こんばんは、小島@監督です。
今回は長くなってしまったので前置き無しで即本題に入ります。
さて、5月17〜19日の3日間ミッドランドスクエアシネマで開催された「どまんなかアニメ映画祭」に行って来ました。日本アニメの青春期とも言えた1980年代の傑作を中心に10本のアニメ映画を特集上映する企画です。全てソフト化や配信がなされており観るだけなら比較的容易ながらスクリーンで、となるとなかなかそうはいかない作品を10本一堂に介すだけでも熱いですが、このイベント最大の特色は全上映回で作品の主要スタッフをゲストとして呼びトークセッションを行なっている点です。登壇者の方の多くが今なお第一線で活躍している方ばかりでそのような方たちの話が聞けるだけでも貴重な機会に、2本の映画を観てきました。
1本目は「機動警察パトレイバー2the movie」。1993年に製作された作品で、首都東京に迫るテロの脅威と、それに触発されて自衛隊がクーデター寸前まで行く中で事件の真相に迫る警察官の暗闘を描きます。TVシリーズやOVA版と比して非常にリアリスティックに戦争状態に東京が侵食されていく様を描いており、緻密なレイアウトとデフォルメの少ないビジュアルがもたらす硬質な画面と相まって、アニメができうる「リアリティ」のレベルを一段引き上げたと言って良い作品です。
トークセッションではメカデザインを務めた出渕裕さん、脚本を手掛けた伊藤和典さん、当時はアシスタントプロデューサーで参加し現在はバンダイナムコアーツの取締役社長でもある浅沼誠さん、聞き手として明治大学准教授でアニメ研究家の森川嘉一郎さんが登壇。
話題の中心は映画としての骨格の強さと裏腹にパトレイバーというシリーズで見ると極めて異質な作風であることや主要人物の1人・南雲が他作品と比べてかなり生々しい人物として描かれているところの理由など。王様然と振る舞う押井守監督と周囲のスタッフとの緩衝役を担っていた伊藤和典さんがこの頃心身ともに絶不調だったらしくクッションの役割を果たせず周囲との軋轢がかなりなものになっていたところに出渕裕さんが押井守とふとしたきっかけで喧嘩になってしまいその後絶縁に近い状態となっていることなどかなりディープな話が。また、トークの中で出渕裕さんが監督としてパトレイバーの新作が準備中、ほかシリーズのシナリオ集の出版や伊藤和典さん著作で警察を引退した後藤が熱海で寿司屋をやっているという内容の小説が執筆中と今後の展開の話がサラッと出てきたのも印象的。
2本目は「超時空要塞マクロス愛・おぼえていますか」。1984年に製作され、TVシリーズの主な要素を再構築し完全新規作画で2時間の劇映画とした作品です。男女の三角関係、そしてリン・ミンメイの歌うアイドルソングと可変戦闘機バルキリーというシリーズを決定づける要素が巨人族同士の星間戦争に巻き込まれる地球人類というスケールの大きなSFと絶妙に絡み合い稀有な映像体験をもたらします。若く情熱的なアニメーターたちが結集し、当事者をして「手描きでやって良いレベルじゃない」と言ってしまうほど細密かつ物量を極めたビジュアルで、公開から40年を経た今なお色褪せない迫力があります。
トークセッションでは監督を務めた河森正治さん、作画監督の1人だった板野一郎さん、聞き手にアニメ評論家としてもライターとしても第一人者である氷川竜介さんが登壇。
話題の中心はやはり外注先のクオリティが低く5回に4回は不出来なまま放送せざるを得ない状況に体を壊すほどにフラストレーションが溜まっていたというTVシリーズ製作当時の愚痴から(笑)、その反動としての劇場版誕生の軌跡、その後シリーズを重ねるにつれて早い段階からCGを導入するに至った経緯などこちらも濃密なトークが展開。観客から直に聞く質疑応答のコーナーでは最近渦中にある「メガゾーン23」に関する質問が飛び出す一幕も。質問も回答もかなり際どい内容のためここでは詳細は書きませんが(笑)。
実はスクリーンの入口前には「機動戦士ガンダム」劇場版公開当時の新聞記事や台本印刷用の原版などを展示したミニコーナーが設けられていたりとどこまでも「本気」を感じさせてくれるイベントでした。地域密着型の独立したシネコンだからこそのフットワークの軽さと熱意で可能になったとも言える今回のこの企画、期待を超える満足度で1ファンとして心底充実した時間を過ごせました。せっかくなのでこの一度限りに終わらず第2回、第3回と回数を重ねて行って欲しいですね。
今回は長くなってしまったので前置き無しで即本題に入ります。
さて、5月17〜19日の3日間ミッドランドスクエアシネマで開催された「どまんなかアニメ映画祭」に行って来ました。日本アニメの青春期とも言えた1980年代の傑作を中心に10本のアニメ映画を特集上映する企画です。全てソフト化や配信がなされており観るだけなら比較的容易ながらスクリーンで、となるとなかなかそうはいかない作品を10本一堂に介すだけでも熱いですが、このイベント最大の特色は全上映回で作品の主要スタッフをゲストとして呼びトークセッションを行なっている点です。登壇者の方の多くが今なお第一線で活躍している方ばかりでそのような方たちの話が聞けるだけでも貴重な機会に、2本の映画を観てきました。
1本目は「機動警察パトレイバー2the movie」。1993年に製作された作品で、首都東京に迫るテロの脅威と、それに触発されて自衛隊がクーデター寸前まで行く中で事件の真相に迫る警察官の暗闘を描きます。TVシリーズやOVA版と比して非常にリアリスティックに戦争状態に東京が侵食されていく様を描いており、緻密なレイアウトとデフォルメの少ないビジュアルがもたらす硬質な画面と相まって、アニメができうる「リアリティ」のレベルを一段引き上げたと言って良い作品です。
トークセッションではメカデザインを務めた出渕裕さん、脚本を手掛けた伊藤和典さん、当時はアシスタントプロデューサーで参加し現在はバンダイナムコアーツの取締役社長でもある浅沼誠さん、聞き手として明治大学准教授でアニメ研究家の森川嘉一郎さんが登壇。
話題の中心は映画としての骨格の強さと裏腹にパトレイバーというシリーズで見ると極めて異質な作風であることや主要人物の1人・南雲が他作品と比べてかなり生々しい人物として描かれているところの理由など。王様然と振る舞う押井守監督と周囲のスタッフとの緩衝役を担っていた伊藤和典さんがこの頃心身ともに絶不調だったらしくクッションの役割を果たせず周囲との軋轢がかなりなものになっていたところに出渕裕さんが押井守とふとしたきっかけで喧嘩になってしまいその後絶縁に近い状態となっていることなどかなりディープな話が。また、トークの中で出渕裕さんが監督としてパトレイバーの新作が準備中、ほかシリーズのシナリオ集の出版や伊藤和典さん著作で警察を引退した後藤が熱海で寿司屋をやっているという内容の小説が執筆中と今後の展開の話がサラッと出てきたのも印象的。
2本目は「超時空要塞マクロス愛・おぼえていますか」。1984年に製作され、TVシリーズの主な要素を再構築し完全新規作画で2時間の劇映画とした作品です。男女の三角関係、そしてリン・ミンメイの歌うアイドルソングと可変戦闘機バルキリーというシリーズを決定づける要素が巨人族同士の星間戦争に巻き込まれる地球人類というスケールの大きなSFと絶妙に絡み合い稀有な映像体験をもたらします。若く情熱的なアニメーターたちが結集し、当事者をして「手描きでやって良いレベルじゃない」と言ってしまうほど細密かつ物量を極めたビジュアルで、公開から40年を経た今なお色褪せない迫力があります。
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話題の中心はやはり外注先のクオリティが低く5回に4回は不出来なまま放送せざるを得ない状況に体を壊すほどにフラストレーションが溜まっていたというTVシリーズ製作当時の愚痴から(笑)、その反動としての劇場版誕生の軌跡、その後シリーズを重ねるにつれて早い段階からCGを導入するに至った経緯などこちらも濃密なトークが展開。観客から直に聞く質疑応答のコーナーでは最近渦中にある「メガゾーン23」に関する質問が飛び出す一幕も。質問も回答もかなり際どい内容のためここでは詳細は書きませんが(笑)。
実はスクリーンの入口前には「機動戦士ガンダム」劇場版公開当時の新聞記事や台本印刷用の原版などを展示したミニコーナーが設けられていたりとどこまでも「本気」を感じさせてくれるイベントでした。地域密着型の独立したシネコンだからこそのフットワークの軽さと熱意で可能になったとも言える今回のこの企画、期待を超える満足度で1ファンとして心底充実した時間を過ごせました。せっかくなのでこの一度限りに終わらず第2回、第3回と回数を重ねて行って欲しいですね。
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無題 By rajangamen
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original tһoughts оn tһis issue. Ꭱeally.. tһanks foг starting tһis up.
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