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ちゅうカラぶろぐ


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2000年頃に雑誌の企画から始まった、12人の妹にひたすら愛されるという清々しいまでにブッ飛んでいたタイトル「シスタープリンセス」。その後アニメになったりゲームになったりとメディア展開を果たし、私も結構気に入って観ていたアレが最近20周年を記念してキャラクターたちが順次Vtuberデビューを果たした上にクラウドファンディングを募っての配信ライブの開催を実現させてしまい、それが昨日やっていたので観てました。いや~まさかこんなに懐かしさと嬉しさがないまぜになった感覚にのたうち回らされるとは(笑)というか遂に時代がここに追いついたような感覚もありますわ。
 シスタープリンセス、当時既に売れっ子だった堀江由衣や川澄綾子に加えて後々「ドラえもん」のしずかちゃん役を受け継ぐことになるかかずゆみや「リリカルなのは」のフェイト役でブレイクを果たす前の水樹奈々も出演していて今にして思えば強すぎるキャスティングしてました。全員Vtuberデビューしないかな。

 こんばんは、小島@監督です。
 9月にはライブやりますってよ。本気でスケジュール調整しようかしら。

 さて、今回の映画は「ガメラ2 レギオン襲来」ドルビーシネマ版です。

 ガメラとギャオスの激闘から1年後の冬。その日北海道では流星雨が目撃されしかも内1つが恵庭岳近くに落下した。陸上自衛隊の渡良瀬二等陸佐(永島敏行)と花谷一等陸尉(石橋保)らが調査に派遣され捜索に当たるが隕石は発見できなかった。しかし落下したと見られる地点に残る痕跡から、札幌市青少年科学館の学芸員・穂波(水野美紀)は隕石が自力で移動した可能性を示唆する。
 数日後、札幌市近郊のビール工場で大量のビール瓶が消失、また各所でNTTの光ファイバー網が消えるという怪現象が発生。そして早朝の地下鉄南北線で列車が謎の生物に襲撃され、それと同時にすすきので巨大な植物のような物体がデパートを破壊した…

 平成ガメラ三部作の1作目「大怪獣空中決戦」のドルビーシネマ版上映の好評を受けて、2作目の公開も始まりました。当初3月公開を予定と報じられていましたが、またハリウッド映画の延期などを受けて上映が前倒しされたようです。おかげ様で1作目から間髪入れずに2作目をスクリーン鑑賞できるという幸運に恵まれました。
 「レギオン襲来」は「大怪獣空中決戦」から1年後の1996年に製作・公開されました。明確に続編として製作されており、作中に前作で破壊された東京タワーが再建工事の只中にあることを指し示すショットが挟み込まれていたりします。実は当時としてはこれがなかなかユニークな試みでした。1984年にリブートされた「ゴジラ」がその後1995年の「VSデストロイア」まで7本製作されましたが物語としては連続しているものの都市のモニュメントなどは都度リセットされていたのとは対照的です。

 作品としては主人公の一人が自衛官ということもあり、前作以上に自衛隊の行動がクローズアップされているのが特徴です。災害(と見られる段階)の調査から対巨大怪獣との戦いに至るまで、物語の段階に合わせ数々の場面でプロフェッショナルな活躍を見せます。官僚機構の動向をクローズアップした「シン・ゴジラ」とも対照的で20年という製作時期の違いはありますが現場の最前線とそこから一歩引いた場所でのそれぞれのプロフェッショナルの動向をどう描いたかという点で見比べてみるのも一興でしょう。いずれも「巨大怪獣の出現」という大きな虚構を描くためにそれ以外のリアリティを強調しているという点で似たものを持っています。また、余談になりますが、この「レギオン襲来」での自衛隊の「頼れるプロフェッショナル」を前面に見せた描写や「レギオンは地球の生物とその根本が違うために共存はできない」故に「殲滅戦を実行するしかない」という展開に、当時国連平和維持活動(いわゆるPKO又はPKF)での派遣の是非などで自衛隊の在り方が問われていた時期でもあったためか、共産党機関紙「赤旗」がその描写に懸念の意を表する記事を掲載したこともありました。

 もちろん人間ドラマの描写だけでなくガメラと小型から大型へとサイズを変えるレギオンの死闘も実にアイディアと迫力に満ちています。一つ一つを疎かにしないその作りは前作以上に高く評価され、映画作品としては初めて「日本SF大賞」を受賞しました。

 他にちょっとした見どころとして、この映画、前作同様に日本テレビ系のキャスターが随所に登場するのを始め各所に多様な方が端役で出演しています。目立つところでは養老孟司さんが教授役で出演しているほか当時まだそれほど知名度も無かった大泉洋や安田顕がノンクレジットのエキストラ扱いで出演したりしています。そして「ウルトラマン」のムラマツ役や「仮面ライダー」の立花藤兵衛役など特撮作品に出演歴を残した小林昭二最晩年の出演作でもあります。僅かワンシーンでの登場ですが強い印象を残す渋い演技を見せてくれます。

 1990年代という時代背景の中で作り上げた怪獣映画としては一つの到達点と言っていい作品であり、まさにマスターピース的1本と言えるでしょう。ドルビーシネマ版として映像と音声を高精細にしたバージョンが(前作のように一部造形物に色ムラが見えてしまうなんてことも無くて驚きました)公開されているこの機会に是非触れてみてほしい一本ですね。で、このままの勢いで完結編である「邪神覚醒」もリバイバル上映して欲しい!いやもうマジで!

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そろそろ観てみようかなと思い立ち、最近「ウマ娘 プリティダービー」を観始めています。今シーズン2の放送が始まっていますが、もうすぐ追いつけそう。
 ウマ娘、てっきりモデルになった競走馬の外見や性格的特徴を擬人化しただけかと思ってましたがアニメの方ではその馬にまつわるエピソードも結構落とし込んでて驚きました。さして競馬に詳しくない私でも知ってるものがあったので気合の入った競馬ファンの方なら更にいろいろ気づくものがあるんじゃないでしょうか。レースシーンでのアスリート的な走り方の表現と迫力には90年代アニメの傑作の一つ「バトルアスリーテス 大運動会」を思い出させますね。

 こんばんは、小島@監督です。
 ところでウマ娘、ちょいちょい原作のゲームってこういう描写なんかしらと思う表現があるのですが、そもそもゲームがまだリリースされてないので確認が取れないのが何とも(苦笑)

 さて、今回の映画は「ヒッチャー ニューマスター版」です。

 雨が降りやまぬ夜、車の陸送を請け負った青年ジム・ハルジー(C・トーマス・ハウエル)は砂漠のフリーウェイを眠気と抗いながら運転を続けていた。そんな折に、一人のヒッチハイカーを拾う。ジョン・ライダー(ルトガー・ハウアー)と名乗るその男は、車に乗るとナイフを取り出しハルジーを脅し始める。隙をついてライダーを叩き出すことに成功したハルジーだったが、その後もライダーは執拗にハルジーを追い続ける。

 1986年に製作されたサイコスリラー映画で、低予算作品であり公開当時の興行成績も決して芳しくはありませんでしたがホラー小説の大家スティーブン・キングや「ダークナイト」三部作のクリストファー・ノーラン、「スターウォーズ/フォースの覚醒」のJ.J.エイブラムスらが賞賛するなどカルト的な人気を勝ち得た1本です。1995年には主演したC・トーマス・ハウエルの手により翻案された「ヒッチャー95」が製作、2007年にもマイケル・ベイ製作、ショーン・ビーン主演でリメイクされたりしています。最近ニューマスター版が製作され各地のミニシアターで上映されています。

 基本プロットは非常にシンプル。なまじ乗せてしまったばかりに命を狙われることになったハルジーと、彼を追う殺人鬼・ライダーの追跡劇をひたすらに描きます。その構図に「激突!」や「ターミネーター」の影響を見て取ることもできるでしょう。砂漠を背景に車が疾駆する様子に「マッドマックス」を思い起こす方もいるかも。奇しくもこの映画の撮影監督ジョン・シールは後年「マッド・マックス 怒りのデス・ロード」の撮影監督も務めています。
 この追跡行に関わった者、巻き込まれた者たちには片っ端から「死」が待っています。子供だろうとお構いなしに容赦なく殺されていきます。実はこの映画の特色はそのジェノサイドぶりではなく、それを「ほとんど見せない」点にあります。次々と人が死んでいきますがそれが直接描写される箇所はごくわずか。ほとんどは死体すら映されません。ただ「惨殺された」ことが示されるだけ。シナリオにはどのような状況であるかの描写があったそうですがそれをオミットしたことで却ってライダーの凶悪性や異常性を際立たせることに成功しています。80年代のホラーやスリラーの中には悪趣味なコメディと紙一重なくらいにグロテスクなゴア描写を際立たせたスラッシャー映画も少なくなかった中でこの見せ方は異彩を放っています。

 面白いのはこの映画、主人公ハルジーもライダーに追われる内にただ怯えるだけの青年から少しずつ変わっていきます。本人は望んでいなくとも生き残るために足掻くうちに否が応でもライダーの「本質」に迫ってしまうハルジー、ある意味でライダー唯一の理解者となる展開にはどこかBL的な匂いをかぎ取れる方もいるのではないでしょうか。
 
 極限のワン・シチュエーションをえぐいくらいに描き切るこのロードムービー、昨今の映画ではあまり味わえないテイストが全開の作品です。人によってはトラウマになるタイプの作品なので気軽に薦められるものではありませんが、なかなかスクリーンで観られるチャンスもありませんし興味のある方は是非この機会にご覧になってみて頂きたいですね。
 名古屋ではシネマテークにて今月26日まで。

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先週の金曜日、休みを取っていろいろ用事を片づけたり映画を観たりしようと思ったら結構な雪が降ってきたので外出する気が失せてしまい、今季初の雪かきをしたりしてました。と言っても数センチ程度なので歩く場所の確保というより翌日以降の自宅周辺の路面凍結を避ける意味合いの方が強かったですが。凍られるとヤバいんすよ。雪かき、例年1~2回はやる羽目になるんですが、昨冬は全くやらずに済んでしまったのでそれだけ暖冬だったんだなぁと感じます。

 こんばんは、小島@監督です。
 やっぱり冬はちゃんと「冬」してくれないとどことなく落ち着きませんね(笑)

 さて、今回の映画は「ズーム/見えない参加者」です。

 新型コロナウイルスの感染拡大を受けロックダウンを敢行したイギリス。ヘイリー(ヘイリー・ビショップ)と友人たちは定期的にZoomを介して会話を楽しんでいた。ある時ヘイリーはロックダウンの日々にちょっとした楽しみをと霊媒師を招いてのオンライン交霊会を実施した。メンバーはヘイリーの提案に乗りいつものノリで和気藹々と交霊の儀式を始めた。しかしその内それぞれの部屋で異変が起こり始める… 

 コロナ禍で映画製作も多大な制限を受けている最中ですが、そんな中にあってもその制限を強みに変えようという試みが生まれています。「ズーム/見えない参加者」はまさにロックダウンの最中に企画がスタートし、全編をZoomで撮影、作品のほとんどをリモートで製作されたそうです。映画全編がPC画面上で展開する映画と言えば同じホラーでは「アンフレンデッド」(2014年。2018年には続編も製作された)、サスペンスの「search/サーチ」(2018年)など既に先駆者がおり表現のスタイルとして定着しつつありますが、それらとの違いはひとえに「新しい方法にトライした」のではなく「使えるツールの中から今できるものを選んだ」ところにあるでしょう。このスタンスの違いは大きいです。
 むしろ映像制作においてリモートワークとの相性が良いのはアニメの方で、例えば昨秋公開された「ウルフウォーカー」は作画作業の全てがリモートで製作されています。恐らく今TV放送されている作品にもこれに近い状況のものは既にあることでしょう。

 単純にホラー映画として観た場合に、物語そのものは「パラノーマル・アクティビティ」(2007年。その後シリーズ化。)のようなPOVホラーの範疇を出るようなものではなく、あるいは全編PC画面上で展開する映画としても「search/サーチ」ほどに洗練されてもいないので「まぁこんなものか」と思わざるを得ない部分も大きいです。
 しかし上映時間68分と短めにまとめたスマートさや、画面に特殊加工を施すアクセサリーツール、回線落ち、マイクのハウリングと言った通話アプリの機能やオンライン会話にありがちな現象をも恐怖の演出に使ってみせる手法、大掛かりなセットも使えず同じ場所に人を何人も集められない状況でどうやってコレを撮ったんだろう?というショットがいくつも登場するその創意工夫ぶりは賞賛に値します。製作がイギリスだからか、会話や展開の中になかなかきつめのブリティッシュジョークが突っ込まれている辺りにもニヤリとします。

 この映画最大の欠点は、実は映画そのものではなく上映の形式にあります。本編終了後にリサーチとリハーサルを兼ねて出演者とスタッフが実際に交霊会を行ってみた際の様子が一種の特典映像として上映されるのですが、これが完全に蛇足。映画の余韻もダメにしてしまうくらいの残念さです。そんなのはソフト化された際のおまけに収録する程度にして欲しかった。

 いよいよ作品の中に明確に「ロックダウン」や「COVID-19(新型コロナウイルス)」の言葉が躍る映画が登場するようになりました。ある意味で「現在」を共有できる今だからこそ観て意味のある作品だと思います。日頃ホラーは敬遠されるような方でも映画製作に携わる方たちの果敢なあがきを観てみて頂きたいと思いますね。

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今年3月に上映される予定の「ガールズ&パンツァー最終章第3話」、新しい前売券が先ごろ発売されたのですがその特典がまたふるっています。何とキャラソンが収録された「カセットテープ」!最近はCDも珍しくなりこういうのはダウンロードコードを記載したカードになることの方が主になりつつあるこのご時世にカセットテープ!さすが妙に高年齢層への訴求力が高いガルパン!やることが一枚上手だぜ!

 うっかり買っちゃたしね!

 こんばんは、小島@監督です。
 あとは公開日までに万策尽きてないと良いんですけどね~

 さて、今回の映画は「ガメラ 大怪獣空中決戦」ドルビーシネマ版です。

 太平洋上、プルトニウムを運ぶ輸送船とその護衛艦である海上保安庁の巡視船が突如出現した謎の環礁により座礁した。しかし環礁は自ら船舶から離れるような動きを見せる。保険会社の草薙直哉(小野寺昭)と海上保安庁の米森良成(伊原剛志)は黒潮に乗り徐々に日本へと近づいてくる環礁を調査し、驚くべきことにそれが巨大な生物であることを突き止める。
 一方、五島列島のある島では「鳥!」という無線を残し島民が全員姿を消すという事件が発生。長崎県警の大迫力(蛍雪次郎)と、彼に依頼され調査に向かった鳥類学者の長峰真弓(中山忍)はそこで巨大な怪鳥が飛び立つところを目撃する。

 後々エポックになるような作品が同時期に製作されるという現象は不思議とよくある話で、アニメ映画「攻殻機動隊」、TVアニメ「新世紀エヴァンゲリオン」が製作された1995年は特撮映画でも1本、後続への影響が大きい作品が登場しました。それがこの「ガメラ 大怪獣空中決戦」です。「ガメラ」シリーズ生誕55周年を記念して昨年4Kリマスターによるドルビーシネマ版が製作され、対応できる上映館での限定上映が行われました。個人的には「平成ガメラ三部作」の1作目にあたるこの作品だけ劇場で鑑賞したことが無かったのでようやく長年の希望が叶い感無量の映像体験を先日味わってきました。

 1995年を舞台に2体の巨大怪獣とそれを発見した人々や自衛隊との戦いを描くこの映画、リアリティを重視して設定や世界観が構築され自衛隊の兵器などは現実に即したものが登場しています。同時期に年1本ペースで製作されていた「ゴジラ」シリーズにはメーサー車やスーパーXと言った架空の兵器が活躍しますがそれとは対照的となっています。

 この映画の大きな特徴として「視点の低さ」が上げられます。怪獣を俯瞰するのではなく大半のカットは人間が怪獣を見上げる視点を貫いており、ガメラたちの巨大感だけでなくそれらが日常に入り込んできた「災害」あるいは「異物」であることを強調しています。
 また、製作に当たり日本テレビとの協力を取り付けたこの映画は作中に登場するニュースのシーンを当時日本テレビの夕方のニュースを担当していた真山勇一、木村優子らがキャスターとしてニュースを読み上げていたり(収録は実際のニュース番組放送終了後にそのままスタジオとセットを利用して撮影されたそうです)、同じく日テレのアナウンサーだった大神いずみがリポーターとして出演したりしており現実の延長線上的感覚を醸成するのに一役買っています。

 25年前の作品を高精細な4Kリマスターとした弊害というべきか、却って怪獣の作り物感や造形物の塗りムラみたいなものが目立ってしまったりするカットが散見されますが、今再見するならそういったシーンも味わい深いものに映るかもしれません。
 むしろこの映画最大の欠点はヒロインの一人である草薙浅黄を演じる、これがデビュー作であった藤谷文子の演技でしょう。まだご覧になったことの無い方はこの1点だけはお覚悟の上でご覧になってください(笑)

 興行成績では苦戦したものの作品としては高い評価を得たこの作品は、その後2本の続編が製作され三部作となり、監督金子修介、特撮監督樋口真嗣の出世作ともなりました。
 また今回もこの「大怪獣空中決戦」の好評を受けて続編の「レギオン襲来」のドルビーシネマ版の上映が先日決定。せっかくだからこれも何とか時間を作って観に行きたいものよ。

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愛知県下でも緊急事態宣言発令を受けてまたしても各所で営業時間が短縮に。これは飲食店だけではなく映画館も追従する形を取り、大手シネコンではレイトショー上映を取りやめて20時前後には終了に。ミニシアターの方も順次その流れに乗っていくようで、休日前の仕事上がりに何か観るというムーブをしばらく取れなくなりそうなのが辛い。ただでさえ飲食店の売り上げが落ちこんでるのにまだ逆風が吹くというのもきつい。

 こんばんは、小島@監督です。
 せめて観れる内は映画を観に行こう。

 さて、今回の映画は「ワンダーウーマン1984」です。

 1984年、アマゾン族の王女ダイアナ・プリンス(ガル・ガドット)はワンダーウーマンとして悪人退治を行う傍らで普段はスミソニアン博物館の学芸員として働いていた。
 ある時、同じスミソニアン博物館の新任学芸員バーバラ・ミネルヴァ(クリステン・ウィグ)のもとに強盗事件の証拠品が鑑定のために送られてきた。その中にダイアナは奇妙にパワーを感じる石を見つけ、興味を示す。
 同じころ、石油ベンチャーを率いるマックス・ロード(ペドロ・パスカル)が博物館に多額の寄付を申し出てくる。マックスはバーバラと意気投合するが、彼の狙いはその石「ドリーム・ストーン」にあった。

 2019年の年末から2020年初頭にかけて公開されていたブロックバスター映画と言えば「スターウォーズ スカイウォーカーの夜明け」を筆頭に「ジュマンジ ネクストレベル」「ターミネーター ニューフェイト」「ドクター・スリープ」などが上映され、そこに「アナと雪の女王2」「僕のヒーローアカデミア」と言ったアニメ映画も加わり非常に華々しいラインナップをしていました。わずか1年前の話ですがもう遠い昔のようです。その後軒並み集客力の強い大作や話題作は延期やプラットフォームを配信のみに移して中止となり、この年末年始に上映された大作と言える規模の作品と言えばロバート・ゼメキス監督アン・ハサウェイ主演の「魔女がいっぱい」とこの「ワンダーウーマン1984」のみという状況になってしまいました。今回の「ワンダーウーマン1984」、実は前作を未見のままに観に行ったのですがそれは取りも直さず「スケールの大きいハリウッドアクションが観たい」という欲求に応えてくれる作品がこの1本しかないからです。そしてこの映画は皮肉にもこの1年で起きた事、失われたものを思い起こさせる作品になっていました。

 満員の観衆のもとでアマゾン族の競技会が行われ、幼いダイアナがそれに参加するシーンからこの映画は始まります。本来ならこの作品は昨年6月に公開される予定だったことを思えば開催直前であった東京オリンピックを想起させるある種の祝祭的なシーンでもあったことでしょう。
 そして今作のヴィランとなるマックス、若い頃のドナルド・トランプ氏にとてもよく似せています。そりゃもうちょっと変な笑いが出るくらいに。本来の公開時期を思えば大統領選挙にぶつける気満々だったはずです。風刺なんて可愛いものではなくてこんなに露骨に嫌われる現職大統領はちょっと記憶にありません。しかし面白いのは作中のマックスは出身が貧困層の移民でありコンプレックスを押し隠すためにトランプ氏のようなスタイルにしていることが示唆されており、この辺りは元から富豪で白人で移民を敵視するトランプ氏とは対照的です。そんな彼が「ドリーム・ストーン」を手にしてある願いを叶えた事で世界は狂騒の渦に叩き込まれていき、そうとは知らずに自身の願いを叶えてしまったダイアナも自分の望みと世界の変容との狭間で苦しむことになるのです。

 1984年という時代設定にも注目です。当時のレーガン大統領が推進した経済政策により景気が上昇していた時期であり、音楽ではシンディ・ローパーやマドンナが、映画ではスティーブン・スピルバーグやジェームズ・キャメロンらが台頭してヒット作を連発。ポップカルチャーが活況の様相を見せていました。政治に目を向ければ当時冷戦期の只中であり、レーガンの対ソ政策は核戦争の危機を煽ることに繋がるのではと懸念されてもいました。もう一つ付け加えるならば、この年レーガンは大統領として再選されますが、対抗馬として挙がった民主党のウォルター・モンデールは初めて副大統領候補に女性を擁立したことが注目されました。

 終盤、世界は加速度的に悪化の一途をたどり混乱していきます。その様がつい先日発生したアメリカ連邦議会占拠事件と似ているのは皮肉以外の何物でもありません。奇しくも、というべきか良くも悪くもというべきか華やかな時代の中で生きて戦うダイアナの姿の向こうに1984年へのノスタルジーと2020~2021年への現代を通し見る事の出来る作品に仕上がっています。
 深く考えずに観られるアメコミ映画でありながらある意味でこれほどに今日性の強い作品というのもなかなかに珍しいでしょう。「今でしか味わえない」感想を持たせてくれる作品です。鑑賞できる機会の作れる方は是非ご覧になってみてください。

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新型コロナの感染者数が加速度的になってきたり、北陸の方では大雪になっていたり、だいぶシャレにならない週末となったここ数日、皆さんはいかがでしたでしょうか?私は予定を一つ潰さざるを得なくなって結構しょんぼり。更には来月の予定も一つ潰れてげんなり。こういうご時世だから仕方ないのかもしれませんが。とは言え職業柄テレワークが難しいため余暇の予定は消えても普通に通勤しなきゃいけないのが何ともジレンマ。おのれ新型コロナ。

 こんばんは、小島@監督です。
 一日も早く気軽に遊びに出かけられる日々が戻ってほしいですのぅ。

 さて、今回は映画ではなく久しぶりにライブの話。この土日に「アイドルマスター」今年最初のイベントである「THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS Broadcast & LIVE Happy New Yell !!!」が開催されました。当初は配信に加えて観客を入れてのイベントとして告知されましたが昨今の状況を受けて無観客で配信のみの開催へと変更。それ故私も自宅での鑑賞です。家から一歩も出ないで観たライブのレポートをするのは何だか妙な気分。これも時代の流れか。

 元々「シンデレラガールズ」のライブイベントと言えばアイマスシリーズの中でも絢爛豪華なショーアップで楽しませてくれるものが多く、それ故に今回はどう見せてくるかを注目していましたが配信のみとなった今回のイベントではAR技術をふんだんに使用した「ライブであると同時に映像コンテンツとしても強化する」という贅沢な方向で展開していました。
 具体例を挙げるなら、Day2で披露された「義勇任侠花吹雪」では炎のエフェクトに加えて武家屋敷の門構えのようなビジュアルを舞台セットのように前面に出したり、あるいは他の曲でも多用されていた紙吹雪のエフェクトなど本来観客を入れて観るステージであるなら実際にセットや装置を用意して見せる効果をARを使ってCGで見せるのに注力しており、結果的に出演者の入れ替えをスムーズに行いながら派手な演出を楽曲単位で提供してみせる見事なステージを作り上げていました。
 また楽曲の中にはDay1の「OTAHENアンセム」、Day2の「オタクisLOVE」ではARを使って観客の代わりに楽曲のコール部分を表示して画面を埋め尽くしてみたり(この2曲はステージでのパフォーマンスも大概騒がしかったが)、Day1の「世界滅亡 or KISS」ではステージに竜巻を起こしてみたりDay2の「弾丸サバイバー」ではガトリングガンが斉射されたりアパッチが飛んだりと実際のステージでは絶対にやれない(むしろやっちゃいけない)視覚効果を投入させるなどかなり自由自在。演出のセンス次第でライブでも多様なものを見せられると感じさせる、新鮮な映像体験でした。

 一方でDay1の藤原肇役鈴木みのりさんの「あらかねの器」、Day2の喜多見柚役武田羅理沙多胡さんの「思い出じゃない今日を」(どちらも珠玉の名曲。「あらかねの器」は最近「鬼滅の刃」の劇中曲「竈門炭治郎のうた」でも注目される椎名豪作曲。「思い出じゃない今日を」の方は新曲で発売前のためリリースが待ち遠しい)ではこれらの演出を削ぎ落し、バックダンサーすらも排してソロでの歌唱のみで魅せきるなどライブとしての醍醐味はきっちりと残しているところはさすがの一言。「Yell」というライブタイトルにちなんで観る人を元気づけるような楽曲を多めに並べてくれたのも嬉しいですね。

 ちょっと気になるのは、このライブは当初観客を入れて行う予定だったのですが、その際のレギュレーションが「コール禁止。着席のみ」。両日の攻撃的なセットリストを見てると実際に現地で観ていたら新手の拷問にしか思えなかったことでしょうか(笑)

 ライブとしての同時性を前面に押し出しつつ映像コンテンツとしての側面も強化した今回のライブはこれからのライブの在り方の一つの道筋を見せたように思えます。エンターテインメント業界に逆風が吹き続ける昨今ですが、微かな、でも確かな光を感じさせるイベントでした。これ以上この業界が衰退されるのは辛いので今年もできる限り応援したいと思っています。
 いつかまた、現地で熱狂できる日を願って。

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皆さん、明けましておめでとうございます。
 本来なら昨日は毎年恒例の新年歌会の日だったのですが、今回は中止に。自分としてももう10年以上続く年始の予定の一つだったので残念でなりません。一日も早く再開できる時を祈っております。皆さんともお会いしたいですし、自分も思いっきり歌いたい。

 こんばんは、小島@監督です。
 首都圏ではまたしても緊急事態宣言が発令されそうな勢い。暗い話が多い年明けになってしまいましたが、今年もよろしくお願いします。

 さて、2021年最初となる今回の映画は「ポケットモンスター ココ」です。

 人里から離れたジャングル、その奥地に「オコヤの森」と呼ばれる場所があった。そこにはザルードと呼ばれる、強い力を持ちながら他のポケモンとも距離を置き厳しい掟と共に生きるポケモンたちが暮らしていた。
 ある日、一体のザルード(声・中村勘九郎)が川辺で人間の赤ん坊を見つけた。どうにも見捨てることのできなかった彼は親を見つけ出せる時まで赤ん坊を育てるために掟を捨て、群から離れて生きることを決意する。赤ん坊はココ(声・上白石萌歌)と名付けられ、1体と1人の生活が始まる。
 そして10年の歳月が流れた。森中のポケモンと心を通わせられるようになったココは、ある時ポケモンを探すために森へ踏み入った少年・サトシ(声・松本梨香)とその相棒であるポケモン・ピカチュウ(声・大谷育江)と出会う。

 1998年の「ミュウツーの逆襲」から続く劇場版「ポケットモンスター」は長らくサマーシーズンの顔の一つでしたが今作はコロナ禍を受けてクリスマスから新年を飾る作品へと延期されました。7~8月頃には既に映画館の営業も再開されていたのでどちらかというとコロナ禍そのものよりも「ドラえもん」を始めとした3~4月期の作品が後ろ押しになったことや先の緊急事態宣言時に製作体制の見直しをする必要に迫られたことなどが主要因でしょう。

 劇場版ポケモンは2017年の「キミにきめた!」以降TVシリーズからは距離を置いた作品が製作されていますが今作もその流れに沿った形となっています。物語を牽引するのはあくまでココとザルードの関係性でありサトシとピカチュウは言わば「導き手」として登場する形となっているのでこれまでの劇場版ポケモンと比較するとかなりの異色作なのではないでしょうか。
 題材を見れば「ターザン」や「ジャングル・ブック」、古くは「狼少年ケン」などを思わせる構図で主旋律だけを観れば分かり易い物語でもあるのですが、なかなかに重層的な作品です。
 ココとサトシが出会ったことがきっかけとなり、やがて人跡未踏であった「聖域」とも言うべき場所に人間を呼び寄せることになります。この時に起こるのは単純な自然(ポケモン)対人間だけではない点がポイントです。人間の飽くなき欲望に立ち向かおうとするザルードたちもまた自らの力を頼みに他のポケモンたちと距離を置き、また種族の掟にも縛られている。その狭間で足掻くココと父ちゃんザルードがいる、という非常に複雑な感情の交錯が展開し物語にダイナミックなうねりを生んでいます。

 またこの物語を彩る音楽にも注目です。世界市場を最初から見通しているからか毎回スケールの大きな編成でBGMを聴かせるシリーズではありますが、今作ではそれらに加え岡崎体育の手によるヴォーカル曲(必ずしも作中のキャラクターが歌うわけではないのでミュージカルではない)が使われており、これが見事に片っ端からハマっています。全般的に映像のキレも良く、エモーショナルな物語と音楽が相乗効果をもたらしていくつかのシーンで私、うっかりマジ涙。
 
 実のところメインターゲットであろう子供たちより世の大人たち、特にお父さんを本気で泣かせにかかってるようなところが強い作品ですが、それが鼻につき過ぎない所で留まっているバランス感覚も含めてかなり高水準の作品であると言えるでしょう。
 正直期待を軽く超える満足度の高さに驚いています。予告編などで興味のある方は是非映画館に足を運んでみて頂きたいですね。

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