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ちゅうカラぶろぐ


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皆さん、明けましておめでとうございます。
 また、今日の歌会に参加された皆さんお疲れ様でした。ようやく以前のような雰囲気が戻りつつあるかなという感じがしてきましたね。昨年12月の回は所用で早抜けせざるを得なかったんですが、今回はがっつり最後まで楽しませていただきました。

 こんばんは、小島@監督です。
 皆さん、今年もよろしくお願いします。

 さて、今回の映画は「マトリックス レザレクションズ」です。

 トーマス・アンダーソン(キアヌ・リーブス)は、デウス・マキナ社に所属するゲームデザイナー。人気ゲーム「マトリックス」三部作を手掛けて世界的名声を手に入れていた。しかし精神的不調を抱えるトーマスはゲーム制作に没頭するあまり現実と創作の境界線を見失い始めていた。
 ある時、トーマスはCEOのスミス(ジョナサン・グロフ)から親会社であるワーナー・ブラザーズからの意向で「マトリックス4」を製作せざるを得なくなったことを知らされる。アナリスト(ニール・パトリック・ハリス)のセラピーを受けながら連日の企画会議をこなすトーマス。
 ゲーム制作の合間にカフェに立ち寄ったトーマスはそこでティファニー(キャリー=アン・モス)という女性に出会う。ティファニーは、トーマスが「マトリックス」の中で想像したトリニティに不思議と酷似していた…

 1999年から2003年まで、文字通り世紀をまたぐように三部作が製作された「マトリックス」は仮想現実に囚われそこからの脱出と変革への戦いに挑む人間の姿を一種の神話的な語り口の中で描き出して一大ムーブメントを起こしました。2000年に発売された1作目のDVDは、同年に発売されDVDの再生機能も有していたPS2の売り上げに大きく貢献したと言われているほどです。TVゲームの歴史の中で、映像ソフトがゲームハードの販売促進に繋がった例は後にも先にもこの1例だけ。それほど当時の衝撃は大きいものでした。「攻殻機動隊」などジャパンカルチャーへのリスペクトと影響も強く見受けられる「マトリックス」でしたが同時に日本アニメへ与えた影響も大きく、2003年に続編である「マトリックス リローデッド」の公開に先立ち世界観を共有した「アニマトリックス」というアニメも日本のアニメーターが多数参加する形で製作されました。そんな「マトリックス」の実に18年ぶりの新作です。

 いささか意外だったのは今作がリメイクでもリブートでもなく続編として製作されていた点です。かつての三部作では風呂敷を広げ過ぎて畳み切れず最終的にはデウス・エクス・マキナを登場させ強引に終わらせた印象が拭えませんでしたが、今作ではその三部作を継承した上で新たな物語を構築しようと試みています。それ故に導入部からして「こう来たか!」と思う一方でかなりややこしい構図が提示されています。その歪ともいえる感覚は映画全体も貫いており、多分に大作でありながら非常に私小説的でもある極めてユニークな作品に仕上がっています。

 それは恐らく監督のラナ・ウォシャウスキーがこの18年の間に性別適合手術を受けて男性から女性へと変わっていること、また「クラウド・アトラス」(2012年)や「センス8」(2015~18年)など「マトリックス」後のフィルモグラフィも華々しい反面どうしても「マトリックス」という金字塔が二つ名のように自身について回ったであろうことへの葛藤など監督の人生の機微への彫りの深さが随所から伺えるものになっています。それは時に自虐的ですらあるセリフが飛び出すほど。SFアクション映画としては十分すぎるほどのボリュームを有していながらどこか弾み切らないものが見え隠れしているのもその辺りに起因するものがあるでしょう。

 三部作を観ていることが前提の作りである上にかなり作家性が前面に出てしまっているので正直ちょっと薦め辛い一本です。ですが、当時未見性の塊であったこの世界観に心躍らせた方にとっては見届けるに足る作品になっているとも思えます。「映画」と言うものが生み出した複雑な産物であるこの逸品、観るならどうぞスクリーンで味わってみてください。

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