お盆休みの真っ只中にこの長雨。中央線は土砂が流入して運転見合わせになり、中央道も通行止め、国道19号線も寸断されたり交通規制されたりする箇所が出てきたりでほとんど数日家から出られない状況が続きました。
一晩帰宅困難者になったというのは経験ありますが、数日にわたり自宅避難状態はあまり経験ありません。自宅が流されたり潰されたりしたわけでないだけまだマシというところではありますが。
こんばんは、小島@監督です。
結局今日になっても中央線が運休のままなので出社できないから休みにした、という異様な状況に今なっています。
さて、今回の映画は「劇場版少女☆歌劇 レヴュースタァライト」です。
国内最高峰の演劇学校・聖翔音楽学園。その99期生達は卒業を控え皆それぞれの進路を模索していた。ある者は国内の歌劇団へ、ある者はスカウトを受け海外の劇団へ、またある者は大学への進学を志した。そんな中、愛城華恋(声・小山百代)は自身の進路を決めきれないでいた。
ある時、職場見学の一環として99期生のメンバーたちは国立歌劇団の公演に招かれた。劇場へ向かう途中、地下鉄の行き先が変わる。それは、選ばれた舞台少女たちが「トップスタァ」への座を賭けて戦う「レヴュー」の幕が再び開いたことを意味していた。
アニメの企画も多種多様になってきた昨今、声優がステージに立つことを前提とした作品も珍しくなくなってきました。この「レヴュースタァライト」もミュージカルとアニメを連動させ、まずミュージカルを原作としてアニメ化された作品だそうです。アニメ作品としては2018年にTVシリーズが製作され、そのTVシリーズに新規シーンを加えて再構成した劇場版「ロンド・ロンド・ロンド」が昨年8月に公開。それらの続編となる完全新作の劇場版が今作となります。実はTVシリーズから何から全く観た事が無かったのですが、数人から強くお薦めされ、また各所からかなりの好評が聞こえてきたのに興味が湧き、上映終了ギリギリに観に行ってきました。
なるほど作劇のスタイルが他とは一線を画す作品です。物語としてはつまるところTVシリーズなどを通して築かれた人間関係に一つの区切りを付けていくに過ぎないのですが、その見せ方が特徴的です。舞台を原作とするからか、特に「レヴュー」のシーンではかなり光源が強めのショットが多用されたり映り込む背景なども舞台装置として機能させたりとトリッキーさが目立ちます。音楽面も事前発注する従来の形式ではなくシーンに合わせて作曲する手法を採っておりそのシンクロぶりは目を見張るものがあります。
非常にアバンギャルドな雰囲気の作品で、同じアニメに類例を求めるなら1997年に放送されその後劇場版も製作された「少女革命ウテナ」が近いところにあるように思えます。あるいは前衛演劇集団「天井桟敷」を率いていた寺山修司作品を思い起こさせるとも言えましょうか。「ウテナ」自体寺山修司への影響が見受けられる作品ですし、映像作品においてある種の行き詰まりから作品ごと脱却しようと試みる時、行き着いてしまうのはそこなのかもしれません。その「ウテナ」ももう20年以上前になりますし、この「レヴュースタァライト」に強い未見性を感じる方が多いのも頷けますね。
日本のアニメの面白いところは、こういう前衛的な作品がミニシアターで片隅に上映されるのではなくシネコンを中心にそれなりに大きな規模で、アニメ市場において比較的メインストリームに近いポジションで公開されることがあるところにもその特異性が見受けられると言えるでしょう。
ベースが歌劇である分歌曲だけでなく全体のサウンドデザインにもこだわりを見せており、「ガールズ&パンツァー」が音響で観る楽しみを切り拓いたのを追従するように、これもまたスクリーンでの音響の違いで見え方が変わってくるタイプの作品でしょう。大半のところでロードショーが終了してしまっていますが、今後も企画上映などで度々リバイバルされることになるのではないでしょうか。あるいは十数年後に時代の異端児として回顧上映がされたりするかもしれません。「映画館で観た方が楽しい」部類の作品です。昨今の情勢では難しいでしょうが多分応援上映とかやれたら一層楽しめる気がします。近くの映画館で上映されていたら、トライしてみてはいかがでしょう。
一晩帰宅困難者になったというのは経験ありますが、数日にわたり自宅避難状態はあまり経験ありません。自宅が流されたり潰されたりしたわけでないだけまだマシというところではありますが。
こんばんは、小島@監督です。
結局今日になっても中央線が運休のままなので出社できないから休みにした、という異様な状況に今なっています。
さて、今回の映画は「劇場版少女☆歌劇 レヴュースタァライト」です。
国内最高峰の演劇学校・聖翔音楽学園。その99期生達は卒業を控え皆それぞれの進路を模索していた。ある者は国内の歌劇団へ、ある者はスカウトを受け海外の劇団へ、またある者は大学への進学を志した。そんな中、愛城華恋(声・小山百代)は自身の進路を決めきれないでいた。
ある時、職場見学の一環として99期生のメンバーたちは国立歌劇団の公演に招かれた。劇場へ向かう途中、地下鉄の行き先が変わる。それは、選ばれた舞台少女たちが「トップスタァ」への座を賭けて戦う「レヴュー」の幕が再び開いたことを意味していた。
アニメの企画も多種多様になってきた昨今、声優がステージに立つことを前提とした作品も珍しくなくなってきました。この「レヴュースタァライト」もミュージカルとアニメを連動させ、まずミュージカルを原作としてアニメ化された作品だそうです。アニメ作品としては2018年にTVシリーズが製作され、そのTVシリーズに新規シーンを加えて再構成した劇場版「ロンド・ロンド・ロンド」が昨年8月に公開。それらの続編となる完全新作の劇場版が今作となります。実はTVシリーズから何から全く観た事が無かったのですが、数人から強くお薦めされ、また各所からかなりの好評が聞こえてきたのに興味が湧き、上映終了ギリギリに観に行ってきました。
なるほど作劇のスタイルが他とは一線を画す作品です。物語としてはつまるところTVシリーズなどを通して築かれた人間関係に一つの区切りを付けていくに過ぎないのですが、その見せ方が特徴的です。舞台を原作とするからか、特に「レヴュー」のシーンではかなり光源が強めのショットが多用されたり映り込む背景なども舞台装置として機能させたりとトリッキーさが目立ちます。音楽面も事前発注する従来の形式ではなくシーンに合わせて作曲する手法を採っておりそのシンクロぶりは目を見張るものがあります。
非常にアバンギャルドな雰囲気の作品で、同じアニメに類例を求めるなら1997年に放送されその後劇場版も製作された「少女革命ウテナ」が近いところにあるように思えます。あるいは前衛演劇集団「天井桟敷」を率いていた寺山修司作品を思い起こさせるとも言えましょうか。「ウテナ」自体寺山修司への影響が見受けられる作品ですし、映像作品においてある種の行き詰まりから作品ごと脱却しようと試みる時、行き着いてしまうのはそこなのかもしれません。その「ウテナ」ももう20年以上前になりますし、この「レヴュースタァライト」に強い未見性を感じる方が多いのも頷けますね。
日本のアニメの面白いところは、こういう前衛的な作品がミニシアターで片隅に上映されるのではなくシネコンを中心にそれなりに大きな規模で、アニメ市場において比較的メインストリームに近いポジションで公開されることがあるところにもその特異性が見受けられると言えるでしょう。
ベースが歌劇である分歌曲だけでなく全体のサウンドデザインにもこだわりを見せており、「ガールズ&パンツァー」が音響で観る楽しみを切り拓いたのを追従するように、これもまたスクリーンでの音響の違いで見え方が変わってくるタイプの作品でしょう。大半のところでロードショーが終了してしまっていますが、今後も企画上映などで度々リバイバルされることになるのではないでしょうか。あるいは十数年後に時代の異端児として回顧上映がされたりするかもしれません。「映画館で観た方が楽しい」部類の作品です。昨今の情勢では難しいでしょうが多分応援上映とかやれたら一層楽しめる気がします。近くの映画館で上映されていたら、トライしてみてはいかがでしょう。
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