4月も終わりに差し掛かり、春の新番組も出揃った感じです。
今期は仕事が忙しくあまり観られずにいるのが残念ですが、個人的には何ぼスピンオフとは言えまさか今になってこのキャスト陣で新作が観られるとは思わなかった「長門有希ちゃんの消失」、異様に尖った作りが目を引く「ニンジャスレイヤー」、前期と同じ曲ながら素晴らしく迫力とキレを増した映像が堪らなくカッコいい「ベイビーステップ」2ndシーズンが印象に残りましたね。
しかし今期一番インパクトが大きかったのはコレ!「英国一家、日本を食べる」!イギリス人フードライターとその一家が日本中を尋ねて食べ歩く、同名のエッセイを原作にしたアニメで初回いきなり家族で新宿の思い出横丁の小さな居酒屋で焼きそばと焼き鳥を堪能する展開に度肝を抜かれすっかりハマってしまいました。カートゥーンテイストの強い絵柄ながら食事に関する事柄は非常に真面目に作られてるのも好印象。先々彼らがどんな食に出会うのか楽しみです。
こんばんは、小島@監督です。
だがたとえ時間が無かろうとBlu-ray持っていようとアイマスの再放送はちゃんと観る。外す理由が無い。
さて、昨日Zepp NAGOYAで開催された「寿美菜子3rd LIVE TOUR Tick Tick Tick」に行ってきました。
彼女のライブを鑑賞するのは昨年のツアーに続きこれで2回目。非常に楽しかったのでもう一度観たいなと思っていたら存外早くその機会が巡ってきました。昨年は座席指定のホールでのステージでしたが、今回はオールスタンディング。距離感もぐっと近くなりました。結果前回よりもさらにダイレクトに寿美菜子のサウンドを全身で味わうことができました。
セットリストは昨年9月に発売されたアルバムと今月リリースされたばかりのシングルを中心に構成されて、実はどちらもまだ聴いてなかったりするのですが、そんなこと関係無いくらいのパワフルなパフォーマンスで観客を魅了してくれます。
オールスタンディングという事もあってか、原曲は比較的緩やかなテンポのものでもより速く、よりラウドにアレンジされ、最早声優アイドルのステージというには語弊がありそうなレベルです。
寿美菜子自身もガンガンハンドクラップやジャンプを観客に煽りまくるので、一応サイリウムは持って行ってたのですが、途中でそれを振るのが煩わしくなり、スイッチをオフにして素直にリズムに身を任せるように。場内全体どんどん上がって行くボルテージに、アレもう少ししたら「リフト」ってヤツをする人も出てくるんじゃなかろうかって勢いでした。どうやら彼女の真価はオールスタンディングでこそ発揮されるタイプのようです。
また、昨年のツアーと比べてダンスによる身体的パフォーマンスのグレードが上がっていた事も特筆すべき所でしょう。衣装の早替えやフラッグを使ったパフォーマンス、バックダンサーとのアンサンブルなど、アイディアにしろその実現度にしろショーアップのレベルが飛躍的に向上し、昨年と今回2つのステージを観覧できたことで期せずしてアーティスト寿美菜子のエンターテイナーとしての進化を目の当たりに出来た感じです。しかもここがピークではなくまだまだ上昇しそうな伸び代を感じさせます。
約2時間半ひたすら両腕を振り上げ跳びまくり声を張り上げさせてもらったので、終わってみれば結構体に来てました(苦笑)
しかし、こういう疲労感は心地良い。
正直全てが期待以上のステージでした。寿美菜子がアーティストとしてどのような、そしてどこまで進化するのかこの先楽しみです。どうやらまた追っかけたくなる人を見つけてしまったようだ(笑)
今期は仕事が忙しくあまり観られずにいるのが残念ですが、個人的には何ぼスピンオフとは言えまさか今になってこのキャスト陣で新作が観られるとは思わなかった「長門有希ちゃんの消失」、異様に尖った作りが目を引く「ニンジャスレイヤー」、前期と同じ曲ながら素晴らしく迫力とキレを増した映像が堪らなくカッコいい「ベイビーステップ」2ndシーズンが印象に残りましたね。
しかし今期一番インパクトが大きかったのはコレ!「英国一家、日本を食べる」!イギリス人フードライターとその一家が日本中を尋ねて食べ歩く、同名のエッセイを原作にしたアニメで初回いきなり家族で新宿の思い出横丁の小さな居酒屋で焼きそばと焼き鳥を堪能する展開に度肝を抜かれすっかりハマってしまいました。カートゥーンテイストの強い絵柄ながら食事に関する事柄は非常に真面目に作られてるのも好印象。先々彼らがどんな食に出会うのか楽しみです。
こんばんは、小島@監督です。
だがたとえ時間が無かろうとBlu-ray持っていようとアイマスの再放送はちゃんと観る。外す理由が無い。
さて、昨日Zepp NAGOYAで開催された「寿美菜子3rd LIVE TOUR Tick Tick Tick」に行ってきました。
彼女のライブを鑑賞するのは昨年のツアーに続きこれで2回目。非常に楽しかったのでもう一度観たいなと思っていたら存外早くその機会が巡ってきました。昨年は座席指定のホールでのステージでしたが、今回はオールスタンディング。距離感もぐっと近くなりました。結果前回よりもさらにダイレクトに寿美菜子のサウンドを全身で味わうことができました。
セットリストは昨年9月に発売されたアルバムと今月リリースされたばかりのシングルを中心に構成されて、実はどちらもまだ聴いてなかったりするのですが、そんなこと関係無いくらいのパワフルなパフォーマンスで観客を魅了してくれます。
オールスタンディングという事もあってか、原曲は比較的緩やかなテンポのものでもより速く、よりラウドにアレンジされ、最早声優アイドルのステージというには語弊がありそうなレベルです。
寿美菜子自身もガンガンハンドクラップやジャンプを観客に煽りまくるので、一応サイリウムは持って行ってたのですが、途中でそれを振るのが煩わしくなり、スイッチをオフにして素直にリズムに身を任せるように。場内全体どんどん上がって行くボルテージに、アレもう少ししたら「リフト」ってヤツをする人も出てくるんじゃなかろうかって勢いでした。どうやら彼女の真価はオールスタンディングでこそ発揮されるタイプのようです。
また、昨年のツアーと比べてダンスによる身体的パフォーマンスのグレードが上がっていた事も特筆すべき所でしょう。衣装の早替えやフラッグを使ったパフォーマンス、バックダンサーとのアンサンブルなど、アイディアにしろその実現度にしろショーアップのレベルが飛躍的に向上し、昨年と今回2つのステージを観覧できたことで期せずしてアーティスト寿美菜子のエンターテイナーとしての進化を目の当たりに出来た感じです。しかもここがピークではなくまだまだ上昇しそうな伸び代を感じさせます。
約2時間半ひたすら両腕を振り上げ跳びまくり声を張り上げさせてもらったので、終わってみれば結構体に来てました(苦笑)
しかし、こういう疲労感は心地良い。
正直全てが期待以上のステージでした。寿美菜子がアーティストとしてどのような、そしてどこまで進化するのかこの先楽しみです。どうやらまた追っかけたくなる人を見つけてしまったようだ(笑)
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今月の終わりに栄に丸善本店ビルが完成・オープンするとか。
3年前に建物の老朽化で一旦閉店し、丸栄の6・7階に規模を縮小して移転していましたが遂に自社ビルで路面店が復活。
地上7階地下1階、全部書店!
やっぱり各地方の基幹都市には1軒くらいそういうデカい書店が無いとね!
こんばんは、小島@監督です。
丸栄の中の店は商品ラインナップを変えてそのまま営業を続けるとか。栄の書店の密度が一気に上がる気がする(苦笑)
さて、今回はしばらくぶりに映画館の話。
先日の休みにちょっと勢いで足を伸ばして刈谷まで行ってきました。
刈谷駅から名鉄三河線で更にもう一駅の刈谷市駅へ。駅降りてすぐ、パチンコ屋を1階に要するビルの5階が今回の目的地の「刈谷日劇」です。

公式HPはこちら
2つのスクリーンを有する映画館で、スクリーン1では新作や準新作を上映し、スクリーン2では旧作を基本2本立てで上映する名画座にしています。料金もスクリーン1は1,700円と通常の映画館とさして変わりませんがスクリーン2の方は800円(さらに割引あり)で入退場自由とかなり低廉に設定されています。
ロビー内ではコーヒーと紅茶がセルフサービスで無料提供されているのにも驚きます。ただでさえ他より安いのに良くそれで維持できるものだと感心します。
上映希望のリクエストを書いて留めておくコルクボードもあり、びっしりリクエストの紙が貼られていました。せっかくなので私も一筆。「ゴジラが観たい」
すいません、リクエストボード画像ありません。写真を撮るのを忘れてた事を帰宅して気付きました(苦笑)
中の様子はこんな感じ。スクリーン1は76席、スクリーン2は55席。どちらもそれほど大きくはありませんが、非常に丁寧に手入れされてて清潔感を感じます。スタッフのモチベーションが高いのでしょうか。トイレもえらくぴかぴかでした。
この日上映されていたのは「秒速5センチメートル」
2007年に製作された「星を追う子ども」「言の葉の庭」などの新海誠の手による中編アニメです。3つの短編による連作という構成で、初恋の女性への想いを抱き続ける男の魂の彷徨いを描きます。もし2010年の「ちゅう通」をお持ちならボカロさんがこの映画を紹介なさっているのでそちらも参照してください。
実写と見紛うばかりの精細さを持ちながらアニメならではの色彩で表現する繊細で誌的な映像が素晴らしく、クライマックスでテーマ曲ともなっている山崎まさよしの「One more time,one more chance」と共に展開される数分間の映像は新海誠の真骨頂ともいえる迫力に満ちています。
かなりはっきり好みの分かれる映画で、初恋の想いがいつしかある種の強烈な自己愛へと変容する主人公の言動にイラッとする人と古傷をえぐられた様な気持ちになる人がいらっしゃることでしょう。私は見事なまでに後者でした(苦笑)正直かなり痛いのですがその「痛さ」が理解できてしまうのが余計にキツイというか。基本的に男の子の方がロマンチストなのですよ。
たまたま私が観た上映回が客が私独りだったというのもあり余計来た、というのもありますが(笑)
さて、当初はコレだけ観たら退館しようと思っていたのですが、スタッフのおっちゃんの「せっかくだからもう1本観ていったらどうだい?」という言葉に乗っかりそのまま居座って2本目も観る事に。
2本立ての2本目は「櫻の園」です。
「秒速5センチメートル」と言い4月なので桜が重要な意味を持つ作品を揃えたんですね。
1990年に製作されたこの映画は吉田秋生のコミックを原作に、創立記念祭でチェーホフの「櫻の園」を演じるある女子校演劇部の上演直前の2時間に起こる舞台裏の騒動とそれに翻弄される少女たちの感情の揺れを描いた群像劇です。
BGMの少ない静かな映画で、異性関係や結婚への憧れ、将来への不安やプラトニックな同性愛など様々な感情が繊細かつ瑞々しく描き出され行きます。正直言って演技が拙い人も何人かいるのですがそれが却って少女の時間の儚さを表現するのに一役買っていて何だかアリに思えてしまう、不思議な雰囲気を宿しています。
エンドクレジットで気付いて驚いたのですが、この映画に「うたわれるもの」のエルルゥ役や「武装錬金」津村斗貴子役、「キルラキル」鬼龍院皐月役などで現在声優として活躍している柚木涼香(当時の名義は永椎あゆみ)が演劇部員の美術係の一人として出演しています。後で調べたらコレが彼女のデビュー作のよう。柚ねえファンはチェックしてみてはいかがでしょうか(笑)
余談ですが、2008年には監督中原俊自身の手によるリメイクが製作されており、こちらには「ハピネスチャージプリキュア」でキュアプリンセスこと白雪ひめを演じた潘めぐみが出演していたりします。
結局3時間以上ガッツリ居着いて映画を楽しんでしまいました。不思議な雰囲気の良さのある映画館でしたし、ちょっと距離はあるけれど気になるタイトルが上映したらまた行ってみたいかも。
スタンプカードも貰ったしね(笑)!
3年前に建物の老朽化で一旦閉店し、丸栄の6・7階に規模を縮小して移転していましたが遂に自社ビルで路面店が復活。
地上7階地下1階、全部書店!
やっぱり各地方の基幹都市には1軒くらいそういうデカい書店が無いとね!
こんばんは、小島@監督です。
丸栄の中の店は商品ラインナップを変えてそのまま営業を続けるとか。栄の書店の密度が一気に上がる気がする(苦笑)
さて、今回はしばらくぶりに映画館の話。
先日の休みにちょっと勢いで足を伸ばして刈谷まで行ってきました。
刈谷駅から名鉄三河線で更にもう一駅の刈谷市駅へ。駅降りてすぐ、パチンコ屋を1階に要するビルの5階が今回の目的地の「刈谷日劇」です。
公式HPはこちら
2つのスクリーンを有する映画館で、スクリーン1では新作や準新作を上映し、スクリーン2では旧作を基本2本立てで上映する名画座にしています。料金もスクリーン1は1,700円と通常の映画館とさして変わりませんがスクリーン2の方は800円(さらに割引あり)で入退場自由とかなり低廉に設定されています。
ロビー内ではコーヒーと紅茶がセルフサービスで無料提供されているのにも驚きます。ただでさえ他より安いのに良くそれで維持できるものだと感心します。
上映希望のリクエストを書いて留めておくコルクボードもあり、びっしりリクエストの紙が貼られていました。せっかくなので私も一筆。「ゴジラが観たい」
すいません、リクエストボード画像ありません。写真を撮るのを忘れてた事を帰宅して気付きました(苦笑)
中の様子はこんな感じ。スクリーン1は76席、スクリーン2は55席。どちらもそれほど大きくはありませんが、非常に丁寧に手入れされてて清潔感を感じます。スタッフのモチベーションが高いのでしょうか。トイレもえらくぴかぴかでした。
この日上映されていたのは「秒速5センチメートル」
2007年に製作された「星を追う子ども」「言の葉の庭」などの新海誠の手による中編アニメです。3つの短編による連作という構成で、初恋の女性への想いを抱き続ける男の魂の彷徨いを描きます。もし2010年の「ちゅう通」をお持ちならボカロさんがこの映画を紹介なさっているのでそちらも参照してください。
実写と見紛うばかりの精細さを持ちながらアニメならではの色彩で表現する繊細で誌的な映像が素晴らしく、クライマックスでテーマ曲ともなっている山崎まさよしの「One more time,one more chance」と共に展開される数分間の映像は新海誠の真骨頂ともいえる迫力に満ちています。
かなりはっきり好みの分かれる映画で、初恋の想いがいつしかある種の強烈な自己愛へと変容する主人公の言動にイラッとする人と古傷をえぐられた様な気持ちになる人がいらっしゃることでしょう。私は見事なまでに後者でした(苦笑)正直かなり痛いのですがその「痛さ」が理解できてしまうのが余計にキツイというか。基本的に男の子の方がロマンチストなのですよ。
たまたま私が観た上映回が客が私独りだったというのもあり余計来た、というのもありますが(笑)
さて、当初はコレだけ観たら退館しようと思っていたのですが、スタッフのおっちゃんの「せっかくだからもう1本観ていったらどうだい?」という言葉に乗っかりそのまま居座って2本目も観る事に。
2本立ての2本目は「櫻の園」です。
「秒速5センチメートル」と言い4月なので桜が重要な意味を持つ作品を揃えたんですね。
1990年に製作されたこの映画は吉田秋生のコミックを原作に、創立記念祭でチェーホフの「櫻の園」を演じるある女子校演劇部の上演直前の2時間に起こる舞台裏の騒動とそれに翻弄される少女たちの感情の揺れを描いた群像劇です。
BGMの少ない静かな映画で、異性関係や結婚への憧れ、将来への不安やプラトニックな同性愛など様々な感情が繊細かつ瑞々しく描き出され行きます。正直言って演技が拙い人も何人かいるのですがそれが却って少女の時間の儚さを表現するのに一役買っていて何だかアリに思えてしまう、不思議な雰囲気を宿しています。
エンドクレジットで気付いて驚いたのですが、この映画に「うたわれるもの」のエルルゥ役や「武装錬金」津村斗貴子役、「キルラキル」鬼龍院皐月役などで現在声優として活躍している柚木涼香(当時の名義は永椎あゆみ)が演劇部員の美術係の一人として出演しています。後で調べたらコレが彼女のデビュー作のよう。柚ねえファンはチェックしてみてはいかがでしょうか(笑)
余談ですが、2008年には監督中原俊自身の手によるリメイクが製作されており、こちらには「ハピネスチャージプリキュア」でキュアプリンセスこと白雪ひめを演じた潘めぐみが出演していたりします。
結局3時間以上ガッツリ居着いて映画を楽しんでしまいました。不思議な雰囲気の良さのある映画館でしたし、ちょっと距離はあるけれど気になるタイトルが上映したらまた行ってみたいかも。
スタンプカードも貰ったしね(笑)!
昨日の歌会に参加された皆さん、お疲れ様でした。
今回も8人とまた大勢の初参加の方が。中には将来有望なアイマスPの方も見えたようで(笑)また次回以降も参加してくださるとうれしいですね。
また、今回開催された有志によるコミック交換会ではゴトウユキコの「水色の部屋」というのを頂きました。自分には全く知らない作家の全く知らない作品という、ある意味これぞ交換会の醍醐味みたいな物を頂きました。ありがとう!13番の方!後日ゆっくり読んでみます!
こんばんは、小島@監督です。
私は今回「アイドルマスターミリオンライブ(CD付特装版)」をチョイスしました。25番のがそれです。どなたの手に渡ったのか分からずじまいでしたが楽しんでいただけたら何よりです。
さて、今回の映画は「唐山大地震」です。
1976年7月28日深夜、河北省唐山市をM7.8の地震が襲った。
4人家族の父親ファン・ダーチアン(チャン・グォチァン)は一度は脱出するものの取り残された子供を救おうと建物へ戻り、倒壊に巻き込まれ命を落としてしまう。
翌朝一人絶望の淵にいた母親リー・ユェンニー(シュイ・ファン)のもとに2人の子供が瓦礫の下で奇跡的に生存している事が告げられる。喜びも束の間、ユェンニーに過酷な選択が突きつけられる。瓦礫の崩壊が間近に迫り姉か弟のどちらかしか救えないというのだ。泣き崩れながら決断をするユェンニー。その声は選ばれなかったもう一方にも届いていた。
夫と子供の死を確認したユェンニーは救い出された子と共に避難場所へと移動。しかし死んだはずの子は死体遺棄場で奇跡的に息を吹き返した。茫然と佇む子供は孤児として救援され人民軍の夫婦に引き取られる事になる。
そして時が流れた。
中国で2010年に製作され、唐山大地震によって引き裂かれた家族が長い時を経て再会するまでを描いた物語です。
日本での公開も曲折あり、当初は2011年3月の公開予定で当時既に数回の試写会も催されていましたが東日本大震災により公開が無期延期となり、それから4年の時を経てようやく公開の時を迎えました。状況が状況だけにDVDスルーで終わってしまっても致し方ないところですが、館数が少ないながらも全国公開に漕ぎ着けた辺り、配給元によほどこの作品に思い入れのある方がいたのでしょう。しかしそうしたくなる気持ちも分かるほどエネルギッシュでパワフルな作品です。
先ず何より冒頭からの震災の描写に圧倒されます。単にVFXが凄い、というだけでなく建物の柱や瓦、電柱が凶器となって人々に襲い掛かる様や生存者たちの埃や泥や血の臭いが漂ってきそうなほどに生々しく汚れた様は凄まじいの一言です。
これからするとハリウッドや日本のパニックサスペンスは少し画が綺麗すぎるような気がしてしまうレベルで、人によってはトラウマが喚起されてしまうかもしれない程なので地震に対し何か傷をお抱えの方は敢えて観る事を避けるのも良いと思います。
物語は1976年からおよそ10年刻みに2008年までの時を描いていきます。
1976年の唐山大地震から僅か1ヶ月半後には毛沢東が死去し(作中にもそのくだりがある)、中国は政治的にも経済的にも大転換期を迎えます。1976年はいわゆる文化大革命の最後の時期で、中国政府は外国からの援助をほぼ全て断り、結果多大な二次災害を引き起こした経緯があります。作中ではもちろんその事にはほとんど触れていませんが(苦笑)、姉弟が引き裂かれた背後にはそのような事も要因の一つであったに違いないでしょう。映画終盤の舞台となる2008年では四川大地震の様子が描かれますが、そこでの国際色豊かなボランティアたちの描写は上手い具合に序盤の被災の様子と対になっています。
姉弟は約30年という時代の流れの中で時に接近する事はあれど交わる事は無いままにそれぞれの人生を生きていきます。2人のそれぞれの道のりは、言ってみれば平凡で人並みな生き方ではありますが、方や身体に、方や心に傷を抱えているので決して平坦ではありません。天災はそれを生き延びた人にしかし生涯消えない傷を植え付け、しかしそれでも人は生きていく。この辺りの描写が実に巧みで、中盤のこのドラマこそ実はこの映画の骨子なのだと気付きます。
また製作者がどこまで意図的なものかどうかは分かりませんが、年代が移りゆくごとに人物の衣服や身の回りの物などに加速度的な経済成長を遂げる現代中国の姿が反映されているのが面白いです。映画の本筋に直接関係はありませんがこの辺の描写も割と見どころに思えます。
ところどころあざといというか仰々しく感じられるシーンがあったり、終盤の展開が少々ご都合主義が過ぎる気がしなくもなかったりと欠点も無くは無いですが、震災直後ではなく4年経った今だからこそ観て意味を持ちそうな力強い作品です。名古屋での上映は既に終わってしまいましたが、どこかで触れる機会があれば是非観ていただきたい作品ですね。
今回も8人とまた大勢の初参加の方が。中には将来有望なアイマスPの方も見えたようで(笑)また次回以降も参加してくださるとうれしいですね。
また、今回開催された有志によるコミック交換会ではゴトウユキコの「水色の部屋」というのを頂きました。自分には全く知らない作家の全く知らない作品という、ある意味これぞ交換会の醍醐味みたいな物を頂きました。ありがとう!13番の方!後日ゆっくり読んでみます!
こんばんは、小島@監督です。
私は今回「アイドルマスターミリオンライブ(CD付特装版)」をチョイスしました。25番のがそれです。どなたの手に渡ったのか分からずじまいでしたが楽しんでいただけたら何よりです。
さて、今回の映画は「唐山大地震」です。
1976年7月28日深夜、河北省唐山市をM7.8の地震が襲った。
4人家族の父親ファン・ダーチアン(チャン・グォチァン)は一度は脱出するものの取り残された子供を救おうと建物へ戻り、倒壊に巻き込まれ命を落としてしまう。
翌朝一人絶望の淵にいた母親リー・ユェンニー(シュイ・ファン)のもとに2人の子供が瓦礫の下で奇跡的に生存している事が告げられる。喜びも束の間、ユェンニーに過酷な選択が突きつけられる。瓦礫の崩壊が間近に迫り姉か弟のどちらかしか救えないというのだ。泣き崩れながら決断をするユェンニー。その声は選ばれなかったもう一方にも届いていた。
夫と子供の死を確認したユェンニーは救い出された子と共に避難場所へと移動。しかし死んだはずの子は死体遺棄場で奇跡的に息を吹き返した。茫然と佇む子供は孤児として救援され人民軍の夫婦に引き取られる事になる。
そして時が流れた。
中国で2010年に製作され、唐山大地震によって引き裂かれた家族が長い時を経て再会するまでを描いた物語です。
日本での公開も曲折あり、当初は2011年3月の公開予定で当時既に数回の試写会も催されていましたが東日本大震災により公開が無期延期となり、それから4年の時を経てようやく公開の時を迎えました。状況が状況だけにDVDスルーで終わってしまっても致し方ないところですが、館数が少ないながらも全国公開に漕ぎ着けた辺り、配給元によほどこの作品に思い入れのある方がいたのでしょう。しかしそうしたくなる気持ちも分かるほどエネルギッシュでパワフルな作品です。
先ず何より冒頭からの震災の描写に圧倒されます。単にVFXが凄い、というだけでなく建物の柱や瓦、電柱が凶器となって人々に襲い掛かる様や生存者たちの埃や泥や血の臭いが漂ってきそうなほどに生々しく汚れた様は凄まじいの一言です。
これからするとハリウッドや日本のパニックサスペンスは少し画が綺麗すぎるような気がしてしまうレベルで、人によってはトラウマが喚起されてしまうかもしれない程なので地震に対し何か傷をお抱えの方は敢えて観る事を避けるのも良いと思います。
物語は1976年からおよそ10年刻みに2008年までの時を描いていきます。
1976年の唐山大地震から僅か1ヶ月半後には毛沢東が死去し(作中にもそのくだりがある)、中国は政治的にも経済的にも大転換期を迎えます。1976年はいわゆる文化大革命の最後の時期で、中国政府は外国からの援助をほぼ全て断り、結果多大な二次災害を引き起こした経緯があります。作中ではもちろんその事にはほとんど触れていませんが(苦笑)、姉弟が引き裂かれた背後にはそのような事も要因の一つであったに違いないでしょう。映画終盤の舞台となる2008年では四川大地震の様子が描かれますが、そこでの国際色豊かなボランティアたちの描写は上手い具合に序盤の被災の様子と対になっています。
姉弟は約30年という時代の流れの中で時に接近する事はあれど交わる事は無いままにそれぞれの人生を生きていきます。2人のそれぞれの道のりは、言ってみれば平凡で人並みな生き方ではありますが、方や身体に、方や心に傷を抱えているので決して平坦ではありません。天災はそれを生き延びた人にしかし生涯消えない傷を植え付け、しかしそれでも人は生きていく。この辺りの描写が実に巧みで、中盤のこのドラマこそ実はこの映画の骨子なのだと気付きます。
また製作者がどこまで意図的なものかどうかは分かりませんが、年代が移りゆくごとに人物の衣服や身の回りの物などに加速度的な経済成長を遂げる現代中国の姿が反映されているのが面白いです。映画の本筋に直接関係はありませんがこの辺の描写も割と見どころに思えます。
ところどころあざといというか仰々しく感じられるシーンがあったり、終盤の展開が少々ご都合主義が過ぎる気がしなくもなかったりと欠点も無くは無いですが、震災直後ではなく4年経った今だからこそ観て意味を持ちそうな力強い作品です。名古屋での上映は既に終わってしまいましたが、どこかで触れる機会があれば是非観ていただきたい作品ですね。
様々な事情が重なってここ2週間ほど超過勤務だけで40時間以上というバカみたいに過密なスケジュールをこなす羽目に。
そんな中「予定は全く無いけど何が何でも休ませてもらう!」とこの土日、2か月半ぶりの連休をもぎ取り土曜日はひたすら眠り日曜日は映画を観に行って好き勝手に過ごし、弱り気味の心身の回復に努めました。
こんばんは、小島@監督です。
働きすぎはいけません。あんなのがあと1か月も続いたらぶっ倒れてしまう。やっぱり「働いたら負け」かもしれない(笑)
さて、今回の映画は「映画プリキュアオールスターズ春のカーニバル」です。
春野はるか(声・島村侑)たちは歌とダンスの国ハルモニアで開かれる春のカーニバルに招待された。ハルモニアへ向かってみるとそこには先輩のプリキュア達も訪れていた。
カーニバルが開幕し、プリキュア達もステージに立って歌とダンスを披露する。しかしその陰でオドレン(声・中田敦彦)とウタエン(声・藤森慎吾)による奸計が進行しつつあった。
春の定番となってきたプリキュアオールスターズも7作目。単純に作品の垣根を越えたクロスオーバーを楽しむ「DX」3部作、そこから一歩踏み込んでドラマ性に深みを加えて展開した「NewStage」3部作に続いて製作された「春のカーニバル」では、さらに新たな試みにトライしています。
それは「ミュージカル」です。
前半はカーニバルのステージで披露するという体で各作品のテーマ曲が新たに制作されたCGアニメと共に展開し、後半も要所に歌を盛り込ませながら物語が進みます。
「フレッシュプリキュア」のエンディングで使われて以降ダンスにアクションに年々進化を続けるプリキュアのCGワークによる豊かな表現をこれでもかとばかりに大スクリーンで堪能できるのがこの映画の魅力です。
……それは良いのですが、この趣向がうまく機能していないように思えるのが正直な感想です。
確かにどの歌曲もCGと手描きアニメをダイナミックに融合させた迫力ある映像を楽しめるのですが、それはあくまでも映像だけの物であり、1本の劇映画としては非常にシナリオの弱い作品だと言わざるを得ない程今回物語が軽いです。ま、悪役を演じるのがオリエンタルラジオの2人というところがさもありなん、という感じもしなくはないですが。
楽曲のPVとも言うべき映像のキレは良いので一種のサービスのみで構成されたファンムービーと割り切って楽しむ方が良さそうです。
そうは言ってもその中に前シリーズであるハピネスチャージプリキュアと現在のGo!プリンセスプリキュアとのバトンタッチ的シーンを入れたり、キュアマリンが相変わらずのコメディエンヌぶりを見せてくれたり、過去のシリーズを観てた人なら分かる小ネタを差し挟んだりといろいろやってきている辺りはさすがという所でしょうか。
そうそう、オリエンタルラジオが悪役としてゲスト出演する今回、妙な所で笑いのツボにハマったのところが一カ所あります。それがどこかはナイショ。ただ、私の眼にはあのシーンは凄く「グラップラー刃牙」に見えた事だけ言っておきましょう(笑)
どちらかと言えば実験的意味合いの方が強く感じられる今回のプリキュアオールスターズ、賛否両論が今まで以上に強く出そうです。ただ「何をやりたいか」というコンセプトは非常に良く理解できましたし、試行錯誤の道のりとしてはこういった一本も必要なマイルストーンと言えるでしょう。
一作毎に映画作りの難易度が増していくシリーズではありますが、今回の長所短所を活かしてここから次はグレードアップさせた一本を見せて欲しいところですね。
そんな中「予定は全く無いけど何が何でも休ませてもらう!」とこの土日、2か月半ぶりの連休をもぎ取り土曜日はひたすら眠り日曜日は映画を観に行って好き勝手に過ごし、弱り気味の心身の回復に努めました。
こんばんは、小島@監督です。
働きすぎはいけません。あんなのがあと1か月も続いたらぶっ倒れてしまう。やっぱり「働いたら負け」かもしれない(笑)
さて、今回の映画は「映画プリキュアオールスターズ春のカーニバル」です。
春野はるか(声・島村侑)たちは歌とダンスの国ハルモニアで開かれる春のカーニバルに招待された。ハルモニアへ向かってみるとそこには先輩のプリキュア達も訪れていた。
カーニバルが開幕し、プリキュア達もステージに立って歌とダンスを披露する。しかしその陰でオドレン(声・中田敦彦)とウタエン(声・藤森慎吾)による奸計が進行しつつあった。
春の定番となってきたプリキュアオールスターズも7作目。単純に作品の垣根を越えたクロスオーバーを楽しむ「DX」3部作、そこから一歩踏み込んでドラマ性に深みを加えて展開した「NewStage」3部作に続いて製作された「春のカーニバル」では、さらに新たな試みにトライしています。
それは「ミュージカル」です。
前半はカーニバルのステージで披露するという体で各作品のテーマ曲が新たに制作されたCGアニメと共に展開し、後半も要所に歌を盛り込ませながら物語が進みます。
「フレッシュプリキュア」のエンディングで使われて以降ダンスにアクションに年々進化を続けるプリキュアのCGワークによる豊かな表現をこれでもかとばかりに大スクリーンで堪能できるのがこの映画の魅力です。
……それは良いのですが、この趣向がうまく機能していないように思えるのが正直な感想です。
確かにどの歌曲もCGと手描きアニメをダイナミックに融合させた迫力ある映像を楽しめるのですが、それはあくまでも映像だけの物であり、1本の劇映画としては非常にシナリオの弱い作品だと言わざるを得ない程今回物語が軽いです。ま、悪役を演じるのがオリエンタルラジオの2人というところがさもありなん、という感じもしなくはないですが。
楽曲のPVとも言うべき映像のキレは良いので一種のサービスのみで構成されたファンムービーと割り切って楽しむ方が良さそうです。
そうは言ってもその中に前シリーズであるハピネスチャージプリキュアと現在のGo!プリンセスプリキュアとのバトンタッチ的シーンを入れたり、キュアマリンが相変わらずのコメディエンヌぶりを見せてくれたり、過去のシリーズを観てた人なら分かる小ネタを差し挟んだりといろいろやってきている辺りはさすがという所でしょうか。
そうそう、オリエンタルラジオが悪役としてゲスト出演する今回、妙な所で笑いのツボにハマったのところが一カ所あります。それがどこかはナイショ。ただ、私の眼にはあのシーンは凄く「グラップラー刃牙」に見えた事だけ言っておきましょう(笑)
どちらかと言えば実験的意味合いの方が強く感じられる今回のプリキュアオールスターズ、賛否両論が今まで以上に強く出そうです。ただ「何をやりたいか」というコンセプトは非常に良く理解できましたし、試行錯誤の道のりとしてはこういった一本も必要なマイルストーンと言えるでしょう。
一作毎に映画作りの難易度が増していくシリーズではありますが、今回の長所短所を活かしてここから次はグレードアップさせた一本を見せて欲しいところですね。
先週の土曜日で「マッサン」が全150話の放送を終了。
仕事に直結する内容なので観始めましたが、ニッカウィスキーの創立者である竹鶴政孝とその妻リタをモデルに当時珍しかった国際結婚のドタバタと国産初のウイスキーを造り出そうとする職人の物語の兼ね合いが面白く、気づけば結構ハマって観てました。
朝ドラという事でどちらかと言えばマッサンとエリーの夫婦の絆を物語の中心にし、敢えて専門的なフレーズを少なめにしながらも、150回という長尺を活かして時代や技術の変遷に絡んだ多くのエピソードを盛り込んで来て、中にはかなり興味深いものもありそう言った意味でも半年間ガッツリ楽しみました。
あと個人的にはシリーズ序盤の「変にプライド高くてデカい事言うけど実際はただの無職」というマッサン像が強烈で今でも思い出すと何か変に胃が痛くなります(笑)
こんばんは、小島@監督です。
しかし楽しかったとは言っても朝の連続テレビ小説を半年間毎日追うのは正直とてもめんどくさいのでもう2度とやる事は無いだろうな~(苦笑)
さて、今回の映画は「イミテーション・ゲーム エニグマと天才数学者の秘密」です。
1951年、盗難事件の通報を受けノック刑事(ロニー・キリア)は数学者アラン・チューリング(ベネディクト・カンバーバッチ)宅に赴くが、「何も盗まれていない」と捜査を固辞される。その態度に不審を抱いたノックはソ連のスパイではないかと疑い捜査を開始する。
時は遡り1939年、イギリスはヒトラー率いるナチスドイツと開戦。
その最中、アランは海軍中佐デニストン(チャールズ・ダンス)の招聘を受けブレッチリー・パークで最高機密の作戦に参加することになる。それはドイツが誇る暗号機「エニグマ」の解読であった。その設定159×10の18乗通り!全設定を試すには2000万年という時間を必要とし、しかも毎晩0時にはその設定が更新されてしまう、そんな難攻不落の暗号機への挑戦が始まった。
暗号機エニグマの解読はもちろん現在「コンピューター」と呼ばれる全ての機器の基礎を築いた天才数学者アラン・チューリングの人物像に迫る物語です。タイトルの「イミテーション・ゲーム」とは1950年にアランが発表した論文のタイトルでもあります。
エニグマを主題とした物語は数多く、マイケル・バー=ゾウハーの「エニグマ奇襲指令」など数々のスパイ小説がありますし、アランの評伝を基にした戯曲「ブレイキング・ザ・コード」は日本でも邦訳版が上演されました。また、サイモン・シンのドキュメンタリー「暗号解読」では一つの章を丸々使ってエニグマ解読の道のりを取り上げています。
この映画、無論主題のひとつはエニグマの解読に至るまでのドラマですが、それだけではなく歴史物戦争物でありスパイ・ミステリーでもあり、また二つの恋を描く物語でもありそれでいてマイノリティの不遇を描く物語でもある、と非常に多くの要素を内包した作品です。
第2次大戦中の話でありながら前線の様子がほとんど登場しないというのもなかなかユニーク。ある意味裏方とも言うべき技術者や学者の奮闘を描く所などは宮崎駿監督の「風立ちぬ」と相似点を感じさせますね。
物語に複雑かつ芳醇な奥行きを与えるのはアランの人物像です。アランはゲイであり、そんなアランの10代での最初で最後の恋(10代のアランを演じるのはアレックス・ローザ―)と婚約するものの後に破談になる女性ジョーン・クラーク(キーラ・ナイトレイ)との交流が描かれ、そうであったがゆえに破滅の道を静かに歩いて行く(イギリスでは1967年に同性婚が認められるまでゲイは実刑の対象だった)アランの姿が更に映画を味わい深いものにしています。
そんなアランを演じるベネディクト・カンバーバッチの演技にも注目です。現代で言えば恐らくアスペルガー症候群か何かではなかろうと思われるアランの偏屈で傲慢でそれでいて絶対的な孤独と寂しさを抱くキャラクターを見事に表現…というか最早「体現」しています。さすがカンバーバッチ、偏屈な天才やらせたら右に出る者はいません(笑)。この圧倒的な存在感は絶対的なまでに観客に強い印象を残す事でしょう。
もちろん彼だけでなく他の人物も全てが一面的でないキャラクターばかりで実際の所印象に残らない人物の方が少ない、というのもこの映画の凄い所でもあります。
映画は1951年と1939~45年、1928年という3つの時間をかなり頻繁に行き来するのですが、字幕表示は出たり出なかったりなので人によっては展開を把握しづらく感じる瞬間があるかもしれません。が、せいぜい瑕疵などそれくらいのハイレベルな映画です。
大戦の影で人知れず戦い続けた数学者の物語、是非、多くの方に楽しんでほしい作品ですね。
仕事に直結する内容なので観始めましたが、ニッカウィスキーの創立者である竹鶴政孝とその妻リタをモデルに当時珍しかった国際結婚のドタバタと国産初のウイスキーを造り出そうとする職人の物語の兼ね合いが面白く、気づけば結構ハマって観てました。
朝ドラという事でどちらかと言えばマッサンとエリーの夫婦の絆を物語の中心にし、敢えて専門的なフレーズを少なめにしながらも、150回という長尺を活かして時代や技術の変遷に絡んだ多くのエピソードを盛り込んで来て、中にはかなり興味深いものもありそう言った意味でも半年間ガッツリ楽しみました。
あと個人的にはシリーズ序盤の「変にプライド高くてデカい事言うけど実際はただの無職」というマッサン像が強烈で今でも思い出すと何か変に胃が痛くなります(笑)
こんばんは、小島@監督です。
しかし楽しかったとは言っても朝の連続テレビ小説を半年間毎日追うのは正直とてもめんどくさいのでもう2度とやる事は無いだろうな~(苦笑)
さて、今回の映画は「イミテーション・ゲーム エニグマと天才数学者の秘密」です。
1951年、盗難事件の通報を受けノック刑事(ロニー・キリア)は数学者アラン・チューリング(ベネディクト・カンバーバッチ)宅に赴くが、「何も盗まれていない」と捜査を固辞される。その態度に不審を抱いたノックはソ連のスパイではないかと疑い捜査を開始する。
時は遡り1939年、イギリスはヒトラー率いるナチスドイツと開戦。
その最中、アランは海軍中佐デニストン(チャールズ・ダンス)の招聘を受けブレッチリー・パークで最高機密の作戦に参加することになる。それはドイツが誇る暗号機「エニグマ」の解読であった。その設定159×10の18乗通り!全設定を試すには2000万年という時間を必要とし、しかも毎晩0時にはその設定が更新されてしまう、そんな難攻不落の暗号機への挑戦が始まった。
暗号機エニグマの解読はもちろん現在「コンピューター」と呼ばれる全ての機器の基礎を築いた天才数学者アラン・チューリングの人物像に迫る物語です。タイトルの「イミテーション・ゲーム」とは1950年にアランが発表した論文のタイトルでもあります。
エニグマを主題とした物語は数多く、マイケル・バー=ゾウハーの「エニグマ奇襲指令」など数々のスパイ小説がありますし、アランの評伝を基にした戯曲「ブレイキング・ザ・コード」は日本でも邦訳版が上演されました。また、サイモン・シンのドキュメンタリー「暗号解読」では一つの章を丸々使ってエニグマ解読の道のりを取り上げています。
この映画、無論主題のひとつはエニグマの解読に至るまでのドラマですが、それだけではなく歴史物戦争物でありスパイ・ミステリーでもあり、また二つの恋を描く物語でもありそれでいてマイノリティの不遇を描く物語でもある、と非常に多くの要素を内包した作品です。
第2次大戦中の話でありながら前線の様子がほとんど登場しないというのもなかなかユニーク。ある意味裏方とも言うべき技術者や学者の奮闘を描く所などは宮崎駿監督の「風立ちぬ」と相似点を感じさせますね。
物語に複雑かつ芳醇な奥行きを与えるのはアランの人物像です。アランはゲイであり、そんなアランの10代での最初で最後の恋(10代のアランを演じるのはアレックス・ローザ―)と婚約するものの後に破談になる女性ジョーン・クラーク(キーラ・ナイトレイ)との交流が描かれ、そうであったがゆえに破滅の道を静かに歩いて行く(イギリスでは1967年に同性婚が認められるまでゲイは実刑の対象だった)アランの姿が更に映画を味わい深いものにしています。
そんなアランを演じるベネディクト・カンバーバッチの演技にも注目です。現代で言えば恐らくアスペルガー症候群か何かではなかろうと思われるアランの偏屈で傲慢でそれでいて絶対的な孤独と寂しさを抱くキャラクターを見事に表現…というか最早「体現」しています。さすがカンバーバッチ、偏屈な天才やらせたら右に出る者はいません(笑)。この圧倒的な存在感は絶対的なまでに観客に強い印象を残す事でしょう。
もちろん彼だけでなく他の人物も全てが一面的でないキャラクターばかりで実際の所印象に残らない人物の方が少ない、というのもこの映画の凄い所でもあります。
映画は1951年と1939~45年、1928年という3つの時間をかなり頻繁に行き来するのですが、字幕表示は出たり出なかったりなので人によっては展開を把握しづらく感じる瞬間があるかもしれません。が、せいぜい瑕疵などそれくらいのハイレベルな映画です。
大戦の影で人知れず戦い続けた数学者の物語、是非、多くの方に楽しんでほしい作品ですね。
先週放送が完結した「四月は君の嘘」の最終回に見事にボロ泣き。
セリフを抑えて表情と動きで心情を表現した主人公・公生とヒロイン・かをりのセッションシーンなどクライマックスに相応しい上質なシーンが多い上に最後の最後でタイトルの意味が明かされる構成も上手く、素晴らしい締め括りでした。初回から非常に丁寧に作られていたアニメでしたが最後までその姿勢が貫かれ、漫画原作のアニメ化としては大成功だったと言えるでしょう。途中で終わらずちゃんと結末までやり切ったのも良いですね。
こんばんは、小島@監督です。
「四月は君の嘘」はいずれもう一度初回から観直したい。
さて、今回の映画は「風に立つライオン」です。
1987年、大学病院からケニアの医療施設へ赴任した医師島田航一郎(大沢たかお)は、現地の赤十字病院から1か月の派遣要請を受ける。そこで航一郎はスーダンでの内戦で傷を負ったこどもたちの姿を目の当たりにする。アフリカの厳しい現実に衝撃を受けながらもその医療行為に使命感を覚えた航一郎は赤十字病院への転籍を志願した。
そんなある日、航一郎の前に家族を惨殺され麻薬漬けにされた少年兵ンドゥングが運び込まれる。
実在の医師にインスパイアされさだまさしが1987年に発表した楽曲「風に立つライオン」、それに惚れ込んだ大沢たかおが映画化を熱望して実現した作品、だそうです。なので大沢たかおは主演だけでなく企画としてもクレジットされています。さだまさし原作作品の映画も「解夏」「眉山」に次ぐ3作目だそうで、結構縁が深いよう。
監督は「藁の楯」で大沢たかおと組んだ三池崇史。個人的に「ヤッターマン」「クローズZERO」「逆転裁判」などのアニメ・漫画・ゲーム原作の実写化や「悪の教典」「着信アリ」「十三人の刺客」などのバイオレンス描写の強いアクションやホラーを製作しているイメージが強く、こういったヒューマンドラマを撮れるとはちょっと意外で驚きました。
三池監督の持ち味が特に活かされているように感じられたのは作中に2度登場する銃撃戦のシーンです。そこだけ激しいアクションが…というワケではなく良く観るとかなり限定的な空間で撮影しているのが分かります。ですがそれでも画面が安っぽくならないように工夫している当たり、年に2本も3本もプログラムピクチャーを製作している彼ならではの手腕というべきでしょうか。
映画は過去と現在を行きつ戻りつしながら、航一郎のケニアでの医療活動と日本で離れて暮らす恋人・秋島貴子(真木よう子)の物語が並行して描かれます。
日本とケニアの物語はそれぞれ半々くらいのボリュームで、正直な印象として、日本でのエピソードはそれ自体は悪くないのですがケニアのエピソードの数々の方が綺羅星のような輝きを放つためいささかバランスが悪く感じられてしまうのが難点です。
現地でオーディションしたらしい少年たちの生き生きとした表情が素晴らしくずっと観ていたくなるくらいだった、というのもありますが。
余談ですが、俳優陣の中で貴子の故郷・五島列島で漁師をしている青年田上太郎を演じる鈴木亮平の漁師姿が異様にハマっています。あんな兄ちゃんいるわ~と言いたくなるくらいの強烈な存在感です。物語の流れとは別にアレは必見!
あと大学病院勤務時代の貴子を演じる真木よう子の野暮ったい髪形とか赤十字病院で航一郎と共に医療に携わる和歌子を演じる石原さとみとか画的な見どころもそれなりにあります(笑)
意外に乾いた作りで過度に感動を押し売りして来ないのも好印象で、全体を通してみれば人を選ばない誰もが楽しめる映画と言えるでしょう。
春休みシーズンに差し掛かり様々なアニメや特撮の映画も公開になっていますが、時にはこんな映画を楽しんでみるのも良いと思いますよ。
セリフを抑えて表情と動きで心情を表現した主人公・公生とヒロイン・かをりのセッションシーンなどクライマックスに相応しい上質なシーンが多い上に最後の最後でタイトルの意味が明かされる構成も上手く、素晴らしい締め括りでした。初回から非常に丁寧に作られていたアニメでしたが最後までその姿勢が貫かれ、漫画原作のアニメ化としては大成功だったと言えるでしょう。途中で終わらずちゃんと結末までやり切ったのも良いですね。
こんばんは、小島@監督です。
「四月は君の嘘」はいずれもう一度初回から観直したい。
さて、今回の映画は「風に立つライオン」です。
1987年、大学病院からケニアの医療施設へ赴任した医師島田航一郎(大沢たかお)は、現地の赤十字病院から1か月の派遣要請を受ける。そこで航一郎はスーダンでの内戦で傷を負ったこどもたちの姿を目の当たりにする。アフリカの厳しい現実に衝撃を受けながらもその医療行為に使命感を覚えた航一郎は赤十字病院への転籍を志願した。
そんなある日、航一郎の前に家族を惨殺され麻薬漬けにされた少年兵ンドゥングが運び込まれる。
実在の医師にインスパイアされさだまさしが1987年に発表した楽曲「風に立つライオン」、それに惚れ込んだ大沢たかおが映画化を熱望して実現した作品、だそうです。なので大沢たかおは主演だけでなく企画としてもクレジットされています。さだまさし原作作品の映画も「解夏」「眉山」に次ぐ3作目だそうで、結構縁が深いよう。
監督は「藁の楯」で大沢たかおと組んだ三池崇史。個人的に「ヤッターマン」「クローズZERO」「逆転裁判」などのアニメ・漫画・ゲーム原作の実写化や「悪の教典」「着信アリ」「十三人の刺客」などのバイオレンス描写の強いアクションやホラーを製作しているイメージが強く、こういったヒューマンドラマを撮れるとはちょっと意外で驚きました。
三池監督の持ち味が特に活かされているように感じられたのは作中に2度登場する銃撃戦のシーンです。そこだけ激しいアクションが…というワケではなく良く観るとかなり限定的な空間で撮影しているのが分かります。ですがそれでも画面が安っぽくならないように工夫している当たり、年に2本も3本もプログラムピクチャーを製作している彼ならではの手腕というべきでしょうか。
映画は過去と現在を行きつ戻りつしながら、航一郎のケニアでの医療活動と日本で離れて暮らす恋人・秋島貴子(真木よう子)の物語が並行して描かれます。
日本とケニアの物語はそれぞれ半々くらいのボリュームで、正直な印象として、日本でのエピソードはそれ自体は悪くないのですがケニアのエピソードの数々の方が綺羅星のような輝きを放つためいささかバランスが悪く感じられてしまうのが難点です。
現地でオーディションしたらしい少年たちの生き生きとした表情が素晴らしくずっと観ていたくなるくらいだった、というのもありますが。
余談ですが、俳優陣の中で貴子の故郷・五島列島で漁師をしている青年田上太郎を演じる鈴木亮平の漁師姿が異様にハマっています。あんな兄ちゃんいるわ~と言いたくなるくらいの強烈な存在感です。物語の流れとは別にアレは必見!
あと大学病院勤務時代の貴子を演じる真木よう子の野暮ったい髪形とか赤十字病院で航一郎と共に医療に携わる和歌子を演じる石原さとみとか画的な見どころもそれなりにあります(笑)
意外に乾いた作りで過度に感動を押し売りして来ないのも好印象で、全体を通してみれば人を選ばない誰もが楽しめる映画と言えるでしょう。
春休みシーズンに差し掛かり様々なアニメや特撮の映画も公開になっていますが、時にはこんな映画を楽しんでみるのも良いと思いますよ。
一昨日の土曜、いつものように起床してテレビを点けたらちょうどニュースで北陸新幹線の一番列車が発車するところを中継してました。
テレビで見てるだけでも結構テンション上がります。深夜から現地で待ってた人達はもっとテンション上がったんだろうな~
こんばんは、小島@監督です。
北陸新幹線、一度乗ってみたいとは思うものの乗るためだけに行くにも大回りしなきゃいけないのでだいぶ厄介(苦笑)
さて、今回の映画は「アメリカン・スナイパー」です。
テキサス州で厳格な父に育てられた青年クリス・カイル(ブラッドリー・クーパー)は、アフリカでのアメリカ大使館爆破事件のニュースをきっかけに軍へ志願、難関を突破し特殊部隊シールズへの入隊を果たした。
プライベートではタヤ(シエナ・ミラー)と出会い結婚。幸せな新生活が始まろうかという矢先、イラク戦争が勃発し、クリスは最前線へと派遣される事に。
戦場となったイラクの街でクリスは狙撃手として進軍を見守る。そのスコープ越しに一組の母子の姿が目に留まった。
2003年以降4度に渡りイラクに遠征、凄腕の狙撃術でもって実に160人以上を射殺し味方からは「伝説」と呼ばれ、敵からは「悪魔」と恐れられ賞金まで賭けられた男クリス・カイル自身の手記を巨匠クリント・イーストウッドの手で映画化、それが「アメリカン・スナイパー」です。
クリント・イーストウッドは2006年にもいわゆる「硫黄島二部作」で戦争を題材とした映画を手掛けていますが、戦争経験によって心が壊れる様を描いていくあたり「父親たちの星条旗」との相似点を感じさせますね。
また、軍入隊前のクリスがロデオで荒稼ぎしていたカウボーイだったり、出征したイラクでムスタファという凄腕の狙撃手との幾度にも渡る戦いが待っているところなどはイーストウッドの知名度を上げた西部劇を彷彿とする構図ですね。しかしそのように描きながら「ヒーロー性」のようなものを一切加味しようとしていないあたりが言ってみれば「エグイ」です。
クリス・カイルは愛する者や仲間を守りたい一心で戦地に赴きますが、狙撃手として極限状況において淡々と引き金を引き続ける中で少しずつその心は磨滅していきます。遠征を終え帰国しても工具の音や後ろを走るバンに過剰に反応してしまうようになっていきます。そしてまた吸い寄せられるように戦地へと出征していくその様をクリント・イーストウッドは視点をクリスから離さないまま、しかし決してある距離感より近づこうとはせず、また過剰に盛る様な事もせず冷徹とも言える姿勢でクリスの人生を描き出していくのです。
「ミスティック・リバー」(2003年)や「ミリオンダラー・ベイビー」(2004年)と言いイーストウッド監督はヘビーな題材ほどこのスタンスで製作する傾向があり、しかしその冷徹な目線故に却ってその重さを観る者に叩きつけてくるような強さを持ちます。その「強さ」はこの「アメリカン・スナイパー」で遂に頂点に達したような気がします。
「アメリカン・スナイパー」を巡って本国アメリカでは大統領夫人まで巻き込んでの賛否真っ二つの大激論が起こったそうですが、それはそれだけこの作品にパワーがあった証拠とも言えるでしょう。
この映画は単に作品として優れているだけでなく強く残る余韻の中に「今」というものを観る者に突きつける、ほぼ一分の隙も無い「完璧」と言って良い作品です。後は観る側の相性だけの問題というか。
これほどの作品にはそうそう出会えるものではありません。観るのにかなり体力の要る映画ではありますが(苦笑)、できるなら映画館で正面から向き合ってみて欲しい作品ですね。
テレビで見てるだけでも結構テンション上がります。深夜から現地で待ってた人達はもっとテンション上がったんだろうな~
こんばんは、小島@監督です。
北陸新幹線、一度乗ってみたいとは思うものの乗るためだけに行くにも大回りしなきゃいけないのでだいぶ厄介(苦笑)
さて、今回の映画は「アメリカン・スナイパー」です。
テキサス州で厳格な父に育てられた青年クリス・カイル(ブラッドリー・クーパー)は、アフリカでのアメリカ大使館爆破事件のニュースをきっかけに軍へ志願、難関を突破し特殊部隊シールズへの入隊を果たした。
プライベートではタヤ(シエナ・ミラー)と出会い結婚。幸せな新生活が始まろうかという矢先、イラク戦争が勃発し、クリスは最前線へと派遣される事に。
戦場となったイラクの街でクリスは狙撃手として進軍を見守る。そのスコープ越しに一組の母子の姿が目に留まった。
2003年以降4度に渡りイラクに遠征、凄腕の狙撃術でもって実に160人以上を射殺し味方からは「伝説」と呼ばれ、敵からは「悪魔」と恐れられ賞金まで賭けられた男クリス・カイル自身の手記を巨匠クリント・イーストウッドの手で映画化、それが「アメリカン・スナイパー」です。
クリント・イーストウッドは2006年にもいわゆる「硫黄島二部作」で戦争を題材とした映画を手掛けていますが、戦争経験によって心が壊れる様を描いていくあたり「父親たちの星条旗」との相似点を感じさせますね。
また、軍入隊前のクリスがロデオで荒稼ぎしていたカウボーイだったり、出征したイラクでムスタファという凄腕の狙撃手との幾度にも渡る戦いが待っているところなどはイーストウッドの知名度を上げた西部劇を彷彿とする構図ですね。しかしそのように描きながら「ヒーロー性」のようなものを一切加味しようとしていないあたりが言ってみれば「エグイ」です。
クリス・カイルは愛する者や仲間を守りたい一心で戦地に赴きますが、狙撃手として極限状況において淡々と引き金を引き続ける中で少しずつその心は磨滅していきます。遠征を終え帰国しても工具の音や後ろを走るバンに過剰に反応してしまうようになっていきます。そしてまた吸い寄せられるように戦地へと出征していくその様をクリント・イーストウッドは視点をクリスから離さないまま、しかし決してある距離感より近づこうとはせず、また過剰に盛る様な事もせず冷徹とも言える姿勢でクリスの人生を描き出していくのです。
「ミスティック・リバー」(2003年)や「ミリオンダラー・ベイビー」(2004年)と言いイーストウッド監督はヘビーな題材ほどこのスタンスで製作する傾向があり、しかしその冷徹な目線故に却ってその重さを観る者に叩きつけてくるような強さを持ちます。その「強さ」はこの「アメリカン・スナイパー」で遂に頂点に達したような気がします。
「アメリカン・スナイパー」を巡って本国アメリカでは大統領夫人まで巻き込んでの賛否真っ二つの大激論が起こったそうですが、それはそれだけこの作品にパワーがあった証拠とも言えるでしょう。
この映画は単に作品として優れているだけでなく強く残る余韻の中に「今」というものを観る者に突きつける、ほぼ一分の隙も無い「完璧」と言って良い作品です。後は観る側の相性だけの問題というか。
これほどの作品にはそうそう出会えるものではありません。観るのにかなり体力の要る映画ではありますが(苦笑)、できるなら映画館で正面から向き合ってみて欲しい作品ですね。