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ちゅうカラぶろぐ


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今日は冷え込むなとか思ったら昼間ちょっと雪降りましたですよ。

こんばんは、あるいはメリークリスマス、小島@監督です。
アイマスファン的には今日は萩原雪歩の誕生日!

さて、今回の映画はロングランを続けるミュージカルの金字塔を映画化した「レ・ミゼラブル」です。

ビクトル・ユゴーの大河小説「ああ無情」をミュージカルに仕立て上げロンドンで初演されたのが1985年。以来日本を含め多くの国で翻訳・上演され30年近いロングランを続けています。
初演がロンドン、作詞作曲がイギリスの方なのでフランスの物語なのに言語が英語なのはご愛嬌。突っ込むのは野暮ってもんですよ(笑)
先ごろロンドンではこれまでのスタイルを刷新し、新演出として新たな「レ・ミゼラブル」がスタートしましたが(日本での初演は来年4月)、恐らく今回の映画化は従来のスタイルを理想的な形で映像に残したくて始まったプロジェクトなんじゃないでしょうか。
ジャン・バルジャン役ヒュー・ジャックマンを始め重厚なキャストと監督トム・フーパー(「英国王のスピーチ」監督)以下、超一流のスタッフが集結して豪華な映画が出来上がりました。

基本的な構成は舞台版とほとんど同じです。舞台を1度でもご覧になった方や、舞台劇を好んで観に行く方には馴染み易く没入しやすい反面、演劇的なエモーションを優先させた構成のためにストーリーの整合性に欠けた部分があり、理路整然とした物語構成を好む人にはいささか辛いものがあるかもしれません。

舞台版との大きな違いとしてまず挙げたいのはやはり天井のある劇場では為しえない巨大なセットやロケ(一部ではVFXも)を利用した映像と最大で数百人規模になるアンサンブルコーラスの重奏感でしょう。
しかも大抵ミュージカル映画は「リップシンク」と言って事前に歌を収録して後で撮影した映像にかぶせる手法を取るのが一般的なのですが、「レ・ミゼラブル」では全てを実際に歌いながら生で収録する撮影方法を取っています。なので多くのシーンが1カットで展開してるのも特徴。
さらに主要人物にはそれぞれ重要な場面で独唱するシーンがあるのですが、そこではカメラが俳優へ大きくクローズアップし俳優の表情一つ一つの演技を余さず捉えています。

圧巻なのはまず、コゼットの母ファンティーヌが貧窮のあまり自身の髪を売るシーン。このシーンでファンティーヌ役アン・ハサウェイはかつらではなく何と自分自身の髪を切っています!何という一発勝負!
更に中盤、革命前夜のシーン、高揚する民衆の声にジャン・バルジャン以下主要人物たちの思惑が交錯するシーン。「ワン・デイ・モア」という歌曲が使用されているのですが、主要パートを歌う人物が1フレーズずつ切り替わるこの曲を短いカットを次々繋いで緊迫感と高揚感あふれる映像になっています。

「レ・ミゼラブル」は舞台鑑賞の感激を余すことなく閉じ込めつつ、俳優の演技・歌唱を文字通り「間近で」堪能できるという意味でまさに舞台とは一味違う映像を楽しめる映画です。
興味のある方観ようかどうしようか検討中の方、これは映画館で観てこそ意味のある映画。迷う必要はありません、至福の映画体験を味わってください。

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昨日の衆院選は蓋を開ければ自民の圧勝。
勝つだろうなとは思っていたが正直これほどとは。

こんばんは、小島@監督です。
それにしても結果はともかく池上彰の選挙特番はもっとちゃんと観ておくべきだった(苦笑)
切れ味鋭いジャーナリズムは時にスリリングなエンターテインメントになる。

さて、今回の映画は今週末世間的にはクリスマスで3連休だそうなのでクリスマスにちなんだ映画をチョイス。
先だってリクエストもいただきました監督フランク・キャプラ、1946年に公開された「素晴らしき哉、人生!」(原題:It's A Wonderful Life)です。やっぱりモノクロ。
はい、まぁぶっちゃけ年末の繁忙期で最近あまり観に行けてないので公開作品で語るネタが枯渇気味なのですよ(苦笑)

翼を持たない二級天使のクラレンスは神様から絶望して今にも自殺しようとするジョージ・ベイリーの命を救う使命を受ける。
ジョージがどのような人物なのかと尋ねたクラレンスに神様はジョージの半生を語る。
カレッジを卒業後、アルバイトで貯めた金で世界旅行に出掛けようとするが父親が過労で突然他界し、父が経営していた住宅金融会社の後継を務めざるを得なくなる。
やがて幼馴染のメアリーと結婚、4人の子供に恵まれる。貧窮者に住宅を供給する事業に注力し町の人からの厚い信頼を得るようにもなる。
しかし、そんなジョージを快く思わない銀行家のポッターの奸計でクリスマスの日、ジョージは会社の資金を紛失してしまう。必死に金策に走るも失敗してしまったジョージは自暴自棄になり自殺を図ろうとする。

以前に紹介した「一日だけの淑女」同様これまたアメリカ的な良心に溢れた映画です。
監督のフランク・キャプラ自体がそのようなアメリカ的良心をずっとモチーフとして描き続けてきた監督なので、彼の持ち味とも言えますが。
主人公ジョージを演じるジェームズ・スチュワートのいかにも実直で誠実そうな風貌もこの映画の「良心」たる部分に大きな説得力を与えています。
冒頭で天使がジョージをどこかで救けに行くことが示唆されているのに、なかなか現れず、ジョージの半生を追いながらも観客にどこでどのように登場するのか期待させずにおかない語り口も魅力です。
最終的に天使が起こす奇跡が見せ場ではありますが、勿論それ以外でも見どころが多く、特にカレッジでの卒業パーティーのシーンなど「これぞアメリカ」的な青春がまさに躍動してる感じです。
終盤の雪降るクリスマスのシーンもモノクロである分余計に絵として美しくなっているシーンもあるのでクラシック映画だからと侮っていはいけません。
…もっとも、その終盤のジョージの取り乱しぶりがあまりにも飛ばし過ぎていて個人的にはちょっと引いてしまったのですが、なぁに、全体で観れば些細なモノです(笑)

クリスマスの夜、時にはこういうオールディーズな映画を楽しみながら過ごしてみるのはいかがでしょう。
…私?私は24日もがっちり出勤なのでせいぜいアイマスのクリスマス話を観ながらニヤニヤするくらいが関の山さ(苦笑)



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昨日のクリスマス歌会に参加された皆さん、お疲れ様でした。
プレゼント交換ではかときちさんチョイスの「レゴ パイレーツ・オブ・カリビアン アン王女の復讐号」という凄い物を頂いてしまいちょっと感激。
しかし年内は作る暇も無さそうな上に完成したらかなり場所を取りそうなコレを置くスペースをまず確保しなければならないのでどうしたものか(苦笑)

こんばんは、小島@監督です。
ちなみに今年の私は「冒険野郎マクガイバー」シーズン1のDVD-BOXをチョイスしました。

さて、今回の映画は先週ようやく観れました「ヱヴァンゲリオン新劇場版:Q」です。
新しい設定とストーリーで再構築された新劇場版もいよいよ3作目。各作のタイトルに雅楽の三段構成を表す「序破急」を持ってきているのもポイントで、実はそれぞれの展開がまさにその「序(無拍子・低速での演奏→旧シリーズ序盤とほぼ同じ展開)」「破(拍子が加わる→旧シリーズ中盤と同じエピソードを用いながらも全く違う展開へ)」「急(さらにテンポが加速→もう全然違う物語に)」に合わさっているようになっているのも面白いですね。

今作は本編開始前に「巨神兵東京に現る」というショートムービーが上映され、これは東京都現代美術館での企画展「特撮博物館」の展示上映用に製作された物で、特撮技術を観てもらうのが中心の作品なんですが、全体を包む不穏な空気が印象的で言い方が少々変ですが「場を温める」のに一役買っています。

そこから始まる「Q」は、冒頭いきなり始まる宇宙空間での戦闘に心躍らされます。全編にわたり作画レベルが高く戦闘シーンにボリュームもあり、非常に見応えのある映像を楽しめます。
そして物語の方はとにかく沈鬱でダウナーです。いわゆる「旧劇場版」ではどこまでも膝を抱えて泣いてるだけのシンジ君にイライラしっ放しでしたが、今作のシンジ君は「そりゃ膝抱えて泣きたくもなるわ」ってくらい不条理で理不尽な目に遭い続けます。
更に今作は非常に情報量が過剰です。そりゃもう大河が洪水してるかと思わせるほどに氾濫しています。セリフやキーワード、現象から全てを読み解こうとすればそれこそ旧シリーズまで含めて見返した上で今作も複数回鑑賞するくらいじゃなければ無理でしょう。
今回私はそういうことから早々に離脱し(苦笑)、もっとフラットに観てました。

ちょっと気づいた事として今作はその沈鬱な展開と合わせて暗めの色調の画面が多く、シンジを照らす光源も人工光か薄闇かがほとんどなのですが、作中2,3回自然の光が差すシーンがあり、なかなか意味ありげに交わされる会話と相まって強く印象付けられるシーンでした。

あと、もう1つ、自分としては1番食い付いたのでどうしても語りたい事として、今作では「ヴンダー」という戦艦のような新メカが登場するのですが、そのヴンダーの発進シーンが、「エヴァ」の前に庵野監督が製作したTVシリーズ「ふしぎの海のナディア」の第36話のN-ノーチラス号の発進シーンと状況が似てる上に使われてる2曲のBGMがアレンジは違えどそのシーンと「同じ曲が同じ順番で」使用されてるのにもうどうしようもなくエキサイトしてしまい、俯瞰で見たらドン引きしてしまうくらいニヤニヤしてました。
ちょうど今NHK教育でナディアが再放送されており年明けすぐあたりでその36話が放送されるはずなので気になった方は是非チェックしてみてください。

結局のところ「エヴァ」ってある種の祭りのようなものだと思うので、今までこのシリーズに付き合ってきた方はこの映画をスルーする理由など無いはず。
脳天気に楽しむも深読みして考察するも自由のこのイベント、乗らない手は無いですよ。


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仕事柄当然と言えば当然なのですが12月に入った途端猛烈に忙しくなり、おかげさまで食欲と睡眠欲が増しています(笑)
でも時期的にそうでなければ困るとも言えてなかなか複雑な気分。

こんばんは、小島@監督です。
まあ食欲が増してると言っても体重が増加してる気がしないのでこれはこれで悪くない。

さて、今回は出来れば先週中にエヴァQを観てそれについて語りたかったのですが、観に行けなかったので(苦笑)、さてどうしようかと思案した結果、ちょっと趣向を変え早いところでは今週から第2部の放送が始まるジョジョにちなんで第2部の時代設定である1930年代のアメリカの映画をセレクトしてみました。
1933年に制作されたフランク・キャプラ監督のコメディ映画「一日だけの淑女」(原題:Lady for a day)です。もちろんモノクロ。

主人公はアニーと言う名の老婆と、ギャングのボス・デーヴの2人。
アニーはリンゴ売りで生計を立てているが世界恐慌のただなかで生活は苦しい。何故かデーヴだけは「アニーのリンゴは幸運のリンゴ」と信じ折に触れ買って行ってくれる数少ないお得意様だ。
そんなアニーには秘かな楽しみがあった。一流ホテルの便箋を手に入れその便箋で娘と文通していたのだ。手紙の中ではさも自分が社交界の華であるかのように振る舞って。
娘からの手紙はホテルに届き、従業員をしているアニーの友人が秘かに確保しアニーに手渡していた。
しかしそれがばれてしまい友人はクビになった挙句手紙は娘に送り返されそうになってしまう。何とか娘からの手紙を確保したアニーだが、それを読んで驚愕のあまり倒れてしまう。そこには婚約者とその父である伯爵を伴ってアメリカに向かっていると書かれていた。
このままでは嘘がばれてしまう上に、娘の結婚も危うくなる…困り果てたアニーはデーヴにすがるように助けを求める。
あまりの必死さに引き受けざるを得なくなったデーヴは、ギャングの人脈と財力を活かして何とか1日だけ、アニーを貴婦人に仕立てようとするのだが…

デーヴが無理難題を引き受けることになってしまってからがこの映画の本領。
まさに悪戦苦闘です。友人が住んでいるホテルの部屋を借りてアニーを住まわせ、愛人に頼んでアニーにドレスを着せ化粧を施してみたり。
アニーが貴婦人であることを証明しようとしてパーティーを開こうとするものの、何とか集めた人員は皆ギャングなのでどうみても物腰が上流階級とは程遠くてどう見ても学芸会だったり。

てんやわんやの大芝居は最後に大きなどんでん返しが発生します。
そりゃいくらなんでもあり得なかろうと言いたくなりそうですが、そんなツッコミは野暮だと言わんばかりの素敵な奇跡が待っています。

人の善意と情に溢れたちょっとしたお伽噺。監督のフランク・キャプラはこの題材がよほど気に入ったらしく後年自身の手でリメイクをしています。

この映画、パブリック・ドメインになっているので、レンタルどころか動画サイトで無料で観られる可能性があります。
興味があればググってみるも良し。あるいは私に言ってくださればソフトを持っているのでお貸しすることもできますよ(笑)





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先日の歌会の際にひょっと斎氏より借りた「孤独のグルメ」のDVD-BOXをここ連日観ているのですが、「夜食テロ」とか言われるだけあって観てると本当にお腹が空いてきます。
精神衛生上よろしくないので1日1話しか観れません(笑)

こんばんは、小島@監督です。
俺の腹は今何腹なんだ。

さて、今回の映画は私の日曜朝の心の清涼剤にしてその劇場版は秋の風物詩(笑)、「映画スマイルプリキュア!絵本の中はみんなチグハグ!」です。

絵本の博覧会を訪れたみゆき達。絵本の映画を観ようと映画のブースに入ったらスクリーンから女の子が飛び出してきた!さらに女の子を追って西遊記の金角と銀角も飛び出してくる。女の子を助けるためにプリキュアに変身して金角銀角を追い払うみゆき達。女の子はニコと名乗り、助けてくれたお礼にとみゆき達を絵本の世界へと誘うのだった。

例年以上にキャラクター性が突出しているスマイルらしく、劇場版でも彼女たちの活躍が賑々しく堪能できます。
絵本の世界に来た一行はお伽噺の主人公になってその物語を楽しむことになるのですが、ある「悪意」が働いて展開に他のお伽噺が混ざってとんちんかんな事に。勿論後半はシリアスになっていきますが前半もうほとんどコント。
個人的には先週TVで放送されたエピソードの様にもっとそれぞれのお伽噺になぞらえたエピソードを放り込んで遊び倒しても良かったような気もしますが、それだとグダグダになってしまって75分じゃ終わりそうもないからこの位で良いのかも。
いや、もう充分ブッ飛んでましたけどね(笑)

物語はニコとある「悪意」の正体が明かされた時、みゆきに彼女がかつて犯したある「過ち」を突きつけます。
それはいつも「ウルトラハッピー」とアッパーな陽気で突き進むみゆきから笑顔を消し去るほどの衝撃を与えます。
そこからみゆきの「贖罪」のための戦いが始まります。
メインターゲットが未就学の女児なので極力ライトな描写に抑えているようですが、この展開はかなりハードでシリアス。文字通り茨の道を行くことになるみゆきとそれを支える仲間たちの奮闘はこの上ない感動を呼んでくれます。特にあかねの敢闘ぶりが素晴らしい。マジイケメン。「サニキ」とか揶揄されたりする彼女の熱血さが炸裂するのであかねファンは喜ぶがいい(笑)

実はもう一人作中で意外な人物が大活躍するのですが、それはここでは内緒。軽く出オチ感もあるので本編を観て驚いてほしいですね。

ゲストヒロイン・ニコを演じるのは林原めぐみさん。大きな二面性を抱える複雑な役どころを見事に演じ切り、さすがベテランです。こういうところの配役をミスらないのもこのシリーズの良いところと言えるでしょう。
対するみゆき役・福圓美里さん以下プリキュアたちの演技もTVシリーズ以上に力が入っていて耳でも楽しませてくれます。

ちょっと物語がヘビー過ぎる点賛否が出てしまいそうですが、今や東映の看板タイトルになったプリキュアの底力を味わえる力作です。
まだまだ公開中のところもあるので気にってる方は観に行ってみてはいかがでしょう。


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昨日の歌会に参加された皆さん、お疲れ様でした。
秋の新曲もぼちぼちと配信され始め、私のいた部屋も新曲多めのなかなか新鮮な選曲を楽しめました。

こんばんは、小島@監督です。
ま、取り敢えずDTとEDをちゃんと覚えないといかんのだけは理解しました(笑)

さて、今回の映画は今週23日より公開の、全編大分ロケ、ひょんなことから綱引きに奮闘する事になった女性たちの活躍を描いたコメディ、「綱引いちゃった」です。
何!?公開前の映画…だと…?
はい、試写会で観てきました。実は毎月かなりの量を応募してまして、上手くいけば年に10本位は試写会で賄えるのですが、今年はこれでようやく1本目。
基本的に「観てみたいタイトル」ではなく「行ける日時・場所で開催する」もの全てを応募してるので当たるのは大抵自発的にはまず観に行かない映画ばかりです。期待しないで観る分面白いと嬉しいけど、自分に合わないと寝てしまうこともしばしば(苦笑)

今回は、当たりの方でした。

真面目な大分市職員・千晶(井上真央)は市長(風間杜夫)より知名度の低い大分市のPRとして女子綱引きチームの結成を命じられる。なかなか人を集められない千晶は母・容子(松坂慶子)より勤め先の給食センターが廃止の憂き目に遭うことを知り一計を案じる。センターの職員を綱引きメンバーにして全国大会出場まで勝ち抜けたならセンター廃止の撤回することを市長に取引を持ちかける。今、大分市と勤め先を懸けた女性たちの戦いが始まる…!

ベタベタだったりそうじゃなかったり全編にわたり笑いのセンスが冴えて非常に楽しい映画になっています。
俳優陣の演技も良く、特に千晶に一目ぼれした勢いでチームのコーチになるシイタケ農家の青年・公雄を演じる玉山鉄二とチーム一の大食い・美香を演じる渡辺直美の2人が特に印象的。
玉山は予想以上に笑いの引き出しが多いようで貪欲に攻めている感じがしますし、渡辺直美に至ってはほぼ全ての登場シーンで笑いが取れる勘の良さを見せつけ、恐らく脚本や演出が求める以上に効果を上げています。
反面シリアスなシーンでは必要以上に芝居がかったセリフが出る部分がありちょっと引いてしまったのですが、ここはあくまでも個人的な感覚なので問題無い方も多いと思います。

何よりこの映画は、ドラマの映画化・漫画の実写化・リメイクばかりの昨今の風潮の中で颯爽と登場した完全オリジナル作品であることに大きな意義を感じさせ、「最強のふたり」とはまた違う形で爽やかに笑わせてくれる映画です。
基本的には女性向けなのでしょうが多くの人が楽しめる人を選ばない映画です。気になった方は是非映画館へGO!
エヴァのついででも、十分イケると思いますよ(笑)

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こんばんは、小島@監督です。
明日からボジョレー・ヌーヴォー解禁までの数日、非常に仕事がきつくなるので今回は1日前倒しでアップさせていただきます。
売り手側の人間として言いますと、ヌーヴォー購入をお考えの方、せっかくなので大手スーパーなどで扱っているペットボトル入りの安価なモノではなくちゃんと瓶詰の物にいたしましょう。こういうのは気分も大事。
2,000円位の物でも充分美味しいものが飲めますよ。

さて、今回の映画は原作石ノ森章太郎、Production IG制作のCGアニメ映画「009 RE:CYBORG」です。

世界各地で超高層ビル爆破テロが続発。
この事態にギルモア博士は今はそれぞれの故郷で暮らしていた00ナンバーサイボーグたちを招集を決意。
博士は003・フランソワーズと005・ジェロニモを派遣し、記憶を消去され今は日本で高校生として生活している009・島村ジョーへ接触を図る。
初めは軍産複合企業のマッチポンプ的所業と思われていたが、やがて実行犯の多くが「彼の声を聞いた」という証言をしていたことが明らかになる。果たして「彼」とは一体何者なのか?

かつて「黒い幽霊団」から世界を救ったサイボーグたちの前に立ちはだかるのは「彼」と呼ばれる超越した存在。
約10年ぶりの「サイボーグ009」の映像化の際に選ばれた題材は原作者が2度にわたり執筆を挫折しながらも晩年までその構想を練り続けた「天使編」「神々の戦い編」をモチーフにしています。

公開前色々物議を醸した(笑)キャラクターデザインでしたが、実際スクリーンで動いてるところを観るとほとんど違和感を感じないのに驚かされます。
CGを2Dアニメっぽく見せる日本ならではの技術、「トゥーンシェード」の冴えも素晴らしく、気づかなければ普通のアニメと同様に観てしまう人も出てきそうなほど。
さすがIG作品らしく随所に織り込まれたアクションの迫力も素晴らしく、特にいくつものバリエーションをもって描かれる009の加速装置は、実写でもまた通常の2Dアニメでも味わえない映像が秀逸です。

物語は中盤以降「彼」の正体を探る方向へシフトして行きます。それはある種観念の世界での戦いへと移行していた原作同様に(「神々の戦い編」の中断するまでのラスト10数ページはセリフの無いサイレント漫画だった)宗教的になり正直かなり難解です。
それは同じIGの作品であり、押井守監督の「攻殻機動隊」で草薙素子と人形使いがデジタルとリアルの境界線で観念的な会話を繰り広げていたのとどこか似通うものを感じます。
ちなみにこの映画の音楽も「攻殻機動隊」と同じ川井憲次が担当してるので、余計にそう感じるのかもしれません。

この映画で大きく賛否を分かつのはこの後半の件りで、物語の中では「彼」とは「脳内の想像の産物」「内的宇宙からの内なる声」のように扱われるのですが、それでまとめるには「ではアレとアレとアレは何やねん」という疑問が湧くほどに即物的なキーワードやモニュメントが多く登場しすぎており、それでいながらラストシーンでサイボーグ戦士たちが集う場所はあまりにも宗教的じみています。
正直に思った事として作り手には「彼」に対する明確な「解」のビジョンができていたのかが疑問です。

映画を「観る」のではなく「読む」ような感覚を強要されてしまうので、それが苦手な人には進めづらいですが、一味違うアニメーションを楽しみたい方にはうってつけと思います。トライしてみる価値はあるのではないでしょうか。

余談ですが、この映画を観る際ベイシティTOHOで眼鏡のフレームに付けるクリップ式の3Dメガネを試させてもらいましたが、これまでの眼鏡on眼鏡と比べて遥かに負担が少なくてこいつぁありがたい(笑)

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