連日ニュースを騒がせる某ウィルスのおかげで国中で自粛ムード一色。まともに人がいない映画館とかあまり見たくない光景でしたよ。今月に入ってからはお酒の売り上げも大きく落ち込んでいて正直ちょっと嫌な感じの仕事の少なさです。溜まった録画を消化したり滞っていたゲームを進めるには丁度いいのですが(苦笑)
こんばんは、小島@監督です。
一日も早いこの状況からの回復を望みます。
さて、今回の映画は「彼らは生きていた」です。
1914年、サラエボでオーストリア=ハンガリーの皇太子が暗殺されたことがきっかけとなり世界全ての経済大国を巻き込んだ戦争が勃発した。
イギリス各地では宣戦布告の通知と共に募兵を呼びかけるポスターが街中に貼り出され、多くの若者が志願した。志願資格は19~35歳だったが誕生日をごまかして入隊した19歳未満の者も少なくなかった。「周りが皆、志願していたから」「退屈な日々から解放されたかった」、理由は様々だった。
彼らはまず練兵場へ送られ、数週間の訓練の後西部戦線へと派遣されていった。
遠方からの砲撃音が飛び交う塹壕での日々。粗悪な環境だが束の間の休息を楽しめることもあった。しかし、大規模な突撃の時は遂にやってきた…
第一次大戦終戦から100年を経た2018年、イギリスでは帝国戦争博物館(第一次大戦のメモリアルとして1920年に開館した施設。イギリス各地に5か所ある)と100周年記念芸術プログラム「14-18NOW」の共同プロジェクトとして1本のドキュメンタリー映画が製作されました。監督は「ロード・オブ・ザ・リング」3部作で世界的に高い評価を得るピーター・ジャクソン。彼の祖父もまた第一次大戦時に従軍した兵士であり、「ロード・オブ・ザ・リング」の原作者トールキンもそんな従軍兵の一人でした。ある意味でピーター・ジャクソンにとって自身のルーツを探る旅でもあったことでしょう。
非常に繊細で丹念な仕事の積み重ねが結実した映画です。
映画は冒頭モノクロの記録映像で始まりますが、十数分後、男たちが西部戦線に投入されると映像は一変します。綿密な考証のもとモノクロの映像は着色されカラーになり、手動のカメラで1秒13~18フレームのバラバラのスピードで撮影された映像の空白を埋め24フレームに修正し古い映像に良くあるフレームレートと実際の動きと速さのズレを調整し(コマが少ないまま24フレームで上映するとコマが不足している分動きが速くなっているように見える)、更に無数の傷や汚れを1コマ1コマレストア。1914年当時は映像と音声を同時に収録する技術はまだなかったためもとは無音である映像に砲撃音や泥の中を行軍する足音、銃器を操作する音、そのさなかを吹く風の音といったサウンドエフェクトを重ねたことで、文字通り「まるで昨日撮影されたかのような」映像が展開します。日本では通常上映のみの公開ですが、実はイギリス本国ではここから更に3Dへとコンバートされたバージョンも上映されたそうです。
またこの作品ではBBCが保管していた第一次大戦後退役軍人たちへとインタビューした音声素材をナレーションとして使っています。デジタルがもたらした奇跡ともいえる映像と、当時を体験した者たちの肉声を重ねたことにより臨場感はどこまでも高まり、無機質な歴史の一幕でしかなかった100年前の出来事が等身大で自身の地続きのことのように感じられます。
束の間の休息のさなかにカメラを向けられポーズを取ったりおどけたりする兵士たちの姿と、一方で銃撃や砲撃で頭や体を喪い命を落としてもそのまま放置されハエがたかりネズミに食われるままにされ朽ちていく様も全てが等価値かつ冷徹な視点で綴られただただありのままに伝えようとする姿勢故にどこまでも生々しく迫ります。彼らは確かに100年前にそこにいた、血の通った人間たちであったのだと教えてくれます。
題材と事実に誠実に向き合ったからこそなし得た、心の奥にまで刺さるような余韻を観る者に与える作品です。技術的な実験の塊でもある意欲作でもあり、100年前の物事に新たな視点を与え「歴史」を少しだけ近く感じられるようになることで現在の事象とどう向き合うかを考えさせてくれるよすがともなるでしょう。
これもまた映画の持つ魔法の力。是非、多くの方にご覧になって頂きたいですね。
こんばんは、小島@監督です。
一日も早いこの状況からの回復を望みます。
さて、今回の映画は「彼らは生きていた」です。
1914年、サラエボでオーストリア=ハンガリーの皇太子が暗殺されたことがきっかけとなり世界全ての経済大国を巻き込んだ戦争が勃発した。
イギリス各地では宣戦布告の通知と共に募兵を呼びかけるポスターが街中に貼り出され、多くの若者が志願した。志願資格は19~35歳だったが誕生日をごまかして入隊した19歳未満の者も少なくなかった。「周りが皆、志願していたから」「退屈な日々から解放されたかった」、理由は様々だった。
彼らはまず練兵場へ送られ、数週間の訓練の後西部戦線へと派遣されていった。
遠方からの砲撃音が飛び交う塹壕での日々。粗悪な環境だが束の間の休息を楽しめることもあった。しかし、大規模な突撃の時は遂にやってきた…
第一次大戦終戦から100年を経た2018年、イギリスでは帝国戦争博物館(第一次大戦のメモリアルとして1920年に開館した施設。イギリス各地に5か所ある)と100周年記念芸術プログラム「14-18NOW」の共同プロジェクトとして1本のドキュメンタリー映画が製作されました。監督は「ロード・オブ・ザ・リング」3部作で世界的に高い評価を得るピーター・ジャクソン。彼の祖父もまた第一次大戦時に従軍した兵士であり、「ロード・オブ・ザ・リング」の原作者トールキンもそんな従軍兵の一人でした。ある意味でピーター・ジャクソンにとって自身のルーツを探る旅でもあったことでしょう。
非常に繊細で丹念な仕事の積み重ねが結実した映画です。
映画は冒頭モノクロの記録映像で始まりますが、十数分後、男たちが西部戦線に投入されると映像は一変します。綿密な考証のもとモノクロの映像は着色されカラーになり、手動のカメラで1秒13~18フレームのバラバラのスピードで撮影された映像の空白を埋め24フレームに修正し古い映像に良くあるフレームレートと実際の動きと速さのズレを調整し(コマが少ないまま24フレームで上映するとコマが不足している分動きが速くなっているように見える)、更に無数の傷や汚れを1コマ1コマレストア。1914年当時は映像と音声を同時に収録する技術はまだなかったためもとは無音である映像に砲撃音や泥の中を行軍する足音、銃器を操作する音、そのさなかを吹く風の音といったサウンドエフェクトを重ねたことで、文字通り「まるで昨日撮影されたかのような」映像が展開します。日本では通常上映のみの公開ですが、実はイギリス本国ではここから更に3Dへとコンバートされたバージョンも上映されたそうです。
またこの作品ではBBCが保管していた第一次大戦後退役軍人たちへとインタビューした音声素材をナレーションとして使っています。デジタルがもたらした奇跡ともいえる映像と、当時を体験した者たちの肉声を重ねたことにより臨場感はどこまでも高まり、無機質な歴史の一幕でしかなかった100年前の出来事が等身大で自身の地続きのことのように感じられます。
束の間の休息のさなかにカメラを向けられポーズを取ったりおどけたりする兵士たちの姿と、一方で銃撃や砲撃で頭や体を喪い命を落としてもそのまま放置されハエがたかりネズミに食われるままにされ朽ちていく様も全てが等価値かつ冷徹な視点で綴られただただありのままに伝えようとする姿勢故にどこまでも生々しく迫ります。彼らは確かに100年前にそこにいた、血の通った人間たちであったのだと教えてくれます。
題材と事実に誠実に向き合ったからこそなし得た、心の奥にまで刺さるような余韻を観る者に与える作品です。技術的な実験の塊でもある意欲作でもあり、100年前の物事に新たな視点を与え「歴史」を少しだけ近く感じられるようになることで現在の事象とどう向き合うかを考えさせてくれるよすがともなるでしょう。
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