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ちゅうカラぶろぐ


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日中はまだ暑い日が続くものの朝晩は気温が下がるようになってきて、というのにも関わらず窓を開けっ放しにして寝てしまってちょいと風邪っぽいというボンクラをかましてしまった週末、季節の変わり目は油断できませんね~。

こんばんは、小島@監督です。
何だかんだともうすぐ夏も終わり。過ごしやすい季節になってきました。

さて、今回の映画は「君の膵臓をたべたい」です。

かつて母校だった高校に国語教師として勤める「僕」(小栗旬・北村匠海(高校生時))は、老朽化から取り壊しの決まった図書館の蔵書整理を任された。在学時、図書委員として図書館に籠り書庫の整理に携わっていたことを教頭が覚えていたのだ。
12年ぶりに図書館に立ち入り、栗山(森下大地)ら手伝いの生徒たちと蔵書整理を行う中で、「僕」はかつて心を通わせた少女・山内桜良(浜辺美波)との数か月を追想してゆく。


小説投稿サイト「小説家になろう」に投稿され、その後出版されるに至り、特に10代から強い支持を集める小説が実写映画化。大作ひしめくサマーシーズン真っ只中での封切りながら公開6週目を迎えても興行成績ベストテンにランクインし続ける人気作品になっています。
原作はタイトルこそ知っていたものの読んだことはない上に、もともとこういうタイプの作品を積極的に観に行くガラでもないのですが、今回は何だか興味が湧いて観に行ってきました。

難病を抱えた少女と出会う少年、というありきたりともいえる古典的な題材ながら、しかし単純なラブストーリーとしては描かれず、むしろその交流を通して自身の殻を破り成長しようとする重層的な青春心理ドラマとして描かれているのが特徴です。
飛び抜けて印象に残る凄いシーンがいくつもある、というでもないのですが、描かれるエピソードの全てが繊細で儚い美しさをまとった作品です。
人と深く関わりたがらない性格ながら内に芯の強さを秘める「僕」と快活ながら内面に影を孕む桜良は互いに惹かれあいながら、しかし恋人同士にまでは発展していきません。恋心というには相手に深入りしながらも、その先の喪失が避けられないと分かりきっているが故に恋人という関係に発展することを恐れる2人はその微妙な距離感ゆえに分かりやすい「恋人」という記号を超えた関係へと昇華していくことになります。

パンフレットを読んで知ったのですが、この映画は一点、原作に大きなアレンジを加えて製作されいます。原作は高校時代だけで完結しているそうですが映画では12年後の「僕」が追想する形を取っています。
このアレンジ、構成としてはいささか強引だったと言わざるを得ず、原作未読でもわかってしまうくらいの齟齬がいくつか見受けられますし、結果的にかなりご都合が過ぎる形になってしまった部分もあり、原作に強い思い入れのある方やロジカルな作劇を好む方には否定的に観てしまうのも頷けます。
ですがそういった欠点を差し引いてもこのアレンジは決して間違ってはいないと思えます。追想するというこのスタイルを取ったことで、主人公の心理描写に俯瞰的な視点を加えて得られた詩的なノスタルジーは紛れもなくこの映画の魅力の一つと言って良いでしょう。
余談ですが作中重要な意味合いを持つ図書館の撮影に使われたのは、アニメ「けいおん!」でもモデルとして使われたとされる豊郷小学校。数多くの訪問者を集めましたし、施設内やその周辺に見覚えのある方も多いのではないでしょうか。

そしてこの映画最大の魅力は2人の主人公、高校生の「僕」役北村匠海と山内桜良役浜辺美波2人の演技です。
特に浜辺美波が本当に素晴らしい。若手の俳優の中にはごくまれに、作品の題材や役柄、それを演じる時期などの全てが噛み合った時に眩しいくらいの輝きを見せることがありますが、本作の浜辺美波にはそれがあります。恐らくあと1年早くても遅くてもこの輝きは見られなかったことでしょう。まさに「今」しか成し得ない輝きがスクリーンから溢れています。

ちょっとグロテスクでホラーなタイトルの意味が明かされる頃には全てが愛おしくなってくる、そしてそんな情感を最高の余韻へと導いてくれるMr.Childrenによるエンディングテーマ「himawari」も素晴らしく、思いがけず素敵な青春映画に出会えました。
何年も経った後にフッと思い出して懐かしい気分になれるような、そんな作品です。話題作ですし間をおかずTVで観られる日も来るかと思いますが、その日を待つにはもったいない、是非スクリーンで味わっていただきたい映画ですね。

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