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ちゅうカラぶろぐ


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一昨日、先月開催しながら1か月の期間を置いてようやくアーカイブ配信が始まった「アイドルマスターミリオンライブ7thLIVE」の映像を肴に数人で酒や食べ物を持ち寄って酒盛りしてました。こういうことから長く遠ざかっていたのでとても久しぶりに感じます。ライブの方も2Daysの初日の方は仕事で観れずじまいで「ぐぬぬ…」となっていたところだったので観れて何よりでした。

 こんばんは、小島@監督です。
 気楽にこういうことをできる日々が戻ってくると良いのですが。

 さて、今回の映画は「映画大好きポンポさん」です。

 映画の都ニャリウッド。そこで敏腕プロデューサーであるジョエル・ダヴィドビッチ・ポンポネット、通称「ポンポさん」(声・小原好美)の下でジーン・フィニ(声・清水尋也)はアシスタントを務めていた。映画監督を夢見ているジーンだったが、根暗な自分の性格では無理と諦めていた。そんなジーンにある日ポンポさんは新作映画のCM製作を担当させる。突然のことに驚くジーンだったがジーンは次第に作業に没頭していく。完成したCMの出来栄えに満足したポンポさんは、今度はベテラン俳優マーティン・ブラドック(声・大塚明夫)10年ぶりの主演作の監督にジーンを抜擢するのだった。

 映画自体を題材にした映画は古くからあり、早い物では1920年代には映写技師を主人公に据えた「キートンの探偵学入門」という作品が登場しています。1952年にはサイレントからトーキーに移行しつつあるハリウッドを舞台にしたミュージカル「雨に唄えば」や1989年にはシチリア島の映画館を舞台にした「ニュー・シネマ・パラダイス」と言った名作が誕生している一方で、撮影助手を務める青年の異常な性癖を描く「血を吸うカメラ」(1960年)や、近年でもゾンビ映画製作現場のドタバタを描く「カメラを止めるな!」が話題になったりと怪作にも事欠きません。
 この映画の原作コミック「映画大好きポンポさん」は、原作者杉谷庄吾が2017年にWEBで無料公開したのをきっかけに、その後書籍化された経緯を持つ作品です。近年Twitterなどで公開しその反響を契機としてその後雑誌連載、書籍化、あるいは映像化という流れに至る作品が相次いでいますがこの「ポンポさん」もそういう系譜の中にある作品です。映画を題材にしている作品の映像化だけあって媒体を映画とするのは当然の帰結とも言えるでしょう。

 この手の作品、特にアニメだと高校や専門学校などを舞台にしていることが多いのですがこの映画ではハリウッドを模した「ニャリウッド」を舞台に実写映画製作の内幕を描きますが、コレは案外かなり珍しい部類に入るのではと思います。
 類まれな才能と豊富な人脈を持ちながら何故か手掛ける映画は90分以内のB級映画ばかりというポンポさんのキャラクターは、「B級映画の帝王」と呼ばれたロジャー・コーマンを彷彿とさせます。そのロジャー・コーマン、低予算で映画を作るためにスタッフや俳優に大学を出たばかりの若者を多数起用したことでも知られており、そうやってキャリアをスタートした人物の中にはジェームズ・キャメロンやマーティン・スコセッシ、ロバート・デ・ニーロやジャック・ニコルソンなど後に一線級で活躍することになる人物が数多くいます。作中のポンポさんもそれに倣ってか根暗な映画オタクのジーンを監督を抜擢したりオーディションに落ちてばかりのナタリー・ウッドワード(声・大谷凛香)を主演に抜擢したりと芽が出ずにいる才能を見出していきます。

 もう一つ、この作品最大の特徴は、映画製作の中において「編集」という部分にかなりの重きを置いている点です。恐らくここをクローズアップしている作品は過去に類を見ないのではないでしょうか。それを象徴するところとして作中にジーンが「ニュー・シネマ・パラダイス」を観るくだりがあります。サラッと流しているシーンなのですがこの映画は編集が持つマジックを体感させてくれる作品で、完全版(173分)とインターナショナル版(123分)で上映時間が実に50分もの違いがあり、映画の構成も変わっているのでまるで印象が変わります。しかも世界的に評価が高いのは時間の短いインターナショナル版の方、というのも面白いところ。この「ポンポさん」を観て興味が湧いた方は是非両バージョンとも見て頂きたい逸品で、編集の奥深さを味わってみて欲しいところです。

 至上命題とも言うべき(何故至上命題かは見てご確認のほどを)上映時間90分にもちゃんと収まっており、狂気にも似た創作のエネルギーをアッパーなテンポで畳み掛ける楽しい作品に仕上がっています。興行成績も好調なようで今週末から上映館が拡大されるとのこと、このピーキーな作品を是非スクリーンで味わって欲しいところ。そしてこれをきっかけに映画に興味を持って頂けるようになると嬉しいですね。

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