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ちゅうカラぶろぐ


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昨年シリーズ10周年を迎えたアイドルマスターの記念出版が先日発売されました。
シリーズに登場する全アイドルを網羅した名鑑です。

コレがその表紙。名鑑なのでざっくりとしたプロフィールと簡単な紹介しか載っていないわけですが、全部で300人近くもいるのでかなり壮観です。しかしちょっと残念だったのが作品毎にキャラクターをまとめる形で掲載されているところ。せっかくなので765プロもシンデレラガールズもミリオンライブもSideMも全てを一緒にして五十音順で掲載してほしかったな、というのが個人的な感想。
例えば「あ」なら、
アナスタシア
天ケ瀬冬馬
天海春香
って並んでる方がより眺めてて楽しい感じがするのですよ。あくまで私個人の印象なのでそうは思わない方もいらっしゃるでしょうけれど。

こんばんは、小島@監督です。
しかし最初は10人で始まったタイトルも今やその30倍に…そう思うと10年の時間の大きさを実感します。

さて、今回は映画の話ではなくライブの話。昨日幕張メッセで開催された「Trident THE LAST LIVE Thank you for your BLUE」を観に行ってきました。
Tridentとは「蒼き鋼のアルペジオ アルス・ノヴァ」に登場するイオナ役渕上舞さん、タカオ役沼倉愛美さん、ハルナ役山村響さんの3人で構成されるユニットです。いくらアイマス声優とプリキュア声優とアイマスでプリキュア声優のユニットとはいえ作品に出会ったのが昨年10月公開の劇場版(しかも完結編)、そこから僅か半年でライブイベントに遠征するまでになってしまいました。私チョロイ。
Tridentは今回のライブを以て解散されることが事前に告知されていて、完結編で初めて知った作品の最後のイベントに出向くというのもなかなかの奇縁だなぁという気がします。

Tridentの楽曲のサウンドはいわゆるEDM(Erectric Dance Musicの略。シンセサイザーとシーケンサーでサウンドを構成し基本的に生演奏で披露することを想定していない音楽で、00年代頃からヨーロッパのクラブシーンで勃興し出して世界に広まっていった。2010年あたりから日本でも規模の大きなイベントが開催され始めている)サウンドで、一般的なアイドルポップとは少々趣が異なり、率直に言えばアイドルライブなのにいくつかの楽曲以外では「コールが入れづらい」というのが特徴です。とはいえダンサブルな曲が多いので素直にリズムに乗りやすいのは良いですね。

そんなEDMサウンドに乗せて、穏やかで透き通るような渕上舞さん、どこまでもパワフルに伸びる沼倉愛美さん、どこかコケティッシュさをまとわせる山村響さんの三者三様のヴォーカルが渾然となってユニット名であるTrident(三角形)を形作る三位一体のハーモニーが実に心地いい。
それはトリオで披露される曲だけでなく各人の個性を強調したソロ、いわば三角形の「辺」というべきデュオで披露されるナンバーも「アルペジオ」の物語の中での位置づけを想起させる抒情的な歌詞を合わせることでトリオとは違う輝きを放ちます。

それらをショーアップさせる演出も見事で、大きなスクリーンを利用してのプロジェクションマッピングを始め、曲に合わせてアニメ本編の映像をコラージュしたり事前に3人のダンスをモーションキャプチャーしたものをステージ上で踊っている本人たちとシンクロさせたりと多彩なアイディアで観る者を魅了します。
更には「解散ライブ」だというのに新曲、しかもそれを新作アニメ映像に乗せて披露するというサプライズまでやってくれるというのも嬉しい。
ついでに言うと今回のライブ、メインステージとセンターステージを花道で結ぶ、という比較的オーソドックスなレイアウトだったのですが、自分の席がそのセンターステージのすぐそば。そのステージに来てくれれば3人がもう目の前!知って半年のにわかには勿体無いくらいの良席でパフォーマンスを観ることができました。ええ、今回も言います、ぬーぬーカワイイ(笑)

ライブ後半では「アルペジオ」のもう一つのユニット、千早群像役興津和幸さん、織部僧役松本忍さん、橿原杏平役宮下栄治さんの3人による「Blue Steels」も登場。これまでの関連CDで収録された5曲全てを披露してくれました。こちらは非常に分かりやすいヒップホップである意味1コーラス聞けば誰でもリズムに合わせてコールができる間口の広さが魅力。Tridentとは違うパワーで楽しませてくれます。

約3年続いた「アルペジオ」において発表された全ての楽曲を披露、ということで総時間は実に5時間にも及びました。しかし「〇周年」や「初のドーム公演」というような節目ではなく「綺麗に終わりきるためのライブ」というのは今までほとんど経験が無く、それをやりきった姿を間近で観ることができたのは非常な幸運で、最高に充実した時間でした。
いつかまたフッと再会する日もありそうな、そんな爽やかな余韻を残す別れの場。ああ、自分は素敵な場に居合わせることができたのだなと思います。初めてが最後なのもちょっと寂しいのでもう一度会える時があるといいなぁ。

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現在実写映画版も公開中の「僕だけがいない街」のアニメが先日最終回に。中盤まではちゃんとチェックしていたもののしばらく観れずにいましたが、休日に最終回まで一気に観ました。
タイムリープを題材にしたSFサスペンスとしても良くできていましたが、終局への持って行き方が巧みで、万感こもったラストシーンは何度も思い返してしまいそうな深い余韻に満ちていました。
また、個人的にこの作品への思い入れを深くしてくれたのが、主人公藤沼悟の設定。私と同じ1977年生まれなのです。悟は3月生まれなので10月生まれの私とは学年が1つ上になりますが、それでも作中端々に描かれている物事の一つ一つに親近感を持って観ていたのも大きいです。
いつかまた最初から観返そう。

こんばんは、小島@監督です。
実写映画の方もその内観に行かなければならないな。

さて、今回の映画は「映画プリキュアオールスターズ みんなで歌う奇跡の魔法!」です。
当初は特に意識していませんでしたが、今月は音楽に因んだネタが続いたので最後も音楽に絡んだ映画をご紹介。え?プリキュア取り上げるのは毎度の事じゃないかって?まぁ良いではないですか(笑)

プリキュアに変身できるようになって日が浅いみらい(声・高橋利依)とリコ(声・堀江由衣)は、プリキュアについて調べるために街に来ていた。そこでみらい達は花見をするために訪れていたはるか(声・島村侑)と出会う。
うっかりリコが魔法を使うところをはるか達に目撃されてしまい何とか取り繕うとするみらいだったが、そこへ突然かつてキュアフローラらプリンセスプリキュア達が浄化したはずのディスピアの襲撃を受ける。

昨年公開の「春のカーニバル」に続き、今回のプリキュアオールスターズもミュージカルをモチーフにしています。ですが、「試み」以上の物になり得ていなかった「春のカーニバル」と比べて今回は作品の質そのものが大幅に向上しています。
まず本格的にミュージカル映画として歌をがっつり物語に組み込めているのが大きいです。作詞家森雪之丞(「ドラゴンボールZ」OP「CHA-LA-HEAD-CHALA」等)氏が作中登場する全楽曲の作詞とミュージカルプロデュースも手掛け、全体を通して1本のミュージカル映画として成立しています。
歌うのはもちろん出演している声優陣なのですが、中にはプリキュアメンバーだけでなくアンサンブルが登場してバックコーラスを担う曲もあり、ディズニー以外のアニメとしてはかなり珍しい画面を見られます。

コレをさらに下支えしているのがゲスト声優たちです。プリキュアたちと敵対する魔女ソルシエールに新妻聖子、その配下トラウーマに山本耕史と、共に「レ・ミゼラブル」等のミュージカルに多数出演した経験を持つ俳優が担い、2人とも数曲作中で披露します。堀江由衣筆頭に水樹奈々や寿美菜子らプリキュアたちを演じる声優陣も歌唱力の高い方が多いですが、この2人のミュージカル俳優としての歌唱力はまた別種の迫力で観る者を引き込みます。

何より圧巻はクライマックス。小六禮次郎(大河ドラマ「功名が辻」等のBGMを手掛けた)の手によるメロディに乗せ新妻聖子のヴォーカルが響き渡るクライマックスはプリキュアたちのダイナミックなアクション作画と相まって非常に熱量の高い画面が展開します。正直ここだけでもお金を払って観るだけの価値はあるレベルです。

さすがに70分という短い尺でミュージカルをやろうというので物語の構図自体はかなり単純にも関わらず少々粗も見受けられますが、映画としての質はなかなか高い作品に仕上がっています。
プリキュアファンの方はもちろん、なかなか面白い画面も頻出する映画なのでアニメファンの方も是非どうぞ。

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世間的には三連休だったりするこの週末、何の罰ゲームなのか私は土日月全て出勤という状況。最近やたら忙しいとは言えどとうとうここまで来たかという感じです。
心身共にギリギリな日々だけどここを乗り切れればアレとかアレとかが待っている…!サバイバれ、俺!命燃やすぜ!

こんばんは、小島@監督です。
アレが何かは一先ず内緒。その内ブログで書く事になるかもしれませんしね(笑)

さて、そんな中で先日かなり強引に仕事をブッちぎり「TOTO JAPAN TOUR2016」名古屋公演を観に行ってきました。一度で良いからライブで聴いてみたいと思っていたところに遂に機会が巡ってきました。数か月前にチケット取った時はまさかこんな修羅場の真っ只中で観に行くことになるとは予想だにしませんでしたが。

海外ロックバンドの中でも頻繁に来日公演を行っていると言っていいTOTO、これで通算16回目のツアーになります。デビューが1978年なのでもうすぐ結成40年。今なおトップを走っているのだからつくづくタフなお爺ちゃんたちです。実は何気にこの名古屋公演が今回のツアーの最終公演だったりします。

ベース担当であったマイク・ポーカロがALSを発症した事をきっかけに2008年に一度は活動休止を決めたTOTOですが、2010年にそのマイク・ポーカロを支援する目的でメンバーが再結集。その後もツアー等の度にベースが変更されはするもののデヴィッド・ペイチ(キーボード・ボーカル)、スティーブ・ルカサー(ギター)、スティーブ・ポーカロ(キーボード・ボーカル)、ジョセフ・ウィリアムズ(ボーカル)の4名は変わらず現在に至ります。
今回のツアーでは、ベースはリーランド・スカラーが担当。「ドラゴンボール」の亀仙人みたいな風貌でベースを自在に操る姿は一目見たら忘れられそうにありません。興味ある方は是非YouTubeなどで検索して見てみてください。かなりインパクトありますよ(笑)

セットリストは昨年リリースされたアルバム「TOTO XIV~聖剣の絆」に収録された「Running out of time」「Holy War」「Bend」等に最早クラシックの域に達しつつあると言っていい名曲「Rosanna」「Africa」などを絡めた全20曲。
曲によってボーカルが変わるのも楽しいですし、間奏でのスティーブ・ルカサーのギターやスティーブ・ポーカロのピアノのダイナミックなアドリブも痺れるほどのカッコよさで気づけば体が勝手にリズムを刻んでしまいます。
何せ超ベテランのバンドなので客層も高めの年齢層の方が多かったりするのですが、そんな人たちがだんだんボルテージ上がっていくのが見えてくるのも結構楽しかったりして(笑)

ところでこのライブでかなり意外でかつ新鮮だったのが「携帯電話及びスマホでの写真・動画撮影可」というレギュレーションです。撮影の際にフラッシュが不可であることとデジカメやタブレットによる撮影、ICレコーダーによる録音が不可、という但し書きはあるものの基本的に自由に撮影ができるライブ、というのがアマチュアバンドのそれ以外ではまずもって経験が無かったので驚きました。こんな機会が来るのならさっさとスマホに機種変更するべきだったかと、ちょっぴり後悔したくらいです。
数年前にBoysⅡMenのライブを観た時は確かアウトだったのでアーティストによって違うのでしょうが、コレはコレでアリだと思いましたね。

唯一無二の確固たる世界観を築き上げたアーティストの極上のパフォーマンスに身を委ねる、そんな時間もたまには無いとね。
それにしても最近音楽ネタばっかり書いてる気がするな(笑)

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昨日の歌会に参加された皆さんお疲れさまでした。
今回はほぼ前半で歌会を中座(理由は後述します)したのですが、入った部屋が最初は自分含めて2人!(さすがに事情を聞いた方たちが数名後から部屋を移ってきてくださいました)だったので「今日は4,5曲くらい歌えれば良いかな~」くらいに考えていたら期せずしていつもの歌会分くらいは歌い込めました(笑)

こんばんは、小島@監督です。
しかし中座しないで最後までやれていたら最終的には何曲歌うことになっていたかな…?

さて、昨日は歌会を中座して「THE IDOLM@STER MILLION LIVE 3rdLIVE TOUR BELIEVE MY DRE@M!!」大阪公演Day2のライブビューイングに行ってきました。

「シンデレラガールズ」から約1年ほど遅れてリリースされた2番目のソーシャルゲームである「ミリオンライブ!」、そのシリーズ3周年を記念するライブツアーで、1月末の名古屋公演を皮切りにこの大阪公演が3か所目、ちょうどツアーの折り返し点に当たります。
ただこの「ミリオンライブ」は私は不思議と縁が浅くて、ライブイベントに参加できたのも先月開催されたツアー仙台公演のライブビューイングが初めて。先月既に観てるのにブログに全く書かなかったのは単にその前日に「ねんどろいど10周年記念ライブ」を観に行ってたからです。さすがにビューイングではどうしても本会場で生で鑑賞できた迫力には敵いませんね(苦笑)
なので、今回は大阪公演というより仙台も含めた2公演を鑑賞しての雑感になります。

「シンデレラガールズ」と「ミリオンライブ」は同じアイマスを冠するタイトルでありながら結構違います。楽曲に対するアプローチにも差があり、それがライブイベントの演出の方向性にも違いを生んでいます。
「シンデレラガールズ」はキャラクターが200人近くもいて声がまだ付いていないキャラも大勢いるということもあり、楽曲はもちろんライブにおいてもキャラクターの個性を強烈に前面に出す方向にセッティングされているようですが、「ミリオンライブ」では最初からキャラクターが全37人(ゲームには春香たち765プロオールスターズも登場し、彼女たちを加えると総勢50人になります)でリリース時に全員の声優が決まっていたため、ライブではキャラクターと声優を等価値に見せる方向で演出されていました。
また、CDをコンスタントに発売すると共に1~2枚リリースするごとに小イベントを開催するというのも大きな特徴で、その甲斐あってかまだ3年ちょっとのタイトルであるにも関わらず、昨日にしろ先月の仙台にしろまだ出演者ほぼ全員のパフォーマンスにある程度の成熟さ、「場馴れ」を感じさせます。
特に昨日の公演では開催場所が大阪ということもあり吉本新喜劇のパロディが幕間に展開されたのですが、これが思いのほかハイレベル。出演者は基本的に声優、つまり役者だからと言えど演じる者も観る者もある程度キャラが定着してないとできない芸当で、「あ、こういうことがもうやれるレベルに達してるのか」と少々感心しました。

楽曲のパフォーマンスもなかなかで、さいたまスーパーアリーナで聴いて以来のジュリア役愛美さんの「流星群」や初めて聴く中では舞浜歩役戸田めぐみさんの「Get my shinin'」や所恵美役藤井ゆきよさんの「フローズン・ワード」など、結構パワフルなヴォーカルを聴かせてくれるナンバーが多く、そこに「Sentimental Venus」のようなポップナンバーを絡めて多彩に展開。
出演者のパフォーマンスのレベル自体が高いので、もう少し曲のジャンルの幅を越えてもいいかなとは思いますが、それはこれからの楽曲展開に期待するとしましょう。

2公演通じて強い印象を残したのは横山奈緒役渡辺優衣さん。出演者の中でも身長が高く手足が長い事もあり、ダンスがよりパワフルで華を感じさせますし、MCもノリと歯切れが良く場をパッと明るくしてくれるのが良いですね。キャラクター自体も大阪弁の賑やかなイメージが楽しいですし、ミリオンにおける我が「担当」枠に急上昇中です(笑)

「ミリオンライブ」も一歩ずつ、アイマスワールドを支える柱の一つとして成長しているのだろうなと、仙台、大阪の2公演を観て感じました。ついでに付き合い長い割りにはアイマスにはまだ知らない、観てないものもいっぱいあるなぁと実感しました(苦笑)
今回の3rdツアーではあと1公演、来月開催される千秋楽の幕張(のライブビューイング)を鑑賞予定。会場が幕張メッセということで、これまでよりもステージレイアウトの自由度も増しますし、どんなライブを見せてくれるのか、楽しみです。

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まいまいさんご結婚おめでとうございます!どうぞ末永くお幸せに!
でもって仮面ライダー好きはどうぞそのままでいてください。ついでにアイマスもよろしくでござる(笑)

こんばんは、小島@監督です。
え?私の方はどうなのって?あっはっはっは(白目)

さて、今回の映画は「ロイヤル・コンセルトヘボウ オーケストラがやってくる」です。

ウィーン・フィル、ベルリン・フィルと並び世界三大オーケストラと称されるオランダの「ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団」。2013年、創立125周年を記念してワールドツアーが組まれた。1年の内に欧州、北米、南米、アフリカ、アジア、オーストラリア各地を巡り公演を行うツアーの中でオーケストラは様々な世界の一面と触れ合う。これは、そんな彼らの旅を綴ったドキュメンタリー。

1888年に創立され、世界屈指のオーケストラと言われるロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団の創立125周年記念ツアーに随行し取材を重ねた記録を織り上げたドキュメンタリー映画です。
余談ですがこのツアーでは日本でも東京と川崎で公演が開催され、東京公演では皇太子ご夫妻も鑑賞されています。ただ映画の中では日本は一切登場しませんが(苦笑)
監督は街角や地下鉄構内で演奏する移民の音楽家たちの姿を追った「アンダーグラウンド・オーケストラ」(1997年製作)などでドキュメンタリー作家として高い評価を得ているエディ・ホニグマン。それ故この映画は単なるツアーのメイキング以上の輝きを放つ作品になっています。

パーカッション奏者のちょっぴりユーモラスなエピソードで幕を開けるこの映画は、世界屈指の楽団に所属する音楽家たちのプロフェッショナルな部分と人間臭い部分を巧い具合にすくい上げていきます。中にはショスタコーヴィチの楽曲に対する持論を熱く展開する者もおり「あ~オタクってこうだよね~」ってちょっと思ってしまったり(笑)

ですがこの映画の真骨頂はそこではありません。ホニグマンが音楽家たちと同等以上に取り上げるのは観客たちの姿です。
クラシックを拠り所に生きるアルゼンチンのタクシー運転手が抱える「孤独」、現在も人種問題が水面下で生き続け悪化する治安の中で音楽に希望を見出す南アフリカの少女、マーラーの交響曲に強制収容所で生きた迫害の過去を追想するロシアの老人…そんな公演に足を運んだ観客たちにもスポットを当て、丹念な取材を行っていきます。
コンサートに集った彼らが演奏に耳を傾ける、奏者と観客の人生が交錯する一期一会のエモーションを描出してみせたことで、この映画は単なる記録映画を超えた非常に重厚な作品になりました。
音楽とは、奏者が演奏するだけではない、その旋律に耳を傾ける者がいて初めて「音」は「音楽」になるのだ、ということをこの映画は再認識させてくれます。

各チャプターで使われる選曲もこの映画の主題ともいえる奏者と観客の「繋がり」を実にロジカルかつ濃密に演出します。映画終盤、マーラーの「復活」に乗せて全てが一体化してゆくクライマックスの荘厳さはとても言葉では語り尽せません。

「ロイヤル・コンセルトヘボウ」は音楽が持つ奥深さ、その本質を美しくかつ力強く描き上げた思索的で情熱的な映画です。
良きにつけ悪しきにつけ音楽をダウンロードで楽しむことが普及した結果、よりライブの存在感が増した昨今、「音楽」というものを見つめ直すのにも最適の1本じゃないかと思います。
観ればきっと音楽が聴きたくなる、演奏したくなる。国境を越える音楽の「魂」をぜひ味わってほしいですね。

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先日、私が保有している資格「ワインアドバイザー」が「ソムリエ」に統合される事になり、今秋にも名称変更の手続きを行う旨の通知が日本ソムリエ協会から届きました。
いろいろ理由はあるだろうけど一番は毎年2種類試験問題用意するのが面倒だったからじゃないかな~と邪推。まぁこちらとしても資格について人に説明するのが楽になる…かな。
ただ最大の問題は昨年まで資格審査が2段階だったのが3段階になって難易度が格段に上昇することでしょうか。今夏「シニアソムリエ」受験予定ですが、異様なハードルの上がりっぷりに今から戦慄しています。でも挑戦はする。むしろまだ半年残ってると考えよう。

こんばんは、小島@監督です。
それにしても4年に1度の2月29日に更新できるとは、なかなか悪い気はしませんね(笑)

さて、今回の映画は「ビル・カニンガム&ニューヨーク」です。

ニューヨーク・タイムズに2本のコラムを持つフォトグラファー・ビル・カニンガム。彼は50年以上毎日ニューヨークを自転車で駆り街角でファッショントレンドを撮影し続ける。どんなセレブであろうとお仕着せだけを身につける者に興味は無く、たとえしがないバイク便のライダーだろうと個性的なファッションを楽しむ者には喜び勇んでファインダーを向ける。
しかし彼と親しい業界人ですらそのプライベートを知る者はほとんどいないと言われている。そんなカニンガムを2年間にわたり取材したドキュメンタリー。

はた目には人懐っこい笑顔で写真をポンポン撮る陽気なお爺ちゃん、しかしその実その写真は業界の大物に「彼に黙殺されることほど最悪な事は無い」と言わしめるほどファッションの超一流、そんな写真家の生き様を追ったドキュメンタリーです。

そんなビル・カニンガムの生き方はあまりにも潔くて鮮やかです。「バスもトイレもキッチンも不要。だって掃除しなきゃならないから」としれっと無茶苦茶なことをのたまいます。そんなことしてる間に街を歩いて写真を撮っていたい、というのです。ファッションのフォトグラファーだというのに持っている服は作業着のような安いブルーのジャケットくらい、それも理由は「どのみちカメラのベルトで擦り切れて破れてしまうなら高い服を買う必要が無い」と言い切ります。
だからコラムに掲載する写真の選定やレイアウトにかける情熱も並大抵ではありません。助手を任されたタイムズの職員が次々音を上げるのも納得のレベルです。恐らく「妥協しない」のではなく好きすぎて「妥協できない」のでしょう。
更に言えば「金が絡むと自由になれない」からとギャラの小切手を即座に破り捨てたこともあるほどお金にも無頓着。ここまで行くと「オタク」を通り越して最早仙人の領域です。
「断捨離」なんて言葉がありますが、ここまで何もかも潔く捨て去って一つに打ち込める生き方ができる人などほどんどいません。
しかしそれ故に彼はファッションもまた「文化」の表現方法の一つであることを教えてくれます。

この映画がドキュメンタリーとして優れていると感じさせるのは終盤のビルとのインタビュー。ここで投げたある質問が、まるで仙人のようなビルの「人間」としての弱さを一瞬にして浮き彫りにします。この一瞬を切り取って見せたことでこの映画はドキュメンタリーとしての価値を飛躍的に向上させたと言っていいでしょう。この一瞬があったからこそ私の中でこの作品は「良い映画」から「極めて優れた映画」「忘れがたい映画」になりました。

「最高のファッション・ショーは常にストリートにある」「美を追求するものは必ずや美を見出す」「常に『目』を学ばせなければならない」など格言めいたクールな一言も続々。何かを得るために大きな何かを失うかもしれない決断を迫られている人には良きヒントをくれる1本かもしれません。

ところで実はこの映画、現在公開中のタイトルではありません。公開していたのは3年くらい前なのですが当時気にはなっていたものの結局機会を掴めず、メジャーなタイトルでもないためにレンタル店でも発見できずにいたのですが、先日たまたまGyaO!で配信されているのを知ってようやく観ることができました。GyaOはこれまでアニメかB級映画を観るくらいしか利用していなかったのですが、こんなの配信することもあるとはなかなか油断できんな(笑)

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先週から始まった新しいスーパー戦隊シリーズ「動物戦隊ジュウオウジャー」、始まったばかりで物語がどうのというのはまだ無いのですが、被り物するわ笑顔で踊るわの寺島進と変身時のチョーさんの朗々としたボイスが強烈なインパクト。またルービックキューブをイメージしたであろう合体ロボのソリッドなデザインとギミックが何気に観てて楽しいです。
それはそれとして、その名の通り動物をモチーフとしたヒーローに変身するのですが、赤がイーグル、青がシャークと来るなら黄色はパンサーと続いてほしかったな~とうっすら思ってしまいました(苦笑)

こんばんは、小島@監督です。
え?最後は何の事を話してるか分からない?そんな方は1981年に放送された主題歌を串田アキラが歌っているテレビ番組を調べてみよう。

さて、今回の映画は「残穢~住んではいけない部屋」です。

怪談雑誌に連載を持つ「私」(竹内結子)の元には出版社を通じ読者からの怪奇談が寄せられてくる。その中に女子大生・久保(橋本愛)からの手紙が「私」の目に留まった。
「今住んでいる部屋で、奇妙な音がするんです。畳の上を何かが擦るような音が」
始めは怪談には良くあるものと手紙を読み飛ばした「私」だったが、数か月後に久保から届いた2通目の手紙の内容に引っ掛かりを覚えた「私」は過去の手紙のファイルをひっくり返してみる。そこには久保と同じマンションの住人から寄せられた手紙があった。興味を抱いた「私」は久保と連絡を取り、マンションについて調べ始めるのだったが…

「十二国記」などで知られる小野不由美の小説を原作にしたホラー映画です。
「リング」(1998年製作・松嶋菜々子主演)を筆頭に「Jホラー」として海外でも評価の高かった日本のホラー映画ですが、近年ではどちらかといえばアイドル映画の1形態としての意味合いが強くなり、物語もシンプルに音や映像で「怖がらせる」より「驚かせる」方にシフトしていっていますが、そんな中にあって久々に快作が生まれました。
それと、予備知識無しでアニメシリーズの劇場版をホイホイ観に行くような私ですが、珍しく今回観るより先に原作を読んでいます。いや、たまたまなんですけどね(笑)

橋本愛演じる「久保」の設定が大幅に変えられているものの(原作では30代の女性ライター)、それ以外はほぼ原作に忠実な内容です。
心霊現象に否定的なスタンスと低いテンションという主人公「私」のユニークな造形を竹内結子が見事に体現しています。
竹内結子、橋本愛以外にも滝藤賢一、佐々木蔵ノ介、不破万作とかなり重厚な俳優陣していることも大きな特色といえるでしょう。特に中盤から登場する怪奇小説家平岡(モデルは実話怪談の大家である平山夢明)を演じる恐らくホラーに出演するのは初めてであろう佐々木蔵ノ介の実に胡散臭い演技が最高に面白く、ある意味見どころの一つになっています。

この作品を他の同ジャンルのものと大きく差別化しているのは物語の運び方そのものにあります。
「部屋から奇妙な音がする」を発端に、そうなった原因をひたすら探り当てようとします。「前に住んでいた人」が原因なのか?そうでないとしたら「その前の人」は?更に「その前」は?いや「マンション建設以前」はどうだったのか?どんどんと掘り下げていくその様はホラーよりミステリのテイストが強いとも言え、その展開に、どこまでも尽きない怨みの連鎖を恐ろしいと思うか、土地の記憶を何世代も掘り下げることにある種の民俗学的好奇心を見出すか、怪異が分かりやすく姿を現さないことをつまらないと感じるかでこの映画に対する評価は大きく変わってくることでしょう。

この映画を手掛けた中村義洋監督は、「ゴールデンスランバー」(2010年製作・堺雅人主演)「奇跡のリンゴ」(2013年製作・阿部サダヲ主演)など多彩なジャンルの作品を精力的に発表し続けていますが、そのキャリアの初期には「ほんとにあった!呪いのビデオ」(1999年以降。現在も演出や監督が代替わりしながらシリーズ継続中)という低予算のビデオシリーズを手掛けており、「私」の淡々としたモノローグでセミドキュメンタリーチックに進行していく「残穢」は当時からのファンの方には古巣に帰ってきたような感慨を与えてくれるかもしれません。

「音」を起点にする物語だけあって音響効果もなかなかのもの。公開館の選択が可能ならできるだけ音響の良い映画館でご覧になることをお勧めしたいですね。

この映画の中でもったいないな、と思うのは終盤の展開。原作とは一味違うエピローグが用意されているのですが、そこまで保ってきていた「距離感」がそこでだけ崩れてしまうのがいささか残念です。原作がかなり唐突かつ淡泊に結末を迎えるのでそのまま映像化したのでは映画として締まらないと考えてのアレンジなのでしょうが、結果的にそれまで築き上げてきた「怖さ」が薄らいでしまうあたりに映画作りの難しさを感じさせます。

それでもこの「残穢」は「穢れ」という土着的な恐怖の概念を表現してみせた、観てるその時よりむしろ観た後がちょっと怖くなる、邦画ホラーとしては久々と言ってもいい佳作です。興味のある方はせっかくなので是非逃げ場の無い映画館でどうぞ。
とは言っても、それで部屋の隅っこやカーテンの隙間に何か見えたり変な音が聞こえるようになっても当方は責任を負いかねますのであしからず(笑)

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