向上する」というものだった。空虚な日々にうんざりしていたマーティンは仲間に促されるままに酒を煽り、久しぶりの高揚感を味わう。
 翌朝、マーティンは一人酒席で聞いた仮説の実証を始める。つまり始業前に飲酒を行ったのだ。マーティンが一人実験を始めた事を知ったニコライは馬鹿な実験で終わらせないためにと論文にまとめることに。同僚の体育教師のトミー(トマス・ボー・ラーセン)と音楽教師のピーター(ラース・ランゼ)も加わり4人は検証実験を始めるのだった。

 連綿と息づくバイキングの遺伝子がそうさせるのか、北欧の人たちは酒に強い人たちが多いそうです。日本では飲酒は20歳になってから、となっていますがこの映画の舞台であるデンマークではお酒の購入が16歳から、レストランなどでの飲酒は18歳からと規定はされているものの飲酒そのものに対する年齢制限は設けられておらず、早い人では12歳ごろから飲酒しているそうで、結果的に酒量も多くなり、デンマーク人の飲酒量は他のヨーロッパ諸国の飲酒量の2倍近くになるという統計もあるとか。そんなデンマークで、「飲酒で人生が向上する」という仮説に飛び込む男たちの人生模様を描く作品です。

 内容が内容なだけにま~良くお酒を飲む映画です。それも多種多様。高校生が隠れて飲酒するのもアレなのにここでは中年のおっさん4人が「理論を検証する」という名目のもと仕事中に隠れて飲み続けるので余計にタチが悪い(笑)実はマーティンだけでなく4人が4人とも生活に対し何がしかの行き詰まりを感じており、アルコールの接種がそういう現状を打破するための冒険のきっかけとして描くのがポイントです。どうにかして人生をもっと活き活きとしたものにしたい、そんな想いは誰しもが持っているものではないでしょうか。
 4人はアルコールを起爆剤にそれまでの殻を破ろうと奮起します。少しずつアクティブになっていく様に、「これは飲酒を礼賛する映画なのか」といぶかる向きもあるかもしれません。しかし、もちろんそうはなりません。行く先には思わぬ(いやある意味で想定通りの)落とし穴も待っています。

 けれど、ここで肯定しているのは「お酒を飲んで気が大きくなったことで何かの一歩を踏み出した」ことのみ。あくまでもきっかけの材料としてのみでそれで何もかもハッピーには描いていません。この辺りのバランス感覚は見事というほかありませんが、飲酒そのものに否定的な感覚を抱いている人にはこの微かなセンチメンタリズムももしかしたら眉を顰めるものかもしれません。

 ところで、これは劇映画なので当然飲酒でアッパーになったりへべれけになって正体を無くす様も全てがしらふでの演技です。ですが、これが観てて驚くぐらいの「飲酒した人の動きそのもの」で主演マッツ・ミケルセン以下俳優陣の演技の凄みに圧倒されます。特にマッツ・ミケルセンはクライマックスでダンスを披露するシーンが登場するのですが、ここでの動きが圧巻。円熟の域に達した名優の練達の演技を楽しむことができます。

 お酒で人生全てが上手くいくならそんなに楽なことはない。けれどもちろんそうはならない。そんな人生の哀歓をユーモラスかつビターに描き切る佳作。人によってはかなり「刺さる」作品ではないかと思います。
 ところで、日本では0.15mg/Lつまり0.03%で酒気帯び運転となり、0.05%では一発免停になりますので決して作中の真似して飲酒運転は致しませんように(笑)。

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