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ちゅうカラぶろぐ


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この冬日本中で猛威を振るっているインフルエンザ。私の職場もご多分に漏れず感染して休む者が続出。そんな中で奇跡的に発症もせず元気でいられる自分の体は意外に丈夫なようです。ただそのお陰(?)で休日が一つ吹っ飛び出勤せざるを得なくなる羽目に(苦笑)。まあこういう時は仕方がない。私もいつかかっちゃうか分からないし。

 こんばんは、小島@監督です。
 皆さんも体調管理には気を付けましょう。

 さて、今回の映画ですが、そんな状況なのでここ最近映画を観に行くということが出来ずにいるのでDVDなどで自宅で鑑賞した作品の中から一つをご紹介。今回は「野良犬」です。

 ある夏の日、刑事の村上(三船敏郎)は射撃訓練帰りのバスでコルト式拳銃をすり取られ、犯人を追うも見失ってしまった。拳銃にはまだ実弾が残っていたため自分の銃が事件に使われることを危惧した村上はスリ係の市川刑事(河村黎吉)の助言を得て女スリのお銀(岸輝子)に目を付け、お銀に頼み込み拳銃の闇ブローカーの情報を得た。
 そんな折、淀橋で強盗傷害事件が発生。鑑識により事件に使われた拳銃は村上のものだと判明する。責任を感じた村上は辞表を提出するが上司の中島係長(清水元)はそれを受け取らず、むしろ積極的に捜査に参加させようと淀橋署のベテラン刑事・佐藤(志村喬)と引き合わせ組ませることにするのだった。

 実は朝日新聞社が昨年1月から発売しているパートワークマガジン「黒澤明DVDコレクション」を毎号購入しています。当初はパンフレットの復刻版が付く最初の3号だけのつもりでいたらそのまま泥沼。気付けば絶賛コンプリート進行中。只今28号。しかも黒澤明監督作品って全30作だから30号で終わりかと思っていたら製作や脚本のみで参加していた作品もラインナップに加わって全40号に増えました。何てことだ!まともに観る機会の無かったものが観られるチャンスが出来たのは嬉しいけどちょっと複雑な気分だよ!

 で、「野良犬」はそんなラインナップの一つ。1949年の作品です。刑事が拳銃をすられたことから始まる物語は、派手さを排した硬質な作りと新米とベテラン2人のコンビが事件を追うスタイルが鮮烈な印象を与えいわゆる「刑事もの」の原点として日本だけでなく海外でも多大な影響を与えた作品です。この「野良犬」で黒澤明が用いて当時先鋭的で今では一般的となった演出技法の一つに悲壮的なシーンで敢えて明るい音楽を流すことでその悲しみをより際立たせる、つまり相反する2つのイメージを重ね合わせてその印象をより深いものにする「対位法」という技法が用いられている点も挙げておきましょう。
 全編を貫くヒリヒリするような緊張感が特徴の作品ですが、それを支えているのは助監督を務めた本多猪四郎と撮影監督山田一夫の手腕によるところが大きく、特に村上刑事が拳銃を探し上野や銀座の闇市を歩き回るシーンでは同じ服装を着た本多と山田が歩いて隠し撮りした実際の闇市だそうです。ほかにも闇ブローカーを追って後楽園球場で張り込むシーンがあるのですが、そこで登場する映像は実際に1949年7月に行われた巨人対南海戦のもので、現在のような2リーグ制になる直前(1950年より2リーグ制へ移行)の1リーグ制時代の様子という点でも興味深く、終戦直後の東京の様子が各所に見て取れる、現在となっては高い資料性を誇る映像が頻出するのも興味深いところでしょう。また特撮ファンには言わずと知れたところでしょうが本多猪四郎はこれより5年後の1954年に「ゴジラ」の監督を担い映画史に燦然とその名を刻むことになります。

 70年前と古い作品ですが、一つのジャンルを確立した「原点」として今なお色褪せない輝きを放つ逸品です。「午前十時の映画祭」などでリバイバル上映されることもあるほかレンタルや配信などで触れられる機会も比較的多い方の作品なのでチャンスが来たら是非ご覧になっていただきたい1本ですね。

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昨日の放送で遂に「HUGっと!プリキュア」が最終回に。
 ジェンダー論にまで踏み込んでみせた今期のプリキュアは、お仕着せの「らしさ」と向き合いながら常に「なりたい自分」を模索し続ける物語であり、そういう中で訪れる悩みや苦しみに立ち向かう人たち全てを抱きしめ応援する物語でもあり、シリーズ15周年という節目に相応しい、ある意味で2010年代を代表する作品になったと言って過言ではない気がします。ありがとう、最高に楽しい1年間をありがとう…!

 こんばんは、小島@監督です。
 来週からの「スター☆トゥインクルプリキュア」はどんな物語を描くのか。一ファンとしてはまた楽しみな1年間が始まります。

 さて、今回の映画は「Fate/stay night [Hevean's Feel] Ⅱ Lost Butterfly」です。

 それを手にした者の願いを叶えるという「聖杯」を巡り7人の魔術師(マスター)と彼らが召喚した英霊(サーヴァント)たちが戦う「聖杯戦争」。間桐臓硯(声・津嘉山正種)が召喚した真アサシン(声・稲田徹)の暗躍と、謎めいた黒い「影」の存在により戦いの行方は不気味に捻じれ始めていた。
 次々とマスターとサーヴァントたちが斃れていき、衛宮士郎(声・杉山紀彰)もセイバー(声・川澄綾子)を失った。しかし士郎は聖杯戦争から脱落したにもかかわらず間桐桜(声・下屋則子)を守るためにその戦いから降りようとはしなかった。そんな士郎の身を案じる桜だったが、彼女もまたその想いごと、運命にからめとられようとしていた…

 2004年にPCで発売されたビジュアルノベルゲーム「Fate/stay night」、2006年に初めてTVアニメ化されて以降度々映像化されてきましたが、2017年より原作の第3部に当たる桜ルート「Heaven's Feel」が3部作の劇場版として製作・公開され、現在その2作目が上映中です。製作は「Fate/ZERO」を始め「Fate」シリーズを高クオリティで映像化して定評のあるufotable、スタッフなどは3部作通しての登板になっているようで監督須藤友徳以下基本的に前作からのスライドになっています。

 1作目である「presage flower」も相当でしたが、こと精細な作画を楽しめるという点において現在他の追随を許さないとてつもないグレードのそれを堪能できる一本です。登場人物の所作にしろ背景美術にしろ動き一つ線1本全てが精緻を極め、画面そのものに引き込まれるようなパワーがあります。キャラクターを演じる声優陣も10年以上この役に接してきている方ばかりで作品への理解度も高く、物語への没入感の高さという面でもこの完成度は目を見張るものがあります。

 物語の方は、原作のプロローグ部分をばっさりカットするという大胆な構成をイントロに持って来て驚かせた1作目同様いささか駆け足気味な語り口が続くものの登場人物が絞られてきたこの2作目は割と焦点もはっきりして観易くなっています。ただいくつかの要素についてはいささかサラッとしていてもう少し「溜め」が欲しかったと思わざるを得ない部分もありましたが。
 物語が佳境に差し掛かり始めた今作の注目すべきポイントとして、もともと原作の「Fate/stay night」は18禁のアダルトタイトルとして製作されており、その後PS2などに移植された際そういった要素がマイルドにアレンジされて行ったのですが、今作ではそのPCタイトルの頃のエログロ要素を盛り込んできてるところです。上映レーティングの指定はされていないのでギリギリのラインではあるのですが、性的な要素が生々しくせめぎ合うことで桜の葛藤をより克明に活写してみせます。

 全てが堕ちるところまで堕ちていく中で士郎はある「決意」をします。そして物語は終幕へ向けての胎動が始まっていきます。来春予定という完結編の公開が今から待ち遠しい。沈鬱な作品ではありますが、ファンならマストで押さえておくべきでしょう。ハイグレードな作画を隅々まで堪能するためにもどうぞ映画館へ足を運んでみてください。


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昨日の歌会に参加された皆さん、お疲れ様でした。
 9階って初めて入りましたがVIPルームってあんな感じなんですね。バーカウンターの後ろの棚にカラオケ店とは思えぬなかなかマジな酒が並んでいて驚きました。頼む人がいる…から置いてあるんだと思うんですけども。
 あと近くにいた数人の方は目撃していましたが、今回いつもの金山駅の集合場所で私、出張から戻ってきた社長とエンカウント。いや~あんなこと起こるんすね(苦笑)

 こんばんは、小島@監督です。
 じゃんけん大会では群馬の名物「ひもかわ」を頂きました。最近は酒より土地の名産品に手を伸ばしてるような気がします私(笑)

 さて、今回の映画は「ラブライブ!サンシャイン!!The School Idol Movie Over the Rainbow」です。

 ラブライブを終え、浦の星女学院のスクールアイドル「Aquors」のメンバーも3年生の松浦果南(声・諏訪ななか)、黒澤ダイヤ(声・小宮有紗)、小原鞠莉(声・鈴木愛奈)の3人は卒業していき高海千歌(声・伊波杏樹)ら1,2年生のメンバーは新たな学校への編入の準備を進めていた。しかし編入予定の学校では浦の星の受け入れに難色を示す父兄からの抗議によって生徒たちは今は使われていない学校を急作りで改装した分校に追いやられてしまう。何とか浦の星を認めて欲しい千歌たちは部活動の活動報告会に場を用意してもらい自分たちをアピールしようとするのだが。

 まず始めに一つネタバレ、というかこれはオフィシャルで積極的にSNS等での発信を促しているので書きますが、この映画、冒頭に「フォトセッション」と称して携帯やスマホで自由に写真を撮っていい時間が登場します。「響け!ユーフォニアム」などで前例が無いワケではないのですが、そういう時間が用意されている作品を観るのは初めてでなかなか驚きました。

 私が観た回ではヨハネこと津島善子(声・小林愛香)が登場。キャラは定期的に変わるようで、入場者特典とはまた別の形でリピーターの発生に一役買っていると言えますね。普段は禁止されている事を堂々とやっていいというのも映像体験のあり方としては面白い趣向と思えます。

 映画本編の方に話を移しましょう。1作目に引けを取らぬほどの大ヒットとなりその人気を引っ提げての映画化となった「ラブライブ!サンシャイン!!」、物語は最終回の直後から始まり3年生の卒業と共にメンバーが6人となったAquorsの再出発が描かれます。
 劇場版らしく全編に亘り端正で美しい作画で展開されるほか前作とも言うべき「ラブライブ!」でも取り入れられていたミュージカル的手法もより洗練され更に歌唱シーンでのCGモデルと手描きのビジュアルとのギャップも少なく、随所に進化を感じられる作品に仕上がっています。

 物語の主軸は千歌たち6人の方ですが、3年生3人にも別にドラマが用意されています。それが予告編でもPRされているイタリア旅行へと繋がっていきます。更にもう一つあるエピソードが同時進行して展開し、群像劇的な面白さを持たせているのが特徴です。いずれのエピソードも核になっているのは一つの「区切り」を迎えたその次の一歩を踏み出すことの難しさであり、その足掻きが終盤大きなうねりを上げる様は見事。前作に引き続きシナリオを手掛ける花田十輝氏のダイアログは相変わらずストレートで気恥ずかしいくらいですが、こういう言葉だからこそ響く方たちも多いでしょう。
 もったいないなと感じてしまうのはイタリアに行くまでの流れがアクロバティック過ぎて全体の中で浮いていて悪目立ちしている事と、この劇場版で新登場する渡辺曜(声・斉藤朱夏)のいとこ渡辺月(声・黒沢ともよ)が出番が多い割りに能動的に物語に絡んでこないところで、もう少しここに一ひねり欲しかったなと思います。前者はまだ「まぁアニメだし」で済ませても良い部分なんですが後者はホントに惜しいと感じますね。

 欠点はあれど「ラブライブ!サンシャイン!!」は走って泣いて叫んで、そうやって足掻いた先にようやく訪れるほんの一歩の成長を応援し祝福する青春映画の佳作と呼べる一本です。ティーンから20代くらいまでの方たちの強い支持を集めるのも納得のこの作品が持つパワーを、是非映画館で味わっていただきたいですね。

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年明け最初の大きな買い物、というと少々大袈裟ですが、眼鏡を新調しました。ついでに今使っている眼鏡のレンズもコーティングが弱くなってきたので交換を依頼。トータルで10万を超すなかなかの出費ですが、私みたいに視力の弱い人間にとってアイウェアは日常生活の質に直結するのでケチるわけには行かないのです。

 こんばんは、小島@監督です。
 度が強い分レンズの手配に時間がかかるので新しい眼鏡を装着して歌会に行けるのは来週の日曜ではなくその次の回になるかも。

  さて、今回の映画は「家(うち)へ帰ろう」です。

 ブエノスアイレスに住む仕立て屋の88歳のアブラハム(ミゲル・アンヘル・ソラ)は、子供や孫に囲まれ家族写真を撮ってもその顔は冴えない。翌朝には娘たちの手で住み慣れた家を引き払い養護施設へ入ることになっていたからだ。
 家族を強引に帰し1着だけ残されたスーツを見たアブラハムはある決意をする。それは祖国ポーランドに住む70年以上会っていない親友に自身が仕立てた最後のスーツを届けに行く事だった。深夜、身支度を整えたアブラハムは家の鍵を玄関わきの植え込みに投げ捨てて旅に出た。タクシーを拾い、旧友のつてを頼って航空券のチケットを手配したアブラハムは飛行機に乗り込んだのだった。

 ある老人の遠い日の約束を果たすための旅路を描くロードムービー。アルゼンチンの映画監督パブロ・ソラルスが自身の祖父の体験から着想を得て作り上げたというこの作品は、世界各地の映画祭で高い評価を得ました。
 偏屈そうなお爺さんが老人ホームへ移されるのを嫌がって旅に出る、というイントロはどこか「カールじいさんの空飛ぶ家」(2009年製作)を思い起こさせますが、祖国ポーランドの名を口にする事すらできないほどアブラハムの心の奥底に刻まれているホロコーストの記憶が、アブラハムのこの旅が決して逃避ではないことを見せていきます。

 自分の娘たちが施設に入れてしまおうとしている一方で、旅路の途中でアブラハムを手助けすることになる3人の女性たちの姿がまた不思議な印象を残します。敢えてどんな人物かはここでは書きませんが、3人とも強いアイデンティティの持ち主であることが自身のルーツへと向かおうとしているアブラハムの旅路に手を差し伸べるというのはどこか文学的な示唆を感じます。

 物語をより深く理解するに当たり、アブラハムの故郷であり目的地であるポーランドの「ウッチ」という街についても少し語っておいた方が良いでしょう。ウッチは19世紀から共産主義体制が崩壊する1990年ごろまで繊維産業が盛んだった街で、アブラハムが仕立て屋であるという設定もここで活きてきます。また、ポーランドにおける映画教育の名門で、「灰とダイヤモンド」(1958年製作)のアンジェイ・ワイダや「戦場のピアニスト」(2002年製作)のロマン・ポランスキーなどを輩出したウッチ映画大学があり、ポーランド映画産業の中心となっている街でもあります。パブロ・ソラルス監督はこの辺りを踏まえて意図的にウッチをロケーションに選んだのでしょう。

 原題の「El ultimo traje(訳して「最後のスーツ」、それゆえ英語圏では「The last suits」としてリリースされています)」に対して「家(うち)へ帰ろう」という邦題もなかなか良いセンス。苦いような、それでいて不思議と愛しいような、不思議な感慨を湧き起こさせる一本。決して派手な作品ではありませんが、深く心に染み入ってくる逸品です。どうぞこの偏屈でユニークなお爺ちゃんのちょっぴり予測不能なこの旅路を楽しんでみてください。

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皆さん、明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。
 今年はカレンダーが上手くハマっていて、普段ならば4日が仕事始めでも今年は7日から、なんてところも多いのではないでしょうか。まぁ、私は5日から既に始動しておりますけれども(苦笑)

 こんばんは、小島@監督です。
 今年も色んな映画を観て行けたらいいなと思っております。

 さて、今回の映画は「フェラーリの鷹」です。年明けだからってハリウッドの大作やアニメ映画を持ってくると思ったかねフゥーハハハ!今年も外角低めから攻めていくぜ!

 ローマ市警のマルコ・パルマ(マウリツィオ・メルリ)は特捜追跡隊のドライバーになりたいあまりに無謀な運転を繰り返し度々事故を起こしては上司のタリアフェリ(ジャンカルロ・スブラシア)に大目玉を食らっていた。
 その頃ローマではレーサー崩れのジャン=ポール・ドセーナ(アンジェロ・インファンティ)が強盗団を組織し白昼堂々銀行を襲撃し、そのドライビングテクニックで追跡隊を振り切り逃走を果たそうとしていた。ドセーナのかく乱作戦により路上では事故が多発しやむなくローマ市警は追跡中止命令を出すがパルマはそれを無視して追跡を強行して事故を起こし、同乗していた同僚を死なせてしまうのだった。

 1976年にイタリアで製作され、ローマの街を舞台に展開するダイナミックなカーチェイスとクラッシュでヒットを呼び、その後「TAXi」シリーズなどのカーアクション映画に多大な影響を及ぼしたとされる伝説的な映画がHDリマスター版として現在各地のミニシアターなどでリバイバル上映されています。私もまさか平成も終わろうかという今になってこの映画をスクリーンで観られる日が来ようとは夢にも思いませんでしたよ。

 この映画の魅力は何と言ってもカーチェイス。フェラーリ、シトロエン、フィアット、アルファロメオといったヨーロッパの名車たちがバンバン登場してローマの街を疾駆するその姿にあります。ただ激しいだけでなくその中にどこか色気すら感じさせてくれるのが素晴らしく、観る者の目に消えぬ印象を残してくれます。
 物語も若手刑事のドライバーとしての成長を描きながら途中に強盗団への潜入作戦も展開するなど100分の上映時間をいっぱいに使う趣向が盛り込まれ意外と退屈させない作りになっています。

 この映画を手掛けたのはステルヴィオ・マッシ。「荒野の用心棒」(1964年製作。監督セルジオ・レオーネ)で撮影監督を務めたのち60年代後半から90年代頃まで長くイタリアでアクションやサスペンスを手掛けてきた方ですが、日本で紹介されたのはこの「フェラーリの鷹」くらいで未公開の作品が多く、よほど気合の入ったマニアでない限り知名度は余り高くない人物です。今回のリバイバルを機にいろいろ未公開作品にも光が当たるようになると嬉しいのですが。
 一方でカースタントを担ったレミー・ジュリアンはアクション映画の世界では伝説的な巨匠です。「ミニミニ大作戦」(1969年製作)のスタントコーディネーターとして高い評価を得たのちは「007/ゴールデンアイ」(1995年製作)といった007シリーズや「プロジェクト・イーグル」(1991年製作)「ダ・ヴィンチ・コード」(2006年製作)など多数の映画でスタントを手掛けたほか日本でもいすゞジェミニのTVCMの製作に携わったりしています。また、余談ですが彼の息子ミッシェル・ジュリアンもまた「TAXi」や「ミッション・インポッシブル:フォールアウト」などでハンドルを握った現在世界最高峰レベルのスタントドライバーです。「フェラーリの鷹」はそんなレミー・ジュリアンが世界的名声を勝ち得つつある頃の仕事ぶりを存分に堪能することが出来ます。

 古い作品である上に知名度もそれほど高くはない映画ではありますが、カーアクションの源流をたどっていくと現れるこの作品、今観ても(とは言えさすがにそこかしこに古臭さが否めないものの)その画面の見事さは新作のアクション映画のそれにも引けを取りません。名古屋ではシネマテークでの限定上映のみで観られる機会もかなり限られていますが、興味のある方は是非、味わってみて欲しい逸品ですね。

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今年の師走は3週連続6連勤というなかなかのハードスケジュールでしたがそれも昨日でようやく終わり、今はホッと一息ついています。ただこのままでは大掃除が翌年に持ち越しになりそうですが(苦笑)

 こんばんは、小島@監督です。
 ところで大晦日に今年最後のブログ更新って前にも一度やったような、と思って遡ってみたら2012年。私がこのブログを書き始めたその年でした。それから6年、まさかこんなに続くことになるとは自分でも思っていませんでした(笑)

 さて、2018年最後の更新ということで、今回は「今年の5本」と題して今年の映画を振り返ります。例によって現在の各作品の鑑賞可能状況を記載しておきます。参考にしていただけたら幸いです。なお今年観た映画は65本(数えた。ライブビューイング除く)!数年ぶりに60本の大台を越えました(笑)!

1.ミッション・インポッシブル フォールアウト
 今年はクリエイターの「熱」を感じさせる良作傑作が多く、ある意味で豊作だったのですがそれ故に1番というのがちょっと決めづらくかなり迷いました。その中でこの「ミッション・インポッシブル フォールアウト」はシリーズの集大成であると同時に主演トム・クルーズのエンターテインメントに対する姿勢が孤高にして崇高な域にまで達している事を感じさせる1本で文字通り重量級の傑作でした。Blu-ray/DVD/ダウンロード版発売中。
2.レディ・プレイヤー1
 70を過ぎてなお旺盛な創作意欲を見せるスティーブン・スピルバーグがサブカルチャーへの多大な愛とリスペクトを以て作られた1本。「MI:フォールアウト」とはまた違った意味でエンターテインメントの神髄が楽しめる作品です。Blu-ray/DVD/ダウンロード版発売中。
3.若おかみは小学生
 ひょんなことから温泉旅館の女将として働くことになった小学生おっここと織子の成長を描く、吉田玲子の脚本と高坂希太郎監督の手腕が活き、実に骨太で味わい深い作品に。いかにも子供向けな見た目に騙されてはいけない。現在も各所でロングラン上映中。Blu-rayとDVDが来年3月29日に発売予定。
4.カメラを止めるな!
 ある意味で今年最もクリエイティビティに溢れた1本と言えばもうこれに尽きます。低予算のインディーズ映画がサマーシーズンの日本映画市場を席巻する日が来ようとは。あの興行収入がちゃんと製作者たちに還元されてればいいのだけど、と余計な心配をしてしまうくらいです(苦笑)。Blu-ray/DVD/ダウンロード版発売中。
5.ボヘミアン・ラプソディ
 音楽をフィーチャーし、映画館を非日常的なライブステージのような空間へと変える作品の隆盛が目立ったのも今年の映画の特徴で、中でもクイーンの楽曲をふんだんに用いて熱い感動を呼ぶこの作品はその象徴とも言える1本でしょう。現在全国の映画館で公開中。

 いろいろ迷いましたが5本選ぶとしたらこんな感じです。
 続けてそれ以外にも印象に残った作品たちをざっと。こちらは例によって私の鑑賞順に列記していきます。語りたいものが多くて今年はちょっと多めです。

・ブリムストーン
 年明けいきなり出くわした重量級の1本。愛と暴力と信仰に翻弄されながらも懸命に生きる女性をダコタ・ファニングが熱演。Blu-ray/DVD/ダウンロード版発売中。
・ゴッホ 最期の手紙
 ゴッホの油絵をアニメーションにして晩年の彼の心を探るユニークな逸品。「画が動く」という」アニメ本来の驚きを再認識させてくれます。Blu-ray/DVD/ダウンロード版発売中。
・スリー・ビルボード
 街はずれに掲げられた3枚の看板が街に嵐を呼び起こすヒューマンドラマ。示唆的で重層的な物語と俳優たちの名演に酔いしれる快作です。Blu-ray/DVD/ダウンロード版発売中。
・マンハント
 「君よ憤怒の河を渉れ」を日中合作でリメイク。久しぶりの泥臭いまでに熱いジョン・ウーに俺の魂が震えた。Blu-ray/DVD/ダウンロード版発売中。ただ個人的に好きなだけで作品自体は無茶苦茶なんであまり人には薦められないんですけどね(笑)
・グレイテスト・ショーマン
 ヒュー・ジャックマン主演のミュージカル映画。先述の「ボヘミアン・ラプソディ」に負けずこちらも大ヒットしました。Blu-ray/DVD/ダウンロード版発売中。
・シェイプ・オブ・ウォーター
 ついにアカデミー賞まで獲ってしまったギレルモ・デル・トロ監督の逸品。クセの強い大人の童話ゆえに人を選ぶがだからこそ観てみるだけの価値があります。Blu-ray/DVD/ダウンロード版発売中。
・バーフバリ 王の凱旋
 封切自体は昨年の作品ですが観たのが今年なので。これぞ完全無欠のエンターテインメント!王を称えよ!Blu-ray/DVD/ダウンロード版発売中。
・ブラックパンサー
 マーベルユニバースの中でも異彩を放つ、ブラックカルチャーへの深い考察を感じられる重厚な作品。Blu-ray/DVD/ダウンロード版発売中。
港町
 想田和弘監督が手掛ける「観察映画」シリーズの1作。寂れ行く港町に生きる人々の営みをただ見つめるドキュメンタリー映画の極北。現在も各地のミニシアターなどで上映中。DVDなどのリリース予定は今のところ無いようです。
・リズと青い鳥
 2人の少女の心の揺れを繊細かつ丹念に描き出す、作品を重ねる毎に凄みを増す山田尚子監督の手腕に痺れるアニメ映画。Blu-ray/DVD/ダウンロード版発売中。
・ランペイジ 巨獣大乱闘
 でっかいぜ!暴れるぜ!ぶっ壊すぜ!この真っ直ぐなノー天気さが堪らない。Blu-ray/DVD/ダウンロード版発売中。
・ピーターラビット
 侵入者殺すべし、慈悲は無い!人間VSウサギの仁義なきバトル。Blu-ray/DVD/ダウンロード版発売中。
・僕のヒーローアカデミア the movie 2人の英雄
 「ヒロアカ」初の劇場版はジャンプアニメの映画化として直球の作りが清々しい逸品。Blu-rayやDVDが2月13日に発売予定。
・ウインド・リバー
 雪深い街で起きる殺人事件が浮き彫りにする絶望と苦悩、人間の強さが持つ煌めき。一見地味ですが沁みる作品です。Blu-ray/DVD/ダウンロード版発売中。
・ザ・プレデター
 「プレデター」シリーズの新作は、登場人物のキャラ立ちまくり血飛沫出まくり、そして雑なシナリオという圧倒的B級な作りなのにそれがむしろ心地良い珍妙な逸品。ダウンロード版発売中。Blu-ray/DVDが1月5日に発売予定。 
・散り椿
 物語自体はオーソドックスな時代劇ながら圧倒的映像美と主演岡田准一のカラテに目を奪われる映画。現在も各所で上映中。ソフト化の日程は今のところ未定のようです。
・クワイエット・プレイス
 決して、音を立ててはいけない。聴覚が発達した怪物に席巻された世界で生きる家族の物語。ワンアイディアが活きた比較的低予算な、でも優れた作品に多く出会えたのも今年の特徴と言えるでしょう。ダウンロード版が1月9日に、Blu-ray/DVDが2月6日に発売予定。
search/サーチ
 全編PC画面上で展開するサスペンス。ワンアイディアに溺れず魅せる工夫が全編に施されたハイレベルな作品です。現在も各所で上映中。
HUGっと!プリキュア ふたりはプリキュア オールスターズメモリーズ
 プリキュア15周年記念作品は、ただ祝祭的なだけでない、メッセージを持った力作となりました。一部の劇場で現在も公開中。Blu-ray/DVDは3月6日発売予定。

 今年はこんな感じかな。来年もいろいろな作品を観ていきたいものです。皆さんは、何か心に残る作品がありましたか?それでは、良いお年を!

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今夜はクリスマスイブ。家族や親しい人などにプレゼントを用意した方もいらっしゃるだろう一方で、自分用にチョイと奮発して何か買った方も多いのではないでしょうか。私も一つ無駄遣いな買い物をしました。最近発売されてこの年末年始を全力で楽しめるようなエンターテインメント。と来れば、そう!

「シャークネード」DVD-BOXです。
 サメがトルネードに乗って空中から襲ってくるサメパニック映画。低予算なのにうっかり人気が出てしまって5本も続編が製作された上に主人公のアクションフィギュアまで発売されたりしたシリーズです。「完全捕食パクパクパック」という頭の悪い商品名がついたこのDVD-BOXはそのシリーズ6本全てを収録してるのは良いのですがこのご時世にBlu-rayでリリースされないあたりが実にB級らしい逸品です。

 こんばんは、小島@監督です。
 「シャークネード」はさすがにまだ1作目しか観たこと無いので2作目以降がむしろ楽しみ。

 さて、今回の映画は「恐怖の報酬」です。
 クリスマスイブだからってハッピーな作品を選ぶと思ったかねフゥーハハハ!

 南米・ポルヴェニール。村から320km離れた山岳地帯の油井で爆発事故が発生した。多くの労働者が死傷し、村に移送されてきた遺体を見た村人たちは暴動を起こし無秩序状態に。石油会社の担当者コーレット(ラモン・ビエリ)は爆発物専門家のデル・リオス(チコ・マルティネス)と共に現場の視察に向かうが、強すぎる火勢に水だけでの消火活動は無理と判断、爆薬を用いて吹き飛ばすしかないと決断する。しかしすぐに用意できるのは保管庫の中で長く湿気に晒され液状化し僅かな衝撃でも爆発しかねないニトログリセリンのみ。しかもヘリでは運べず陸路を行くしかないという。そこでコーレットは高額の報酬を条件にドライバーを募った。命懸けの仕事だが大勢の応募が集まりトラックの実技試験をパスしたドミンゲス(ロイ・シャイダー)、セラーノ(ブルーノ・クレメル)、マルティネス(アミドゥ)、マルケス(カール・ジョン)の4人が選ばれた。翌朝、男たちの決死行が始まろうとしていた…

 ジョルジュ・アルノーの小説を原作にフランス映画の巨匠アンリ=ジョルジュ・クルーゾーが1953年に製作した傑作映画「恐怖の報酬」、それを「エクソシスト」や「フレンチ・コネクション」を手掛けたウィリアム・フリードキンによって1977年にリメイクされた作品です。
 ただ、かなり不運に見舞われた作品で、公開時一部批評家には絶賛されるも同時期に公開された「スター・ウォーズ」の大ヒットのあおりを受けて興行的に惨敗。これを受けて世界配給を担当していたCICはフリードキンに無断で30分もカットした短縮版を製作し世界市場に乗せ、日本でもこれが公開されました。監督の意向を無視した編集により各国の評価も芳しくなく結局不振に終わり、日本でも数度TV放送されたもののいずれも短縮版で、VHS版で北米公開と同じ121分の完全版を観ることが出来たもののDVDなどではリリースされず、VHSの廃盤と共に「幻の作品」となりました。
 ところが作品への思い入れが強かったフリードキンはこれにめげることなく本人のあずかり知らないところで勝手にややこしくなっていた権利関係を解きほぐして自ら陣頭指揮を執って完全版の4Kデジタルリマスターを実現。ヴェネチアやカンヌなどの国際映画祭で上映され再評価の旋風を巻き起こし、それを受けてキングレコードがフリードキンとコンタクトを取り上映権を獲得。遂に日本でも各地の映画館でロードショーされる運びとなりました。で、私が観てきたのがこのデジタルリマスター版というワケです。

 身分証を偽造し名前も偽るようなワケありの男たちが高額の報酬を目当てに命懸けの仕事に挑むアドベンチャーでありサスペンスでもあるこの作品は、前半4人の男たちが如何にして南米ポルヴェニールに来るに至ったかを描き、逃げてきた先で生き残るために運命に挑む姿を描きます。
 甘いロマンスなど一切無い、ヒリヒリするような時間がフルスロットルで続くような映画です。生への希求と絶望の端境で精神さえ蝕まれながら己の欲望だけを僅かなよりどころに男たちは密林を疾駆していきます。本来のタイトルである「Wages of Fear」ではなく「SORCERER(魔術師)」というタイトルを原題としているのも謎めいていてちょっと考えさせるものがありますね。

 「スター・ウォーズ」が時代の寵児となり、80年代以降のエンターテインメントのあり方を変えつつある中でアメリカン・ニューシネマが廃れていったその最後の輝きとも言える作品です。暗いわキツいわな作品ですが、非常にパワーのある作品なので機会のある方は是非ご覧になっていただきたい逸品ですね。
 余談ですが、来年公開予定の「ガールズ&パンツァー最終章第2話」の予告編にこの映画のパロディと思しきカットが登場しており、予習がてら観てみるのも一興かと思いますよ。

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