エリザベス女王逝去の報が世界を席巻した先週ですが、アニメ界でも1人、偉大な人物が世を去りました。
小林七郎さん。TVアニメ黎明期だった1960年代から背景美術に携わり、「あしたのジョー」「ガンバの冒険」「ルパン三世カリオストロの城」「少女革命ウテナ」など多くの作品を手がけました。2010年代に入ってからも「ミルキィホームズ」に関わっていたりとまさに生涯現役を貫きました。時に写実的に、時に淡い水彩画のように、時には大胆に省略し僅かな線だけで空間を表現してみせるその手腕に多くのアニメ監督・演出家達は支えられて来たに違いありません。極めて多くの作品に携わっていたので、多くの方が知らず彼の仕事を目にしているはずです。
こんばんは、小島@監督です。
時の移ろいとはどうしようもないものですが、今年も次々と偉大な先達が去っていき、何とも寂しい限りです。
さて、今回の映画は「ブレット・トレイン」です。
東京、久しぶりに仕事復帰した殺し屋レディバグ(ブラッド・ピット)は、東京発京都行の超高速列車に乗り込みブリーフケースを奪うという仕事を請け負う。何かにつけ不運が付きまとうレディバグだが、難易度の低い仕事に気合を入れて列車に乗り込む。容易く目的のブリーフケースを発見し、次の停車駅である品川駅で降りようとするが、ドアが開いた途端に何故か自分に強い復讐心を抱くメキシコ№1の殺し屋ウルフ(バッド・バニー)と鉢合わせし襲撃を受けてしまう。更に列車内には腕利きの殺し屋コンビ・タンジェリン(アーロン・テイラー=ジョンソン)&レモン(ブライアン・タイリー・ヘンリー)、乗務員に化けた毒使いの暗殺者ホーネット(ザジー・ビーツ)などが乗り込みブリーフケースの争奪戦が始まる。果たしてレディバグは依頼を完遂することができるのか。
A級キャストのアンサンブルとB級テイスト満載の荒唐無稽なストーリー、アニメのようにポップなビジュアルが合わさって2時間頭空っぽにして楽しめるエンターテインメントです。原作は伊坂幸太郎の小説「マリアビートル」、列車を舞台にしたエンタメということで原作でも言及のあるスティーブン・セガール主演の「暴走特急」をどこか彷彿としますが物語は結構ひねりが効いていて意外に一筋縄ではいきません。当初は日本でのロケも計画されていたそうですが、コロナ禍によりそれができなくなり、日本を舞台にしているけど日本では撮影していません。恐らくはそれすらも逆手にとって敢えて全くもってリアルとはかけ離れた、例えば名古屋と米原の間に富士山がそびえているような嘘全開の「ニッポン」をコミック的なビジュアルで見せているのが特徴です。
バカバカしい世界観ですが決してそれに溺れず、テンポ良くキャラクターのバックボーンを見せたりアクションの組み立てやファッションでも個性を際立たせいてスタッフたちの仕事も光り、俳優陣の演技に更なる説得力を加えています。
劇中で使われる挿入曲にも遊び心が見え、カルメン・マキの「時には母のない子のように」や坂本九の「上を向いて歩こう」のような歌謡曲までもが効果的に使われています。何よりクライマックスでは麻倉未稀の「ヒーロー」をバックに真田広之の殺陣が展開する、という驚きのシーンが登場。これに無駄にテンション上がるのはある世代以上の日本人だけでしょう(笑)
だいぶ癖の強い作品なので合わない人もいるでしょうが、ノー天気なものを観たい方や特異なシチュエーションで展開される名優達の化学反応を楽しみたい方、次々とエッジの効いた殺し屋がエントリーしたりヤクザ天狗みたいな奴らが大挙して登場したりするのでニンジャスレイヤー大好きな人たちは絶対に楽しめると思います。どうぞスクリーンでご堪能あれ。
小林七郎さん。TVアニメ黎明期だった1960年代から背景美術に携わり、「あしたのジョー」「ガンバの冒険」「ルパン三世カリオストロの城」「少女革命ウテナ」など多くの作品を手がけました。2010年代に入ってからも「ミルキィホームズ」に関わっていたりとまさに生涯現役を貫きました。時に写実的に、時に淡い水彩画のように、時には大胆に省略し僅かな線だけで空間を表現してみせるその手腕に多くのアニメ監督・演出家達は支えられて来たに違いありません。極めて多くの作品に携わっていたので、多くの方が知らず彼の仕事を目にしているはずです。
こんばんは、小島@監督です。
時の移ろいとはどうしようもないものですが、今年も次々と偉大な先達が去っていき、何とも寂しい限りです。
さて、今回の映画は「ブレット・トレイン」です。
東京、久しぶりに仕事復帰した殺し屋レディバグ(ブラッド・ピット)は、東京発京都行の超高速列車に乗り込みブリーフケースを奪うという仕事を請け負う。何かにつけ不運が付きまとうレディバグだが、難易度の低い仕事に気合を入れて列車に乗り込む。容易く目的のブリーフケースを発見し、次の停車駅である品川駅で降りようとするが、ドアが開いた途端に何故か自分に強い復讐心を抱くメキシコ№1の殺し屋ウルフ(バッド・バニー)と鉢合わせし襲撃を受けてしまう。更に列車内には腕利きの殺し屋コンビ・タンジェリン(アーロン・テイラー=ジョンソン)&レモン(ブライアン・タイリー・ヘンリー)、乗務員に化けた毒使いの暗殺者ホーネット(ザジー・ビーツ)などが乗り込みブリーフケースの争奪戦が始まる。果たしてレディバグは依頼を完遂することができるのか。
A級キャストのアンサンブルとB級テイスト満載の荒唐無稽なストーリー、アニメのようにポップなビジュアルが合わさって2時間頭空っぽにして楽しめるエンターテインメントです。原作は伊坂幸太郎の小説「マリアビートル」、列車を舞台にしたエンタメということで原作でも言及のあるスティーブン・セガール主演の「暴走特急」をどこか彷彿としますが物語は結構ひねりが効いていて意外に一筋縄ではいきません。当初は日本でのロケも計画されていたそうですが、コロナ禍によりそれができなくなり、日本を舞台にしているけど日本では撮影していません。恐らくはそれすらも逆手にとって敢えて全くもってリアルとはかけ離れた、例えば名古屋と米原の間に富士山がそびえているような嘘全開の「ニッポン」をコミック的なビジュアルで見せているのが特徴です。
バカバカしい世界観ですが決してそれに溺れず、テンポ良くキャラクターのバックボーンを見せたりアクションの組み立てやファッションでも個性を際立たせいてスタッフたちの仕事も光り、俳優陣の演技に更なる説得力を加えています。
劇中で使われる挿入曲にも遊び心が見え、カルメン・マキの「時には母のない子のように」や坂本九の「上を向いて歩こう」のような歌謡曲までもが効果的に使われています。何よりクライマックスでは麻倉未稀の「ヒーロー」をバックに真田広之の殺陣が展開する、という驚きのシーンが登場。これに無駄にテンション上がるのはある世代以上の日本人だけでしょう(笑)
だいぶ癖の強い作品なので合わない人もいるでしょうが、ノー天気なものを観たい方や特異なシチュエーションで展開される名優達の化学反応を楽しみたい方、次々とエッジの効いた殺し屋がエントリーしたりヤクザ天狗みたいな奴らが大挙して登場したりするのでニンジャスレイヤー大好きな人たちは絶対に楽しめると思います。どうぞスクリーンでご堪能あれ。
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