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ちゅうカラぶろぐ


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何の因果か久しぶりに資格試験を受けることになりそう。どうせなら暇な時間の多かった昨年の内に受けたかった気がしないでもないですが、半年後くらいに良い報告ができると良いなぁ。

 こんばんは、小島@監督です。
 鈍った頭でどこまでやれるか分からないけど、ま、やってみますか。

 さて、昨日はガイシホールまで「THE IDOLM@STER SHINY COLORS 3rdLIVE TOUR PIECE ON PLANET / NAGOYA」day2を観に行って来ました。現地で観る大規模ライブとしては昨年2月に大阪ドームで開催されたシンデレラガールズの7thライブ以来実に1年2ヶ月ぶりになります。コロナ禍が発生してからのこの1年余り、配信での鑑賞は何度かしており、それはそれで楽しいものではありましたが観れば観るほど生で音を体感する事への欲求はいやますばかりで、もう渇望していたと言っても良いくらいです。ですので今回のライブは開催日を心待ちにしていました。
 またアイマスに限らず今のこの状況下でライブイベントがどう行われているかを1度ちゃんと観ておきたいと考えていたことも事実で、入場前の検温や席数制限されて両隣の座席に貼り紙がされて塞がれている様を現場で見ることもできました。

 先月、というか2週間前に2ndライブが開催されたばかりのシャイニーカラーズ、コロナ禍を受けて延期されたが故ではありますが、結果的に間髪入れずに3rdライブツアーが開催される格好になりました。観てる側としてはほとんど地続きの様な感覚ですがちゃんとコンセプトも違いますしイベントとしては別種のものとして組み立てられていました。
 
 ライブが始まって実感したのは何より自分の中にある「飢え」。マスク必須で声を出しての応援ができないという制限が掛かっていると言うのに圧倒的なまでの多幸感と充足感が全身を突き抜けます。パステルカラーなイメージと王道のアイドルポップを聴かせるイルミネーションスターズ、ゴシック調のビジュアルでヘヴィロックを叩きつけるアンティーカ、元気一杯賑やかでアッパーなナンバーにコール入れられないのがチョイと新手の拷問でしたがそれもまた楽しい放課後クライマックスガールズ、ほろ苦い青春を感じさせる楽曲で聴く者の心に一陣の風が吹き抜けるノクチル、トランスミュージックに敢えて和風の衣装というミスマッチでグルーヴを生み出すストレイライト、アルストロメリアに至っては「Anniversary」という名のバラードのその荘厳なメロディに気付けばボロ泣きしていたり。ユニットや出演者達が見せるパフォーマンスの数々、その一つ一つがどうしようもない程に楽しいのです。

 冷静に俯瞰して見れば頻繁にMCを挟んで細かくブロック分けをしていたのは会場内の換気というだけでなく何らかの事情でセットリストを短縮や変更しなければならない事態に備えての事でしょうし、現在の国や自治体が求める開催基準との擦り合わせの中で窮屈にならざるを得ない部分というのもあったんだろうと思います。
 それでもようやく観客を入れてのライブが出来るようになって来た事、またシャイニーカラーズとしてもたった2週間しか経っていないというのに2ndライブより成長している出演者が何人もいるのに驚かされ、決して全てが停滞するばかりではなかった事を実感し嬉しくなります。
 さすがにまだ遠征するのは気後れするので3rdツアーで後に控える東京公演と福岡公演は自宅から配信を観ることになるでしょうけれど、そういうのを楽しみしても良いのだと思えることが嬉しいですね。
 いつか、また以前のように声援を掛けても良い日が来たら全力でコール入れたい曲に目星も付けれましたしね(笑)!

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いろんなものがリメイクされたりリブートされたりする昨今ですが、さすがに「ムテキング」リブートはなかなかに驚きました。またスタッフがえらい豪華。キービジュアルがスタイリッシュな割にバタ臭くて思わずフフっとなりました。最近リメイクものと言えば90年代のものが主流かと思っていたのですが、また凄いところを掘り返してきたものです。自分が幼稚園児くらいの頃に使ってた浮き輪が確かムテキングだった記憶が薄っすらと。多分自分が初めて観たタツノコヒーローがこれだったんじゃないかと思います。

 こんばんは、小島@監督です。
 放送は今秋予定とか。ちょっと楽しみにしていよう。今観ると自分には合わないかもですが(笑)

 さて、今回の映画は「ヒーリングっど♡プリキュア ゆめのまちでキュン!っとGoGo!大変身!!」です。

 花寺のどか(声・悠木碧)たちは東京へやってきた。街全体で展開している大イベント、心に思い描いた夢を映し出せる「ゆめアール」を体感するためだ。そのデバイスである「ゆめペンダント」を受け取ったのどか達は街中を飛び交う魚たちを目撃したり、自分たちの服装を一瞬で思い思いのものに変えたりできる「ゆめアール」の凄さに驚きながら東京の街を遊びまわる。
 渋谷のスクランブル交差点に特設ステージが作られ「ゆめアール」のイメージキャラクターでモデルをしている少女・カグヤ(声・小林星蘭)のライブイベントが始まった。しかしその時エゴエゴ(声・高木渉)と名乗るモンスターの襲撃を受ける。プリキュアに変身して戦うのどかたちだったが変幻自在のエゴエゴの前に苦戦を強いられた。だが、そこにキュアドリーム・夢原のぞみ(声・三瓶由布子)らプリキュア5のメンバーが救援に駆け付けた!

 先月最終回を迎えた「ヒーリングっど♡プリキュア」の単独タイトルでのプリキュア映画が先日封切りされ、2年ぶりに春の映画館にプリキュアがカムバック。私も早速観に行ってきました!ええ、このブログ書き始めてから9年間全作網羅してますからね!引き際を見失ったとも言いますがね!最早春と秋はこいつを観ないと何だか落ち着かないのさ!
 昨年コロナ禍を受けて映画公開とTVシリーズの制作スケジュールが大幅に変更を余儀なくされた関係で、単独タイトルの劇場版としてはプリキュアシリーズで初めて番組終了後の公開となりました。例年10月後半に封切られるプリキュア映画ですが、今回の「ヒーリングっど♡プリキュア」も特に最終回後を想起させるセリフやシーンも無く、また作中ののどかたちの服装や街路樹が紅葉している描写が入っているなど秋のイメージが多いところから察するに、当初は例年と同時期での公開を目指して準備していたんじゃないかと思います。この辺り、10年前の東日本大震災の際、放送スケジュールがずれたことをきっかけに秋の劇場版を脚本から作り直したという「スイートプリキュア♪」ともまた違う対応を取ったのだろうと推察します。

 さて、今回の「ヒーリングっど♡プリキュア」、ゲストとして「Yes!プリキュア5GoGo!」のメンバーが勢ぞろいして登場します。プリキュア5はまだ当時プリキュアシリーズとしても何かしらのアイテムを使ったアクションよりもフルコンタクトなガチンコアクションの方を主流として描かれていた頃なのでそれを受けてかなり手数の多いアクションが展開します。中でも今作のヴィランであるエゴエゴとの最初のバトルシーンではその魅力が全開。ちょっとカポエイラみたいな動きも差し挟まれたりして縦横無尽なアクションの妙味を存分に堪能できます。
 また、今や男性キャラのイメージの方が強くなったキュアドリーム役三瓶由布子さん(「エウレカセブン」レントン役、「アイドルマスターSideM」秋月涼役)、キュアルージュ・夏木りん役竹内順子さん(「NARUTO」うずまきナルト役、「イナズマイレブン」円堂守役)の少女声の演技が聴けるのは、TVシリーズを知らない向きには新鮮に映るのではないでしょうか。

 物語の方もゲストヒロイン・カグヤとその母・我修院サレナ(声・勝生真沙子)との複雑な確執を中心に、深入りしようと思えばどこまでも深くなれるテーマをサラッとメインターゲットである子供たちにも分かり易く語ってみせ、シナリオのレベルが高い1本となっています。個人的にコレを観た前後の時期は仕事に追い詰められて精神的にもだいぶギスギスとささくれていた状態だったのですが、真っ直ぐ誰かを助けることに迷わないプリキュアたちの姿に、気づけば涙を流して観ていました。普段と違う精神状態だったので何でもない時期に見れていたらまた違っていたでしょうけれど。

 併映作品である現行シリーズ「トロピカル~ジュ!プリキュア」の短編も本編のアッパーなノリをそのまま5分間に凝縮して見せているハイテンションぶりが楽しい1本。「ヒーリングっど♡プリキュア」の後に上映されるのでどこかメインディッシュの後のデザートみたいな軽やかさがあります。
 プリキュアというシリーズに求められるものがちゃんと揃っている総じて満足度の高い1本。アプリを利用してプリキュア5のメンバーの行動を詳細に描くボイスドラマを配信したり、ミニ色紙を配布したりと様々な趣向も用意されています。ご興味のある方はどうぞ映画館へ。

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一昨日の土曜の夜、東北から関東にかけて強い地震が。先月にも強い地震がありましたしその余震、ということだと思いますが、間の悪いことにまさにその時刻首都圏各地でイベントの真っただ中。場所によっては淀みなくそのまま進行していたところもあるようですが、幕張で開催されていたアイマスライブは運営側が一時中断を判断するまでの間を出演者たちが世界観を壊さぬままMCで繋ぐという離れ業をやってのけたとか。たまたま今回は配信での視聴も見送っていたので詳細は分からないのですが出演者も観客もハラハラした時間だったことでしょう。

 こんばんは、小島@監督です。
 昨年散々疫病に振り回され、ようやくライブができるようになったら今度は地震とかなかなかにあんまりな話でござる。何の障害も無くライブが楽しめる日が早く戻ってほしいですね。

 さて、今回の映画は「すばらしき世界」です。

 旭川刑務所、一人の男が刑期を終え出所の時を迎えていた。男の名は三上正夫(役所広司)。やくざ者を刺殺し殺人罪によって13年間懲役刑に服していたのだ。上京した三上は身元引受人である弁護士・庄司(橋爪功)に迎えられ、再出発を誓う。
 一方、TV局を辞め小説家を志す青年・津乃田(仲野太賀)のもとにプロデューサーの吉澤(長澤まさみ)からコンタクトが入る。出所者が社会復帰し、生き別れた母親と再会を果たす…そんな番組を製作しようとした吉澤は三上を対象に選びその取材を津乃田に依頼したのだ。「身分帳」と題されたノートの束を前に津乃田は寒気すら覚える。人生の大半を刑務所で過ごしてきた男に社会復帰などできるのか。
 庄司によって手配された下町の小さなアパートで三上の新生活が始まろうとしていた。

 映画監督・是枝裕和によって見出された西川美和監督は、「ディア・ドクター」での偽医者や「夢売るふたり」では結婚詐欺師の夫婦だったり、いつも社会の主線から外れた人を主人公に据えた作品を発表し続けてきました。一貫してオリジナル作品を発表し続けた西川監督が初めて佐木隆三の小説「身分帳」を原作として映画を作り上げましたが、その姿勢は今回も変わりません。極めてヘビーな題材をどこかユーモラスを交えながらも骨太に語り上げます。
 長く刑務所にいた男が出所したら世間がすっかり変わってしまいやくざ者の居場所がほとんど無くなっていた、というのは実は近年何本かの映画が製作されているモチーフで、奇しくも同時期に「ヤクザと家族 The Family」という映画も公開されています。この十数年で暴対法や暴対条例が次々と施行され、これまでの暴力団としての活動も締め上げられているだけでなく更生したくともそれがしにくくなっているというジレンマもこの作品では丹念に描かれています。

 ある意味では浦島太郎のような状態となった三上は、一般社会から見れば日常に放り込まれた異物でしかなく、これまでの極道のような生活と堅気の生活との間で揺れ、自身がやったことへの後悔はあれどその生き方が間違っていたとは思わない三上は社会の中で見えない軋轢と戦わねばならなくなります。
 哀しいかなそんな三上が最も生き生きとしている時が暴力をふるっている時、という皮肉。誰かを助けたくて拳を振るうものの、振るった時点でその言動全てが自身の履歴も込みで「悪」と断じられる社会の中で突きつけられる窮屈さに苦しめられるのです。
 一方で庄司や津乃田など、それまでの三上の生き方の中では無かった人々との関りが双方にとって影響を与える様も描いているのがポイントです。どちらもが一歩踏み込んだ時に見えてくるものがあり、これが無ければもっと薄っぺらい作品になっていたに違いなく、その姿勢の見事さには感服せざるを得ません。

 そしてこの映画、何より主演役所広司の演技がもう絶品です。何が凄いって開始数分で「役所広司」ではなく「三上正夫」を観ている気分にさせられるその圧倒的実在感にです。「すばらしき世界」は彼の長いキャリアの中でも特筆すべき1本となるのではないかとすら思います。

 洋画の配給がまだまだ滞り気味というのも追い風となっているのかもしれませんが、この作品に限らず実はここ最近邦画で秀作が立て続けに公開されています。そろそろ映画館での鑑賞にハードルが低くなってきているこの昨今に、邦画の魅力を劇場で再発見してみてほしいですね。

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昨日、声優上田麗奈の1stライブ「Imagination Colors」を配信で鑑賞。。澄んだ歌声と幻想的な世界観を堪能。MCも少なめにし、コロナ禍を受けての開催なので声援も無く拍手のみ。そんなスタイルでしたので穏やかなトーンの楽曲が多いセットリストと共にその世界観への没入度も高くその豊かな表現力を満喫しました。
 いずれは一度現地で聴いてみたいですね。

 こんばんは、小島@監督です。
 このライブだけでブログ書きたい気持ちもありますが今回はそれ以上に書きたいものがあるので本題に移りましょう。

 というわけで、今回の映画は「シン・エヴァンゲリオン劇場版」です。
 まだ公開直後ですしできるだけネタバレせずに行こうと思いますので今回は粗筋は省略いたします。

 2007年に公開された「新劇場版・序」から足掛け14年、遂に4部作が完結です。当初昨年公開の予定でしたがコロナ禍による影響で今年1月に延期。その後緊急事態宣言を受けての再延期を経て今月8日に満を持しての封切りとなりました。

 TVシリーズ序盤の展開をほぼ踏襲しながら映像を大幅にスケールアップさせた「序」、全体的には中盤の展開をなぞりながらも「新劇場版」としての特色が明確に前面に出始め、同時に映画としてのダイナミズムも高いレベルに昇華された「破」、物語もその語り口自体も大きく転調し増え過ぎた謎に観客を困惑させた「Q」、それらを受けての「シン・エヴァンゲリオン劇場版」は、まさに完結編と呼ぶに相応しい総決算とも言うべき出来栄えに仕上がっていました。
 それはただこの4部作の完結というだけではなく、TVシリーズから続く「新世紀エヴァンゲリオン」という物語そのものに対しての総決算です。「シン・エヴァ」の物語が恐らくそうなることをどこかで予感していた方、私を含めて結構多いのではないでしょうか。でなければ、「決着をつけに行く」なんて気持ちで映画を観に行くなんてことそうそうありません。

 155分にわたる長尺の中で語られる終幕に、庵野秀明総監督も自身の持てる全てを総動員して作り上げています。それは例えば「宇宙戦艦ヤマト」や「仮面ライダー」や「ウルトラマン」、「独立愚連隊」に代表される岡本喜八作品、「幕末太陽傳」、「惑星大戦争」や「地球防衛軍」のような特撮映画と言った庵野秀明が影響を受けてきたであろう映像的記憶や、「トップをねらえ!」「ふしぎの海のナディア」「彼氏彼女の事情」「シン・ゴジラ」など庵野秀明が手掛けてきたフィルモグラフィーで培った、またその時間の中で得た経験の全てをこの1本に注ぎ込んでいる、まさに集大成ともいえる映像が展開します。

 1995年に放送されたTVシリーズから数えれば、実に26年という時間を経て辿り着いた「シン・エヴァンゲリオン劇場版」、もちろん何時から、あるいはどこから観始めたかで印象も変わるのでしょうが、その醸成された長い「時間」が特異なSFロボットアニメの一つであった「新世紀エヴァンゲリオン」を、いわば「あなたの人生の物語」へと昇華させました。かつてTVシリーズで、あるいは旧劇場版で、何がしかの衝撃を受けた人たちは自分自身が歩いた26年という時間を込めてこの作品を観ることになるのです。 
 私にとってもこの映画は特別な1本となりそうです。作中ある場面で思いがけず私と亡き父に縁のある場所が登場したのに息を呑みました。シンジが父ゲンドウと最後に向き合おうとするこの物語にあの場所が出てきたことにどこか運命的なものを感じずにはいられません。もしも自分の想いを1本の映画に仮託して父に贈るとするなら私はきっとこの映画を選ぶだろう、なかなか消えない余韻と共にそんなことを考えながら映画館を後にしたその日の夜、葬儀や法事の時にも見なかった父の夢を見ました。ただ他愛もない話をするだけの夢でしたが。
 きっと作る方も観る方も相応に歳を重ねた、ということなのでしょう。見えるものも言いたいことをいう言い方もあの頃とは変わってきたのだろうけれど、その時間の経過も決して悪いことではなかった。

 完結おめでとう、そしてありがとう。

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事前登録の期間が3年近くあった「ウマ娘プリティダービー」のアプリが遂にリリース。ぶっちゃけ私も事前登録1周年とか2周年とかを茶化し気味にネタにして実際リリースされないのではないかと思っていたクチなので「遂に」なんていうのもおこがましいのですが、立ち上げあるいはアニメ1期辺りからずっと追ってきたファンの方にはさぞ待ち望んだ瞬間だったことでしょう。
 プレイしてみたらこれがまた滅茶苦茶面白いのです。リリース時点で既にかなりのハイ・ボリュームなのも良いですね。割と時間泥棒な上にバッテリー消費も激しいので自宅でしかプレイできないのがちょっぴり難点ですが。

 こんばんは、小島@監督です。
 取り敢えずはサイレンススズカを秋の天皇賞で勝たせてあげたいですのぅ。

 さて、今回の映画は「トキワ荘の青春 デジタルリマスター版」です。

 1950年代、東京都豊島区。木造アパート「トキワ荘」には手塚治虫(北村想)が住み込み連日編集者がひっきりなしに彼の元を通い詰めていた。向かいの部屋で暮らす寺田ヒロオ(本木雅弘)はそれを横目に見ながら出版社に持ち込みを続ける日々を送っていた。
 やがてトキワ荘を去った手塚治虫と入れ替わるように「藤子不二雄」の名でデビューした2人の漫画家、藤本弘(阿部サダヲ)・安孫子素雄(鈴木卓爾)が住み始め、その後さらに石森章太郎(さとうこうじ)、赤塚不二夫(大森嘉之)、森安直哉(古田新太)、鈴木伸一(生瀬勝久)らが入居してきた。皆が皆雑誌「漫画少年」の投稿仲間だった彼らは寺田ヒロオを中心に「新漫画党」を結成。共に暮らしながら漫画の未来について語り合い、自身の漫画を出版社に売り込む日々を送ることになる。

 一つの文化が勃興したり新たな潮流が生まれる時、何人もの才ある者が一つの街に集う現象が起こることがあります。それは例えばゴッホやルノワール、クロード・モネら印象派とポール・シニャック、ジョルジュ・スーラら新印象派が台頭していた19世紀末のパリのように。1950年代、日本では稀代の天才・手塚治虫が牽引した戦後の漫画界を、彼の後に続こうと夢追い人達が集まったのは一つの街どころか小さな木造アパートでした。恐らくここまでミニマムな空間に多くの才能が集結した状況は世界的に見ても珍しい現象でしょう。そんな彼らの青春群像を本木雅弘演じる寺田ヒロオを中心に描く作品です。1996年に製作され、25年の時を経てデジタルリマスター版が製作されました。

 青春映画ですが実はそれほどアッパーテンションにはならない作品です。多くの小さなエピソードを点描して重ねながら淡々とトキワ荘の住人たちが漫画に苦闘する日々が描かれます。喜怒哀楽の表現も抑制が効いておりあまり「叫ぶ」ということがありません。劇的に変化しているはずの状況に比して起伏の少ない地味な映画のため、合わない方は絶対的に合わない作風です。しかしこの物静かな時間の中に微かな郷愁漂う澄んだ空気感はなかなかに見事な作品です。
 またこの映画、主演本木雅弘もさることながら共演している脇役たちにも注目です。阿部サダヲや生瀬勝久ら当時小劇団に所属してTVや映画への出演歴がほとんどなかった俳優たちの新鮮な演技が楽しめます。これは25年の時を経た今となっては作品の出来とはまたひと味違う見どころと言えるでしょう。

 主人公である寺田ヒロオは、1950年代の終わりに作中でも登場する「背番号0」と「スポーツマン金太郎」(今ではスポーツ漫画の一般的な手法となった、試合の場面にアナウンサーの中継コメントが入る、その嚆矢と言われている)というヒット作を生み出すものの、その後劇画ブームから来る映画的な画調と刺激的なストーリーが重用される潮流に抗い続けることができず、高度経済成長期を迎える中で藤子不二雄や石森章太郎が名声を勝ち得、また赤塚不二夫がギャグ漫画の地平を切り拓いていくその陰でやがては筆を折るに至り、その後はトキワ荘の住人たちともほとんど交流を深めること無く1992年にこの世を去ります。映画の終盤では既に時流に置き去りにされつつあることを予感する描写が登場し、寂莫とした雰囲気を漂わせながら終わります。
 
 実は作中に説明的な描写もほとんど無いためある程度予備知識が必要な作品ではありますが、日本の漫画の勃興期を描いた映画として一見の価値はあるでしょう。各地のミニシアターでリバイバル上映されている今、静かな美しさを持ったこの作品に是非触れてみて頂きたいと思いますね。


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先日1年ぶりに脳ドック受診してきました。我が人生2度目のMRIです。昨年の結果と比較してもらえるようになったのは大きいですね。
 結果は昨年とほぼ同じ。昨年の段階でごくごく小さな「瘤っぽいもの」(血管が単にそういう風に見える形をしてるだけの可能性も十分にあるそう)が見受けられていたのですが、それが大きくも小さくもならずそのままそこにいるので後日送られてきた結果所感に「何なら精密検査してみます?」(意訳)と書かれていたのでさてどうしたものか思案中です。

 こんばんは、小島@監督です。
 健康のためというか後学のために一度検査を受けてみてもいいかもしれない。

 さて、今回の映画は「私は確信する」です。

 2000年2月、フランス南西部トゥールーズでスザンヌ・ヴィギエが3人の子供を残して忽然と姿を消した。スザンヌの消息が分からず遺体も発見できぬまま夫であるジャック・ヴィギエ(ローラン・リュカ)に殺人の容疑が掛けられ2009年、裁判が始まる。ジャックは証拠不十分として無罪判決が出るが検察は控訴。第二審が始まろうとしていた。
 ジャックの娘であるクレマンス(アルマンド・ブーランジェ)に一人息子フェリクス(レオ・ラバートランディ)の家庭教師をしてもらっているシングルマザーのノラ(マリーナ・フォイス)は長く苦境に立たされるヴィギエ一家の力になろうと事件を調べ始め、厳しい公判が予想される第二審に向けて著名な弁護士であるエリック・デュポン=モレッティ(オリヴィエ・グルメ)にジャックの弁護を依頼するのだった。

 2000年から2010年にかけて、実際にフランスで起きた未解決事件とその裁判をベースにした法的劇です。主人公の一人であるノラは架空の人物(モデルとなる人物はいるとか)だそうですが、裁判の当事者たちはほぼ実名で登場します。特にここで登場するもう一人の主人公ともいえるエリック・デュポン=モレッティは昨年内閣改造によって法務大臣に任命された人物です。
 
 衝撃的な事件はそれだけ大きく報道され、またSNSが発達した昨今では警察だけでなく不特定多数の一般人でさえ野次馬的興味や「正義感」から犯人探しを始め、それが裁判の行方に影響していく場合があります。この映画はその危うさを実に見事に描き出しています。エリックから裁判での準備のため通話記録の文字起こしを頼まれることになるノラは、そこで警察が心証に引っ張られ過ぎて見落としていた事実を掴むばかりではなく、ある証人が公判で吐いた「嘘」の存在にも気づきます。
 興味深いのはこの後。サスペンスやミステリーの常道で言えばここから真相が明かされていくカタルシスがありますが、この映画はそうはしません。素人探偵となったノラは最初こそヴィギエ一家を救いたい一心で動き始めますが、やがてある人物を真犯人であると「確信」するに至ります。そして基本的にノラの視点で物語が動いているため観客である私たちもそのノラの確信に引っ張られる格好で未解決とされる事件の真相に踏み入った感覚を味わいますが、それこそが「危うい」のだとこの映画は語り掛けます。ある意味で容赦が無いともいえますが知性と理性の煌めきを感じるこの語り口は見事としか言いようがありません。しかも驚くべきことにこの映画を監督したアントワーヌ・ランボーは何とこれが長編デビュー作。とんでもない方が現れたものです。

 的外れな正義感が抱く「心証」や「確信」の持つ危険性こそが「推定無罪」の原則の最大の敵であることを語り掛けるこの作品、SNSが発達し誰もが発信できるようになった故に理性的な言動よりも即物的な感情の方を優先しがちな昨今に響く物語であるといえます。フランスの法体系は日本とは違うためサラッとした描写の中に違和感を覚えてしまったり、良く分からないと思われる箇所も出てきてしまうかもしれませんが、それでもこの知性と情熱が輝くこの魅力的な1本を多くの方に味わっていただきたいと思いますね。

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「ヒーリングっど♡プリキュア」が最終回に。
 コロナ禍の直撃を受けて従来より7,8話短縮されての最終回となりましたが終盤は見事な大団円に着地。病禍に席巻された世界に翻弄されながら果敢に困難に立ち向かい続けたこの作品は、最終回でも重い問いかけを残して次のプリキュアへとバトンを繋いでいきました。
 特に終盤にこの作品から発せられた言葉や問いかけが見ていた子供たちに届いているといいですね。

 こんばんは、小島@監督です。
 来月公開の劇場版も楽しみ。今度は延期されないと良いなぁ。

 さて、今回の映画は「ある用務員」です。

 元暴力団員だった父を持つ男・深見(福士誠治)は、亡き父の兄弟分であった真島(山路和弘)の娘・唯(芋生悠)をガードするため普段は唯の通う高校で用務員として身を置いていた。
 ある日、暴力団の抗争が勃発し真島が殺害されてしまう。更に抗争を仕掛けた者は唯の命をも狙おうとし高校にヒットマンを放った。唯の命を救うため、深見は用務員の仮面を捨て戦場と化した学校から唯と共に脱出を図るが。

 認知症となった祖父が車で子供を轢いてしまったことで家族の中で血で血を洗うバトルロイヤルが始まる「ファミリー☆ウォーズ」(2018年)など、独特のテイストでインディーズ時代からバイオレンス色の強い作品を世に送り続ける新星・阪元裕吾の最新作となるバイオレンスアクション映画です。主演は近作でも大河ドラマ「いだてん」や「劇場版仮面ライダーゼロワン」などへの出演が続く福士誠治。意外にもこれが映画初主演作だとか。共演にジェイソン・ステイサムやヒュー・ジャックマンなどの吹替で知られる山路和弘や特撮作品への出演も多い波岡一喜がおり、案外アニメや特撮ファンには馴染み深い顔ぶれが揃っている印象です。

 物語は筋立てそのものは至ってシンプル。なのですが、次から次へとカッ飛んだキャラクターたちが登場するので結構癖が強く感じます。後半に差し掛かり舞台が整ってからはとにかくアクション映画が作りたいんだ!という若手監督がその熱量のままに撮っている印象があり良くも悪くも荒っぽいのですが、なかなか楽しませてくれます。
 これは収穫、と思わせてくれたのは唯の幼馴染・ヒロを演じる伊能昌幸と学校に集結したヒットマンの一人で女子高生殺し屋コンビの片割れ・シホを演じる伊澤彩織の2人。共に見事なキレのアクションを見せてくれます。特に伊澤彩織は現役のスタントウーマンとして「キングダム」や「るろうに剣心」のスタントダブルを経験している方で、セリフのある役を演じるのはこれが初めてだとか。期待の若手を見つけ出したい向きにもお薦めしたい1本です。ほかにヒットマンたちの依頼主である本田を演じた前野朋哉の怪演ぶりも目に焼き付けてほしいところ。

 作品の出来映えで言えば全体的に粗も多く、もっと吹っ切れてほしい部分もあったりしてどうにも惜しい気分になるのですが、このコロナ禍において、原作の無いオリジナルの企画でバイオレンスアクション映画を完成させ公開にこぎつけた熱意は賞賛に値します。決して主流になれるタイプではないとはいえ、こういう流れが生き続けられる業界であり続けてほしいですね。

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