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ちゅうカラぶろぐ


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サイバー攻撃の影響で製作がストップしていた東映アニメーションが、ようやく「ワンピース」や「デリシャスパーティ♡プリキュア」と言った自社作品の放送再開に漕ぎ着け、延期となっていた「ドラゴンボール超」の封切り日も決まるなど何とか再始動してくれて嬉しい限りです。ここ数ヶ月サイバー攻撃により企業がダメージを受けた話が相次ぎ、自分の仕事に近いところでは月桂冠が数日注文を受け付けられず商品が出荷できない事態に陥ったりしていました。ネットの海でも不穏な話が尽きないというのは嫌なものですね。

 こんばんは、小島@監督です。
 日曜日にプリキュアが観られないと地味にメンタルに来るんすわ。

 さて、今回の映画は「ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密」です。

 普通の人間「マグル」に全面戦争を仕掛けようとし、魔法界で勢力を伸ばし続けるゲラール・グリンデルバルド(マッツ・ミケルセン)、その野望を阻止しようとするアルバス・ダンブルドア(ジュード・ロウ)だったが自身ではグリンデルバルドを止められないため元教え子で魔法動物学者のニュート・スキャマンダー(エディ・レッドメイン)に依頼し少人数のチームを結成する。
 ニューヨークでパン屋を営むジェイコブ・コワルスキー(ダン・フォグラー)は最愛の女性クイニー・ゴールドスタイン(アリソン・スドル)がグリンデルバルドの元に去って落ち込んでしまい、繁盛していたパン屋もすっかり寂れてしまっていた。そんなジェイコブの前にニュートの依頼を受けた呪文学の教師ユーラリー・ヒックス(ジェシカ・ウィリアムズ)が現れる。

 「ハリー・ポッターシリーズ」に連なり、その前の時代を描く「ファンタスティック・ビースト」、5部作を予定しているシリーズの第3作目が公開されました。キャストにもスタッフにもアカデミー賞受賞もしくはノミネート歴を持つ方々が何人もいる、まさに大作と呼ぶに相応しい布陣と迫力の映像でゴールデンウイーク・シーズンを飾る作品らしい1本になっています。コリーン・アトウッド(彼もアカデミー賞受賞経験者)手掛ける1930年代風衣裳がとにかく素晴らしいので画の華々しさはピカイチでしょう。

 「ハリー・ポッター」の原作者J・K・ローリング自身が脚本を手掛けた前作が興行成績は良かったものの物語の評価は今一つだったことの反省を踏まえてか、今作では映画「ハリポタ」8作品中7作品のシナリオを書いたスティーヴ・クローヴスが共同脚本として参加しており、それが功を奏したか、前作よりメリハリの効いた作品になっています。また、前作までグリンデルバルド役を演じていたジョニー・デップが家庭内暴力関連の裁判で敗訴した影響で降板し、マッツ・ミケルセンが引き継いだという点も踏まえ、続編というより仕切り直しのような印象です。

 面白い、というか観る人によって印象が変わるだろうなという最大のポイントが「ダンブルドアの秘密」という副題そのものにあります。実はこれ変な意訳ではなく原題もこのまま。ですが溜めて溜めてクライマックスに衝撃の事実が明らかにされる、という類のものではありません。ごく序盤でかなりあっさりと言及されます。むしろ「秘密」の内容そのものよりそれをどのような気持ちでダンブルドアが抱えてきたかを踏み込んで描いているのが特徴。そこをどう観るかでこの映画に対する評価も大きく変わってくるでしょう。
 また、これを主軸にニュートの活躍やコワルスキーとクイニーの関係なども合わせて描かれていくので前作同様に構成要素の多い凝った物語になっており、悪い言い方をすればかなり唐突な展開も目につき、登場人物の背景を把握できていなければ振り落とされてしまいかねない部分も散見されます。予習はしておくに越したことはありません。

 ところでジョニー・デップからグリンデルバルド役を引き継いだマッツ・ミケルセン、個人的な印象になりますがグリンデルバルドというキャラクターにはむしろ合っているように見受けられました。冷酷なカリスマであったグリンデルバルドの意外な「もろさ」が露呈する今作にあって、その「もろさ」を品格を以て演じ切るその居住まいがあまりにも見事なのです。ダンブルドア役ジュード・ロウとの化学反応はこの作品の見どころの一つと言っていいでしょう。

 前作より引き続きや留め置きとなっていた部分の多くに一応の決着がつきポジティブな余韻を残してくれるのも高ポイント。総じて得られる満足度は高い1本。コレを踏まえて残り2作でどのような展開を見せるのか、ハリー・ポッターの時代へどう繋がっていくのか楽しみです。

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