ちゅうカラぶろぐ


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先週如月千早武道館公演を鑑賞した翌日、有楽町のよみうりホールへ「上田麗奈のひみつばこイベント」を観に行ってました。上田麗奈がパーソナリティを務める同タイトルのラジオ番組のイベントで、今回が3回目になります。「上田麗奈のひみつばこ」、以前は良く聴いていたものの放送時間が変更された後はリアタイすることも減って最近は滅多に聴かなくなってしまったのですが今回東京へ向かう数日前にイベントの存在を知ってほとんど勢いでチケットを購入。
 彼女の持ち味であるゆるくふんわりとしたトークに浸る90分。ゲストとして登場した小原好美との掛け合いも楽しい。近年は「チェンソーマン」のレゼや「閃光のハサウェイ」のギギのようなファム・ファタールな役柄が多い上田麗奈ですが、キャリアの初期から演じ続けている「アイドルマスターミリオンライブ!」の高坂海美についても言及してくれたのはいちアイマスPとしてちょっと嬉しかったですね。

 こんばんは、小島@監督です。
 
 さて、今回取り上げる映画はそんな上田麗奈の出演最新作、「機動戦士ガンダム閃光のハサウェイ キルケーの魔女」です。

 宇宙世紀0105、圧政を続ける地球連邦政府を弾劾すべく要人暗殺などのテロ行為も辞さない抵抗運動を続けるグループ「マフティー」、そのリーダーたるハサウェイ・ノア(声・小野賢章)は、不思議な力を秘めた少女ギギ・アンダルシア(声・上田麗奈)との出逢いによって呼び起こされた過去のトラウマに苦しみつつも閣僚が集結し会議を行うと目されるアデレードを襲撃する準備に取り掛かっていた。
 ハサウェイがマフティーのリーダーではないかと推察する連邦軍ダバオ空軍基地司令ケネス・スレッグ(声・諏訪部順一)はアデレード会議支援作戦とマフティー殲滅に向けて準備を整える最中、刑事警察機構のハンドリー・ヨクサン(声・山寺宏一)から密約を持ちかけられる。
 そんな折、ギギもまた自身の役割を果たすためホンコンへ向けて旅立った。

 富野由悠季による小説を原作に劇場版3部作としてアニメ化という第一報が告知されたのが2018年、コロナ禍による延期を経て1作目が公開されたのが2021年、それから5年の時を経て遂に第2部公開です。皆さん気長に待ってますね、言うて自分もですけれども(笑)
 「閃光のハサウェイ」はもともと小説版「逆襲のシャア」である「ベルトーチカ・チルドレン」の続編という位置付けの作品ですが映画化では明確に映画「逆襲のシャア」の続編として作られています。前作ではニュアンスとして見せている程度でしたが今作ではいよいよ原作との距離感が鮮明になっています。1980年代に発表された原作から推察するに「マフティー」には学生運動や連合赤軍のようなイメージもあったでしょうが、一種の時代劇にはせずに現代的にアップデートしているのはさすがです。脚本を手掛けたむとうやすゆき氏のこだわりなのか、原作小説よりもダイアログが富野由悠季っぽくアレンジしてあるのが面白いところで、作品の色彩を決定付ける一因になっています。

 上映時間110分、全編に渡り驚異的なほどリッチな画面が続く作品です。ゴージャスさの方向が例えば「鬼滅の刃」のようなアクションのダイナミズムではなく空間の広がりのダイナミズムが素晴らしい。カメラの位置に対する意識が高く、アニメだから全てが作り物だと言うのに画面に映っていないフレームの外にも動きのある世界が広がっているのが分かります。更に時には歩くという動き一つに恐ろしいほどの手数が注ぎ込まれ、写実的でありながら同時にアニメならではの映像を見せてくれます。
 今作、マエストロの競演と言うべきか監督村瀬修功を始め渡辺信一郎、沖浦啓之、出合小都美という尋常じゃないメンバーが絵コンテを手掛けており、MS戦より会話劇の方が比重が遥かに高い作劇だと言うのに動きや仕草一つで見せる芝居付けが極まっていて惹きつけられます。また、かなり観客を信頼してくれていると感じる作品で非常に情報量が多い中で仕草や視線の運びと言ったセリフではない部分で心情や状況を伝えようとカットを組んでいるところに練達の手腕を感じます。

 物語の方はと言えば主人公ハサウェイがそもそも前作のスタート時点で既に心が壊れている歪な人物として登場していることが象徴するように各キャラクターたちの相関関係と言ったミクロの部分から社会構造のようなマクロの部分までどこか歪に見せています。「良いから早く病院へ行け」と思う人も少なくないでしょう。歪な世界を正そうとするハサウェイ自身が歪であり、その暗黒に絡め取られるように深みにハマって行くのです。
 一方、「運命の女」であるギギの人物像もより深掘りされて行くのもポイント。天真爛漫に物語と人間をかき回すように見えて人の心の機微にも敏く、課された役割を十二分にこなせるほどに極めて聡明で、それでいて子どもっぽい嫉妬心が表立つこともある多面性。そんなギギを上田麗奈が前作以上にキレッキレに演じており、その声と相まってお飾りな人形ではない生々しいエロスをまとった魅力を感じる方も多いはず。

 終盤にはかなりのサプライズも仕込んであり、ドラマ的にも大きくツイストしながらハサウェイの流転がいよいよ極まっていきます。
 複数回の鑑賞に耐え得る濃密な作品で、まだ見ぬ最終章も今から楽しみ。これほどのものを作り上げて来るのなら、原作とは違う結末にたどり着いても良いかもしれない。

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