愛知県下でも緊急事態宣言発令を受けてまたしても各所で営業時間が短縮に。これは飲食店だけではなく映画館も追従する形を取り、大手シネコンではレイトショー上映を取りやめて20時前後には終了に。ミニシアターの方も順次その流れに乗っていくようで、休日前の仕事上がりに何か観るというムーブをしばらく取れなくなりそうなのが辛い。ただでさえ飲食店の売り上げが落ちこんでるのにまだ逆風が吹くというのもきつい。
こんばんは、小島@監督です。
せめて観れる内は映画を観に行こう。
さて、今回の映画は「ワンダーウーマン1984」です。
1984年、アマゾン族の王女ダイアナ・プリンス(ガル・ガドット)はワンダーウーマンとして悪人退治を行う傍らで普段はスミソニアン博物館の学芸員として働いていた。
ある時、同じスミソニアン博物館の新任学芸員バーバラ・ミネルヴァ(クリステン・ウィグ)のもとに強盗事件の証拠品が鑑定のために送られてきた。その中にダイアナは奇妙にパワーを感じる石を見つけ、興味を示す。
同じころ、石油ベンチャーを率いるマックス・ロード(ペドロ・パスカル)が博物館に多額の寄付を申し出てくる。マックスはバーバラと意気投合するが、彼の狙いはその石「ドリーム・ストーン」にあった。
2019年の年末から2020年初頭にかけて公開されていたブロックバスター映画と言えば「スターウォーズ スカイウォーカーの夜明け」を筆頭に「ジュマンジ ネクストレベル」「ターミネーター ニューフェイト」「ドクター・スリープ」などが上映され、そこに「アナと雪の女王2」「僕のヒーローアカデミア」と言ったアニメ映画も加わり非常に華々しいラインナップをしていました。わずか1年前の話ですがもう遠い昔のようです。その後軒並み集客力の強い大作や話題作は延期やプラットフォームを配信のみに移して中止となり、この年末年始に上映された大作と言える規模の作品と言えばロバート・ゼメキス監督アン・ハサウェイ主演の「魔女がいっぱい」とこの「ワンダーウーマン1984」のみという状況になってしまいました。今回の「ワンダーウーマン1984」、実は前作を未見のままに観に行ったのですがそれは取りも直さず「スケールの大きいハリウッドアクションが観たい」という欲求に応えてくれる作品がこの1本しかないからです。そしてこの映画は皮肉にもこの1年で起きた事、失われたものを思い起こさせる作品になっていました。
満員の観衆のもとでアマゾン族の競技会が行われ、幼いダイアナがそれに参加するシーンからこの映画は始まります。本来ならこの作品は昨年6月に公開される予定だったことを思えば開催直前であった東京オリンピックを想起させるある種の祝祭的なシーンでもあったことでしょう。
そして今作のヴィランとなるマックス、若い頃のドナルド・トランプ氏にとてもよく似せています。そりゃもうちょっと変な笑いが出るくらいに。本来の公開時期を思えば大統領選挙にぶつける気満々だったはずです。風刺なんて可愛いものではなくてこんなに露骨に嫌われる現職大統領はちょっと記憶にありません。しかし面白いのは作中のマックスは出身が貧困層の移民でありコンプレックスを押し隠すためにトランプ氏のようなスタイルにしていることが示唆されており、この辺りは元から富豪で白人で移民を敵視するトランプ氏とは対照的です。そんな彼が「ドリーム・ストーン」を手にしてある願いを叶えた事で世界は狂騒の渦に叩き込まれていき、そうとは知らずに自身の願いを叶えてしまったダイアナも自分の望みと世界の変容との狭間で苦しむことになるのです。
1984年という時代設定にも注目です。当時のレーガン大統領が推進した経済政策により景気が上昇していた時期であり、音楽ではシンディ・ローパーやマドンナが、映画ではスティーブン・スピルバーグやジェームズ・キャメロンらが台頭してヒット作を連発。ポップカルチャーが活況の様相を見せていました。政治に目を向ければ当時冷戦期の只中であり、レーガンの対ソ政策は核戦争の危機を煽ることに繋がるのではと懸念されてもいました。もう一つ付け加えるならば、この年レーガンは大統領として再選されますが、対抗馬として挙がった民主党のウォルター・モンデールは初めて副大統領候補に女性を擁立したことが注目されました。
終盤、世界は加速度的に悪化の一途をたどり混乱していきます。その様がつい先日発生したアメリカ連邦議会占拠事件と似ているのは皮肉以外の何物でもありません。奇しくも、というべきか良くも悪くもというべきか華やかな時代の中で生きて戦うダイアナの姿の向こうに1984年へのノスタルジーと2020~2021年への現代を通し見る事の出来る作品に仕上がっています。
深く考えずに観られるアメコミ映画でありながらある意味でこれほどに今日性の強い作品というのもなかなかに珍しいでしょう。「今でしか味わえない」感想を持たせてくれる作品です。鑑賞できる機会の作れる方は是非ご覧になってみてください。
こんばんは、小島@監督です。
せめて観れる内は映画を観に行こう。
さて、今回の映画は「ワンダーウーマン1984」です。
1984年、アマゾン族の王女ダイアナ・プリンス(ガル・ガドット)はワンダーウーマンとして悪人退治を行う傍らで普段はスミソニアン博物館の学芸員として働いていた。
ある時、同じスミソニアン博物館の新任学芸員バーバラ・ミネルヴァ(クリステン・ウィグ)のもとに強盗事件の証拠品が鑑定のために送られてきた。その中にダイアナは奇妙にパワーを感じる石を見つけ、興味を示す。
同じころ、石油ベンチャーを率いるマックス・ロード(ペドロ・パスカル)が博物館に多額の寄付を申し出てくる。マックスはバーバラと意気投合するが、彼の狙いはその石「ドリーム・ストーン」にあった。
2019年の年末から2020年初頭にかけて公開されていたブロックバスター映画と言えば「スターウォーズ スカイウォーカーの夜明け」を筆頭に「ジュマンジ ネクストレベル」「ターミネーター ニューフェイト」「ドクター・スリープ」などが上映され、そこに「アナと雪の女王2」「僕のヒーローアカデミア」と言ったアニメ映画も加わり非常に華々しいラインナップをしていました。わずか1年前の話ですがもう遠い昔のようです。その後軒並み集客力の強い大作や話題作は延期やプラットフォームを配信のみに移して中止となり、この年末年始に上映された大作と言える規模の作品と言えばロバート・ゼメキス監督アン・ハサウェイ主演の「魔女がいっぱい」とこの「ワンダーウーマン1984」のみという状況になってしまいました。今回の「ワンダーウーマン1984」、実は前作を未見のままに観に行ったのですがそれは取りも直さず「スケールの大きいハリウッドアクションが観たい」という欲求に応えてくれる作品がこの1本しかないからです。そしてこの映画は皮肉にもこの1年で起きた事、失われたものを思い起こさせる作品になっていました。
満員の観衆のもとでアマゾン族の競技会が行われ、幼いダイアナがそれに参加するシーンからこの映画は始まります。本来ならこの作品は昨年6月に公開される予定だったことを思えば開催直前であった東京オリンピックを想起させるある種の祝祭的なシーンでもあったことでしょう。
そして今作のヴィランとなるマックス、若い頃のドナルド・トランプ氏にとてもよく似せています。そりゃもうちょっと変な笑いが出るくらいに。本来の公開時期を思えば大統領選挙にぶつける気満々だったはずです。風刺なんて可愛いものではなくてこんなに露骨に嫌われる現職大統領はちょっと記憶にありません。しかし面白いのは作中のマックスは出身が貧困層の移民でありコンプレックスを押し隠すためにトランプ氏のようなスタイルにしていることが示唆されており、この辺りは元から富豪で白人で移民を敵視するトランプ氏とは対照的です。そんな彼が「ドリーム・ストーン」を手にしてある願いを叶えた事で世界は狂騒の渦に叩き込まれていき、そうとは知らずに自身の願いを叶えてしまったダイアナも自分の望みと世界の変容との狭間で苦しむことになるのです。
1984年という時代設定にも注目です。当時のレーガン大統領が推進した経済政策により景気が上昇していた時期であり、音楽ではシンディ・ローパーやマドンナが、映画ではスティーブン・スピルバーグやジェームズ・キャメロンらが台頭してヒット作を連発。ポップカルチャーが活況の様相を見せていました。政治に目を向ければ当時冷戦期の只中であり、レーガンの対ソ政策は核戦争の危機を煽ることに繋がるのではと懸念されてもいました。もう一つ付け加えるならば、この年レーガンは大統領として再選されますが、対抗馬として挙がった民主党のウォルター・モンデールは初めて副大統領候補に女性を擁立したことが注目されました。
終盤、世界は加速度的に悪化の一途をたどり混乱していきます。その様がつい先日発生したアメリカ連邦議会占拠事件と似ているのは皮肉以外の何物でもありません。奇しくも、というべきか良くも悪くもというべきか華やかな時代の中で生きて戦うダイアナの姿の向こうに1984年へのノスタルジーと2020~2021年への現代を通し見る事の出来る作品に仕上がっています。
深く考えずに観られるアメコミ映画でありながらある意味でこれほどに今日性の強い作品というのもなかなかに珍しいでしょう。「今でしか味わえない」感想を持たせてくれる作品です。鑑賞できる機会の作れる方は是非ご覧になってみてください。
新型コロナの感染者数が加速度的になってきたり、北陸の方では大雪になっていたり、だいぶシャレにならない週末となったここ数日、皆さんはいかがでしたでしょうか?私は予定を一つ潰さざるを得なくなって結構しょんぼり。更には来月の予定も一つ潰れてげんなり。こういうご時世だから仕方ないのかもしれませんが。とは言え職業柄テレワークが難しいため余暇の予定は消えても普通に通勤しなきゃいけないのが何ともジレンマ。おのれ新型コロナ。
こんばんは、小島@監督です。
一日も早く気軽に遊びに出かけられる日々が戻ってほしいですのぅ。
さて、今回は映画ではなく久しぶりにライブの話。この土日に「アイドルマスター」今年最初のイベントである「THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS Broadcast & LIVE Happy New Yell !!!」が開催されました。当初は配信に加えて観客を入れてのイベントとして告知されましたが昨今の状況を受けて無観客で配信のみの開催へと変更。それ故私も自宅での鑑賞です。家から一歩も出ないで観たライブのレポートをするのは何だか妙な気分。これも時代の流れか。
元々「シンデレラガールズ」のライブイベントと言えばアイマスシリーズの中でも絢爛豪華なショーアップで楽しませてくれるものが多く、それ故に今回はどう見せてくるかを注目していましたが配信のみとなった今回のイベントではAR技術をふんだんに使用した「ライブであると同時に映像コンテンツとしても強化する」という贅沢な方向で展開していました。
具体例を挙げるなら、Day2で披露された「義勇任侠花吹雪」では炎のエフェクトに加えて武家屋敷の門構えのようなビジュアルを舞台セットのように前面に出したり、あるいは他の曲でも多用されていた紙吹雪のエフェクトなど本来観客を入れて観るステージであるなら実際にセットや装置を用意して見せる効果をARを使ってCGで見せるのに注力しており、結果的に出演者の入れ替えをスムーズに行いながら派手な演出を楽曲単位で提供してみせる見事なステージを作り上げていました。
また楽曲の中にはDay1の「OTAHENアンセム」、Day2の「オタクisLOVE」ではARを使って観客の代わりに楽曲のコール部分を表示して画面を埋め尽くしてみたり(この2曲はステージでのパフォーマンスも大概騒がしかったが)、Day1の「世界滅亡 or KISS」ではステージに竜巻を起こしてみたりDay2の「弾丸サバイバー」ではガトリングガンが斉射されたりアパッチが飛んだりと実際のステージでは絶対にやれない(むしろやっちゃいけない)視覚効果を投入させるなどかなり自由自在。演出のセンス次第でライブでも多様なものを見せられると感じさせる、新鮮な映像体験でした。
一方でDay1の藤原肇役鈴木みのりさんの「あらかねの器」、Day2の喜多見柚役武田羅理沙多胡さんの「思い出じゃない今日を」(どちらも珠玉の名曲。「あらかねの器」は最近「鬼滅の刃」の劇中曲「竈門炭治郎のうた」でも注目される椎名豪作曲。「思い出じゃない今日を」の方は新曲で発売前のためリリースが待ち遠しい)ではこれらの演出を削ぎ落し、バックダンサーすらも排してソロでの歌唱のみで魅せきるなどライブとしての醍醐味はきっちりと残しているところはさすがの一言。「Yell」というライブタイトルにちなんで観る人を元気づけるような楽曲を多めに並べてくれたのも嬉しいですね。
ちょっと気になるのは、このライブは当初観客を入れて行う予定だったのですが、その際のレギュレーションが「コール禁止。着席のみ」。両日の攻撃的なセットリストを見てると実際に現地で観ていたら新手の拷問にしか思えなかったことでしょうか(笑)
ライブとしての同時性を前面に押し出しつつ映像コンテンツとしての側面も強化した今回のライブはこれからのライブの在り方の一つの道筋を見せたように思えます。エンターテインメント業界に逆風が吹き続ける昨今ですが、微かな、でも確かな光を感じさせるイベントでした。これ以上この業界が衰退されるのは辛いので今年もできる限り応援したいと思っています。
いつかまた、現地で熱狂できる日を願って。
こんばんは、小島@監督です。
一日も早く気軽に遊びに出かけられる日々が戻ってほしいですのぅ。
さて、今回は映画ではなく久しぶりにライブの話。この土日に「アイドルマスター」今年最初のイベントである「THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS Broadcast & LIVE Happy New Yell !!!」が開催されました。当初は配信に加えて観客を入れてのイベントとして告知されましたが昨今の状況を受けて無観客で配信のみの開催へと変更。それ故私も自宅での鑑賞です。家から一歩も出ないで観たライブのレポートをするのは何だか妙な気分。これも時代の流れか。
元々「シンデレラガールズ」のライブイベントと言えばアイマスシリーズの中でも絢爛豪華なショーアップで楽しませてくれるものが多く、それ故に今回はどう見せてくるかを注目していましたが配信のみとなった今回のイベントではAR技術をふんだんに使用した「ライブであると同時に映像コンテンツとしても強化する」という贅沢な方向で展開していました。
具体例を挙げるなら、Day2で披露された「義勇任侠花吹雪」では炎のエフェクトに加えて武家屋敷の門構えのようなビジュアルを舞台セットのように前面に出したり、あるいは他の曲でも多用されていた紙吹雪のエフェクトなど本来観客を入れて観るステージであるなら実際にセットや装置を用意して見せる効果をARを使ってCGで見せるのに注力しており、結果的に出演者の入れ替えをスムーズに行いながら派手な演出を楽曲単位で提供してみせる見事なステージを作り上げていました。
また楽曲の中にはDay1の「OTAHENアンセム」、Day2の「オタクisLOVE」ではARを使って観客の代わりに楽曲のコール部分を表示して画面を埋め尽くしてみたり(この2曲はステージでのパフォーマンスも大概騒がしかったが)、Day1の「世界滅亡 or KISS」ではステージに竜巻を起こしてみたりDay2の「弾丸サバイバー」ではガトリングガンが斉射されたりアパッチが飛んだりと実際のステージでは絶対にやれない(むしろやっちゃいけない)視覚効果を投入させるなどかなり自由自在。演出のセンス次第でライブでも多様なものを見せられると感じさせる、新鮮な映像体験でした。
一方でDay1の藤原肇役鈴木みのりさんの「あらかねの器」、Day2の喜多見柚役武田羅理沙多胡さんの「思い出じゃない今日を」(どちらも珠玉の名曲。「あらかねの器」は最近「鬼滅の刃」の劇中曲「竈門炭治郎のうた」でも注目される椎名豪作曲。「思い出じゃない今日を」の方は新曲で発売前のためリリースが待ち遠しい)ではこれらの演出を削ぎ落し、バックダンサーすらも排してソロでの歌唱のみで魅せきるなどライブとしての醍醐味はきっちりと残しているところはさすがの一言。「Yell」というライブタイトルにちなんで観る人を元気づけるような楽曲を多めに並べてくれたのも嬉しいですね。
ちょっと気になるのは、このライブは当初観客を入れて行う予定だったのですが、その際のレギュレーションが「コール禁止。着席のみ」。両日の攻撃的なセットリストを見てると実際に現地で観ていたら新手の拷問にしか思えなかったことでしょうか(笑)
ライブとしての同時性を前面に押し出しつつ映像コンテンツとしての側面も強化した今回のライブはこれからのライブの在り方の一つの道筋を見せたように思えます。エンターテインメント業界に逆風が吹き続ける昨今ですが、微かな、でも確かな光を感じさせるイベントでした。これ以上この業界が衰退されるのは辛いので今年もできる限り応援したいと思っています。
いつかまた、現地で熱狂できる日を願って。
皆さん、明けましておめでとうございます。
本来なら昨日は毎年恒例の新年歌会の日だったのですが、今回は中止に。自分としてももう10年以上続く年始の予定の一つだったので残念でなりません。一日も早く再開できる時を祈っております。皆さんともお会いしたいですし、自分も思いっきり歌いたい。
こんばんは、小島@監督です。
首都圏ではまたしても緊急事態宣言が発令されそうな勢い。暗い話が多い年明けになってしまいましたが、今年もよろしくお願いします。
さて、2021年最初となる今回の映画は「ポケットモンスター ココ」です。
人里から離れたジャングル、その奥地に「オコヤの森」と呼ばれる場所があった。そこにはザルードと呼ばれる、強い力を持ちながら他のポケモンとも距離を置き厳しい掟と共に生きるポケモンたちが暮らしていた。
ある日、一体のザルード(声・中村勘九郎)が川辺で人間の赤ん坊を見つけた。どうにも見捨てることのできなかった彼は親を見つけ出せる時まで赤ん坊を育てるために掟を捨て、群から離れて生きることを決意する。赤ん坊はココ(声・上白石萌歌)と名付けられ、1体と1人の生活が始まる。
そして10年の歳月が流れた。森中のポケモンと心を通わせられるようになったココは、ある時ポケモンを探すために森へ踏み入った少年・サトシ(声・松本梨香)とその相棒であるポケモン・ピカチュウ(声・大谷育江)と出会う。
1998年の「ミュウツーの逆襲」から続く劇場版「ポケットモンスター」は長らくサマーシーズンの顔の一つでしたが今作はコロナ禍を受けてクリスマスから新年を飾る作品へと延期されました。7~8月頃には既に映画館の営業も再開されていたのでどちらかというとコロナ禍そのものよりも「ドラえもん」を始めとした3~4月期の作品が後ろ押しになったことや先の緊急事態宣言時に製作体制の見直しをする必要に迫られたことなどが主要因でしょう。
劇場版ポケモンは2017年の「キミにきめた!」以降TVシリーズからは距離を置いた作品が製作されていますが今作もその流れに沿った形となっています。物語を牽引するのはあくまでココとザルードの関係性でありサトシとピカチュウは言わば「導き手」として登場する形となっているのでこれまでの劇場版ポケモンと比較するとかなりの異色作なのではないでしょうか。
題材を見れば「ターザン」や「ジャングル・ブック」、古くは「狼少年ケン」などを思わせる構図で主旋律だけを観れば分かり易い物語でもあるのですが、なかなかに重層的な作品です。
ココとサトシが出会ったことがきっかけとなり、やがて人跡未踏であった「聖域」とも言うべき場所に人間を呼び寄せることになります。この時に起こるのは単純な自然(ポケモン)対人間だけではない点がポイントです。人間の飽くなき欲望に立ち向かおうとするザルードたちもまた自らの力を頼みに他のポケモンたちと距離を置き、また種族の掟にも縛られている。その狭間で足掻くココと父ちゃんザルードがいる、という非常に複雑な感情の交錯が展開し物語にダイナミックなうねりを生んでいます。
またこの物語を彩る音楽にも注目です。世界市場を最初から見通しているからか毎回スケールの大きな編成でBGMを聴かせるシリーズではありますが、今作ではそれらに加え岡崎体育の手によるヴォーカル曲(必ずしも作中のキャラクターが歌うわけではないのでミュージカルではない)が使われており、これが見事に片っ端からハマっています。全般的に映像のキレも良く、エモーショナルな物語と音楽が相乗効果をもたらしていくつかのシーンで私、うっかりマジ涙。
実のところメインターゲットであろう子供たちより世の大人たち、特にお父さんを本気で泣かせにかかってるようなところが強い作品ですが、それが鼻につき過ぎない所で留まっているバランス感覚も含めてかなり高水準の作品であると言えるでしょう。
正直期待を軽く超える満足度の高さに驚いています。予告編などで興味のある方は是非映画館に足を運んでみて頂きたいですね。
本来なら昨日は毎年恒例の新年歌会の日だったのですが、今回は中止に。自分としてももう10年以上続く年始の予定の一つだったので残念でなりません。一日も早く再開できる時を祈っております。皆さんともお会いしたいですし、自分も思いっきり歌いたい。
こんばんは、小島@監督です。
首都圏ではまたしても緊急事態宣言が発令されそうな勢い。暗い話が多い年明けになってしまいましたが、今年もよろしくお願いします。
さて、2021年最初となる今回の映画は「ポケットモンスター ココ」です。
人里から離れたジャングル、その奥地に「オコヤの森」と呼ばれる場所があった。そこにはザルードと呼ばれる、強い力を持ちながら他のポケモンとも距離を置き厳しい掟と共に生きるポケモンたちが暮らしていた。
ある日、一体のザルード(声・中村勘九郎)が川辺で人間の赤ん坊を見つけた。どうにも見捨てることのできなかった彼は親を見つけ出せる時まで赤ん坊を育てるために掟を捨て、群から離れて生きることを決意する。赤ん坊はココ(声・上白石萌歌)と名付けられ、1体と1人の生活が始まる。
そして10年の歳月が流れた。森中のポケモンと心を通わせられるようになったココは、ある時ポケモンを探すために森へ踏み入った少年・サトシ(声・松本梨香)とその相棒であるポケモン・ピカチュウ(声・大谷育江)と出会う。
1998年の「ミュウツーの逆襲」から続く劇場版「ポケットモンスター」は長らくサマーシーズンの顔の一つでしたが今作はコロナ禍を受けてクリスマスから新年を飾る作品へと延期されました。7~8月頃には既に映画館の営業も再開されていたのでどちらかというとコロナ禍そのものよりも「ドラえもん」を始めとした3~4月期の作品が後ろ押しになったことや先の緊急事態宣言時に製作体制の見直しをする必要に迫られたことなどが主要因でしょう。
劇場版ポケモンは2017年の「キミにきめた!」以降TVシリーズからは距離を置いた作品が製作されていますが今作もその流れに沿った形となっています。物語を牽引するのはあくまでココとザルードの関係性でありサトシとピカチュウは言わば「導き手」として登場する形となっているのでこれまでの劇場版ポケモンと比較するとかなりの異色作なのではないでしょうか。
題材を見れば「ターザン」や「ジャングル・ブック」、古くは「狼少年ケン」などを思わせる構図で主旋律だけを観れば分かり易い物語でもあるのですが、なかなかに重層的な作品です。
ココとサトシが出会ったことがきっかけとなり、やがて人跡未踏であった「聖域」とも言うべき場所に人間を呼び寄せることになります。この時に起こるのは単純な自然(ポケモン)対人間だけではない点がポイントです。人間の飽くなき欲望に立ち向かおうとするザルードたちもまた自らの力を頼みに他のポケモンたちと距離を置き、また種族の掟にも縛られている。その狭間で足掻くココと父ちゃんザルードがいる、という非常に複雑な感情の交錯が展開し物語にダイナミックなうねりを生んでいます。
またこの物語を彩る音楽にも注目です。世界市場を最初から見通しているからか毎回スケールの大きな編成でBGMを聴かせるシリーズではありますが、今作ではそれらに加え岡崎体育の手によるヴォーカル曲(必ずしも作中のキャラクターが歌うわけではないのでミュージカルではない)が使われており、これが見事に片っ端からハマっています。全般的に映像のキレも良く、エモーショナルな物語と音楽が相乗効果をもたらしていくつかのシーンで私、うっかりマジ涙。
実のところメインターゲットであろう子供たちより世の大人たち、特にお父さんを本気で泣かせにかかってるようなところが強い作品ですが、それが鼻につき過ぎない所で留まっているバランス感覚も含めてかなり高水準の作品であると言えるでしょう。
正直期待を軽く超える満足度の高さに驚いています。予告編などで興味のある方は是非映画館に足を運んでみて頂きたいですね。
クリスマス前後の2週間ほどは本来なら1年で最も忙しい時期で、むしろそうであるのが普通だったので、この時期にほとんど残業もせずに帰宅できてしまう今年は異常と言って良く、却って不安しか湧かない状況です。
来年はもう少しマシになっていると良いなぁ。
こんばんは、小島@監督です。
皆さんのこの1年はいかがでしたか?
さて、2020年最後の更新となる今回は毎年恒例の「今年の5本」と題して今年鑑賞した映画を振り返ります。例年同様今日現在の鑑賞可能状況も合わせて記載します。年末年始のご参考になれば幸いです。
1.ヴァイオレット・エヴァーガーデン
色々迷いましたが1本だけを選ぶなら今年はこれです。人と人を繋ぐ物語であり、また大きな悲劇からの復活の叫びでもあるこの映画が持つパワーはコロナ禍で否が応でも人との距離を考えさせられた人々の哀しみや苦しさをすくい上げてくれるでしょう。「鬼滅の刃」の後塵を拝す形にはなっているものの、根強い支持を受けて現在も上映が続いています。
2.ブレッドウィナー
タリバン政権下のアフガンで家族を救うため髪を切り少年として生きる少女の苦闘を描くアニメ。少女の勇気と知恵が熱い感動と長い余韻を呼ぶ1本です。近年は海外の秀作も多数上映されるようになってきました。Blu-ray/DVD発売中。また現在も各地のミニシアターなどで断続的に上映が続けられています。
3.海辺の映画館 キネマの玉手箱
今年4月に没した巨匠・大林宣彦監督の遺作となったこの映画は、戦争への絶対的な怒りと映画への絶対的な愛情に満ちた激情ほとばしる、そして自由過ぎる1本。現在も各地のミニシアターなどで断続的に上映が続いています。Blu-rayなどのリリース予定は現在のところ未定の模様。
4.彼らは生きていた
第1次大戦の記録映像を「ロード・オブ・ザ・リング」のピーター・ジャクソン監督の指揮のもと丹念に復元&カラー化。そこに当時の復員軍人たちのインタビュー音声を重ね、100年前に生きた彼らを身近に感じさせるドキュメンタリー映画の秀作。ミニシアターなどで断続的に上映が行われていますが、今年1月に封切られているもののソフト化はまだ未定の模様。
5.ランボー ラスト・ブラッド
傷つき失い続けた孤独の戦士ランボーの最後の戦いを激しいバイオレンス描写を以て描き出すシリーズの完結編。スタローンが辿り着いた境地を見届けろ。Blu-ray/DVD/デジタル配信版発売中。
今年はこんなチョイスにしてみました。世相を反映してか、割と重い作品が多かった印象です。次はそれ以外に印象に残った映画をいくつか。こちらは鑑賞順に列記していきます。
・男はつらいよ お帰り寅さん
渥美清没後25年を経て作られた、昭和を代表するキャラクターへの別れの歌。50年という時間の流れが作品に唯一無二の味を与えている。Blu-ray/DVD/デジタル配信版発売中。
・フォードVSフェラーリ
ル・マン24時間レースを戦う男たちの姿を描く。マット・デイモンとクリスチャン・ベール、名優二人の競演も熱い。あと自分の鑑賞履歴を振り返っていてこれが今年封切りの映画だったことに軽い衝撃を受けた。もう遠い昔のようだ(苦笑)。Blu-ray/DVD/デジタル配信版発売中。
・1917 命をかけた伝令
「彼らは生きていた」と同様第1次大戦を舞台に、ある伝令が前線を駆け抜ける姿を疑似ワンカットで描き出す。強烈な緊迫感が堪らない。Blu-ray/DVD/デジタル配信版発売中。また今ならAmazonプライムで見放題作品の中にラインナップされています。
・ミッドサマー
白夜の北欧で目も眩むような惨劇が展開する異色のスリラー。画面のエグさは今年随一である。Blu-ray/DVD/デジタル配信版発売中。
・悪人伝
ヤクザの親分と暴力刑事がコンビを組んで連続殺人鬼に挑む!主演マ・ドンソクの圧倒的存在感炸裂の韓国ノワール。Blu-ray/DVD発売中。
・ごん gon the little fox
新美南吉の名作「ごんぎつね」を木彫りのような素朴な造形のパペットを用いて撮影されたストップモーション・アニメ。短編ながら丁寧な空気感とディスコミュニケーションの寂寥感の描出が見事。各地のミニシアターやプラネタリウムなどで上映が続いています。ソフト化は今のところ未定の模様。
・事故物件 恐い間取り
TVの企画で事故物件で生活することになった芸人が見舞われる恐怖を描くホラー。亀梨和也が売れない芸人を好演。映画としてはイマイチも良いところなのですが妙にツボにはまりました(笑)。一部劇場で現在も上映中。Blu-ray/DVDは2021年2月10日発売予定。
・TENET テネット
時間を逆行する者と陰謀を巡りエージェントの戦いが始まる。今年は本当に大作が少なかった。そんな中で果敢に上映を実行してくれたクリストファー・ノーランに感謝。大作にしか作り得ない映像世界は確かにある。デジタル配信版発売中。Blu-ray/DVDは2021年1月8日発売予定。
・星の子
一人の少女の心の揺れと成長を繊細に描くドラマ。主演芦田愛菜の演技が圧巻。現在上映中。
・鬼滅の刃 無限列車編
もう説明要らないっすね!とうとう興行収入歴代1位に躍り出ましたね!
・ウルフウォーカー
ケルトの伝承を題材に人と精霊の交流を描くアニメーション。製作は「ブレッドウィナー」と同じくアイルランドのアニメスタジオ・カートゥーン・サルーン。現在上映中。
・羅小黒戦記 ぼくが選ぶ未来
中国発のアニメ映画。王道かつ正統派なエンターテインメント。可愛いキャラクターとアクション描写に日本アニメの影響が随所に見て取れる。現在上映中。「ウルフウォーカー」と共にアニメーションの新しい潮流を感じ取れる作品だ。
今年は洋邦問わず非常にアニメ映画が豊作だった印象です。この流れは来年も続いてほしいな。
最後に、今年鑑賞した旧作を列記していきます。今年はコロナ禍の影響を受けて新作が相次いで延期・中止となった反動でこれまでになく旧作が再上映されました。企画上映などで例年ある程度は観ていますがこれほど旧作をスクリーン鑑賞した年はありません。それはとりもなおさず映画館や配給会社の苦闘の表れとも言えるでしょう。「今年の」という趣旨からは離れますが、これら全てが今年のコロナ禍の産物でもあり、今回は敢えて記載することにします。こちらは製作年代順に列記していきます。既にほぼ全てソフト化されているので製作年と監督・主演のみ表記します。
・シェーン(1953年・監督ジョージ・スティーヴンス、主演アラン・ラッド)
・真夏の夜のジャズ(1960年・監督バート・スターン)
・死霊の盆踊り(1965年・監督A・C・スティーヴン、主演クリズウェル)
・ひまわり(1970年・監督ヴィットリオ・デ・シーカ、主演ソフィア・ローレン)
・ウィッカーマン(1973年・監督ロビン・ハーディ、主演エドワード・ウッドワード)
・金田一耕助の冒険(1979年・監督大林宣彦、主演古谷一行)
・風の谷のナウシカ(1984年・監督宮崎駿、主演島本須美)
・バック・トゥ・ザ・フューチャー(1985年・監督ロバート・ゼメキス、主演マイケル・J・フォックス)
・AKIRA(1988年・監督大友克洋、主演岩田光央)
・機動戦士ガンダム 逆襲のシャア(1988年・監督富野由悠季、主演古谷徹)
・バック・トゥ・ザ・フューチャーPART3(1990年・監督ロバート・ゼメキス、主演マイケル・J・フォックス)
・トータル・リコール(1990年・監督ポール・バーホーベン、主演アーノルド・シュワルツェネッガー)
・プロメア(2019年・監督今石洋之、主演松山ケンイチ)
・ヴァイオレット・エヴァーガーデン外伝 永遠と自動手記人形(2019年・監督藤田春香、主演石川由依)
書き出してみて気づきましたがだいぶ満遍なく観ているつもりだったけど2000年代だけ無かった。惜しい(笑)。
来年はどんな映画に出会えるのでしょう。そして映画にも世の中にも明るい話題が出てきますように。
来年はもう少しマシになっていると良いなぁ。
こんばんは、小島@監督です。
皆さんのこの1年はいかがでしたか?
さて、2020年最後の更新となる今回は毎年恒例の「今年の5本」と題して今年鑑賞した映画を振り返ります。例年同様今日現在の鑑賞可能状況も合わせて記載します。年末年始のご参考になれば幸いです。
1.ヴァイオレット・エヴァーガーデン
色々迷いましたが1本だけを選ぶなら今年はこれです。人と人を繋ぐ物語であり、また大きな悲劇からの復活の叫びでもあるこの映画が持つパワーはコロナ禍で否が応でも人との距離を考えさせられた人々の哀しみや苦しさをすくい上げてくれるでしょう。「鬼滅の刃」の後塵を拝す形にはなっているものの、根強い支持を受けて現在も上映が続いています。
2.ブレッドウィナー
タリバン政権下のアフガンで家族を救うため髪を切り少年として生きる少女の苦闘を描くアニメ。少女の勇気と知恵が熱い感動と長い余韻を呼ぶ1本です。近年は海外の秀作も多数上映されるようになってきました。Blu-ray/DVD発売中。また現在も各地のミニシアターなどで断続的に上映が続けられています。
3.海辺の映画館 キネマの玉手箱
今年4月に没した巨匠・大林宣彦監督の遺作となったこの映画は、戦争への絶対的な怒りと映画への絶対的な愛情に満ちた激情ほとばしる、そして自由過ぎる1本。現在も各地のミニシアターなどで断続的に上映が続いています。Blu-rayなどのリリース予定は現在のところ未定の模様。
4.彼らは生きていた
第1次大戦の記録映像を「ロード・オブ・ザ・リング」のピーター・ジャクソン監督の指揮のもと丹念に復元&カラー化。そこに当時の復員軍人たちのインタビュー音声を重ね、100年前に生きた彼らを身近に感じさせるドキュメンタリー映画の秀作。ミニシアターなどで断続的に上映が行われていますが、今年1月に封切られているもののソフト化はまだ未定の模様。
5.ランボー ラスト・ブラッド
傷つき失い続けた孤独の戦士ランボーの最後の戦いを激しいバイオレンス描写を以て描き出すシリーズの完結編。スタローンが辿り着いた境地を見届けろ。Blu-ray/DVD/デジタル配信版発売中。
今年はこんなチョイスにしてみました。世相を反映してか、割と重い作品が多かった印象です。次はそれ以外に印象に残った映画をいくつか。こちらは鑑賞順に列記していきます。
・男はつらいよ お帰り寅さん
渥美清没後25年を経て作られた、昭和を代表するキャラクターへの別れの歌。50年という時間の流れが作品に唯一無二の味を与えている。Blu-ray/DVD/デジタル配信版発売中。
・フォードVSフェラーリ
ル・マン24時間レースを戦う男たちの姿を描く。マット・デイモンとクリスチャン・ベール、名優二人の競演も熱い。あと自分の鑑賞履歴を振り返っていてこれが今年封切りの映画だったことに軽い衝撃を受けた。もう遠い昔のようだ(苦笑)。Blu-ray/DVD/デジタル配信版発売中。
・1917 命をかけた伝令
「彼らは生きていた」と同様第1次大戦を舞台に、ある伝令が前線を駆け抜ける姿を疑似ワンカットで描き出す。強烈な緊迫感が堪らない。Blu-ray/DVD/デジタル配信版発売中。また今ならAmazonプライムで見放題作品の中にラインナップされています。
・ミッドサマー
白夜の北欧で目も眩むような惨劇が展開する異色のスリラー。画面のエグさは今年随一である。Blu-ray/DVD/デジタル配信版発売中。
・悪人伝
ヤクザの親分と暴力刑事がコンビを組んで連続殺人鬼に挑む!主演マ・ドンソクの圧倒的存在感炸裂の韓国ノワール。Blu-ray/DVD発売中。
・ごん gon the little fox
新美南吉の名作「ごんぎつね」を木彫りのような素朴な造形のパペットを用いて撮影されたストップモーション・アニメ。短編ながら丁寧な空気感とディスコミュニケーションの寂寥感の描出が見事。各地のミニシアターやプラネタリウムなどで上映が続いています。ソフト化は今のところ未定の模様。
・事故物件 恐い間取り
TVの企画で事故物件で生活することになった芸人が見舞われる恐怖を描くホラー。亀梨和也が売れない芸人を好演。映画としてはイマイチも良いところなのですが妙にツボにはまりました(笑)。一部劇場で現在も上映中。Blu-ray/DVDは2021年2月10日発売予定。
・TENET テネット
時間を逆行する者と陰謀を巡りエージェントの戦いが始まる。今年は本当に大作が少なかった。そんな中で果敢に上映を実行してくれたクリストファー・ノーランに感謝。大作にしか作り得ない映像世界は確かにある。デジタル配信版発売中。Blu-ray/DVDは2021年1月8日発売予定。
・星の子
一人の少女の心の揺れと成長を繊細に描くドラマ。主演芦田愛菜の演技が圧巻。現在上映中。
・鬼滅の刃 無限列車編
もう説明要らないっすね!とうとう興行収入歴代1位に躍り出ましたね!
・ウルフウォーカー
ケルトの伝承を題材に人と精霊の交流を描くアニメーション。製作は「ブレッドウィナー」と同じくアイルランドのアニメスタジオ・カートゥーン・サルーン。現在上映中。
・羅小黒戦記 ぼくが選ぶ未来
中国発のアニメ映画。王道かつ正統派なエンターテインメント。可愛いキャラクターとアクション描写に日本アニメの影響が随所に見て取れる。現在上映中。「ウルフウォーカー」と共にアニメーションの新しい潮流を感じ取れる作品だ。
今年は洋邦問わず非常にアニメ映画が豊作だった印象です。この流れは来年も続いてほしいな。
最後に、今年鑑賞した旧作を列記していきます。今年はコロナ禍の影響を受けて新作が相次いで延期・中止となった反動でこれまでになく旧作が再上映されました。企画上映などで例年ある程度は観ていますがこれほど旧作をスクリーン鑑賞した年はありません。それはとりもなおさず映画館や配給会社の苦闘の表れとも言えるでしょう。「今年の」という趣旨からは離れますが、これら全てが今年のコロナ禍の産物でもあり、今回は敢えて記載することにします。こちらは製作年代順に列記していきます。既にほぼ全てソフト化されているので製作年と監督・主演のみ表記します。
・シェーン(1953年・監督ジョージ・スティーヴンス、主演アラン・ラッド)
・真夏の夜のジャズ(1960年・監督バート・スターン)
・死霊の盆踊り(1965年・監督A・C・スティーヴン、主演クリズウェル)
・ひまわり(1970年・監督ヴィットリオ・デ・シーカ、主演ソフィア・ローレン)
・ウィッカーマン(1973年・監督ロビン・ハーディ、主演エドワード・ウッドワード)
・金田一耕助の冒険(1979年・監督大林宣彦、主演古谷一行)
・風の谷のナウシカ(1984年・監督宮崎駿、主演島本須美)
・バック・トゥ・ザ・フューチャー(1985年・監督ロバート・ゼメキス、主演マイケル・J・フォックス)
・AKIRA(1988年・監督大友克洋、主演岩田光央)
・機動戦士ガンダム 逆襲のシャア(1988年・監督富野由悠季、主演古谷徹)
・バック・トゥ・ザ・フューチャーPART3(1990年・監督ロバート・ゼメキス、主演マイケル・J・フォックス)
・トータル・リコール(1990年・監督ポール・バーホーベン、主演アーノルド・シュワルツェネッガー)
・プロメア(2019年・監督今石洋之、主演松山ケンイチ)
・ヴァイオレット・エヴァーガーデン外伝 永遠と自動手記人形(2019年・監督藤田春香、主演石川由依)
書き出してみて気づきましたがだいぶ満遍なく観ているつもりだったけど2000年代だけ無かった。惜しい(笑)。
来年はどんな映画に出会えるのでしょう。そして映画にも世の中にも明るい話題が出てきますように。
「鬼滅の刃」の興行収入が300億に到達し、いよいよ歴代興収のトップに躍り出ようかという折に今夏リバイバル上映された「千と千尋の神隠し」が約9億数字を伸ばして引き離したと先日報じられました。そうは言っても今の勢いならいずれ追い抜くことにはなるのでしょう。しかしながら公開から約20年の時を経てもそれだけの数字を叩き出せる「千と千尋の神隠し」にはやはり化け物じみたパワーを感じざるを得ません。
2001年、スピルバーグの「A.I.」や「ハリー・ポッターと賢者の石」などがひしめく中で巨匠と呼ばれるまでになった宮崎駿が手掛け、配給である東宝が本気で勝ちに行った1本である「千と千尋と神隠し」と、今年映画館が休業を余儀なくされそれがようやく明けたとは言え国内外のメジャー作品が次々と延期や上映中止になり「これが当たらなければ映画産業そのものが死にかねない」苦境の中で起死回生の期待を背負った「鬼滅の刃」、取り巻く世情は違えどその時頂点にいたのが共にアニメであるという意味こそ大きいでしょう。
こんばんは、小島@監督です。
「鬼滅の刃 無限列車編」も10年後20年後にある種のノスタルジーと共に再発見される作品であるといいですね。
さて、今回の映画は「新解釈・三國志」です。
漢王朝後期から三国時代を描いた歴史書「三國志」に歴史学者・蘇我宗光(西田敏行)が新説を発表した。彼は乱世の英雄たちにこれまでとは違う人物像を見出していた。
酒を飲んで酔っている時だけ大言壮語を吐くが基本的に戦嫌いでやる気がない劉備玄徳(大泉洋)は、酔った時の一言がきっかけで関羽雲長(橋本さとし)、張飛翼徳(高橋努)と義兄弟の契りを交わし黄巾党の反乱を鎮圧すべく出兵する羽目になってしまうが。
近年は映画だけでなくドラマや舞台にと間断なく作品を発表し続けている印象のある福田雄一の、今年だけでも3本目となる映画は三國志を題材にしつつ、自分のフィールドに引き寄せて自由闊達なコメディーを繰り広げる1本です。「銀魂」や「今日から俺は!」などコミック原作の実写化が多い福田雄一監督ですが、そのフィルモグラフィーを観ればムロツヨシを主演に迎え日本史上名高い人物たちでコメディーを展開した「新解釈・日本史」や落語の「芝浜」を現代のホストクラブを舞台に翻案した「明烏」など古典に対しても果敢に挑戦した作品が見受けられます。というか発表した作品が少ないだけで古典や歴史は実は題材としては割と当人の好みなんじゃないでしょうか。
主演は意外にもこれが福田監督作品には初出演となる大泉洋。監督の要望に見事に応え、ひたすらぼやきまくるゆるい劉備玄徳を好演。ムロツヨシや佐藤二朗、小栗旬、山田孝之と言った福田作品の常連とのアンサンブルも楽しい作品になっています。特に福田雄一作品には欠かせないムロツヨシとの掛け合いが絶品。これは今後別の作品でもう一度実現してほしいくらいです。
一方で欠点も厳然として大きくあり、これが福田作品を初めて観る、という方ならばともかく「勇者ヨシヒコ」などで見慣れた方にとっては「期待通り」ではあっても「期待以上」にはならない点です。出演陣の豪華さこそ目が眩みますが全体的にテンポが平板でTV的な楽しみ方が主軸になってしまっているので「映画」としてもう一つ突き抜けた何かが欲しかったような気がします。
とはいえ年末の忙しない時期に観るならこれくらいライトな方が丁度いいかもしれません。一時肩の力を抜いてノー天気に行くのが多分一番のスタンスです。ご興味のある方は、どうぞ何も考えずに映画館に行きましょう(笑)
2001年、スピルバーグの「A.I.」や「ハリー・ポッターと賢者の石」などがひしめく中で巨匠と呼ばれるまでになった宮崎駿が手掛け、配給である東宝が本気で勝ちに行った1本である「千と千尋と神隠し」と、今年映画館が休業を余儀なくされそれがようやく明けたとは言え国内外のメジャー作品が次々と延期や上映中止になり「これが当たらなければ映画産業そのものが死にかねない」苦境の中で起死回生の期待を背負った「鬼滅の刃」、取り巻く世情は違えどその時頂点にいたのが共にアニメであるという意味こそ大きいでしょう。
こんばんは、小島@監督です。
「鬼滅の刃 無限列車編」も10年後20年後にある種のノスタルジーと共に再発見される作品であるといいですね。
さて、今回の映画は「新解釈・三國志」です。
漢王朝後期から三国時代を描いた歴史書「三國志」に歴史学者・蘇我宗光(西田敏行)が新説を発表した。彼は乱世の英雄たちにこれまでとは違う人物像を見出していた。
酒を飲んで酔っている時だけ大言壮語を吐くが基本的に戦嫌いでやる気がない劉備玄徳(大泉洋)は、酔った時の一言がきっかけで関羽雲長(橋本さとし)、張飛翼徳(高橋努)と義兄弟の契りを交わし黄巾党の反乱を鎮圧すべく出兵する羽目になってしまうが。
近年は映画だけでなくドラマや舞台にと間断なく作品を発表し続けている印象のある福田雄一の、今年だけでも3本目となる映画は三國志を題材にしつつ、自分のフィールドに引き寄せて自由闊達なコメディーを繰り広げる1本です。「銀魂」や「今日から俺は!」などコミック原作の実写化が多い福田雄一監督ですが、そのフィルモグラフィーを観ればムロツヨシを主演に迎え日本史上名高い人物たちでコメディーを展開した「新解釈・日本史」や落語の「芝浜」を現代のホストクラブを舞台に翻案した「明烏」など古典に対しても果敢に挑戦した作品が見受けられます。というか発表した作品が少ないだけで古典や歴史は実は題材としては割と当人の好みなんじゃないでしょうか。
主演は意外にもこれが福田監督作品には初出演となる大泉洋。監督の要望に見事に応え、ひたすらぼやきまくるゆるい劉備玄徳を好演。ムロツヨシや佐藤二朗、小栗旬、山田孝之と言った福田作品の常連とのアンサンブルも楽しい作品になっています。特に福田雄一作品には欠かせないムロツヨシとの掛け合いが絶品。これは今後別の作品でもう一度実現してほしいくらいです。
一方で欠点も厳然として大きくあり、これが福田作品を初めて観る、という方ならばともかく「勇者ヨシヒコ」などで見慣れた方にとっては「期待通り」ではあっても「期待以上」にはならない点です。出演陣の豪華さこそ目が眩みますが全体的にテンポが平板でTV的な楽しみ方が主軸になってしまっているので「映画」としてもう一つ突き抜けた何かが欲しかったような気がします。
とはいえ年末の忙しない時期に観るならこれくらいライトな方が丁度いいかもしれません。一時肩の力を抜いてノー天気に行くのが多分一番のスタンスです。ご興味のある方は、どうぞ何も考えずに映画館に行きましょう(笑)
先日nintendo e-shopを覗いていたら「グランディア HDコレクション」がセール対象になっているのを見つけてうっかり衝動買い。
「グランディア」はもう20年以上前にセガサターンで発売されていたRPGで、当時ボンクラ大学生していた私は、無鉄砲な少年が世界へ飛び出していきやがて大きな運命の中に踏み込んでいく清々しいまでに王道な物語に見事にハマってしまい、それこそ寝る間も惜しんでプレイしていました。音楽も素晴らしく、当時開催されたあるイベントでBGMを手掛けた岩垂徳行さんのサインをサントラCDにしてもらったのも懐かしい思い出。
こんばんは、小島@監督です。
年末年始は久しぶりに童心に帰って冒険の旅に出ると致しましょうか(笑)
さて、今回の映画は「羅小黒戦記 ぼくが選ぶ未来」です。
黒猫の妖精・小黒(シャオヘイ・声・花澤香菜)は人間たちの開発によって故郷の森を追われてしまい新しい住処を探す旅に出た。
ある時、小黒は人間の青年たちに襲われてしまう。小黒を救ったのは風息(フーシー・声・櫻井孝宏)と名乗る妖精だった。風息に連れられある島を訪れた小黒はそこで風息の仲間である洛竹(ロジュ・声・松岡禎丞)、虚准(シューファイ・声・斉藤壮馬)、天虎(テンフー・声・杉田智和)ら妖精たちと出会う。小黒が安息の地を得たと思えたのも束の間、人間ながら最強の妖術を使いこなす無限(ムゲン・声・宮野真守)の急襲を受ける。風息たちは辛うじて逃走に成功するが小黒は無限に捕まってしまう。無限は小黒を「館」と呼ばれる人間と共存する妖精たちが暮らす場所へ連れていこうとしていた。
実はアニメで今一番熱い市場は中国だったりします。1990年代頃までは日本はアメリカの下請けが中心で自国のアニメと言えば劣化コピーのような半端な作品が多かったのですが、2000年代に入り中国が国策として自国でのアニメ制作と放送を奨励し始め、そこに近年の経済成長が追い風となってクオリティ的にも世界市場に打って出られる作品が登場するまでになりました。2010年頃には既に市場規模としても日本を上回るまでになっています。近年では強力な経済力をバックにアニメーターを高給で引き抜く、なんて話も聞くようになりました。
「羅小黒戦記」もそうした中で生まれた作品の一つで、ベースは2011年から続いていたWEBアニメになります。昨年夏中国で劇場版が公開されヒット作となり、日本では昨年末頃より一部のミニシアターで字幕版が公開されていました。小規模公開ながらその質の高さが評判を呼び吹替版が製作され全国公開されるに至りました。
キャラクターデザインから物語、その演出に至るまでスタジオジブリや京都アニメーション作品など日本アニメの影響が強く出ている作品です。アクション描写には「NARUTO」のようなテイストも感じられることでしょう。シリアスな画面から突然デフォルメされて笑いを差し挟んだりするところなどはもう日本アニメのスタイルそのままともいえます。驚くべきはそれらの影響をちゃんと咀嚼し自身のものとして消化できており「劣化コピー」などとは言わせないクオリティにまで引き上げている点です。縦横無尽にアクションを展開しながら過剰なバイオレンスにはならない上品なバランス感覚も見事と言えるでしょう。
実力派声優を取り揃えた吹替の出来も素晴らしく、音響監督岩浪美和氏の手腕も手伝って日本アニメを観るのとほぼ同じ感覚で楽しめるのも作品鑑賞への敷居を下げるのに一役買ってくれています。総合的にハイグレードなエンターテインメントとして成立している作品です。
日本ではサブカルチャーの一翼として「アニメ」が爛熟と言えるまでに独自進化を遂げた一種の弊害として、ディズニーやピクサーの作品以外の海外アニメーションのほとんどはアート作品扱いになり小規模公開に追いやられて私のような映画ファン以外の目に触れられることが少なくなってしまっています。それを思えば今回の全国公開の意義は大きく、日本アニメが世界の潮流の中でどのような存在であるのかを俯瞰できる良いきっかけになるのではないかと期待しています。
更に言を重ねれば先日「ウルフウォーカー」が日本公開されたアイルランドのアニメーション・スタジオ「カートゥーン・サルーン」がスタジオジブリの影響を公言しているように、日本アニメが蒔いた種子が今世界で開花しつつあるのを感じます。この新たな流れが日本アニメ市場に良い刺激をもたらせてくれることを祈ってやみません。
「グランディア」はもう20年以上前にセガサターンで発売されていたRPGで、当時ボンクラ大学生していた私は、無鉄砲な少年が世界へ飛び出していきやがて大きな運命の中に踏み込んでいく清々しいまでに王道な物語に見事にハマってしまい、それこそ寝る間も惜しんでプレイしていました。音楽も素晴らしく、当時開催されたあるイベントでBGMを手掛けた岩垂徳行さんのサインをサントラCDにしてもらったのも懐かしい思い出。
こんばんは、小島@監督です。
年末年始は久しぶりに童心に帰って冒険の旅に出ると致しましょうか(笑)
さて、今回の映画は「羅小黒戦記 ぼくが選ぶ未来」です。
黒猫の妖精・小黒(シャオヘイ・声・花澤香菜)は人間たちの開発によって故郷の森を追われてしまい新しい住処を探す旅に出た。
ある時、小黒は人間の青年たちに襲われてしまう。小黒を救ったのは風息(フーシー・声・櫻井孝宏)と名乗る妖精だった。風息に連れられある島を訪れた小黒はそこで風息の仲間である洛竹(ロジュ・声・松岡禎丞)、虚准(シューファイ・声・斉藤壮馬)、天虎(テンフー・声・杉田智和)ら妖精たちと出会う。小黒が安息の地を得たと思えたのも束の間、人間ながら最強の妖術を使いこなす無限(ムゲン・声・宮野真守)の急襲を受ける。風息たちは辛うじて逃走に成功するが小黒は無限に捕まってしまう。無限は小黒を「館」と呼ばれる人間と共存する妖精たちが暮らす場所へ連れていこうとしていた。
実はアニメで今一番熱い市場は中国だったりします。1990年代頃までは日本はアメリカの下請けが中心で自国のアニメと言えば劣化コピーのような半端な作品が多かったのですが、2000年代に入り中国が国策として自国でのアニメ制作と放送を奨励し始め、そこに近年の経済成長が追い風となってクオリティ的にも世界市場に打って出られる作品が登場するまでになりました。2010年頃には既に市場規模としても日本を上回るまでになっています。近年では強力な経済力をバックにアニメーターを高給で引き抜く、なんて話も聞くようになりました。
「羅小黒戦記」もそうした中で生まれた作品の一つで、ベースは2011年から続いていたWEBアニメになります。昨年夏中国で劇場版が公開されヒット作となり、日本では昨年末頃より一部のミニシアターで字幕版が公開されていました。小規模公開ながらその質の高さが評判を呼び吹替版が製作され全国公開されるに至りました。
キャラクターデザインから物語、その演出に至るまでスタジオジブリや京都アニメーション作品など日本アニメの影響が強く出ている作品です。アクション描写には「NARUTO」のようなテイストも感じられることでしょう。シリアスな画面から突然デフォルメされて笑いを差し挟んだりするところなどはもう日本アニメのスタイルそのままともいえます。驚くべきはそれらの影響をちゃんと咀嚼し自身のものとして消化できており「劣化コピー」などとは言わせないクオリティにまで引き上げている点です。縦横無尽にアクションを展開しながら過剰なバイオレンスにはならない上品なバランス感覚も見事と言えるでしょう。
実力派声優を取り揃えた吹替の出来も素晴らしく、音響監督岩浪美和氏の手腕も手伝って日本アニメを観るのとほぼ同じ感覚で楽しめるのも作品鑑賞への敷居を下げるのに一役買ってくれています。総合的にハイグレードなエンターテインメントとして成立している作品です。
日本ではサブカルチャーの一翼として「アニメ」が爛熟と言えるまでに独自進化を遂げた一種の弊害として、ディズニーやピクサーの作品以外の海外アニメーションのほとんどはアート作品扱いになり小規模公開に追いやられて私のような映画ファン以外の目に触れられることが少なくなってしまっています。それを思えば今回の全国公開の意義は大きく、日本アニメが世界の潮流の中でどのような存在であるのかを俯瞰できる良いきっかけになるのではないかと期待しています。
更に言を重ねれば先日「ウルフウォーカー」が日本公開されたアイルランドのアニメーション・スタジオ「カートゥーン・サルーン」がスタジオジブリの影響を公言しているように、日本アニメが蒔いた種子が今世界で開花しつつあるのを感じます。この新たな流れが日本アニメ市場に良い刺激をもたらせてくれることを祈ってやみません。
先週のレイウォール君のブログにも登場した「ミリオンライブ」の新曲「NO CURRY NO LIFE」、妙に耳に残ります。今の「ミリシタ」のイベント曲でもあるので期間中はゲームをプレイしていれば必然何度も耳にすることになりますし、ゲーム中で観られるMVもコミカルで何だか印象に残ってしまいおかげで気づけば脳内無限ループ状態。どうすりゃいいの(笑)
こんばんは、小島@監督です。
アイマスに限らず聴くと何でか耳に残る曲ってたまに出くわしますね。そのうち歌えるようになりそう(笑)
さて、今回の映画は「トータル・リコール 4Kデジタルリマスター」です。
近未来、労働者であるダグラス・クエイド(アーノルド・シュワルツェネッガー)は美しい妻ローリー(シャロン・ストーン)と共に平凡ではあるが幸せな日々を送っていた。しかし、いつからか毎夜火星の夢を見るようになり、それにうなされるようになった。
ある日、「理想の記憶売ります」というコピーに惹かれ、クエイドは非日常的な体験の記憶を販売する「リコール社」を訪れる。クエイドは「火星を救う秘密諜報員」というプログラムに興味を示しこれを体験することに決めるが、突如トラブルが発生しプログラムは中断。更にクエイドはその帰りに自身の同僚や妻ローリーからも命を狙われるようになってしまう。
今でこそフィリップ・K・ディックと言えばその評価も確立しその作品もコンスタントに映像化されるようになりましたが、実はその存命中は1本のテレビドラマと数本のラジオドラマが製作された程度で映像化、特に映画とはディック自身が書き上げたシナリオまで残っていたりするのにも関わらず縁が薄いままでした。唯一存命中に製作が進んでいたのが「ブレードランナー」(1982年)でしたが、その完成を見届けることなく亡くなっています。
ディック作品が現在のように度々映像化されるようになったのは没後、ある意味でその先鞭をつける格好となったのがこの1990年に製作された「トータル・リコール」です。短編「記憶売ります」を原作に、大胆に様々な要素を加味し翻案したアクションSFエンターテインメントに仕上がっていますが、現実と虚構の狭間で翻弄されアイデンティティの在りかに苦悩する主人公や人間に対し口答えする機械などにディック的要素を観て取れます。
2012年にコリン・ファレル主演で同タイトルの映画が製作されていますが、こちらはリメイクというより原作小説に対しより忠実なアプローチで製作された再映画化と言った趣の作品になっています。
この映画の監督は「ロボコップ」や「スターシップ・トゥルーパーズ」を手掛けたポール・バーホーベン。エロとグロとバイオレンスをふんだんに盛り込んだエンターテインメントをいくつも作り上げてきた監督で、特にこの作品ではアーノルド・シュワルツェネッガーというスターを主役に据えた事でその才を遺憾なく発揮した一本になっています。
久しぶりにこの映画を観て感心するのは、作品の持つスピード感。クエイドが自分のアイデンティティを揺らがされてから最終的に火星存亡の危機に立ち向かうようになるスケールの大きな物語を展開しているのに上映時間は113分。2時間切っているのです。シュワルツェネッガーの筋肉に頼っている部分も大きいとはいえ多すぎるくらいにある要素に対して語り口に不足を感じさせないのはさすがの一言で、脚本を手掛けたダン・オバノン(代表作に「エイリアン」(1979)など)の手腕も大きいでしょう。
映像としてはシュワルツェネッガーやシャロン・ストーンと言ったスターたちの競演はもちろん、特殊メイクの第一人者であるロブ・ボッティンの手による視覚効果も見事です。先進的なVFXで映画史にその名を刻んだ「ターミネーター2」が登場するのは翌年の1991年、「トータル・リコール」はアナログな特殊撮影の集大成ともいえる作品と言えるでしょう。
緻密でスケールの大きなSF設定と、大抵の窮地は筋肉で解決する大味さが高次元で同居する、今観ても楽しい一本です。公開30周年を記念しての再上映が始まっており、この機会に是非スクリーンで楽しんで頂きたいですね。
こんばんは、小島@監督です。
アイマスに限らず聴くと何でか耳に残る曲ってたまに出くわしますね。そのうち歌えるようになりそう(笑)
さて、今回の映画は「トータル・リコール 4Kデジタルリマスター」です。
近未来、労働者であるダグラス・クエイド(アーノルド・シュワルツェネッガー)は美しい妻ローリー(シャロン・ストーン)と共に平凡ではあるが幸せな日々を送っていた。しかし、いつからか毎夜火星の夢を見るようになり、それにうなされるようになった。
ある日、「理想の記憶売ります」というコピーに惹かれ、クエイドは非日常的な体験の記憶を販売する「リコール社」を訪れる。クエイドは「火星を救う秘密諜報員」というプログラムに興味を示しこれを体験することに決めるが、突如トラブルが発生しプログラムは中断。更にクエイドはその帰りに自身の同僚や妻ローリーからも命を狙われるようになってしまう。
今でこそフィリップ・K・ディックと言えばその評価も確立しその作品もコンスタントに映像化されるようになりましたが、実はその存命中は1本のテレビドラマと数本のラジオドラマが製作された程度で映像化、特に映画とはディック自身が書き上げたシナリオまで残っていたりするのにも関わらず縁が薄いままでした。唯一存命中に製作が進んでいたのが「ブレードランナー」(1982年)でしたが、その完成を見届けることなく亡くなっています。
ディック作品が現在のように度々映像化されるようになったのは没後、ある意味でその先鞭をつける格好となったのがこの1990年に製作された「トータル・リコール」です。短編「記憶売ります」を原作に、大胆に様々な要素を加味し翻案したアクションSFエンターテインメントに仕上がっていますが、現実と虚構の狭間で翻弄されアイデンティティの在りかに苦悩する主人公や人間に対し口答えする機械などにディック的要素を観て取れます。
2012年にコリン・ファレル主演で同タイトルの映画が製作されていますが、こちらはリメイクというより原作小説に対しより忠実なアプローチで製作された再映画化と言った趣の作品になっています。
この映画の監督は「ロボコップ」や「スターシップ・トゥルーパーズ」を手掛けたポール・バーホーベン。エロとグロとバイオレンスをふんだんに盛り込んだエンターテインメントをいくつも作り上げてきた監督で、特にこの作品ではアーノルド・シュワルツェネッガーというスターを主役に据えた事でその才を遺憾なく発揮した一本になっています。
久しぶりにこの映画を観て感心するのは、作品の持つスピード感。クエイドが自分のアイデンティティを揺らがされてから最終的に火星存亡の危機に立ち向かうようになるスケールの大きな物語を展開しているのに上映時間は113分。2時間切っているのです。シュワルツェネッガーの筋肉に頼っている部分も大きいとはいえ多すぎるくらいにある要素に対して語り口に不足を感じさせないのはさすがの一言で、脚本を手掛けたダン・オバノン(代表作に「エイリアン」(1979)など)の手腕も大きいでしょう。
映像としてはシュワルツェネッガーやシャロン・ストーンと言ったスターたちの競演はもちろん、特殊メイクの第一人者であるロブ・ボッティンの手による視覚効果も見事です。先進的なVFXで映画史にその名を刻んだ「ターミネーター2」が登場するのは翌年の1991年、「トータル・リコール」はアナログな特殊撮影の集大成ともいえる作品と言えるでしょう。
緻密でスケールの大きなSF設定と、大抵の窮地は筋肉で解決する大味さが高次元で同居する、今観ても楽しい一本です。公開30周年を記念しての再上映が始まっており、この機会に是非スクリーンで楽しんで頂きたいですね。

