昨日の歌会に参加された皆さん、お疲れ様でした。
今回は久しぶりに参加した方がいたのでその方とごく親しいメンツで固まって、70~80年代中心の割と古めの歌を歌いまくる流れに。昔のアニソンは短い曲が多いので、部屋全体で67曲とかなりの量になりました。自分としても普段開けない外角低めの引き出しを遠慮なくオープンにして歌うのはなかなか久しぶりだったのでかなり楽しい時間を過ごせました。
こんばんは、小島@監督です。
たまにはこういうのも良い。
さて、今回の映画は「ブリムストーン」です。
開拓時代、アメリカ。
小さな村で助産師として働くリズ(ダコタ・ファニング)は、ある理由から口は聞けないが村では頼られる存在であり、年の離れた夫と二人の子供と共につましくも幸せに暮らしていた。
そんなある日、村に一人の牧師(ガイ・ピアース)が赴任してきたことでリズの暮らしは一変する。牧師は告げる、「私はお前の罪を罰するために来た」と。リズは家族に身の危険が迫っていることを伝えるのだが…
ヴェネツィア国際映画祭コンペティション部門に選出され、上映されるやその内容に批評家たちの間でも議論が起きたという刺激的な作品が現在公開中です。
開拓時代のアメリカを舞台とするいわゆる「西部劇」的な設定ではありますが、製作したのはアメリカではなく(アメリカ資本は入っていますが)、撮影も製作もオランダ・フランスを始めとしたヨーロッパ各国の合同体制で製作された異色の映画です。
偏執的で狂信的な牧師の執拗な攻撃に苦しみながらも抗い続けるリズの生き様を描くこの物語は4幕構成で展開し、第1章でリズの幸福をすり潰しにかかる牧師の姿を描いたのち、第2章と第3章では思いもかけぬ切り口で牧師が言うリズの「罪」の根源を語り、終章までをミステリアスかつサスペンスフルに描き出していきます。連続ドラマのように前の章で語られたことが後の章で伏線として活きる巧みな構成で、148分という長尺ながら全くだれることが無いところに今作の脚本と監督を手掛けたマルティン・コールホーヴェンの手腕がうかがえます。
また全編を通して生々しく時に残酷なバイオレンス描写が頻出しますが、暴力シーンを見せたくて入れているのではなくきちんと物語の中で意味のあるものとして入れこんでいる辺りもさすがです。
全体を通して描かれていくのは開拓時代の徹底した女性への抑圧。妻は夫とのセックスを拒むことを許されず、娼館に生きる女たちは男たちにどんな責め苦を味わわされてもそれを拒否する権利を与えられず、反抗して声を上げようとするのならそれこそ命を懸けなければならない。法律も信仰心も男性優位で女性を護りはしない。そんな身も心も焼き尽くされるような中でまさに命懸けでその宿命に抗い続ける一人の女性を描くこの映画は、長い準備期間を経て完成した作品であるにもかかわらず期せずして昨今Twitterを始めとしたSNSで旋風を巻き起こす「#MeToo」のムーブメントを思い起こさせます。宗教的な色彩も強いこの映画はフェミニズム論だけでなく社会学的な観点で見ても興味深い物語に映るのではと思います。
このパワフルな物語を演じる俳優の演技にも注目です。己の信仰心と支配欲に囚われリズに歪な感情をぶつけ続けその全てを破壊しようとする最狂最悪のストーカー牧師を演じるガイ・ピアース、どれほど汚辱にまみれようと凛とした眼差しを失くさず苛烈な運命と戦うリズを演じるダコタ・ファニングと、そしてその少女時代を念じるエミリア・ジョーンズ、全て忘れがたい名演技ばかりで、映画の印象をより重厚なものにしてくれます。それとにわかに信じ難いのですが「言葉を失くした2児の母」なんて難役を演じたダコタ・ファニング、まだ23歳!幼い頃から第一線で活躍してきた名優とは言えその歳でここまで成熟できるものなのかとビビります。チートが過ぎる。
観る者にうねるようなエネルギーを叩き付ける、非常に凄みのある映画です。と同時にとてもしんどい映画でもあります(苦笑)。
新年早々こんな重苦しいのは観たくないわー!という方も多い事でしょう、強くお薦めしたりは致しません。派手な大作よりもズシンと来る重みのある作品が観たい、という方のみ劇場へ足を運んでみてください。
今回は久しぶりに参加した方がいたのでその方とごく親しいメンツで固まって、70~80年代中心の割と古めの歌を歌いまくる流れに。昔のアニソンは短い曲が多いので、部屋全体で67曲とかなりの量になりました。自分としても普段開けない外角低めの引き出しを遠慮なくオープンにして歌うのはなかなか久しぶりだったのでかなり楽しい時間を過ごせました。
こんばんは、小島@監督です。
たまにはこういうのも良い。
さて、今回の映画は「ブリムストーン」です。
開拓時代、アメリカ。
小さな村で助産師として働くリズ(ダコタ・ファニング)は、ある理由から口は聞けないが村では頼られる存在であり、年の離れた夫と二人の子供と共につましくも幸せに暮らしていた。
そんなある日、村に一人の牧師(ガイ・ピアース)が赴任してきたことでリズの暮らしは一変する。牧師は告げる、「私はお前の罪を罰するために来た」と。リズは家族に身の危険が迫っていることを伝えるのだが…
ヴェネツィア国際映画祭コンペティション部門に選出され、上映されるやその内容に批評家たちの間でも議論が起きたという刺激的な作品が現在公開中です。
開拓時代のアメリカを舞台とするいわゆる「西部劇」的な設定ではありますが、製作したのはアメリカではなく(アメリカ資本は入っていますが)、撮影も製作もオランダ・フランスを始めとしたヨーロッパ各国の合同体制で製作された異色の映画です。
偏執的で狂信的な牧師の執拗な攻撃に苦しみながらも抗い続けるリズの生き様を描くこの物語は4幕構成で展開し、第1章でリズの幸福をすり潰しにかかる牧師の姿を描いたのち、第2章と第3章では思いもかけぬ切り口で牧師が言うリズの「罪」の根源を語り、終章までをミステリアスかつサスペンスフルに描き出していきます。連続ドラマのように前の章で語られたことが後の章で伏線として活きる巧みな構成で、148分という長尺ながら全くだれることが無いところに今作の脚本と監督を手掛けたマルティン・コールホーヴェンの手腕がうかがえます。
また全編を通して生々しく時に残酷なバイオレンス描写が頻出しますが、暴力シーンを見せたくて入れているのではなくきちんと物語の中で意味のあるものとして入れこんでいる辺りもさすがです。
全体を通して描かれていくのは開拓時代の徹底した女性への抑圧。妻は夫とのセックスを拒むことを許されず、娼館に生きる女たちは男たちにどんな責め苦を味わわされてもそれを拒否する権利を与えられず、反抗して声を上げようとするのならそれこそ命を懸けなければならない。法律も信仰心も男性優位で女性を護りはしない。そんな身も心も焼き尽くされるような中でまさに命懸けでその宿命に抗い続ける一人の女性を描くこの映画は、長い準備期間を経て完成した作品であるにもかかわらず期せずして昨今Twitterを始めとしたSNSで旋風を巻き起こす「#MeToo」のムーブメントを思い起こさせます。宗教的な色彩も強いこの映画はフェミニズム論だけでなく社会学的な観点で見ても興味深い物語に映るのではと思います。
このパワフルな物語を演じる俳優の演技にも注目です。己の信仰心と支配欲に囚われリズに歪な感情をぶつけ続けその全てを破壊しようとする最狂最悪のストーカー牧師を演じるガイ・ピアース、どれほど汚辱にまみれようと凛とした眼差しを失くさず苛烈な運命と戦うリズを演じるダコタ・ファニングと、そしてその少女時代を念じるエミリア・ジョーンズ、全て忘れがたい名演技ばかりで、映画の印象をより重厚なものにしてくれます。それとにわかに信じ難いのですが「言葉を失くした2児の母」なんて難役を演じたダコタ・ファニング、まだ23歳!幼い頃から第一線で活躍してきた名優とは言えその歳でここまで成熟できるものなのかとビビります。チートが過ぎる。
観る者にうねるようなエネルギーを叩き付ける、非常に凄みのある映画です。と同時にとてもしんどい映画でもあります(苦笑)。
新年早々こんな重苦しいのは観たくないわー!という方も多い事でしょう、強くお薦めしたりは致しません。派手な大作よりもズシンと来る重みのある作品が観たい、という方のみ劇場へ足を運んでみてください。
土曜の朝TVを点けたらいきなり目に飛び込んできた星野仙一氏の訃報に驚きを隠せませんでした。
その業績については既に連日報道されてますので今更ここで言及することも無いでしょう。そのキャラクターも野球への姿勢も忘れがたい印象を残す、まさに名将でした。
宮城では献花台が設けられたとか。本当に愛されていたのですね。
こんばんは、小島@監督です。
さすがに少し寂しい気持ちになりました。謹んでご冥福をお祈りします。
さて、今回は映画ではなくライブの話。
この土日、年明け早々だというのに半ば強引に連休を取って「THE IDOLM@STER ニューイヤーライブ!! 初星宴舞」のライブビューイングに行ってきました。
今年も既にいくつも大型イベントが控えているアイドルマスターの、その皮切りとなるライブは765プロオールスターズの単独ライブ。シンデレラガールズ、ミリオンライブ、SideMと言った各タイトルのイベントはコンスタントに開催されていますが、765プロASの単独ライブは2014年に開催された9thツアー以来実に3年3か月ぶりとなります。昨年開催のイベント、「プロデューサーミーティング」で「歌だけのライブがやりたい」と叫んでいた如月千早役今井麻美さんの悲願が1年越しに叶った格好です。
アイマスのテーマ曲「THE IDOLM@STER」の和風アレンジ「初星MIX」と共に、「和」を意識したこれまでより落ち着いた色調の衣装に身を包んだ出演者たちが登場しステージは開幕。MCを挟んで本格スタートとなるのですが、そこから先のセットリストは初日と2日目で実にその8割を入れ替えてくるという大胆な構成を取っていました。
こちらとしても待ち望んでいた765プロASのライブ、印象に残ったパフォーマンスなんてそりゃもう怒涛のようにあります。出演者1人1人に対する個別の感想を書きたいくらいで実はさっき1度書いてみたのですが、何ぼ何でもな文章量になってしまったのでここでは割愛させてもらいます(苦笑)
あ、でもせめて竜宮小町全員としては初披露の「七彩ボタン」と5th以来7年半ぶりにオリジナルメンバーでのパフォーマンスとなった「オーバーマスター」には一言触れておかなきゃ。どちらも嬉しいやら驚くやらでイントロがかかった瞬間「ああ!ああああ!」とか奇声を発してしまいましたですよ、ええ、ええ(笑)
セットリストの今回初披露の曲には、直近にリリースされた曲だけでなく天海春香役中村繪里子さんのソロ曲「ステキハピネス」や水瀬伊織役釘宮理恵さんのソロ曲「ロイヤルストレートフラッシュ」のようにリリースから3年以上経ってるような曲もあり、既存曲にしても最後に披露されてから5年以上経っている曲がいくつも登場する(三浦あずさ役たかはし智秋さんのソロ曲「9:02PM」に至っては11年ぶり!)など、私も含めイントロを聴いて震える経験をした方も多い事でしょう。
今回のライブで披露されたソロ曲は事前に出演者たちに「何を歌いたいか」の希望を聞いたそうです。その甲斐もあったでしょう。観客の「一度聴きたかった」「もう一度聴きたかった」と出演者たちの「一度は歌いたい」「もう一度歌いたい」が絡み合い、うねりとなってステージをより高みへと導くエネルギーとなっていました。
そして、その曲一つ一つのパフォーマンスに宿るのは単純な「パワー」などではなく10年を超えた時間の積み重ねが成し得た「重み」と「凄み」です。誇張ではなく出演者たちの声優・表現者としての「生き様」を叩き付けてくるような、そんな凄みが宿っているのです。それは例えば「ゲンキトリッパー」のようなポップな曲でも「Next Life」のようなダンスチューンでも「隣に…」のようなバラードでも関係なく1つも余さず全ての曲にその凄みがありました。
今回はライブビューイングで鑑賞しましたが、LVが常態化した今日とあってかなり中継を意識した演出がなされていたのもこのステージの特徴です。特にライティングのセンスがイベント全体を通して冴えに冴えていた印象。中でも、曲の最後にほんの数秒だけスクリーン映像に演出を施していたため現地で観ていた方はそれを見逃していた可能性も高い我那覇響役沼倉愛美さんのソロ「Rebellion」と、照明の色調とカメラのアングル、スイッチングが中継とは思えぬほど洗練されていた中村繪里子さんと今井麻美さんのデュオ曲「CRIMSON LOVERS」はそれ自体が一つのPVとして完成していたように思えるほどでした。
今回のイベントを一言で表すなら、そう、「万感」と言ったところでしょうか。この余韻はもう少し大事にしていたい。
終演後、同行した方にもまたTwitterで呟いたりもしましたが、いつかソフト化された折には仲間内で上映会を開いてコールを入れたりして騒ぐより、一人かごく少数でウィスキーのグラスでも傾けながら浸るように楽しみたいところです。
ところで、これも昨年2,3の前例が成功したので味を占めたのでしょうか、今回の「初星宴舞」もアンコール上映が決定しました。2月10日に初日が、11日に2日目がそれぞれ再上映されます。チケットの先行受付も始まっているので、今回見逃した方、もう一度観てみたい方はチェックしてみてはいかがでしょう。
その業績については既に連日報道されてますので今更ここで言及することも無いでしょう。そのキャラクターも野球への姿勢も忘れがたい印象を残す、まさに名将でした。
宮城では献花台が設けられたとか。本当に愛されていたのですね。
こんばんは、小島@監督です。
さすがに少し寂しい気持ちになりました。謹んでご冥福をお祈りします。
さて、今回は映画ではなくライブの話。
この土日、年明け早々だというのに半ば強引に連休を取って「THE IDOLM@STER ニューイヤーライブ!! 初星宴舞」のライブビューイングに行ってきました。
今年も既にいくつも大型イベントが控えているアイドルマスターの、その皮切りとなるライブは765プロオールスターズの単独ライブ。シンデレラガールズ、ミリオンライブ、SideMと言った各タイトルのイベントはコンスタントに開催されていますが、765プロASの単独ライブは2014年に開催された9thツアー以来実に3年3か月ぶりとなります。昨年開催のイベント、「プロデューサーミーティング」で「歌だけのライブがやりたい」と叫んでいた如月千早役今井麻美さんの悲願が1年越しに叶った格好です。
アイマスのテーマ曲「THE IDOLM@STER」の和風アレンジ「初星MIX」と共に、「和」を意識したこれまでより落ち着いた色調の衣装に身を包んだ出演者たちが登場しステージは開幕。MCを挟んで本格スタートとなるのですが、そこから先のセットリストは初日と2日目で実にその8割を入れ替えてくるという大胆な構成を取っていました。
こちらとしても待ち望んでいた765プロASのライブ、印象に残ったパフォーマンスなんてそりゃもう怒涛のようにあります。出演者1人1人に対する個別の感想を書きたいくらいで実はさっき1度書いてみたのですが、何ぼ何でもな文章量になってしまったのでここでは割愛させてもらいます(苦笑)
あ、でもせめて竜宮小町全員としては初披露の「七彩ボタン」と5th以来7年半ぶりにオリジナルメンバーでのパフォーマンスとなった「オーバーマスター」には一言触れておかなきゃ。どちらも嬉しいやら驚くやらでイントロがかかった瞬間「ああ!ああああ!」とか奇声を発してしまいましたですよ、ええ、ええ(笑)
セットリストの今回初披露の曲には、直近にリリースされた曲だけでなく天海春香役中村繪里子さんのソロ曲「ステキハピネス」や水瀬伊織役釘宮理恵さんのソロ曲「ロイヤルストレートフラッシュ」のようにリリースから3年以上経ってるような曲もあり、既存曲にしても最後に披露されてから5年以上経っている曲がいくつも登場する(三浦あずさ役たかはし智秋さんのソロ曲「9:02PM」に至っては11年ぶり!)など、私も含めイントロを聴いて震える経験をした方も多い事でしょう。
今回のライブで披露されたソロ曲は事前に出演者たちに「何を歌いたいか」の希望を聞いたそうです。その甲斐もあったでしょう。観客の「一度聴きたかった」「もう一度聴きたかった」と出演者たちの「一度は歌いたい」「もう一度歌いたい」が絡み合い、うねりとなってステージをより高みへと導くエネルギーとなっていました。
そして、その曲一つ一つのパフォーマンスに宿るのは単純な「パワー」などではなく10年を超えた時間の積み重ねが成し得た「重み」と「凄み」です。誇張ではなく出演者たちの声優・表現者としての「生き様」を叩き付けてくるような、そんな凄みが宿っているのです。それは例えば「ゲンキトリッパー」のようなポップな曲でも「Next Life」のようなダンスチューンでも「隣に…」のようなバラードでも関係なく1つも余さず全ての曲にその凄みがありました。
今回はライブビューイングで鑑賞しましたが、LVが常態化した今日とあってかなり中継を意識した演出がなされていたのもこのステージの特徴です。特にライティングのセンスがイベント全体を通して冴えに冴えていた印象。中でも、曲の最後にほんの数秒だけスクリーン映像に演出を施していたため現地で観ていた方はそれを見逃していた可能性も高い我那覇響役沼倉愛美さんのソロ「Rebellion」と、照明の色調とカメラのアングル、スイッチングが中継とは思えぬほど洗練されていた中村繪里子さんと今井麻美さんのデュオ曲「CRIMSON LOVERS」はそれ自体が一つのPVとして完成していたように思えるほどでした。
今回のイベントを一言で表すなら、そう、「万感」と言ったところでしょうか。この余韻はもう少し大事にしていたい。
終演後、同行した方にもまたTwitterで呟いたりもしましたが、いつかソフト化された折には仲間内で上映会を開いてコールを入れたりして騒ぐより、一人かごく少数でウィスキーのグラスでも傾けながら浸るように楽しみたいところです。
ところで、これも昨年2,3の前例が成功したので味を占めたのでしょうか、今回の「初星宴舞」もアンコール上映が決定しました。2月10日に初日が、11日に2日目がそれぞれ再上映されます。チケットの先行受付も始まっているので、今回見逃した方、もう一度観てみたい方はチェックしてみてはいかがでしょう。
明けましておめでとうございます!
今回は元旦の更新!2日前に1本上げてるけど今日は今日でちゃんと書きますよ!
こんばんは、小島@監督です。
皆さん、今年もよろしくお願いします。
さて、2018年最初の映画は「スターウォーズ 最後のジェダイ」です。
スターキラー基地の破壊に成功したものの、レジスタンスの劣勢は変わらない。ファーストオーダーの猛攻に、撤退戦を余儀なくされていた。その攻撃のさなか、レイア(キャリー・フィッシャー)は重傷を負ってしまう。
一方その頃、古代寺院が残るばかりの絶海の孤島で、レイ(デイジー・リドリー)はルーク・スカイウォーカー(マーク・ハミル)と邂逅を果たしていた。レイはフォースが覚醒した自身を導いてほしいと願い出るが頑なに断られてしまう。ルークはかつて愛弟子であったベン・ソロがダークサイドに堕ちカイロ・レン(アダム・ドライバー)になるのを止められなかったことを悔い、隠棲生活を送っていたのだ…
2015年にJ.J.エイブラムスの手によって新たなスタートを踏み出した「スターウォーズ」、三部作の2作目に当たるエピソード8が現在公開中です。
前作の「フォースの覚醒」は1作目であるエピソード4「新たなる希望」の構図を踏襲しながら新たな世代の人物と物語を描き出していきましたが、今作ではその「フォースの覚醒」でできた断層のようなものを更に広げてくるような作りになっています。
特徴的な点と言えば今作はシリーズ最長の150分という上映時間ながら作中で描かれる経過時間は恐らくシリーズで最も短いというところが挙げられるでしょう。個人のパーソナルな物語や冒険と共にエピソード1~3では増長したジェダイ・オーダーの凋落や民主主義の没落が、エピソード4~6では帝国と共和国という二国間の対立が並列して描かれましたが、今作では覚醒したフォースに戸惑い葛藤するレイと自我が暴走し無軌道な行動をとるカイロ・レンの魂の交錯といったパーソナルな描写は充実しているものの、大局的な展開はほぼなく局所的な描写に終始しているのがポイントです。
ディズニーが権利を買い取り、本伝だけでなく「ローグ・ワン」のようなスピンオフも今後コンスタントに製作・公開されるであろう現在、「スターウォーズ」は「神話」から「年代記(クロニクル)」へと語り口の舵取りを変えてきたように思えます。今作は物語としては局所的ですが、「スターウォーズ」そのもののあり方としては転換点にある作品と言えるでしょう。今作でのルーク・スカイウォーカーの、さながらイエス・キリストを思わせる描写はまさにその転換を象徴するもののように思えます。
そんな中、前作から徹底して描かれるのは旧きものの「喪失」と新たなるものへの「継承」とくびきからの「解放」です。
ネタバレを避けるため詳細は敢えてここでは書きませんが、多くのものが失われていく中で、レイやカイロ・レンが何を手にし、何を受け継いでいくかが重要な焦点と言えます。また、同時にストームトルーパーの呪縛から解き放たれたフィン(ジョン・ボイエガ)と、その彼に憎悪にも似た感情を抱くキャプテン・ファズマ(グウェンドリン・クリスティ)の確執にも注目です。
一方でこの映画、賛否両論あるのもうなずけるというか、かなり大きな欠点を抱えています。
一つは「スターウォーズ」の重要なファクターの一つともいえる「フォース」の描写が今作ではかなり万能に過ぎるという点です。枷や制限のほとんどない能力の描き方は物語から緊張感を削ぐばかりか寒いギャグにもなりかねない危険性を孕んでいて、次作以降はこの辺ちょっと自重してほしいところです。
もう一つは、ご覧になった方はご理解いただけるのではと思うのですが、実は後半の展開に作劇上極めて重大な欠陥があります。せっかくここまで時間をかけて描いてきたキャラクターの魅力を根こそぎダメにする寸前まで行っているため、大きな展開は変わらずとも細かいところにもっとフォローが欲しかった感じです。
欠点が多いと言っても久しぶりにがっつり物語に絡むルーク・スカイウォーカーの姿に加え、実はサプライズ気味にもう一人懐かしいキャラクターも登場してくれて、結構胸が熱くなるのは確かですし、今作が遺作となるレイア役キャリー・フィッシャーの最期の姿と、それを伝えるスタッフクレジットの一言がどうしようもなく切なくなります。
作品の評価はどうあれ、「スターウォーズ」のファンという方であるならば、今作はちゃんとスクリーンで観ておくべきでしょう。
幸いにして、字幕翻訳はSF作品に定評のある林完治さんですし、畑違いの芸能人を起用するようなことをしなかったので吹替でも安心して観ていられます。お時間の合う方でどうぞ。
今回は元旦の更新!2日前に1本上げてるけど今日は今日でちゃんと書きますよ!
こんばんは、小島@監督です。
皆さん、今年もよろしくお願いします。
さて、2018年最初の映画は「スターウォーズ 最後のジェダイ」です。
スターキラー基地の破壊に成功したものの、レジスタンスの劣勢は変わらない。ファーストオーダーの猛攻に、撤退戦を余儀なくされていた。その攻撃のさなか、レイア(キャリー・フィッシャー)は重傷を負ってしまう。
一方その頃、古代寺院が残るばかりの絶海の孤島で、レイ(デイジー・リドリー)はルーク・スカイウォーカー(マーク・ハミル)と邂逅を果たしていた。レイはフォースが覚醒した自身を導いてほしいと願い出るが頑なに断られてしまう。ルークはかつて愛弟子であったベン・ソロがダークサイドに堕ちカイロ・レン(アダム・ドライバー)になるのを止められなかったことを悔い、隠棲生活を送っていたのだ…
2015年にJ.J.エイブラムスの手によって新たなスタートを踏み出した「スターウォーズ」、三部作の2作目に当たるエピソード8が現在公開中です。
前作の「フォースの覚醒」は1作目であるエピソード4「新たなる希望」の構図を踏襲しながら新たな世代の人物と物語を描き出していきましたが、今作ではその「フォースの覚醒」でできた断層のようなものを更に広げてくるような作りになっています。
特徴的な点と言えば今作はシリーズ最長の150分という上映時間ながら作中で描かれる経過時間は恐らくシリーズで最も短いというところが挙げられるでしょう。個人のパーソナルな物語や冒険と共にエピソード1~3では増長したジェダイ・オーダーの凋落や民主主義の没落が、エピソード4~6では帝国と共和国という二国間の対立が並列して描かれましたが、今作では覚醒したフォースに戸惑い葛藤するレイと自我が暴走し無軌道な行動をとるカイロ・レンの魂の交錯といったパーソナルな描写は充実しているものの、大局的な展開はほぼなく局所的な描写に終始しているのがポイントです。
ディズニーが権利を買い取り、本伝だけでなく「ローグ・ワン」のようなスピンオフも今後コンスタントに製作・公開されるであろう現在、「スターウォーズ」は「神話」から「年代記(クロニクル)」へと語り口の舵取りを変えてきたように思えます。今作は物語としては局所的ですが、「スターウォーズ」そのもののあり方としては転換点にある作品と言えるでしょう。今作でのルーク・スカイウォーカーの、さながらイエス・キリストを思わせる描写はまさにその転換を象徴するもののように思えます。
そんな中、前作から徹底して描かれるのは旧きものの「喪失」と新たなるものへの「継承」とくびきからの「解放」です。
ネタバレを避けるため詳細は敢えてここでは書きませんが、多くのものが失われていく中で、レイやカイロ・レンが何を手にし、何を受け継いでいくかが重要な焦点と言えます。また、同時にストームトルーパーの呪縛から解き放たれたフィン(ジョン・ボイエガ)と、その彼に憎悪にも似た感情を抱くキャプテン・ファズマ(グウェンドリン・クリスティ)の確執にも注目です。
一方でこの映画、賛否両論あるのもうなずけるというか、かなり大きな欠点を抱えています。
一つは「スターウォーズ」の重要なファクターの一つともいえる「フォース」の描写が今作ではかなり万能に過ぎるという点です。枷や制限のほとんどない能力の描き方は物語から緊張感を削ぐばかりか寒いギャグにもなりかねない危険性を孕んでいて、次作以降はこの辺ちょっと自重してほしいところです。
もう一つは、ご覧になった方はご理解いただけるのではと思うのですが、実は後半の展開に作劇上極めて重大な欠陥があります。せっかくここまで時間をかけて描いてきたキャラクターの魅力を根こそぎダメにする寸前まで行っているため、大きな展開は変わらずとも細かいところにもっとフォローが欲しかった感じです。
欠点が多いと言っても久しぶりにがっつり物語に絡むルーク・スカイウォーカーの姿に加え、実はサプライズ気味にもう一人懐かしいキャラクターも登場してくれて、結構胸が熱くなるのは確かですし、今作が遺作となるレイア役キャリー・フィッシャーの最期の姿と、それを伝えるスタッフクレジットの一言がどうしようもなく切なくなります。
作品の評価はどうあれ、「スターウォーズ」のファンという方であるならば、今作はちゃんとスクリーンで観ておくべきでしょう。
幸いにして、字幕翻訳はSF作品に定評のある林完治さんですし、畑違いの芸能人を起用するようなことをしなかったので吹替でも安心して観ていられます。お時間の合う方でどうぞ。
こんばんは、小島@監督です。
本来今日は私のターンではないのですが、やはりコレは年内中にやっておかないと自分の収まりが悪い、ということで敢えて今週2本目のブログ。「今年の5本」について語ってみたいと思います。
例年同様、各作品には今日現在の鑑賞可能状況を記載しておきます。参考になれば幸いです。
1.LOGAN/ローガン
ヒュー・ジャックマンがウルヴァリンを演じた最後の作品。往年の西部劇のような語り口で老いたるヒーローの最期の戦いが描かれます。個人的には「ダークナイト」にも比肩しうるのでは?と思わせるほど深みのあるシナリオに引き込まれました。Blu-ray/DVD/ダウンロード版発売中。
2.ラ・ラ・ランド
多くの夢追い人が集まる街ロサンゼルスで、互いの夢を応援しあう男女の姿を描いたミュージカル。さあ、音楽の魔法にかかりましょう。Blu-ray/DVD/ダウンロード版発売中。
3.キングコング 髑髏島の巨神
至高の怪獣エンタメ映画にして今年最高峰のボンクラ映画。さあ、まだの人は良いから観るのです。そして童心に帰ろうぜ(笑)!Blu-ray/DVD/ダウンロード版発売中。
4.ブレードランナー2049
SF映画の伝説的名作に35年の時を経てまさかの続編が登場。ブログで紹介していないのは観たのがつい先日だからです(苦笑)。一種のディテクティブストーリーを基調にしながらも前作から更にテーマを踏み込み深化させたアプローチと、前作を踏襲しつつ進化したビジュアルに震える傑作。あとヒロインとも言うべきアナ・デ・アルマス演じる人工知能「ジョイ」がとてもカワイイヤッターである。ミッドランドスクエアなどまだいくつか上映を継続しているところがありますがそれもほぼ終盤。来年3月2日にBlu-ray/DVD/ダウンロード版発売予定。
5.君の膵臓をたべたい
刺激的なタイトルながら少年と少女の心の交流を描く瑞々しい青春ドラマの佳作。何より浜辺美波と北村匠海、主演二人の演技が絶品。Blu-ray/DVD/ダウンロード版は来年1月17日に発売予定。
5本を選ぶとしたらこんな感じです。昨年は邦画、特にアニメに傑作が揃っていましたが今年はむしろ洋画に忘れがたい作品が多かった印象。
さて、ここからはベスト5とまでは行かなくとも印象深かった作品たちをご紹介。例年通り鑑賞順に紹介していきます。
・ドクター・ストレンジ
ベネディクト・カンバーバッチ主演のマーベルのニューヒーロー映画。VFXの進化により大抵のことは表現できるようになったと言ってもこの作品のトリッキーな映像マジックは一見の価値ありです。いい感じに中二病心をくすぐってくれるシチュエーションやポージングの数々も楽しい。Blu-ray/DVD/ダウンロード版発売中。
・アイ・イン・ザ・スカイ 世界一安全な戦場
ドローン技術により様変わりしつつある「戦争」のありようをあぶり出し観る者を揺さぶるサスペンス。戦争は会議室で起こっている。Blu-ray/DVD/ダウンロード版発売中。
・虐殺器官
伊藤計劃のSF小説のアニメ映画化。ある程度SFに対して素養が無いと置いてけぼりを食らいかねないきらいはあるものの、昨今の流行りからは一線を画す硬質な語り口は一見の価値あり。Blu-ray/DVD発売中。
・プリキュアドリームスターズ
毎年恒例のプリキュアお祭り映画ではあるのですが、思い切った設定で「アニメ」の表現技法を大胆に行き来するユニークな見せ方が強く印象に残りました。Blu-ray/DVD発売中。
・シネマ狂想曲~名古屋映画館革命~
シネマスコーレ副支配人坪井篤史氏の熱い日々を綴るドキュメンタリー。「好き」を突き詰めて仕事にしていくって多分こういう事なんだろうと思う。ソフト化の予定一切無し!全国公開&ギャラクシー賞受賞を記念しての凱旋上映が30日から当のスコーレにて始まっています。興味のある方はこの機会に何としても!
・イップ・マン 継承
木人摏を打ち込む音が熱いドニー・イェン主演のカンフー映画。武道家にも、その妻にも戦うための矜持がある。Blu-ray/DVD/ダウンロード版発売中。
・ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー リミックス
ノリのいい音楽と共にあのボンクラヒーロー達が帰ってきた!前作よりいろいろとパワーアップしてる上、エンドクレジットにもみっちりネタを仕込んでくる旺盛なサービス精神も楽しい。Blu-ray/DVD/ダウンロード版発売中。
・ジョン・ウィック チャプター2
キアヌ・リーヴス主演のアクションシリーズの2作目。コミックのような世界観をより深く掘り下げて、復讐劇は更にスタイリッシュに進化する。Blu-ray/DVD/ダウンロード版発売中。
・ハロルドとリリアン ハリウッド・ラブストーリー
・すばらしき映画音楽たち
今年は不思議と「映画」を掘り下げるドキュメンタリーが何本も公開されました。中でも印象深かったのはこの2本。絵コンテ作家とリサーチャー夫婦の生涯を追った「ハロルドとリリアン」、劇伴の製作風景と共に映画音楽という観点から映画史を紐解く「すばらしき映画音楽たち」、いずれも映画の楽しみ方を深めてくれる佳作です。「すばらしき映画音楽たち」はBlu-ray/DVD/ダウンロード版発売中。また、刈谷日劇にて1月4日まで上映中です。「ハロルドとリリアン」は上映は既に終了しているものの、ソフトのリリースは現在未定です。
・Fate/kalaide linerプリズマ☆イリヤ 雪下の誓い
Fateスピンオフにして魔法少女アニメシリーズ初の劇場版は、魔法少女成分ほぼゼロのハードボイルドアクション。たった一つを守り抜くために他の全てを失ってゆく衛宮士郎の孤独で悲壮な戦いが描かれます。媚び媚びのキービジュアルに熱い萌えアニメを期待してると痛い目見るぜ!Blu-ray/DVDは1月31日発売予定。
・ダンケルク
戦場を駆け抜けろ、そして生き残れ!クリストファー・ノーランが描く極限の脱出劇に震えろ。Blu-ray/DVD/ダウンロード版発売中。
・ドリーム
宇宙開発競争の影で自らの道を切り拓いていく女性たちの姿を描いたヒューマンドラマ。ストーリー、キャラクター、話運びのテンポなど全てが高い水準でまとまった骨太な作品です。ダウンロード版は1月17日に、Blu-ray/DVDは2月2日発売予定。また、1月4日まで刈谷日劇で、5日まで浜松シネマイーラにて上映中です。
・IT/”それ”が見えたら、終わり
スティーブン・キングの小説を原作にしたホラー映画。ちょっとノスタルジックな少年期の情景とホラーのゾクゾクと冒険のドキドキが詰まった傑作。ミッドランドスクエアなどで現在も上映中です。
マーベルヒーローを筆頭に、今年はシリーズ物の土台や枠組みの中で意欲的な試みを見せる作品が多かった印象です。普段はスルーするタイプの作品を何となく観てみたら思いがけず大ヒットだった、なんてこともあったので今後も選り好みせずいろんな作品に触れたいものです。来年はどんな映画に巡り会えるのでしょうか。
では皆さん、良いお年を!
本来今日は私のターンではないのですが、やはりコレは年内中にやっておかないと自分の収まりが悪い、ということで敢えて今週2本目のブログ。「今年の5本」について語ってみたいと思います。
例年同様、各作品には今日現在の鑑賞可能状況を記載しておきます。参考になれば幸いです。
1.LOGAN/ローガン
ヒュー・ジャックマンがウルヴァリンを演じた最後の作品。往年の西部劇のような語り口で老いたるヒーローの最期の戦いが描かれます。個人的には「ダークナイト」にも比肩しうるのでは?と思わせるほど深みのあるシナリオに引き込まれました。Blu-ray/DVD/ダウンロード版発売中。
2.ラ・ラ・ランド
多くの夢追い人が集まる街ロサンゼルスで、互いの夢を応援しあう男女の姿を描いたミュージカル。さあ、音楽の魔法にかかりましょう。Blu-ray/DVD/ダウンロード版発売中。
3.キングコング 髑髏島の巨神
至高の怪獣エンタメ映画にして今年最高峰のボンクラ映画。さあ、まだの人は良いから観るのです。そして童心に帰ろうぜ(笑)!Blu-ray/DVD/ダウンロード版発売中。
4.ブレードランナー2049
SF映画の伝説的名作に35年の時を経てまさかの続編が登場。ブログで紹介していないのは観たのがつい先日だからです(苦笑)。一種のディテクティブストーリーを基調にしながらも前作から更にテーマを踏み込み深化させたアプローチと、前作を踏襲しつつ進化したビジュアルに震える傑作。あとヒロインとも言うべきアナ・デ・アルマス演じる人工知能「ジョイ」がとてもカワイイヤッターである。ミッドランドスクエアなどまだいくつか上映を継続しているところがありますがそれもほぼ終盤。来年3月2日にBlu-ray/DVD/ダウンロード版発売予定。
5.君の膵臓をたべたい
刺激的なタイトルながら少年と少女の心の交流を描く瑞々しい青春ドラマの佳作。何より浜辺美波と北村匠海、主演二人の演技が絶品。Blu-ray/DVD/ダウンロード版は来年1月17日に発売予定。
5本を選ぶとしたらこんな感じです。昨年は邦画、特にアニメに傑作が揃っていましたが今年はむしろ洋画に忘れがたい作品が多かった印象。
さて、ここからはベスト5とまでは行かなくとも印象深かった作品たちをご紹介。例年通り鑑賞順に紹介していきます。
・ドクター・ストレンジ
ベネディクト・カンバーバッチ主演のマーベルのニューヒーロー映画。VFXの進化により大抵のことは表現できるようになったと言ってもこの作品のトリッキーな映像マジックは一見の価値ありです。いい感じに中二病心をくすぐってくれるシチュエーションやポージングの数々も楽しい。Blu-ray/DVD/ダウンロード版発売中。
・アイ・イン・ザ・スカイ 世界一安全な戦場
ドローン技術により様変わりしつつある「戦争」のありようをあぶり出し観る者を揺さぶるサスペンス。戦争は会議室で起こっている。Blu-ray/DVD/ダウンロード版発売中。
・虐殺器官
伊藤計劃のSF小説のアニメ映画化。ある程度SFに対して素養が無いと置いてけぼりを食らいかねないきらいはあるものの、昨今の流行りからは一線を画す硬質な語り口は一見の価値あり。Blu-ray/DVD発売中。
・プリキュアドリームスターズ
毎年恒例のプリキュアお祭り映画ではあるのですが、思い切った設定で「アニメ」の表現技法を大胆に行き来するユニークな見せ方が強く印象に残りました。Blu-ray/DVD発売中。
・シネマ狂想曲~名古屋映画館革命~
シネマスコーレ副支配人坪井篤史氏の熱い日々を綴るドキュメンタリー。「好き」を突き詰めて仕事にしていくって多分こういう事なんだろうと思う。ソフト化の予定一切無し!全国公開&ギャラクシー賞受賞を記念しての凱旋上映が30日から当のスコーレにて始まっています。興味のある方はこの機会に何としても!
・イップ・マン 継承
木人摏を打ち込む音が熱いドニー・イェン主演のカンフー映画。武道家にも、その妻にも戦うための矜持がある。Blu-ray/DVD/ダウンロード版発売中。
・ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー リミックス
ノリのいい音楽と共にあのボンクラヒーロー達が帰ってきた!前作よりいろいろとパワーアップしてる上、エンドクレジットにもみっちりネタを仕込んでくる旺盛なサービス精神も楽しい。Blu-ray/DVD/ダウンロード版発売中。
・ジョン・ウィック チャプター2
キアヌ・リーヴス主演のアクションシリーズの2作目。コミックのような世界観をより深く掘り下げて、復讐劇は更にスタイリッシュに進化する。Blu-ray/DVD/ダウンロード版発売中。
・ハロルドとリリアン ハリウッド・ラブストーリー
・すばらしき映画音楽たち
今年は不思議と「映画」を掘り下げるドキュメンタリーが何本も公開されました。中でも印象深かったのはこの2本。絵コンテ作家とリサーチャー夫婦の生涯を追った「ハロルドとリリアン」、劇伴の製作風景と共に映画音楽という観点から映画史を紐解く「すばらしき映画音楽たち」、いずれも映画の楽しみ方を深めてくれる佳作です。「すばらしき映画音楽たち」はBlu-ray/DVD/ダウンロード版発売中。また、刈谷日劇にて1月4日まで上映中です。「ハロルドとリリアン」は上映は既に終了しているものの、ソフトのリリースは現在未定です。
・Fate/kalaide linerプリズマ☆イリヤ 雪下の誓い
Fateスピンオフにして魔法少女アニメシリーズ初の劇場版は、魔法少女成分ほぼゼロのハードボイルドアクション。たった一つを守り抜くために他の全てを失ってゆく衛宮士郎の孤独で悲壮な戦いが描かれます。媚び媚びのキービジュアルに熱い萌えアニメを期待してると痛い目見るぜ!Blu-ray/DVDは1月31日発売予定。
・ダンケルク
戦場を駆け抜けろ、そして生き残れ!クリストファー・ノーランが描く極限の脱出劇に震えろ。Blu-ray/DVD/ダウンロード版発売中。
・ドリーム
宇宙開発競争の影で自らの道を切り拓いていく女性たちの姿を描いたヒューマンドラマ。ストーリー、キャラクター、話運びのテンポなど全てが高い水準でまとまった骨太な作品です。ダウンロード版は1月17日に、Blu-ray/DVDは2月2日発売予定。また、1月4日まで刈谷日劇で、5日まで浜松シネマイーラにて上映中です。
・IT/”それ”が見えたら、終わり
スティーブン・キングの小説を原作にしたホラー映画。ちょっとノスタルジックな少年期の情景とホラーのゾクゾクと冒険のドキドキが詰まった傑作。ミッドランドスクエアなどで現在も上映中です。
マーベルヒーローを筆頭に、今年はシリーズ物の土台や枠組みの中で意欲的な試みを見せる作品が多かった印象です。普段はスルーするタイプの作品を何となく観てみたら思いがけず大ヒットだった、なんてこともあったので今後も選り好みせずいろんな作品に触れたいものです。来年はどんな映画に巡り会えるのでしょうか。
では皆さん、良いお年を!
こんばんは、小島@監督です。
今回はいつもより更にもうちょっとディープな映画の話を致しましょう。
先日のクリスマス歌会からぷちさた~んさんが一度観てみたいような、でもお金払ってまで観たくはないようなタイトルを並べた「C級映画DVD」の貸出を始めました。今回はその内の1本と、私が個人的にぷちさた~んさんからお借りしたDVDの、合わせて2本の映画のショートレビューをお送りします。
1本目は「アタリ:ゲームオーバー」。2015年に製作された映画で監督は脚本家のザック・ペン(「アベンジャーズ」共同脚本ほか)。
1970年代後半~80年代初頭に隆盛を誇りながら急速に凋落したゲームマシン「アタリ2600」、1982年のクリスマスシーズン最大の目玉として開発された「E.T.」は、しかしそのアタリ2600を倒産に導いた「史上最悪のクソゲー」との烙印を押されています。
ニューメキシコのアラモゴードにその不良在庫が大量に埋められているという都市伝説があるのですが、それをザック・ペンが実際に掘り返して検証しようというドキュメンタリーです。
この映画の柱は2つ。重機と作業員を大量投入し分析と鑑定のために考古学者まで呼び出して大量投棄されたというゲームソフトを探して掘り返すバラエティー番組的な側面と、アタリ創業者ノーラン・ブッシュネルや「E.T.」開発者ハワード・ウォーショウら関係者へ丹念な取材を行い「E.T.」は如何にして生まれたか、アタリはいかにして隆盛しそして凋落していったかを探るドキュメンタリーとしての側面です。
この二面が絶妙なうねりをもたらし、思いもかけぬ知的興奮をもたらします。
いわゆる「アタリショック」によりアメリカのゲーム市場は一度完全に死に絶え、その空隙に任天堂が飛び込み、現在のゲーム市場を形作っていくことになります。そんなテレビゲーム黎明期の熱狂を掘り下げるこの映画、内容と掛けるワケではないですがまさに「掘り出し物」。正直、舐めてました。C級なんてとんでもない。コレは隠れた名作です。
そしてもう一つは「ターボキッド」。
こちらも2015年の作品でカナダ・ニュージーランド合作。フランソワ・シマール、アヌーク・ウィッセル、ヨアン・カールウィッセル3人の共同脚本・監督作品です。
核戦争により文明が荒廃した世界。水を巡って猛者たちが争う野蛮地帯で謎めいた少女アップル(ローレンス・レボーフ)と出会い恋に落ちた事をきっかけに悪と戦うことになる青年キッド(マーロン・チェンバース)の戦いを描きます。
「マッドマックス」や「北斗の拳」を彷彿とさせるこの映画最大の特徴は「ガソリンすらも枯渇した」ため、登場人物の移動手段がみんな「自転車である」という点です。主人公だろうと女の子だろうといかつい武装を施したおっさんであろうとみんなチャリンコ。誰かを護るために、何かから逃げるために皆大真面目にペダルを踏みこみ終末世界を駆け抜けます。
低予算映画なのでVFXもかなりチープ。登場人物のコテコテな衣装と言いシンセバリバリのBGMと言い無駄に血しぶき多めのバトルシークエンスと言い強烈な80年代臭とインディーズ臭さが漂うこの映画、じゃあつまらないのかと言えば全くそんなことはない不思議。
どこから湧いてくるのか分からない奇妙なまでに高い熱量にちょっぴり甘酸っぱいセンチメンタルが加味されて、何故だか画面に引き込まれます。この「熱量」が世界各地のファンタスティック映画祭(端的に言って芸術的な作品よりマニアックな映画ばかりを集めて上映する映画祭)で称賛されました。これもまた映画の魔法の一つの形と言えるでしょう。
「アタリ:ゲームオーバー」と「ターボキッド」、どちらもマニアックな映画に違いはないですが、だからこそ人を惹きつけもする作品です。ツボにハマれば最高に楽しい逸品たち。こんなのにフッと出会えるからやっぱり映画は面白いのです(笑)
…って、本文をほぼ書き切った後に本来なら今日が私の年内最後のターンだったことに気づいてしまったので、毎年暮れに書いている「アレ」は別枠で年内中に、多分30日か31日にアップします。誰のためというより自分の収まりがイマイチ悪いのでね(苦笑)!
今回はいつもより更にもうちょっとディープな映画の話を致しましょう。
先日のクリスマス歌会からぷちさた~んさんが一度観てみたいような、でもお金払ってまで観たくはないようなタイトルを並べた「C級映画DVD」の貸出を始めました。今回はその内の1本と、私が個人的にぷちさた~んさんからお借りしたDVDの、合わせて2本の映画のショートレビューをお送りします。
1本目は「アタリ:ゲームオーバー」。2015年に製作された映画で監督は脚本家のザック・ペン(「アベンジャーズ」共同脚本ほか)。
1970年代後半~80年代初頭に隆盛を誇りながら急速に凋落したゲームマシン「アタリ2600」、1982年のクリスマスシーズン最大の目玉として開発された「E.T.」は、しかしそのアタリ2600を倒産に導いた「史上最悪のクソゲー」との烙印を押されています。
ニューメキシコのアラモゴードにその不良在庫が大量に埋められているという都市伝説があるのですが、それをザック・ペンが実際に掘り返して検証しようというドキュメンタリーです。
この映画の柱は2つ。重機と作業員を大量投入し分析と鑑定のために考古学者まで呼び出して大量投棄されたというゲームソフトを探して掘り返すバラエティー番組的な側面と、アタリ創業者ノーラン・ブッシュネルや「E.T.」開発者ハワード・ウォーショウら関係者へ丹念な取材を行い「E.T.」は如何にして生まれたか、アタリはいかにして隆盛しそして凋落していったかを探るドキュメンタリーとしての側面です。
この二面が絶妙なうねりをもたらし、思いもかけぬ知的興奮をもたらします。
いわゆる「アタリショック」によりアメリカのゲーム市場は一度完全に死に絶え、その空隙に任天堂が飛び込み、現在のゲーム市場を形作っていくことになります。そんなテレビゲーム黎明期の熱狂を掘り下げるこの映画、内容と掛けるワケではないですがまさに「掘り出し物」。正直、舐めてました。C級なんてとんでもない。コレは隠れた名作です。
そしてもう一つは「ターボキッド」。
こちらも2015年の作品でカナダ・ニュージーランド合作。フランソワ・シマール、アヌーク・ウィッセル、ヨアン・カールウィッセル3人の共同脚本・監督作品です。
核戦争により文明が荒廃した世界。水を巡って猛者たちが争う野蛮地帯で謎めいた少女アップル(ローレンス・レボーフ)と出会い恋に落ちた事をきっかけに悪と戦うことになる青年キッド(マーロン・チェンバース)の戦いを描きます。
「マッドマックス」や「北斗の拳」を彷彿とさせるこの映画最大の特徴は「ガソリンすらも枯渇した」ため、登場人物の移動手段がみんな「自転車である」という点です。主人公だろうと女の子だろうといかつい武装を施したおっさんであろうとみんなチャリンコ。誰かを護るために、何かから逃げるために皆大真面目にペダルを踏みこみ終末世界を駆け抜けます。
低予算映画なのでVFXもかなりチープ。登場人物のコテコテな衣装と言いシンセバリバリのBGMと言い無駄に血しぶき多めのバトルシークエンスと言い強烈な80年代臭とインディーズ臭さが漂うこの映画、じゃあつまらないのかと言えば全くそんなことはない不思議。
どこから湧いてくるのか分からない奇妙なまでに高い熱量にちょっぴり甘酸っぱいセンチメンタルが加味されて、何故だか画面に引き込まれます。この「熱量」が世界各地のファンタスティック映画祭(端的に言って芸術的な作品よりマニアックな映画ばかりを集めて上映する映画祭)で称賛されました。これもまた映画の魔法の一つの形と言えるでしょう。
「アタリ:ゲームオーバー」と「ターボキッド」、どちらもマニアックな映画に違いはないですが、だからこそ人を惹きつけもする作品です。ツボにハマれば最高に楽しい逸品たち。こんなのにフッと出会えるからやっぱり映画は面白いのです(笑)
…って、本文をほぼ書き切った後に本来なら今日が私の年内最後のターンだったことに気づいてしまったので、毎年暮れに書いている「アレ」は別枠で年内中に、多分30日か31日にアップします。誰のためというより自分の収まりがイマイチ悪いのでね(苦笑)!
昨日突如として駆け巡った声優・遠藤ゆりかさん引退のニュースに驚きを隠せません。
「バンドリ!」に登場する「Roselia」のベース担当・今井リサ役でブレイクし始めた矢先の話で、Roselia自体単独ライブを成功させるほど人気が出てきたところということもあり、バンドリの今後の展開に多大な影響を及ぼしそうです。
本人は「体調が付いていかない」という主旨のコメントを発表していましたが、声優が本来の「声優」の領域を越え多数のイベントやグラビアなどをこなすようになった昨今、作品によっては過重労働気味になってしまうのかなという感が否めません。人気タイトルである「バンドリ!」の中核に近いキャストの突然の引退劇は今後の声優ビジネスにも影響しうるかもしれません。
こんばんは、小島@監督です。
上昇気流を捕まえたら捕まえたでパンクしてしまう、というのは映画「AMY」やアイマスのアニメでも描かれていたモチーフですが、実際目の当たりにすると複雑な気持ちになりますね…
さて、今回の映画は「オリエント急行殺人事件」です。
トルコ・イスタンブールで休暇を楽しもうとしていた探偵エルキュール・ポアロ(ケネス・ブラナー)は、しかしイギリスでの事件解決を頼まれ急遽オリエント急行に乗車することになった。
イスタンブールを出発後、食堂車で読書を楽しんでいたポアロにアメリカ人の富豪エドワード・ラチェット(ジョニー・デップ)が接触してきた。何者かに脅迫されているというラチェットはポアロに身辺警護を依頼するが、しかしポアロはあっさりと断ってしまう。
深夜、オリエント急行は雪崩のために脱線し立ち往生してしまう。しかも車内では殺人事件が発生。ラチェットが自身の客室で刺殺されていたのだ。鉄道会社役員ブーク(トム・ベイトマン)から捜査を頼まれたポアロは一等客室の乗客たちへ聞き込みを開始するが乗客には全員にアリバイがあった…
「ミステリの女王」と称され数多くのミステリ小説を著したアガサ・クリスティー。その彼女が1934年に発表し現在もなお版を重ねるベストセラーとなっているほか、度々映像化もされるなど代表作の一つと言える「オリエント急行の殺人」が1974年以来実に43年ぶりに映画化され現在公開中です。
1974年に映画化された際も主演のアルバート・フィニーほかイングリッド・バーグマンやショーン・コネリーなど主役級が何人も出演したことが話題となったそうですが、今回も華やかさでは引けを取りません。ケネス・ブラナー以下ジョニー・デップ、ペネロペ・クルス、ジュディ・デンチ、ミシェル・ファイファー、ウィレム・デフォーなど良く揃ったなと感心するほど錚々たるメンバーです。
映像化作品の中には2015年に三谷幸喜脚色・野村萬斎主演でドラマ化されたように舞台を日本に移すなど大胆なアレンジを加えたものもありますが今作では時代設定も含めて原作のテイストに比較的忠実な作品になっています。
敢えて最近の主流ではない65㎜フィルムを使っての撮影や脱線した列車の大掛かりなセットが組まれるなどさすが大作といった画面作りがされているのが特徴です。
監督を務めたのは主演でもあるケネス・ブラナー。「ヘンリー五世」(1989年)や「ハムレット」(1996年)などシェイクスピア作品の映画化などで高い評価を得ているほか、近年では「シンデレラ」(2015年)が記憶に新しいところで、古典的な作品をその骨格を逸脱することなくアレンジを加えられるセンスを持ち合わせ、今作でもそのセンスを遺憾なく発揮しています。
ケネス・ブラナーは舞台演出も数多くこなしており、「列車の中」という閉鎖空間、いわゆる「クローズド・サークル」な設定を活かして舞台劇のような見せ方をしているのもポイント。特にポアロがオリエント急行に乗り込む際のワンカット長回しのシーンは必見です。
途中で立ち回りを演じるなど活動的なシーンが多いのが今作のポアロの特徴ですが基本的には落ち着いた作風で、音響面でもそれが顕著に表れ、大作にしろアニメ映画にしろ大音響で楽しむのが常態化した昨今にはこの上品で繊細な音響効果はなかなか新鮮に聞こえるのではないでしょうか。
題材が題材なだけにできたそばからクラシックな印象が否めませんが、その雰囲気を楽しむのが「古典」の楽しみ方というもの。原作を知っている方には監督の演出や俳優の演技の妙を、原作を知らない方には80年も前にこういう結末を用意できてしまうアガサ・クリスティーの「女王」たる所以を、どうぞ劇場でご堪能下さい。
「バンドリ!」に登場する「Roselia」のベース担当・今井リサ役でブレイクし始めた矢先の話で、Roselia自体単独ライブを成功させるほど人気が出てきたところということもあり、バンドリの今後の展開に多大な影響を及ぼしそうです。
本人は「体調が付いていかない」という主旨のコメントを発表していましたが、声優が本来の「声優」の領域を越え多数のイベントやグラビアなどをこなすようになった昨今、作品によっては過重労働気味になってしまうのかなという感が否めません。人気タイトルである「バンドリ!」の中核に近いキャストの突然の引退劇は今後の声優ビジネスにも影響しうるかもしれません。
こんばんは、小島@監督です。
上昇気流を捕まえたら捕まえたでパンクしてしまう、というのは映画「AMY」やアイマスのアニメでも描かれていたモチーフですが、実際目の当たりにすると複雑な気持ちになりますね…
さて、今回の映画は「オリエント急行殺人事件」です。
トルコ・イスタンブールで休暇を楽しもうとしていた探偵エルキュール・ポアロ(ケネス・ブラナー)は、しかしイギリスでの事件解決を頼まれ急遽オリエント急行に乗車することになった。
イスタンブールを出発後、食堂車で読書を楽しんでいたポアロにアメリカ人の富豪エドワード・ラチェット(ジョニー・デップ)が接触してきた。何者かに脅迫されているというラチェットはポアロに身辺警護を依頼するが、しかしポアロはあっさりと断ってしまう。
深夜、オリエント急行は雪崩のために脱線し立ち往生してしまう。しかも車内では殺人事件が発生。ラチェットが自身の客室で刺殺されていたのだ。鉄道会社役員ブーク(トム・ベイトマン)から捜査を頼まれたポアロは一等客室の乗客たちへ聞き込みを開始するが乗客には全員にアリバイがあった…
「ミステリの女王」と称され数多くのミステリ小説を著したアガサ・クリスティー。その彼女が1934年に発表し現在もなお版を重ねるベストセラーとなっているほか、度々映像化もされるなど代表作の一つと言える「オリエント急行の殺人」が1974年以来実に43年ぶりに映画化され現在公開中です。
1974年に映画化された際も主演のアルバート・フィニーほかイングリッド・バーグマンやショーン・コネリーなど主役級が何人も出演したことが話題となったそうですが、今回も華やかさでは引けを取りません。ケネス・ブラナー以下ジョニー・デップ、ペネロペ・クルス、ジュディ・デンチ、ミシェル・ファイファー、ウィレム・デフォーなど良く揃ったなと感心するほど錚々たるメンバーです。
映像化作品の中には2015年に三谷幸喜脚色・野村萬斎主演でドラマ化されたように舞台を日本に移すなど大胆なアレンジを加えたものもありますが今作では時代設定も含めて原作のテイストに比較的忠実な作品になっています。
敢えて最近の主流ではない65㎜フィルムを使っての撮影や脱線した列車の大掛かりなセットが組まれるなどさすが大作といった画面作りがされているのが特徴です。
監督を務めたのは主演でもあるケネス・ブラナー。「ヘンリー五世」(1989年)や「ハムレット」(1996年)などシェイクスピア作品の映画化などで高い評価を得ているほか、近年では「シンデレラ」(2015年)が記憶に新しいところで、古典的な作品をその骨格を逸脱することなくアレンジを加えられるセンスを持ち合わせ、今作でもそのセンスを遺憾なく発揮しています。
ケネス・ブラナーは舞台演出も数多くこなしており、「列車の中」という閉鎖空間、いわゆる「クローズド・サークル」な設定を活かして舞台劇のような見せ方をしているのもポイント。特にポアロがオリエント急行に乗り込む際のワンカット長回しのシーンは必見です。
途中で立ち回りを演じるなど活動的なシーンが多いのが今作のポアロの特徴ですが基本的には落ち着いた作風で、音響面でもそれが顕著に表れ、大作にしろアニメ映画にしろ大音響で楽しむのが常態化した昨今にはこの上品で繊細な音響効果はなかなか新鮮に聞こえるのではないでしょうか。
題材が題材なだけにできたそばからクラシックな印象が否めませんが、その雰囲気を楽しむのが「古典」の楽しみ方というもの。原作を知っている方には監督の演出や俳優の演技の妙を、原作を知らない方には80年も前にこういう結末を用意できてしまうアガサ・クリスティーの「女王」たる所以を、どうぞ劇場でご堪能下さい。
昨日の歌会&忘年会に参加された皆さんお疲れ様でした。
前回参加できなかった分、今回はがっつり楽しませてもらいました。丸一日騒げて良い気晴らしになりました(笑)
プレゼント交換では今回は「ロード・オブ・ザ・リング」三部作と「ホビット」三部作のBlu-rayセットにしました。全6作合わせると17時間の超大作。当たった方には一気見する必要は無いのでのんびり楽しんで頂ければと思います。
こんばんは、小島@監督です。
因みに私はランブルスコ(イタリア北東部エミリアロマーニャ州の赤ワイン。甘口で微発砲性。)を頂きました。あれだけいろいろある中からワインを当てる私の引きよ(笑)クリスマスには似合いの酒なのでその時にでもいただきますね。
さて、今回の映画は「ジャスティス・リーグ」です。
クリプトンの怪物と戦いスーパーマン(ヘンリー・カヴィル)は斃れた。
彼亡き後の世界を護るためバットマンことブルース・ウェイン(ベン・アフレック)は特殊能力を持った者達でチームを結成することを決意する。ワンダーウーマン/ダイアナ(ガル・ガドット)と協力してフラッシュ/バリー・アレン(エズラ・ミラー)、アクアマン/アーサー・カリー(ジェイソン・モモア)、サイボーグ/ビクター・ストーン(レイ・フィッシャー)らをスカウトにかかるが…
俳優の演技や衣装だったり、あるいは脚本だったり音楽だったり物によってはVFXだったり、映画を観る際に重点的に着眼する箇所は様々でしょうが、私を含め大抵の方が普段特に意識しないで見ている部分に「編集」があります。この映画では、良くも悪くもその編集が作品の印象に直結することを実感することが出来ます。
2013年に公開された「マン・オブ・スティール」を起点として始まったDCヒーローたちのクロスオーバー作品群「DCエクステンデッド・ユニバース(以下DCEU)」、現時点での集大成ともいえるヒーロー大集合映画「ジャスティス・リーグ」が現在公開中です。
来年でいよいよシリーズ10周年になる「マーベル・シネマティック・ユニバース(以下MCU)」の方は作品のノリがシリアス寄りになるにしてもコメディ寄りになるにしても割と一貫したイメージの元できちんと「連作」として展開されているのと比べるとこの「DCEU」の方は作家性重視というか単発でのアクが強い上に全体的に暗いイメージの作品が多いのですが、今作では非常にシンプルなストーリーに明るめのライトなノリで作られているのが大きな特徴です。
監督はこのシリーズでは「マン・オブ・スティール」「バットマンVSスーパーマン」の監督を務めたほか「ウォッチメン」(2009年製作、主演ジェフリー・ディーン・モーガン)「300/スリーハンドレッド」(2007年製作、主演ジェラルド・バトラー)を手掛けたザック・スナイダー。
…なのですが、この映画のカラーを決定づけた最大の要因はザック・スナイダーではなく映画では脚本としてクレジットされているジョス・ウェドン(2012年に「アベンジャーズ」を監督した)の方でしょう。実はザック・スナイダーは製作中に娘の急死を受けて今作の本撮影が終わった時点で監督を降板しており、ポストプロダクションや追加撮影、そして編集と、後を引き継いだのがこのジョス・ウェドンなのです。
「アベンジャーズ」を代表作とするジョス・ウェドンは割とテンポを重視して映画を組み上げていく方で、彼がエディットした結果この映画は「ザックが撮っているのにザックっぽくない」という不思議な印象を与えることになります。
良い面としては上映時間が120分とスマートにまとまり話運びのテンポが良く、物語に入りやすい点があります。ザック・スナイダーは良くも悪くも「短くまとめない人」で、恐らく彼が編集までこなした場合上映時間は3時間近くになったことでしょう。きっちり2時間にまとめたことで間口が大きく広がったのは間違い無いでしょう。
反面、例えば「バットマンVSスーパーマン」は新約聖書の4つの福音書に描かれるイエスの「受難」になぞらえた宗教色の濃い物語を展開しており、それこそがザック・スナイダーの世界観でもあったのですが、今作でもその片鱗は見られるものの物語の核からはバッサリとオミットされているため「ザック・スナイダーの映画」を期待して観に行くとだいぶ肩透かしを食らうことになります。また、カットされた部分にこそ人物描写の肝があるようでどこか軽いというか据わりが悪いのは否めません。できればいつかザック・スナイダー・カットバージョンも観てみたいものです。
「どこに期待を寄せて行くか」で大きく評価が変わるであろうこの映画、単純にヒーロー大集合のお祭り映画を楽しみにして行くのが一番だと思います。
いろいろお疲れ気味で白髪も混じってきたバットマンにだいぶイキリオタクなフラッシュ、素直じゃない上に口が悪いアクアマン、引きこもり気味のサイボーグに相変わらず華やかでカッコいいけど100年前の恋を引きずりっぱなしのワンダーウーマンとコミュ障しかいないチームがどのようにチームとして形作られていくか、肩ひじ張らずに楽しんでください。
前回参加できなかった分、今回はがっつり楽しませてもらいました。丸一日騒げて良い気晴らしになりました(笑)
プレゼント交換では今回は「ロード・オブ・ザ・リング」三部作と「ホビット」三部作のBlu-rayセットにしました。全6作合わせると17時間の超大作。当たった方には一気見する必要は無いのでのんびり楽しんで頂ければと思います。
こんばんは、小島@監督です。
因みに私はランブルスコ(イタリア北東部エミリアロマーニャ州の赤ワイン。甘口で微発砲性。)を頂きました。あれだけいろいろある中からワインを当てる私の引きよ(笑)クリスマスには似合いの酒なのでその時にでもいただきますね。
さて、今回の映画は「ジャスティス・リーグ」です。
クリプトンの怪物と戦いスーパーマン(ヘンリー・カヴィル)は斃れた。
彼亡き後の世界を護るためバットマンことブルース・ウェイン(ベン・アフレック)は特殊能力を持った者達でチームを結成することを決意する。ワンダーウーマン/ダイアナ(ガル・ガドット)と協力してフラッシュ/バリー・アレン(エズラ・ミラー)、アクアマン/アーサー・カリー(ジェイソン・モモア)、サイボーグ/ビクター・ストーン(レイ・フィッシャー)らをスカウトにかかるが…
俳優の演技や衣装だったり、あるいは脚本だったり音楽だったり物によってはVFXだったり、映画を観る際に重点的に着眼する箇所は様々でしょうが、私を含め大抵の方が普段特に意識しないで見ている部分に「編集」があります。この映画では、良くも悪くもその編集が作品の印象に直結することを実感することが出来ます。
2013年に公開された「マン・オブ・スティール」を起点として始まったDCヒーローたちのクロスオーバー作品群「DCエクステンデッド・ユニバース(以下DCEU)」、現時点での集大成ともいえるヒーロー大集合映画「ジャスティス・リーグ」が現在公開中です。
来年でいよいよシリーズ10周年になる「マーベル・シネマティック・ユニバース(以下MCU)」の方は作品のノリがシリアス寄りになるにしてもコメディ寄りになるにしても割と一貫したイメージの元できちんと「連作」として展開されているのと比べるとこの「DCEU」の方は作家性重視というか単発でのアクが強い上に全体的に暗いイメージの作品が多いのですが、今作では非常にシンプルなストーリーに明るめのライトなノリで作られているのが大きな特徴です。
監督はこのシリーズでは「マン・オブ・スティール」「バットマンVSスーパーマン」の監督を務めたほか「ウォッチメン」(2009年製作、主演ジェフリー・ディーン・モーガン)「300/スリーハンドレッド」(2007年製作、主演ジェラルド・バトラー)を手掛けたザック・スナイダー。
…なのですが、この映画のカラーを決定づけた最大の要因はザック・スナイダーではなく映画では脚本としてクレジットされているジョス・ウェドン(2012年に「アベンジャーズ」を監督した)の方でしょう。実はザック・スナイダーは製作中に娘の急死を受けて今作の本撮影が終わった時点で監督を降板しており、ポストプロダクションや追加撮影、そして編集と、後を引き継いだのがこのジョス・ウェドンなのです。
「アベンジャーズ」を代表作とするジョス・ウェドンは割とテンポを重視して映画を組み上げていく方で、彼がエディットした結果この映画は「ザックが撮っているのにザックっぽくない」という不思議な印象を与えることになります。
良い面としては上映時間が120分とスマートにまとまり話運びのテンポが良く、物語に入りやすい点があります。ザック・スナイダーは良くも悪くも「短くまとめない人」で、恐らく彼が編集までこなした場合上映時間は3時間近くになったことでしょう。きっちり2時間にまとめたことで間口が大きく広がったのは間違い無いでしょう。
反面、例えば「バットマンVSスーパーマン」は新約聖書の4つの福音書に描かれるイエスの「受難」になぞらえた宗教色の濃い物語を展開しており、それこそがザック・スナイダーの世界観でもあったのですが、今作でもその片鱗は見られるものの物語の核からはバッサリとオミットされているため「ザック・スナイダーの映画」を期待して観に行くとだいぶ肩透かしを食らうことになります。また、カットされた部分にこそ人物描写の肝があるようでどこか軽いというか据わりが悪いのは否めません。できればいつかザック・スナイダー・カットバージョンも観てみたいものです。
「どこに期待を寄せて行くか」で大きく評価が変わるであろうこの映画、単純にヒーロー大集合のお祭り映画を楽しみにして行くのが一番だと思います。
いろいろお疲れ気味で白髪も混じってきたバットマンにだいぶイキリオタクなフラッシュ、素直じゃない上に口が悪いアクアマン、引きこもり気味のサイボーグに相変わらず華やかでカッコいいけど100年前の恋を引きずりっぱなしのワンダーウーマンとコミュ障しかいないチームがどのようにチームとして形作られていくか、肩ひじ張らずに楽しんでください。

