昨年9月に幕張で開催された「THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS 7thLIVE TOUR Special 3chord♪ Comical Pops!」のアンコール上映を昨日観に行ってきました。アイマスの大規模イベントとしては珍しく平日開催だったこともありライブビューイングすら観ることができなかったためようやくと言ったところ。何せ自分の担当の一人である白菊ほたる(CV天野聡美)のデビューステージでしたしね!そりゃあ感無量でございました(笑)
昨年11月の名古屋公演がクラブチューンに特化した内容だったのと比してスタンダードなアイドルポップを前面に押し出した構成でとにかくどれを観ても可愛らしいのが印象的。逆に最初にこれをやっていたから後の変化球のような名古屋公演が活きてくるのが分かります。
こんばんは、小島@監督です。
来月の大阪公演も楽しみ。何を見せてくれるだろう。
さて、今回の映画は「男はつらいよ お帰り寅さん」です。
サラリーマンを辞めて小説家への道を歩み出した諏訪満男(吉岡秀隆)は、亡き妻の七回忌のために娘のユリ(桜田ひより)とともに浅草柴又の実家「くるまや」を訪れた。法事を終え、満男は両親であるさくら(倍賞千恵子)、博(前田吟)と共に昔話に花を咲かせる。思い出されるのは伯父・虎次郎(渥美清)との騒々しくて楽しかった日々。寅次郎は長く家に戻っておらず、満男は心のどこかに穴の開いたような感覚を味わっていた。
ある日、出版社に押し切られる形で開いたサイン会で満男はかつての恋人であるイズミ(後藤久美子)と再会した。今は国連職員として海外で暮らすイズミ。思わぬ偶然に驚いた満男はイズミを伴いある店を訪れる。そこにはかつて寅次郎の恋人であった女性・リリー(浅丘ルリ子)がいた…
私事ながら、3年前に父が他界しました。その父が生前TV放送されると好んで観ていたのが「男はつらいよ」でした。落語も好きでしたし人情噺のような「男はつらいよ」のテイストがお気に入りだったのでしょう。私に限らず両親や祖父母がこのシリーズのファンだった方、多いのではないでしょうか。「国民的」と評される作品が少なくなった昨今ですが、「男はつらいよ」は紛れなく「国民的」であった作品です。その「男はつらいよ」22年ぶりにしてシリーズ50作目が現在公開しています。1972年から89年までは年2本製作されサマーシーズンとお正月の定番だったそうです。ならばせっかくならお正月のうちにと年明け早々に観てきました。
恐らくこういう作品は今後現れないだろうと思える、かなりユニークな作品です。形自体は新作として撮影された部分にこれまでの作品から抜粋したシーンで構成された「新作+総集編」というスタイルであり、これ自体はTVアニメの劇場版では定番のスタイルでもあるためアニメ映画見慣れてるとさほど珍しくはなく、また「男はつらいよ」でも渥美清没後の1997年に追悼の意味を込めて作られた第49作「寅次郎ハイビスカスの花 特別編」でシリーズ25作目をベースに新規撮影シーンを追加して公開したことがあり、今作はいわばそのアップグレード版とでもいうべきところですが、では何がユニークかと言えばこの作品の前に横たわる50年という時間が持つ重みです。
その時間を共有していたのはキャストやスタッフだけでなく観客たちもです。私が観た上映回ではお孫さんらしい子を連れて来ている方がいました。寅さんのコスプレと思しき格好をしている方がいました。足腰が弱っているのに座席まで家族に付き添われながら観に来てる方もいました。なにぶん私でさえも「父が健在なら観に行きたがっただろうから」という動機で足を運んでいます。生涯でこんな理由で映画を観ることなどそう何度も無いでしょう。そういう時間の「重さ」を、この映画は見せてくれます。
映画は思いがけずイズミと行動を共にすることになった満男の心の旅を主眼に構成されています。重要なことはその行動と心の動き一つ一つが結果的に「男はつらいよ」の長い物語を閉じようとする方向に作用していることです。「お帰り寅さん」という副題ですが、間違いなくこれは別れの挨拶です。車寅次郎というキャラクターと、それを演じ続けた渥美清という俳優への20年越しの「さよなら」です。上映終了後、初日でもないのに拍手が起こったのはきっとそれを観客も感じ取ったのでしょう。
確かにノスタルジーが前に出過ぎている作品ではあります。しかしこういう真の意味で「訣別」のための作品というのは必要としている方も多いはず。そしてまだこのシリーズを知らない方にとっては入り口として丁度いい作品ともいえます。
生前、ある時父がシリーズのお薦めを4本教えてくれたことがあります。その内2本は観ているのですが後の2本はまだです。いつかそれも観てみないと。本当は、酒でも飲みながら一緒に観たかったものかもしれないから。
昨年11月の名古屋公演がクラブチューンに特化した内容だったのと比してスタンダードなアイドルポップを前面に押し出した構成でとにかくどれを観ても可愛らしいのが印象的。逆に最初にこれをやっていたから後の変化球のような名古屋公演が活きてくるのが分かります。
こんばんは、小島@監督です。
来月の大阪公演も楽しみ。何を見せてくれるだろう。
さて、今回の映画は「男はつらいよ お帰り寅さん」です。
サラリーマンを辞めて小説家への道を歩み出した諏訪満男(吉岡秀隆)は、亡き妻の七回忌のために娘のユリ(桜田ひより)とともに浅草柴又の実家「くるまや」を訪れた。法事を終え、満男は両親であるさくら(倍賞千恵子)、博(前田吟)と共に昔話に花を咲かせる。思い出されるのは伯父・虎次郎(渥美清)との騒々しくて楽しかった日々。寅次郎は長く家に戻っておらず、満男は心のどこかに穴の開いたような感覚を味わっていた。
ある日、出版社に押し切られる形で開いたサイン会で満男はかつての恋人であるイズミ(後藤久美子)と再会した。今は国連職員として海外で暮らすイズミ。思わぬ偶然に驚いた満男はイズミを伴いある店を訪れる。そこにはかつて寅次郎の恋人であった女性・リリー(浅丘ルリ子)がいた…
私事ながら、3年前に父が他界しました。その父が生前TV放送されると好んで観ていたのが「男はつらいよ」でした。落語も好きでしたし人情噺のような「男はつらいよ」のテイストがお気に入りだったのでしょう。私に限らず両親や祖父母がこのシリーズのファンだった方、多いのではないでしょうか。「国民的」と評される作品が少なくなった昨今ですが、「男はつらいよ」は紛れなく「国民的」であった作品です。その「男はつらいよ」22年ぶりにしてシリーズ50作目が現在公開しています。1972年から89年までは年2本製作されサマーシーズンとお正月の定番だったそうです。ならばせっかくならお正月のうちにと年明け早々に観てきました。
恐らくこういう作品は今後現れないだろうと思える、かなりユニークな作品です。形自体は新作として撮影された部分にこれまでの作品から抜粋したシーンで構成された「新作+総集編」というスタイルであり、これ自体はTVアニメの劇場版では定番のスタイルでもあるためアニメ映画見慣れてるとさほど珍しくはなく、また「男はつらいよ」でも渥美清没後の1997年に追悼の意味を込めて作られた第49作「寅次郎ハイビスカスの花 特別編」でシリーズ25作目をベースに新規撮影シーンを追加して公開したことがあり、今作はいわばそのアップグレード版とでもいうべきところですが、では何がユニークかと言えばこの作品の前に横たわる50年という時間が持つ重みです。
その時間を共有していたのはキャストやスタッフだけでなく観客たちもです。私が観た上映回ではお孫さんらしい子を連れて来ている方がいました。寅さんのコスプレと思しき格好をしている方がいました。足腰が弱っているのに座席まで家族に付き添われながら観に来てる方もいました。なにぶん私でさえも「父が健在なら観に行きたがっただろうから」という動機で足を運んでいます。生涯でこんな理由で映画を観ることなどそう何度も無いでしょう。そういう時間の「重さ」を、この映画は見せてくれます。
映画は思いがけずイズミと行動を共にすることになった満男の心の旅を主眼に構成されています。重要なことはその行動と心の動き一つ一つが結果的に「男はつらいよ」の長い物語を閉じようとする方向に作用していることです。「お帰り寅さん」という副題ですが、間違いなくこれは別れの挨拶です。車寅次郎というキャラクターと、それを演じ続けた渥美清という俳優への20年越しの「さよなら」です。上映終了後、初日でもないのに拍手が起こったのはきっとそれを観客も感じ取ったのでしょう。
確かにノスタルジーが前に出過ぎている作品ではあります。しかしこういう真の意味で「訣別」のための作品というのは必要としている方も多いはず。そしてまだこのシリーズを知らない方にとっては入り口として丁度いい作品ともいえます。
生前、ある時父がシリーズのお薦めを4本教えてくれたことがあります。その内2本は観ているのですが後の2本はまだです。いつかそれも観てみないと。本当は、酒でも飲みながら一緒に観たかったものかもしれないから。
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この年末年始、アイマスP的には連日次々と上がる出演声優陣の結婚報道を前に、何とも言いようのない感覚に打ちのめされるという奇妙な気分を味わってました(苦笑)しかし関係者の中には割とマジでご祝儀貧乏に陥る方もいるのではないかと勘繰ってしまうくらいのハイペース。一体何祭だったんだろうアレは。
こんばんは、小島@監督です。
それはさておき皆さん明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。
さて、今年最初となる今回の映画は「スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け」です。
クレイトでの戦いから約1年後、レイア将軍(キャリー・フィッシャー)率いるレジスタンスは復活を遂げたが、危機は間近に迫っていた。かつて銀河帝国を支配していた皇帝パルパティーン(イアン・マクダーミド)が復活を遂げたというのだ。
スノークを殺しファースト・オーダーの最高指導者となったカイロ・レン(アダム・ドライバー)は、銀河各地に勢力を広げながらシスの起源へ近づいていき、パルパティーンが身を潜める惑星エクセゴルの存在を知る。
一方ジェダイの修行を続けていたレイ(デイジー・リドリー)はルーク(マーク・ハミル)が惑星エクセゴルへの道を探ろうとしていたことを知る。レイはフィン(ジョン・ボイエガ)やポー(オスカー・アイザック)らと共にルークがその手掛かりを探ったという惑星パサーナへと向かったが…
1977年に第1作が公開され世界的な大ヒットを遂げた「スター・ウォーズ」、日本では翌1978年に公開され、「宇宙戦艦ヤマト」や「日本沈没」などでSFがブームにあったことも手伝い大ヒットを記録しました。それから42年、9部作の完結編となる作品が遂に世に出ました。「金曜ロードショー」などで度々放送されていたこともあり自分にとっても子供の頃から大好きな作品でしたが、初めてスクリーンで観る機会を得たのは「エピソード1 ファントム・メナス」(1999年)。当時大学生でした。「ファントム・メナス」は正直作品としてはイマイチで時系列的には一番最初でも未見の方にここから観るのはお薦めできないくらいなんですが(苦笑)、スクリーンで観るキャラクターたち、腹の底に響くかのようなあのテーマ曲に感激したことをよく覚えています。
ファンでない方には少々ややこしい話ではありますが、生みの親であるジョージ・ルーカスは確かに9部作を構想してはいましたが6作目までで製作からは離れており、7作目以降は「9部作の最後の3部作」という形式のみを残し僅かにルーカスのプロットを受け継いではいるものの、事実上ルーカスの関わらないこの3部作は新たなステージに入った作品となっています。また、7作目「フォースの覚醒」の製作に入る前の2012年にルーカス・フィルムがウォルト・ディズニー・カンパニー傘下に入ったことでマーケティングだけでなく映画製作においても大きな影響を及ぼすことになりました。全作で変わらないままだったのは音楽を手掛けたジョン・ウィリアムズ。もう80代も後半に入っているのですが精力的に音楽活動を続け今作でも重厚なシンフォニーを聴かせてくれます。
作品としては紆余曲折を経て7作目「フォースの覚醒」を監督したJ・J・エイブラムスが最終章の担い手として脚本・監督・製作を兼任しています。これが実は良くも悪くもという感じです。ライアン・ジョンソンが監督した前作「最後のジェダイ」で風呂敷を広げ過ぎた感のある物語を力尽くで畳んで大団円に持っていったことは見事と言えます。ですが一方で作劇には難があったもののスター・ウォーズの物語の中心核をこれまでのスカイウォーカーから引き離そうとする革新的な構図を盛り込んだ前作が見せたうねりの萌芽を結局エッセンスだけに留めてしまい、要所要所で光る部分はあるものの保守的で小さくまとまった作品になってしまったのは残念でなりません。どちらかと言えばこれは監督の差配というよりブランドイメージに対する明確なビジョンを持っていない企画・製作側の問題という気もします。
幸い客入りも上々なようでそこは良いのですが、作品の性質上、また出来栄えから言ってもCMや予告編につられてシリーズ未見の方がここから観始めようとするのは一切お薦めできない作品です。
ただ、ファンの方は観に行きましょう。私自身はこういう感想でしたが良いか悪いかは問題ではなく見届けなくてはならんでしょう、コレは(笑)
こんばんは、小島@監督です。
それはさておき皆さん明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。
さて、今年最初となる今回の映画は「スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け」です。
クレイトでの戦いから約1年後、レイア将軍(キャリー・フィッシャー)率いるレジスタンスは復活を遂げたが、危機は間近に迫っていた。かつて銀河帝国を支配していた皇帝パルパティーン(イアン・マクダーミド)が復活を遂げたというのだ。
スノークを殺しファースト・オーダーの最高指導者となったカイロ・レン(アダム・ドライバー)は、銀河各地に勢力を広げながらシスの起源へ近づいていき、パルパティーンが身を潜める惑星エクセゴルの存在を知る。
一方ジェダイの修行を続けていたレイ(デイジー・リドリー)はルーク(マーク・ハミル)が惑星エクセゴルへの道を探ろうとしていたことを知る。レイはフィン(ジョン・ボイエガ)やポー(オスカー・アイザック)らと共にルークがその手掛かりを探ったという惑星パサーナへと向かったが…
1977年に第1作が公開され世界的な大ヒットを遂げた「スター・ウォーズ」、日本では翌1978年に公開され、「宇宙戦艦ヤマト」や「日本沈没」などでSFがブームにあったことも手伝い大ヒットを記録しました。それから42年、9部作の完結編となる作品が遂に世に出ました。「金曜ロードショー」などで度々放送されていたこともあり自分にとっても子供の頃から大好きな作品でしたが、初めてスクリーンで観る機会を得たのは「エピソード1 ファントム・メナス」(1999年)。当時大学生でした。「ファントム・メナス」は正直作品としてはイマイチで時系列的には一番最初でも未見の方にここから観るのはお薦めできないくらいなんですが(苦笑)、スクリーンで観るキャラクターたち、腹の底に響くかのようなあのテーマ曲に感激したことをよく覚えています。
ファンでない方には少々ややこしい話ではありますが、生みの親であるジョージ・ルーカスは確かに9部作を構想してはいましたが6作目までで製作からは離れており、7作目以降は「9部作の最後の3部作」という形式のみを残し僅かにルーカスのプロットを受け継いではいるものの、事実上ルーカスの関わらないこの3部作は新たなステージに入った作品となっています。また、7作目「フォースの覚醒」の製作に入る前の2012年にルーカス・フィルムがウォルト・ディズニー・カンパニー傘下に入ったことでマーケティングだけでなく映画製作においても大きな影響を及ぼすことになりました。全作で変わらないままだったのは音楽を手掛けたジョン・ウィリアムズ。もう80代も後半に入っているのですが精力的に音楽活動を続け今作でも重厚なシンフォニーを聴かせてくれます。
作品としては紆余曲折を経て7作目「フォースの覚醒」を監督したJ・J・エイブラムスが最終章の担い手として脚本・監督・製作を兼任しています。これが実は良くも悪くもという感じです。ライアン・ジョンソンが監督した前作「最後のジェダイ」で風呂敷を広げ過ぎた感のある物語を力尽くで畳んで大団円に持っていったことは見事と言えます。ですが一方で作劇には難があったもののスター・ウォーズの物語の中心核をこれまでのスカイウォーカーから引き離そうとする革新的な構図を盛り込んだ前作が見せたうねりの萌芽を結局エッセンスだけに留めてしまい、要所要所で光る部分はあるものの保守的で小さくまとまった作品になってしまったのは残念でなりません。どちらかと言えばこれは監督の差配というよりブランドイメージに対する明確なビジョンを持っていない企画・製作側の問題という気もします。
幸い客入りも上々なようでそこは良いのですが、作品の性質上、また出来栄えから言ってもCMや予告編につられてシリーズ未見の方がここから観始めようとするのは一切お薦めできない作品です。
ただ、ファンの方は観に行きましょう。私自身はこういう感想でしたが良いか悪いかは問題ではなく見届けなくてはならんでしょう、コレは(笑)
年末ギリギリまで仕事がある職種ですが、それでも今日でようやく仕事納め。年末年始の休暇って企業によって割とバラバラだったりするんですが今年はカレンダー的に綺麗にハマったこともあってほぼどこも同じ期間での休暇に。こういうのって意外にキャバクラやホストクラブのような夜の業態にも影響があって、年末は大抵クリスマスまでで終わらせるそういう店も今年は27日や28日まで営業していたところも多かったようです。
ま、その分こっちは大変でしたがね(苦笑)
こんばんは、小島@監督です。
とはいえこの時期はそうであってもらわなくては困るのがこの仕事の辛いところと言いますが。
さて、今年最後の更新となる今回は「今年の5本」と題して2019年の映画を振り返ります。気が付けばこれももう8回目。自分としても恒例行事みたいになってきました。例によって現在の鑑賞可能状況を記載しておきます。参考になれば幸いです。
1. IT/イット THE END ”それ”が見えたら、終わり
色々迷いましたが、今年の一番はコレ。映画を観るのにも「時」というのがあって、それは何も単に日時というだけでなく「何歳の時に観たか」というのもあったりします。そういう意味において40代に踏み入った時にこの作品に出会えたのは幸福だったと思えます。現在公開中。
2. アベンジャーズ/エンドゲーム
マーベル・シネマティック・ユニバース11年間の区切りとなる作品。長い間の積み重ねが生きたまさに「万感」という言葉が似合う極上の余韻が素晴らしい。Blu-ray/DVD/ダウンロード版発売中。
3. 新聞記者
日本映画にはまだコレを作れる気概が残っていたかと胸が熱くなる反骨の一作。どういう感想を抱くにしろ、多くの方に観てほしい一本です。Blu-ray/DVD/ダウンロード版発売中。また一部で現在も上映が続いています。
4. スパイダーマン:スパイダーバース
文字通り縦横無尽にキャラクターが躍動する「アニメを観る快感」に満ちた傑作。Blu-ray/DVD/ダウンロード版発売中。
5. ジョーカー
現代の病巣を凝縮したような、強烈な「悪」を体現した一本。忘れ難い作品だが、どこかで過去のものになってほしい逸品。現在も公開中。Blu-ray/DVDが1月29日に、ダウンロード版が1月8日に発売予定。なおここで初収録となる日本語吹替版ではジョーカーを平田広明が演じます。
今年はアメコミ映画に傑作・良作が多かった印象。またその中でも社会派な作品にキラリと光るものがありました。
さて、ここからはそれ以外にも印象に残った作品をざっと。こちらは例によって鑑賞順に列記していきます。
・家(うち)へ帰ろう
ホロコーストを生き抜いた偏屈な老人が、70年越しの約束を果たすためにポーランドを目指す。ラストの深い余韻が沁みる。Blu-ray/DVD/ダウンロード版発売中。
・ラブライブ!サンシャイン!!The School Idol Movie Over the Rainbow
ストーリー構成に難はあるもののとにかく楽曲とその演出が素晴らしいの一言。Blu-ray/DVD/ダウンロード版発売中。
・デッドエンドの思い出
ほぼ全編愛知ロケという日韓合作映画。大体知ってる場所しか出てこないというのは新鮮でした。DVD発売中。また各地のミニシアターで不定期に上映が続いています。
・バハールの涙
子供をさらわれた母親たちとISとの戦い。そしてそれを追う女性記者。世界のどこかでそれは起こっている。DVD/ダウンロード版発売中。
・シティーハンター 新宿プライベートアイズ
シティーハンター19年ぶりの新作。往年のファンは開始5秒で持っていかれる「分かっている」作りが熱い。Blu-ray/DVD/ダウンロード版発売中。
・グリーンブック
黒人ピアニストとそのツアーに同行することになった白人ドライバーの交流と友情を描く。ハードな内容をユーモアで包む語り口が素晴らしい。Blu-ray/DVD/ダウンロード版発売中。
・運び屋
実在した90歳の麻薬運搬人をクリント・イーストウッドが監督・主演で描く。重い後悔を抱えながらも飄々としたアウトローお爺ちゃんの姿が忘れ難い。Blu-ray/DVD/ダウンロード版発売中。
・ビリーブ 未来への大逆転
アメリカ最高裁の名物判事ルース・ベイダー・ギンズバーグの若き日の苦闘を描く。現役の法曹界の超大物が実名で登場するって良く考えたらかなり凄い。Blu-ray/DVD/ダウンロード版発売中。
ザ・フォーリナー 復讐者
絶対に敵に回してはいけないジャッキー・チェン。いや割とマジでコワい。Blu-ray/DVD/ダウンロード版発売中。
・ゴジラ キング・オブ・モンスターズ
怪獣映画が好き過ぎるおじさんが愛情丸出しで全力投入しちゃった逸品。何かもう無闇に楽しいぜ。Blu-ray/DVD/ダウンロード版発売中。
・海獣の子供
生と死が混ざり合いやがて少女は宇宙の深淵を垣間見る。アニメーションの持つパワーを全身で味わえる逸品。Blu-rayとDVDが1月29日に発売予定。
・無双の鉄拳
最強男マ・ドンソクのアクションをたっぷり堪能できるエンターテインメント。Blu-ray/DVD/ダウンロード版発売中。
・スパイダーマン ファー・フロム・ホーム
ヒーローの新たな一歩への葛藤とアベンジャーズ後のMCUの幕開けを告げる逸品。Blu-ray/DVD/ダウンロード版発売中。
・天気の子
「君の名は」に続いてこちらも大ヒット。前作より遥かに新海誠テイスト全開なのが楽しい。夏に公開された作品ですが何と現在も上映が続いています。ソフトのリリースは現在のところ未定。
・存在のない子供たち
「自分を産んだ罪」で両親を告発する少年を描く問題作。同じ境遇の子供たちが世界中にいる事実に苦しくなる。現在も各地で上映が続いています。ソフトリリースは未定のよう。
・ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド
タランティーノが描く、1969年のハリウッドの狂騒。実在の人物や実際の事件を大胆な手法で描いてみせる。名優ブラッド・ピットとレオナルド・ディカプリオの初共演も話題になりました。Blu-ray/DVD/ダウンロード版が1月10日に発売予定。
・見えない目撃者
失明した元警官が偶然遭遇した誘拐と思しき事件に関わっていくサスペンス。主演吉岡里帆と高杉真宙の演技も素晴らしい。DVDが2月5日に発売予定。
・スター☆トゥインクルプリキュア 星のうたに想いをこめて
クライマックスの映像美が圧巻の今年のプリキュア映画。物語の出来も良く、是非多くの方に観て頂きたい逸品。Blu-rayとDVDが2月19日発売予定。
・エセルとアーネスト ふたりの物語
イギリスの片隅で、共に生きた夫婦の物語。特に大きな何かが起きるわけではないのに、何だか沁みる。現在も公開中。ソフト化は今のところ未定のよう。
・すみっコぐらし とびだす絵本とひみつのコ
まさかのロングランヒットを記録しているキャラクターの初映像化作品。終盤の意外な展開に、人によってはボロ泣きに。現在公開中。
・シティーハンターTHE MOVIE 史上最香のミッション
原作大好きおじさんがキモいくらいの愛情をこめて作ってしまったフランス映画。壮絶に楽しいぜ!現在公開中!
・コマンドー 4Kリマスター版
お前それは今年の映画じゃないぞ!何を言ってるんだ、間違ってないぜ!今年公開されちゃった映画だからね!でもBlu-rayもDVDももう何年も前から出回ってるけどね(笑)!
来年はどんな映画との出会いが待っているのでしょう。今から楽しみ。というか観たい作品はもう山ほどありますけどね(笑)!
では、良いお年を!
ま、その分こっちは大変でしたがね(苦笑)
こんばんは、小島@監督です。
とはいえこの時期はそうであってもらわなくては困るのがこの仕事の辛いところと言いますが。
さて、今年最後の更新となる今回は「今年の5本」と題して2019年の映画を振り返ります。気が付けばこれももう8回目。自分としても恒例行事みたいになってきました。例によって現在の鑑賞可能状況を記載しておきます。参考になれば幸いです。
1. IT/イット THE END ”それ”が見えたら、終わり
色々迷いましたが、今年の一番はコレ。映画を観るのにも「時」というのがあって、それは何も単に日時というだけでなく「何歳の時に観たか」というのもあったりします。そういう意味において40代に踏み入った時にこの作品に出会えたのは幸福だったと思えます。現在公開中。
2. アベンジャーズ/エンドゲーム
マーベル・シネマティック・ユニバース11年間の区切りとなる作品。長い間の積み重ねが生きたまさに「万感」という言葉が似合う極上の余韻が素晴らしい。Blu-ray/DVD/ダウンロード版発売中。
3. 新聞記者
日本映画にはまだコレを作れる気概が残っていたかと胸が熱くなる反骨の一作。どういう感想を抱くにしろ、多くの方に観てほしい一本です。Blu-ray/DVD/ダウンロード版発売中。また一部で現在も上映が続いています。
4. スパイダーマン:スパイダーバース
文字通り縦横無尽にキャラクターが躍動する「アニメを観る快感」に満ちた傑作。Blu-ray/DVD/ダウンロード版発売中。
5. ジョーカー
現代の病巣を凝縮したような、強烈な「悪」を体現した一本。忘れ難い作品だが、どこかで過去のものになってほしい逸品。現在も公開中。Blu-ray/DVDが1月29日に、ダウンロード版が1月8日に発売予定。なおここで初収録となる日本語吹替版ではジョーカーを平田広明が演じます。
今年はアメコミ映画に傑作・良作が多かった印象。またその中でも社会派な作品にキラリと光るものがありました。
さて、ここからはそれ以外にも印象に残った作品をざっと。こちらは例によって鑑賞順に列記していきます。
・家(うち)へ帰ろう
ホロコーストを生き抜いた偏屈な老人が、70年越しの約束を果たすためにポーランドを目指す。ラストの深い余韻が沁みる。Blu-ray/DVD/ダウンロード版発売中。
・ラブライブ!サンシャイン!!The School Idol Movie Over the Rainbow
ストーリー構成に難はあるもののとにかく楽曲とその演出が素晴らしいの一言。Blu-ray/DVD/ダウンロード版発売中。
・デッドエンドの思い出
ほぼ全編愛知ロケという日韓合作映画。大体知ってる場所しか出てこないというのは新鮮でした。DVD発売中。また各地のミニシアターで不定期に上映が続いています。
・バハールの涙
子供をさらわれた母親たちとISとの戦い。そしてそれを追う女性記者。世界のどこかでそれは起こっている。DVD/ダウンロード版発売中。
・シティーハンター 新宿プライベートアイズ
シティーハンター19年ぶりの新作。往年のファンは開始5秒で持っていかれる「分かっている」作りが熱い。Blu-ray/DVD/ダウンロード版発売中。
・グリーンブック
黒人ピアニストとそのツアーに同行することになった白人ドライバーの交流と友情を描く。ハードな内容をユーモアで包む語り口が素晴らしい。Blu-ray/DVD/ダウンロード版発売中。
・運び屋
実在した90歳の麻薬運搬人をクリント・イーストウッドが監督・主演で描く。重い後悔を抱えながらも飄々としたアウトローお爺ちゃんの姿が忘れ難い。Blu-ray/DVD/ダウンロード版発売中。
・ビリーブ 未来への大逆転
アメリカ最高裁の名物判事ルース・ベイダー・ギンズバーグの若き日の苦闘を描く。現役の法曹界の超大物が実名で登場するって良く考えたらかなり凄い。Blu-ray/DVD/ダウンロード版発売中。
ザ・フォーリナー 復讐者
絶対に敵に回してはいけないジャッキー・チェン。いや割とマジでコワい。Blu-ray/DVD/ダウンロード版発売中。
・ゴジラ キング・オブ・モンスターズ
怪獣映画が好き過ぎるおじさんが愛情丸出しで全力投入しちゃった逸品。何かもう無闇に楽しいぜ。Blu-ray/DVD/ダウンロード版発売中。
・海獣の子供
生と死が混ざり合いやがて少女は宇宙の深淵を垣間見る。アニメーションの持つパワーを全身で味わえる逸品。Blu-rayとDVDが1月29日に発売予定。
・無双の鉄拳
最強男マ・ドンソクのアクションをたっぷり堪能できるエンターテインメント。Blu-ray/DVD/ダウンロード版発売中。
・スパイダーマン ファー・フロム・ホーム
ヒーローの新たな一歩への葛藤とアベンジャーズ後のMCUの幕開けを告げる逸品。Blu-ray/DVD/ダウンロード版発売中。
・天気の子
「君の名は」に続いてこちらも大ヒット。前作より遥かに新海誠テイスト全開なのが楽しい。夏に公開された作品ですが何と現在も上映が続いています。ソフトのリリースは現在のところ未定。
・存在のない子供たち
「自分を産んだ罪」で両親を告発する少年を描く問題作。同じ境遇の子供たちが世界中にいる事実に苦しくなる。現在も各地で上映が続いています。ソフトリリースは未定のよう。
・ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド
タランティーノが描く、1969年のハリウッドの狂騒。実在の人物や実際の事件を大胆な手法で描いてみせる。名優ブラッド・ピットとレオナルド・ディカプリオの初共演も話題になりました。Blu-ray/DVD/ダウンロード版が1月10日に発売予定。
・見えない目撃者
失明した元警官が偶然遭遇した誘拐と思しき事件に関わっていくサスペンス。主演吉岡里帆と高杉真宙の演技も素晴らしい。DVDが2月5日に発売予定。
・スター☆トゥインクルプリキュア 星のうたに想いをこめて
クライマックスの映像美が圧巻の今年のプリキュア映画。物語の出来も良く、是非多くの方に観て頂きたい逸品。Blu-rayとDVDが2月19日発売予定。
・エセルとアーネスト ふたりの物語
イギリスの片隅で、共に生きた夫婦の物語。特に大きな何かが起きるわけではないのに、何だか沁みる。現在も公開中。ソフト化は今のところ未定のよう。
・すみっコぐらし とびだす絵本とひみつのコ
まさかのロングランヒットを記録しているキャラクターの初映像化作品。終盤の意外な展開に、人によってはボロ泣きに。現在公開中。
・シティーハンターTHE MOVIE 史上最香のミッション
原作大好きおじさんがキモいくらいの愛情をこめて作ってしまったフランス映画。壮絶に楽しいぜ!現在公開中!
・コマンドー 4Kリマスター版
お前それは今年の映画じゃないぞ!何を言ってるんだ、間違ってないぜ!今年公開されちゃった映画だからね!でもBlu-rayもDVDももう何年も前から出回ってるけどね(笑)!
来年はどんな映画との出会いが待っているのでしょう。今から楽しみ。というか観たい作品はもう山ほどありますけどね(笑)!
では、良いお年を!
来年秋予定で「ドラゴンクエスト ダイの大冒険」が実に28年ぶりにアニメ化されることが決定。「ダイの大冒険」はジャンプ黄金期直撃世代だった自分にとっても特別な作品の一つで、今でもたまに読み返したりしています。「アバン・ストラッシュ」とか「天地魔闘の構え」とか良く真似しましたよ、ええ(笑)
前のTVアニメでは原作の10巻に差し掛かったあたりのところで終わってしまったので今度は最後まで映像化してほしいところ。
こんばんは、小島@監督です。
前作に出演していた方の中には藤田淑子さん、青野武さん、内海賢二さん、石塚運昇さんと既に鬼籍に入られた方が多く、それを思い返すとちょっとしんみり。
さて、今回の映画は「アナと雪の女王2」です。
アナ(声・クリステン・ベル)とエルサ(声・イディナ・メンゼル)の姉妹によってアレンデールに平和が取り戻されてから3年の時が経った。幸せな日々が続き、クリストフ(声・ジョナサン・グロフ)は秘かにアナにプロポーズしようと考えているがなかなか実行に移せずにいる。
だが、ある日を境にエルサの耳にだけ不思議な歌声が響き始める。その歌声は自身を呼んでいるように聞こえてならないエルサ。エルサの変調に気づくアナだったが、時を同じくしてアレンデールを異変が襲った。アナとエルサは辛うじて街の住人を避難させることに成功したが、その原因を突き止めるべくアナとエルサ、クリストフ、トナカイのスヴェン、雪だるまのオラフ(声・ジョシュ・ギャッド)と共に旅に出た。
「レリゴー(Let it go)」の歌声を社会現象化させるに至った前作はディズニー史上初のダブルヒロイン映画でした。それから5年を経て製作された今作も、いわゆる「ディズニープリンセス」を主人公とした劇場用作品としては初めての続編となるそうです(実は続編としては「シュガー・ラッシュ オンライン」が、OVA作品も含めると「リトル・マーメイド」や「美女と野獣」に続編が作られていたりして、前例が全く無いではない)。
キャストはもちろん監督も前作同様クリス・バックとジェニファー・リーの共同、脚本もジェニファー・リーが続投し、ミュージカル映画にとって重要な音楽もクリストフ・ベックが引き続き担当しています。
前作も雪と氷の色彩と表現の多様さに驚かされましたが、冬ではなく秋の季節の中で展開する今作は前作以上に難度の高い水の表現が進化。更に紅葉した木々の描写も見事で、ディズニーブランドの名に恥じない圧倒的な映像美で見せてくれます。
物語の方はと言えば、エルサが未知の脅威に対しとことんアクティブなスタンスを取るのが印象的。前作は原典ともいえるアンデルセンの童話では悪の象徴であった雪の女王を視点の中心に据え、その弱さを描き出す物語でした(奇しくも前作で近い時期に公開され今年続編も製作された「マレフィセント」も同じ構図を持っていた)が、いろいろ乗り越えて心身共に強くなったエルサが、「お前はマーベルヒーローか?」と言わんばかりの大活躍を見せます。
また今作では事実上全く出番が無いにも関わらず、再三ネタにされるハンス王子の存在が楽しい(笑)
エルサの力の根源を探る旅となる今作は、同時に妹であるアナにとっても自身の出生と家族についての過去を探る旅であり、それはさらに言えばクリストフも含めた3人の人生に変化と転機をもたらすものでもあります。姉妹の出自に直結してアレンデール王国の歴史の闇までもが物語に絡んでくる上、それに伴い多数のキャラクターが新登場して来るので実は相当に複雑な構図をしているのが特徴。にも関わらず姉妹の絆のみに焦点を絞った前作と上映時間はさほど変わらないため、総じて個々のエピソードの帰結にかなりの濃淡が生じ結果的に粗のように見えてしまうのがいささか残念ではありますが、むしろ良く取りまとめてみせたなというのが印象。ちゃんと全員に新たな一歩を踏み出すドラマを用意しているところはさすがと言えます。
もう一つ見どころとして、今回私は吹替版で観たのですが、オラフ役をピエール瀧から引き継いだ武内駿輔の演技が絶品。軽快な喋りの合間にフッと出る低音が素晴らしいのでここは是非吹替版もお薦めしたいところ。
SNSを利用したステルスマーケティングが表面化して妙なケチがついてしまったりしていますが作品としてはなかなかの高品質。良い音楽と美しい映像で見せる、ちゃんと楽しい1本です。公開から1か月近く経過していますが、まだまだ好調を維持しているこの作品、せっかくならスクリーンでどうぞ。
前のTVアニメでは原作の10巻に差し掛かったあたりのところで終わってしまったので今度は最後まで映像化してほしいところ。
こんばんは、小島@監督です。
前作に出演していた方の中には藤田淑子さん、青野武さん、内海賢二さん、石塚運昇さんと既に鬼籍に入られた方が多く、それを思い返すとちょっとしんみり。
さて、今回の映画は「アナと雪の女王2」です。
アナ(声・クリステン・ベル)とエルサ(声・イディナ・メンゼル)の姉妹によってアレンデールに平和が取り戻されてから3年の時が経った。幸せな日々が続き、クリストフ(声・ジョナサン・グロフ)は秘かにアナにプロポーズしようと考えているがなかなか実行に移せずにいる。
だが、ある日を境にエルサの耳にだけ不思議な歌声が響き始める。その歌声は自身を呼んでいるように聞こえてならないエルサ。エルサの変調に気づくアナだったが、時を同じくしてアレンデールを異変が襲った。アナとエルサは辛うじて街の住人を避難させることに成功したが、その原因を突き止めるべくアナとエルサ、クリストフ、トナカイのスヴェン、雪だるまのオラフ(声・ジョシュ・ギャッド)と共に旅に出た。
「レリゴー(Let it go)」の歌声を社会現象化させるに至った前作はディズニー史上初のダブルヒロイン映画でした。それから5年を経て製作された今作も、いわゆる「ディズニープリンセス」を主人公とした劇場用作品としては初めての続編となるそうです(実は続編としては「シュガー・ラッシュ オンライン」が、OVA作品も含めると「リトル・マーメイド」や「美女と野獣」に続編が作られていたりして、前例が全く無いではない)。
キャストはもちろん監督も前作同様クリス・バックとジェニファー・リーの共同、脚本もジェニファー・リーが続投し、ミュージカル映画にとって重要な音楽もクリストフ・ベックが引き続き担当しています。
前作も雪と氷の色彩と表現の多様さに驚かされましたが、冬ではなく秋の季節の中で展開する今作は前作以上に難度の高い水の表現が進化。更に紅葉した木々の描写も見事で、ディズニーブランドの名に恥じない圧倒的な映像美で見せてくれます。
物語の方はと言えば、エルサが未知の脅威に対しとことんアクティブなスタンスを取るのが印象的。前作は原典ともいえるアンデルセンの童話では悪の象徴であった雪の女王を視点の中心に据え、その弱さを描き出す物語でした(奇しくも前作で近い時期に公開され今年続編も製作された「マレフィセント」も同じ構図を持っていた)が、いろいろ乗り越えて心身共に強くなったエルサが、「お前はマーベルヒーローか?」と言わんばかりの大活躍を見せます。
また今作では事実上全く出番が無いにも関わらず、再三ネタにされるハンス王子の存在が楽しい(笑)
エルサの力の根源を探る旅となる今作は、同時に妹であるアナにとっても自身の出生と家族についての過去を探る旅であり、それはさらに言えばクリストフも含めた3人の人生に変化と転機をもたらすものでもあります。姉妹の出自に直結してアレンデール王国の歴史の闇までもが物語に絡んでくる上、それに伴い多数のキャラクターが新登場して来るので実は相当に複雑な構図をしているのが特徴。にも関わらず姉妹の絆のみに焦点を絞った前作と上映時間はさほど変わらないため、総じて個々のエピソードの帰結にかなりの濃淡が生じ結果的に粗のように見えてしまうのがいささか残念ではありますが、むしろ良く取りまとめてみせたなというのが印象。ちゃんと全員に新たな一歩を踏み出すドラマを用意しているところはさすがと言えます。
もう一つ見どころとして、今回私は吹替版で観たのですが、オラフ役をピエール瀧から引き継いだ武内駿輔の演技が絶品。軽快な喋りの合間にフッと出る低音が素晴らしいのでここは是非吹替版もお薦めしたいところ。
SNSを利用したステルスマーケティングが表面化して妙なケチがついてしまったりしていますが作品としてはなかなかの高品質。良い音楽と美しい映像で見せる、ちゃんと楽しい1本です。公開から1か月近く経過していますが、まだまだ好調を維持しているこの作品、せっかくならスクリーンでどうぞ。
遂に大河ドラマ「いだてん」が最終回に。
日本人初のオリンピック出場選手・金栗四三、1964年東京オリンピック招致に尽力した田畑政治、そして語り部として登場しながら物語にも深く関与する古今亭志ん生の3人を主軸に半世紀に渡る日本のオリンピックとの関りと近現代のスポーツと文化を落語の「噺」の体で描き出す、実に重層的な物語に毎週楽しみにしながら観ていました。一つの文化が勃興する様だけでなく、政治の生臭いうねりの中に飲み込まれていく様や戦災、天災、差別の姿も描いてみせて今日へのアイロニーも強く、未見の方には多分年内中に放送されるであろう総集編でもいいからご覧になって頂きたいドラマですね。
こんばんは、小島@監督です。
視聴率的には大苦戦だったと聞いていますが数字に騙されてはいけない。こんなに熱くて楽しいドラマは久しぶりでした。
さて、今回の映画は「コマンドー 4Kリマスター版」です。
かつて精鋭部隊「コマンドー」の指揮官として名を馳せたジョン・メイトリクス(アーノルド・シュワルツェネッガー)だが、今は退役し愛娘ジェニー(アリッサ・ミラノ)と共に静かに暮らしていた。
そんな折、コマンドーの元隊員たちが次々と何者かに襲撃され殺害される事件が発生。事態を重く見たフランクリン・カービー将軍(ジェームズ・オルソン)はメイトリクスの元を訪ね危険を伝え護衛を残して行った。しかし将軍が去った直後メイトリクスは襲撃されジェニーが誘拐され、自身も武装集団に拘束されてしまった。
まさかこういうのが正規の配給網に乗って劇場公開される日が来ようとは。おかげで今まで自宅でしか観たことがなかったものをスクリーンで観ることができました。
1982年製作の「コナン・ザ・グレート」でハリウッドメジャーへの主演デビューを果たし、1984年の「ターミネーター」大ヒットでその地歩を固めつつあったアーノルド・シュワルツェネッガーが鍛えぬいた肉体を存分に活かしたアクションを見せ、アクションスターとしての地位を本格的に獲得した作品、それが1985年に公開された「コマンドー」です。これまでにもリバイバル上映されたことが無いでは無いのですが、4Kリマスター版として今回は初めて日本語吹替版、それも名作と名高い1989年に「日曜洋画劇場」で放送されたバージョンでの上映です。TV放送用として製作された吹替版が公式に全国ロードショーされるというのはかなり異例。というかまず記憶にありません。
物語そのものは至って単純なマッチョ・アクション映画です。1988年にアクション映画に革命をもたらしたとまで言われる「ダイ・ハード」が登場するまでは主流のスタイルだったとも言えます。ジェニーをさらわれて怒り心頭のメイトリクスが手段を選ばず敵を最速で追い詰めてぶちのめして回るだけの作品ではあるのですが、登場人物のキャラクターや台詞回しに独特の魅力があります。
今もなお愛される要因の一つに吹替版の存在があるでしょう。「筋肉モリモリマッチョマンの変態です」「とんでもねぇ、待ってたんだ」「一番気に入ってるのは、値段だ」「お前は最後に殺すと約束したな、あれは嘘だ」などのネットスラングにもなった名台詞が流れるようなリズムの会話の中にポンポン飛び出してきます。この吹替版翻訳を手掛けたのは平田勝茂さん。1970年代から活躍する吹替翻訳の第一人者で、「ダイ・ハード」や「スターウォーズ」、「007」など多くの作品を手掛け、今年も「ゴジラ キング・オブ・モンスターズ」などを担当しています。「コマンドー」はそんな平田勝茂さんの代表作の一つと言えるでしょう。近年ではリップシンク(口の動きとイントネーションにセリフの長さや訳語のチョイスを合わせること)が重視されることもあるという吹替版ですが当時はまだそれほどでもなく「大意さえ伝われば後は自由」という制約の少なさが前述のような名台詞の数々を生んだともいえます。
原語の良さを堪能できる字幕版も良いですが、吹替版には吹替版ならではの良さがあります。「コマンドー」はその楽しさを端的に味わわせてくれる作品として最適の1本です。両方見比べてみるのも一興。洋画を観る楽しさをたっぷりと堪能してほしいですね。
日本人初のオリンピック出場選手・金栗四三、1964年東京オリンピック招致に尽力した田畑政治、そして語り部として登場しながら物語にも深く関与する古今亭志ん生の3人を主軸に半世紀に渡る日本のオリンピックとの関りと近現代のスポーツと文化を落語の「噺」の体で描き出す、実に重層的な物語に毎週楽しみにしながら観ていました。一つの文化が勃興する様だけでなく、政治の生臭いうねりの中に飲み込まれていく様や戦災、天災、差別の姿も描いてみせて今日へのアイロニーも強く、未見の方には多分年内中に放送されるであろう総集編でもいいからご覧になって頂きたいドラマですね。
こんばんは、小島@監督です。
視聴率的には大苦戦だったと聞いていますが数字に騙されてはいけない。こんなに熱くて楽しいドラマは久しぶりでした。
さて、今回の映画は「コマンドー 4Kリマスター版」です。
かつて精鋭部隊「コマンドー」の指揮官として名を馳せたジョン・メイトリクス(アーノルド・シュワルツェネッガー)だが、今は退役し愛娘ジェニー(アリッサ・ミラノ)と共に静かに暮らしていた。
そんな折、コマンドーの元隊員たちが次々と何者かに襲撃され殺害される事件が発生。事態を重く見たフランクリン・カービー将軍(ジェームズ・オルソン)はメイトリクスの元を訪ね危険を伝え護衛を残して行った。しかし将軍が去った直後メイトリクスは襲撃されジェニーが誘拐され、自身も武装集団に拘束されてしまった。
まさかこういうのが正規の配給網に乗って劇場公開される日が来ようとは。おかげで今まで自宅でしか観たことがなかったものをスクリーンで観ることができました。
1982年製作の「コナン・ザ・グレート」でハリウッドメジャーへの主演デビューを果たし、1984年の「ターミネーター」大ヒットでその地歩を固めつつあったアーノルド・シュワルツェネッガーが鍛えぬいた肉体を存分に活かしたアクションを見せ、アクションスターとしての地位を本格的に獲得した作品、それが1985年に公開された「コマンドー」です。これまでにもリバイバル上映されたことが無いでは無いのですが、4Kリマスター版として今回は初めて日本語吹替版、それも名作と名高い1989年に「日曜洋画劇場」で放送されたバージョンでの上映です。TV放送用として製作された吹替版が公式に全国ロードショーされるというのはかなり異例。というかまず記憶にありません。
物語そのものは至って単純なマッチョ・アクション映画です。1988年にアクション映画に革命をもたらしたとまで言われる「ダイ・ハード」が登場するまでは主流のスタイルだったとも言えます。ジェニーをさらわれて怒り心頭のメイトリクスが手段を選ばず敵を最速で追い詰めてぶちのめして回るだけの作品ではあるのですが、登場人物のキャラクターや台詞回しに独特の魅力があります。
今もなお愛される要因の一つに吹替版の存在があるでしょう。「筋肉モリモリマッチョマンの変態です」「とんでもねぇ、待ってたんだ」「一番気に入ってるのは、値段だ」「お前は最後に殺すと約束したな、あれは嘘だ」などのネットスラングにもなった名台詞が流れるようなリズムの会話の中にポンポン飛び出してきます。この吹替版翻訳を手掛けたのは平田勝茂さん。1970年代から活躍する吹替翻訳の第一人者で、「ダイ・ハード」や「スターウォーズ」、「007」など多くの作品を手掛け、今年も「ゴジラ キング・オブ・モンスターズ」などを担当しています。「コマンドー」はそんな平田勝茂さんの代表作の一つと言えるでしょう。近年ではリップシンク(口の動きとイントネーションにセリフの長さや訳語のチョイスを合わせること)が重視されることもあるという吹替版ですが当時はまだそれほどでもなく「大意さえ伝われば後は自由」という制約の少なさが前述のような名台詞の数々を生んだともいえます。
原語の良さを堪能できる字幕版も良いですが、吹替版には吹替版ならではの良さがあります。「コマンドー」はその楽しさを端的に味わわせてくれる作品として最適の1本です。両方見比べてみるのも一興。洋画を観る楽しさをたっぷりと堪能してほしいですね。
昨日の歌会に参加された皆さん、お疲れ様でした。
今回は何だか部屋の空気に当てられていつもより叫んでしまったというか、翌日声が潰れてないか割と心配になるくらいでした(笑)
プレゼント交換の方は、今年は「シティーハンター 新宿プライベートアイ」のBlu-rayをチョイス。発売された時から「コレだ!」と決め打ち。誰の手に渡ったかよく分からずじまいでしたが、楽しんで頂ければ幸いです。
こんばんは、小島@監督です。
皆さんは今回何をチョイスしましたか?
さて、今回の映画は「シティーハンター THE MOVIE 史上最香のミッション」です。
冴羽獠(フィリップ・ラショー、吹替山寺宏一)、またの名を「シティーハンター」。凄腕のスイーパーとして相棒の槇村香(エロディ・フォンタン、吹替沢城みゆき)と共にボディーガードや探偵など様々な依頼を引き受けている。
駅の伝言板に「XYZ」の文字が書き込まれた。新しい依頼。女からの依頼かと期待を寄せる獠だったが、待ち合わせ場所に現れたのは男。獠はやる気をなくすが香からの圧力に負け仕方なく依頼を聞くことに。ドミニク・ルテリエ(ディディエ・ブルトン、吹替土師孝也)と名乗るその男は、父が開発したという「その香りをかがせた相手を虜にする」という「キューピッドの香水」を守ってほしいという。しかし全てを聞く間もなく辺りは爆風に包まれ香水の入ったトランクが強奪されてしまった!今、香水を巡る争奪戦が幕を開ける!
1970年代の終わりごろからフランスでは「レクレA2」という国外の子供向け番組を紹介する番組が放送され、中でも「UFOロボ グレンダイザー」「キャンディ・キャンディ」「スペクトルマン」といった日本のアニメ・特撮番組を積極的に放送し、日本アニメのブームを巻き起こしました。「レクレA2」終了後、その後身とも言える存在として1987年から約10年間にわたり放送された「クラブ・ドロテ」という番組があります。「ドラゴンボール」「聖闘士星矢」のようなジャンプ作品、「うる星やつら」「めぞん一刻」といった高橋留美子作品、「超電子バイオマン」などの特撮ヒーロー作品を次々と紹介し、いくつかの作品をワールドクラスに引き上げる牽引車の役割を果たしました。両番組のメインパーソナリティーであったドロテは東映からその普及活動への感謝として1988年に日本へ招待されており、本人の意向もあってその滞在中に「世界忍者戦ジライヤ」「超獣戦隊ライブマン」「仮面ライダーBLACK」にゲスト出演したりしています。
今回フランスで実写映画化された「シティーハンター」も、そうやって放送された番組の一つです。監督であり主演も務めたのはその直撃世代だったというフィリップ・ラショー。「世界の果てまでヒャッハー!」などを手掛け、フレンチ・コメディの新たな旗手とされる人物です。
何が面白いってこの映画、原作となる漫画・アニメへの愛情が何ならちょっとキモいくらいに深いことです。そもそも「シティーハンター」のフォーマットともいえる物語のスタイルを完全再現した辺りで既に只者ではありません。冴羽獠により近づけるために8か月かけて体を鍛え上げ金髪を黒く染めてみせただけでなく海坊主や槇村も原作とよく似た風貌の人物をキャスティングしてみせるなど見た目からこだわり、更には獠の愛車にアニメと同じ赤いミニ・クーパーを用意し、各所にアニメのBGMや効果音を持ってきて徹底的に雰囲気の再現にこだわっています。形だけではない原作への理解度の深さも大したもので、特に獠と香の精神的な距離感の表現が本当にそのままなことに驚かされます。ここにフレンチ・コメディならではの畳み掛けるようなスラップスティックで下ネタ全開のギャグとの相性が思いのほかベストマッチ。できるだけ本家の神谷明・伊倉一恵の演技に近づけようと演じている山寺宏一・沢城みゆきの吹替も好印象で結果的に高い完成度に辿り着いています。
基本はコメディですがアクションの方も抜かりはなく、かなり長いワンカットで見せるシーンがいくつも登場したり多数のギミックを盛り込み展開するカーアクションがあったり、豊富なアイディアをシャープに見せる手腕も大したもの。しかもその全てでバカスカ笑いを取りに来るので独特のうねりと高揚感を生んでいます。
日本アニメとフレンチ・コメディがハイグレードに融合した珍品にして傑作。ゲラゲラ笑えて観終わる頃にはちょっぴり元気になってるエナドリ的なこの逸品、異様なまでに楽しい映画です。どうぞスクリーンでご堪能あれ。
今回は何だか部屋の空気に当てられていつもより叫んでしまったというか、翌日声が潰れてないか割と心配になるくらいでした(笑)
プレゼント交換の方は、今年は「シティーハンター 新宿プライベートアイ」のBlu-rayをチョイス。発売された時から「コレだ!」と決め打ち。誰の手に渡ったかよく分からずじまいでしたが、楽しんで頂ければ幸いです。
こんばんは、小島@監督です。
皆さんは今回何をチョイスしましたか?
さて、今回の映画は「シティーハンター THE MOVIE 史上最香のミッション」です。
冴羽獠(フィリップ・ラショー、吹替山寺宏一)、またの名を「シティーハンター」。凄腕のスイーパーとして相棒の槇村香(エロディ・フォンタン、吹替沢城みゆき)と共にボディーガードや探偵など様々な依頼を引き受けている。
駅の伝言板に「XYZ」の文字が書き込まれた。新しい依頼。女からの依頼かと期待を寄せる獠だったが、待ち合わせ場所に現れたのは男。獠はやる気をなくすが香からの圧力に負け仕方なく依頼を聞くことに。ドミニク・ルテリエ(ディディエ・ブルトン、吹替土師孝也)と名乗るその男は、父が開発したという「その香りをかがせた相手を虜にする」という「キューピッドの香水」を守ってほしいという。しかし全てを聞く間もなく辺りは爆風に包まれ香水の入ったトランクが強奪されてしまった!今、香水を巡る争奪戦が幕を開ける!
1970年代の終わりごろからフランスでは「レクレA2」という国外の子供向け番組を紹介する番組が放送され、中でも「UFOロボ グレンダイザー」「キャンディ・キャンディ」「スペクトルマン」といった日本のアニメ・特撮番組を積極的に放送し、日本アニメのブームを巻き起こしました。「レクレA2」終了後、その後身とも言える存在として1987年から約10年間にわたり放送された「クラブ・ドロテ」という番組があります。「ドラゴンボール」「聖闘士星矢」のようなジャンプ作品、「うる星やつら」「めぞん一刻」といった高橋留美子作品、「超電子バイオマン」などの特撮ヒーロー作品を次々と紹介し、いくつかの作品をワールドクラスに引き上げる牽引車の役割を果たしました。両番組のメインパーソナリティーであったドロテは東映からその普及活動への感謝として1988年に日本へ招待されており、本人の意向もあってその滞在中に「世界忍者戦ジライヤ」「超獣戦隊ライブマン」「仮面ライダーBLACK」にゲスト出演したりしています。
今回フランスで実写映画化された「シティーハンター」も、そうやって放送された番組の一つです。監督であり主演も務めたのはその直撃世代だったというフィリップ・ラショー。「世界の果てまでヒャッハー!」などを手掛け、フレンチ・コメディの新たな旗手とされる人物です。
何が面白いってこの映画、原作となる漫画・アニメへの愛情が何ならちょっとキモいくらいに深いことです。そもそも「シティーハンター」のフォーマットともいえる物語のスタイルを完全再現した辺りで既に只者ではありません。冴羽獠により近づけるために8か月かけて体を鍛え上げ金髪を黒く染めてみせただけでなく海坊主や槇村も原作とよく似た風貌の人物をキャスティングしてみせるなど見た目からこだわり、更には獠の愛車にアニメと同じ赤いミニ・クーパーを用意し、各所にアニメのBGMや効果音を持ってきて徹底的に雰囲気の再現にこだわっています。形だけではない原作への理解度の深さも大したもので、特に獠と香の精神的な距離感の表現が本当にそのままなことに驚かされます。ここにフレンチ・コメディならではの畳み掛けるようなスラップスティックで下ネタ全開のギャグとの相性が思いのほかベストマッチ。できるだけ本家の神谷明・伊倉一恵の演技に近づけようと演じている山寺宏一・沢城みゆきの吹替も好印象で結果的に高い完成度に辿り着いています。
基本はコメディですがアクションの方も抜かりはなく、かなり長いワンカットで見せるシーンがいくつも登場したり多数のギミックを盛り込み展開するカーアクションがあったり、豊富なアイディアをシャープに見せる手腕も大したもの。しかもその全てでバカスカ笑いを取りに来るので独特のうねりと高揚感を生んでいます。
日本アニメとフレンチ・コメディがハイグレードに融合した珍品にして傑作。ゲラゲラ笑えて観終わる頃にはちょっぴり元気になってるエナドリ的なこの逸品、異様なまでに楽しい映画です。どうぞスクリーンでご堪能あれ。
あまり時間が作れないのでゆっくりしか進められないとも言いますが「デス・ストランディング」、ちまちまと進めています。このゲーム、ユニークなシステムしていて、広大かつ不毛な大地のそこかしこに梯子やロープをかけて道が作られています。これ、オンラインで接続状態にしているとプレイヤーの誰かが本当に道を整えているのが反映されているのです。後から始めた人の方が有利というより先駆者の切り拓いた道を辿っている感じがちょっと熱い。下手な攻略サイト見るより誰かが設置した梯子やロープを元にどう移動ルートを構築するかを考えている方が多分有意義というのも面白いですね。
こんばんは、小島@監督です。
もし誰も見つけていない登攀ルートを発見したらそこにロープは掛けておこう。いつか誰かが辿れるように。
さて、今回の映画は「ゾンビランド:ダブルタップ」です。
新型ウイルスが世界中に蔓延しゾンビが溢れ返るようになって十数年後、縁と絆によって共に行動するようになったコロンバス(ジェシー・アイゼンバーグ)、タラハシー(ウディ・ハレルソン)、ウィチタ(エマ・ストーン)と妹のリトルロック(アビゲイル・ブレスリン)の4人は、今や無人となったホワイトハウスに居を構え終末世界「ゾンビランド」をたくましく生きていた。
今や恋人同士となったコロンバスとウィチタだったが、コロンバスがプロポーズすると束縛を嫌うウィチタはそれを拒絶。リトルロックもまた自分に対し常に父親風を吹かせるタラハシーをうざったく感じており、遂に姉妹はタラハシーお気に入りのトラックでもって家出してしまった。
それまでB級ホラー映画の定番題材だったゾンビ映画に、「ゾンビさえいれば大体何をやってもいいんじゃね?」と作品のテイストの幅が大きく広がっていったのは恐らく1990年代の終わりごろじゃないかと思います。そんな折2004年に「ショーン・オブ・ザ・デッド」(監督エドガー・ライト、主演サイモン・ペグ)が製作され、ゾンビ映画にコメディの道が切り拓かれていきました。それから5年後の2009年に製作された作品が「ゾンビランド」です。引きこもりだからゾンビ禍を免れたオタク青年のコロンバス、ガンマニアなおっさんタラハシー、コソ泥と詐欺を繰り返しながら渡り歩くウィチタとリトルロックの姉妹というボンクラなメンバーたちがひょんなことから行動を共にするようになり明るくたくましくサバイバルしながらやがて家族のようになっていく姿を描き低予算ながらスマッシュヒットを飛ばしました。
それから10年、まさかの続編が登場です。
驚くことに前作の主要キャストとスタッフが再集結。この10年間にジェシー・アイゼンバーグは「ソーシャルネットワーク」の主演で話題になり、ウディ・ハレルソンは「スリー・ビルボード」「記者たち」など社会派や文学作品へ度々出演、エマ・ストーンに至っては「ラ・ラ・ランド」でアカデミー主演女優賞を獲得するなどキャリアを伸ばし、脚本のレット・リースとポール・ワーニックは「デッドプール」2作のシナリオを、監督ルーベン・フライシャーは「ヴェノム」を手掛けたりとマーベル作品を担うまでになりました。そんな今や「錚々たる」という言葉が似合うようになったメンバーが結集してそれまでのキャリアで培った技を軽やかに振るう、実に楽しい作品に仕上がっています。
一番特徴的なのは作中の時間もちゃんと10年経過している点です。家族のように寄り集まった4人も10年も経てばその関係性には様々な変化が起こるもの。それが物語に良いうねりを産んでいます。
そして今作では、実は結構生き残っている人たちが新キャラとして続々と登場します。割と頭の軽いギャル・マディソン(ゾーイ・トゥイッチ)やコロンバスとタラハシーの鏡写しのようなコンビ・アルバカーキ(ルーク・ウィルソン)とフラッグスタッフ(トーマス・ミドルディッチ)、極め付きはこの状況で非暴力を貫いて何故か何事も無く生き残ってるヒッピー・バークレー(アヴァン・ジョーギア)と揃いも揃って面白おかしい人たちばかりが物語を更に珍妙な方向に加速させていきます。
セットの規模にしろVFXにしろ予算規模は前作を大きく上回っていてスケールアップしているはずなのに、程良く前作のような緩いB級感を残したままなのもおかしくて良いですね。
「とにかく良いシナリオが生まれるのを辛抱強く待ち続けた」と監督が語るだけある、10年のブランクをものともしないコメディもアクションもドラマも大盛りの実に楽しい作品です。前作のファンならばマストで、未見の方も気楽に肩の力を抜いて楽しめる1本になっているので何かノー天気なものを観たいときは選択肢の一つにどうぞ。
こんばんは、小島@監督です。
もし誰も見つけていない登攀ルートを発見したらそこにロープは掛けておこう。いつか誰かが辿れるように。
さて、今回の映画は「ゾンビランド:ダブルタップ」です。
新型ウイルスが世界中に蔓延しゾンビが溢れ返るようになって十数年後、縁と絆によって共に行動するようになったコロンバス(ジェシー・アイゼンバーグ)、タラハシー(ウディ・ハレルソン)、ウィチタ(エマ・ストーン)と妹のリトルロック(アビゲイル・ブレスリン)の4人は、今や無人となったホワイトハウスに居を構え終末世界「ゾンビランド」をたくましく生きていた。
今や恋人同士となったコロンバスとウィチタだったが、コロンバスがプロポーズすると束縛を嫌うウィチタはそれを拒絶。リトルロックもまた自分に対し常に父親風を吹かせるタラハシーをうざったく感じており、遂に姉妹はタラハシーお気に入りのトラックでもって家出してしまった。
それまでB級ホラー映画の定番題材だったゾンビ映画に、「ゾンビさえいれば大体何をやってもいいんじゃね?」と作品のテイストの幅が大きく広がっていったのは恐らく1990年代の終わりごろじゃないかと思います。そんな折2004年に「ショーン・オブ・ザ・デッド」(監督エドガー・ライト、主演サイモン・ペグ)が製作され、ゾンビ映画にコメディの道が切り拓かれていきました。それから5年後の2009年に製作された作品が「ゾンビランド」です。引きこもりだからゾンビ禍を免れたオタク青年のコロンバス、ガンマニアなおっさんタラハシー、コソ泥と詐欺を繰り返しながら渡り歩くウィチタとリトルロックの姉妹というボンクラなメンバーたちがひょんなことから行動を共にするようになり明るくたくましくサバイバルしながらやがて家族のようになっていく姿を描き低予算ながらスマッシュヒットを飛ばしました。
それから10年、まさかの続編が登場です。
驚くことに前作の主要キャストとスタッフが再集結。この10年間にジェシー・アイゼンバーグは「ソーシャルネットワーク」の主演で話題になり、ウディ・ハレルソンは「スリー・ビルボード」「記者たち」など社会派や文学作品へ度々出演、エマ・ストーンに至っては「ラ・ラ・ランド」でアカデミー主演女優賞を獲得するなどキャリアを伸ばし、脚本のレット・リースとポール・ワーニックは「デッドプール」2作のシナリオを、監督ルーベン・フライシャーは「ヴェノム」を手掛けたりとマーベル作品を担うまでになりました。そんな今や「錚々たる」という言葉が似合うようになったメンバーが結集してそれまでのキャリアで培った技を軽やかに振るう、実に楽しい作品に仕上がっています。
一番特徴的なのは作中の時間もちゃんと10年経過している点です。家族のように寄り集まった4人も10年も経てばその関係性には様々な変化が起こるもの。それが物語に良いうねりを産んでいます。
そして今作では、実は結構生き残っている人たちが新キャラとして続々と登場します。割と頭の軽いギャル・マディソン(ゾーイ・トゥイッチ)やコロンバスとタラハシーの鏡写しのようなコンビ・アルバカーキ(ルーク・ウィルソン)とフラッグスタッフ(トーマス・ミドルディッチ)、極め付きはこの状況で非暴力を貫いて何故か何事も無く生き残ってるヒッピー・バークレー(アヴァン・ジョーギア)と揃いも揃って面白おかしい人たちばかりが物語を更に珍妙な方向に加速させていきます。
セットの規模にしろVFXにしろ予算規模は前作を大きく上回っていてスケールアップしているはずなのに、程良く前作のような緩いB級感を残したままなのもおかしくて良いですね。
「とにかく良いシナリオが生まれるのを辛抱強く待ち続けた」と監督が語るだけある、10年のブランクをものともしないコメディもアクションもドラマも大盛りの実に楽しい作品です。前作のファンならばマストで、未見の方も気楽に肩の力を抜いて楽しめる1本になっているので何かノー天気なものを観たいときは選択肢の一つにどうぞ。