ちゅうカラぶろぐ


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昨日の歌会に参加された皆さん、お疲れ様でした。
 今回は入った部屋の人数が少なかったので、ま〜たくさん歌えました。滅多にやらない曲を引っ張り出したり楽しかったですね。今回初参加の方も楽しんで頂けてたなら嬉しいですね。

 こんばんは、小島@監督です。
 しかしここ5年くらいの曲のレパートリーが少ない自覚があるのでちょっと意識的に増やせるようにしたいかも。

 さて、今回の映画は「宝島」です。

 1952年沖縄・コザ。米軍基地から奪った物資を住民に安く分け与えたり裏社会へ流したりする「戦果アギヤー」と呼ばれる若者たちがいた。リーダー格のオン(永山瑛太)を筆頭にグスク(妻夫木聡)、レイ(窪田正孝)、ヤマコ(広瀬すず)らのグループはある時基地内で米軍に包囲され散り散りになって逃走した。その最中、「予定に無い戦果」を得たらしいオンはそこで消息を絶った。
 数年後、グスクは刑事に、ヤマコは小学校の教師に、レイはヤクザとなってそれぞれオンの行方を探しながら日々を過ごしている。そんな中でコザでは米兵による暴行傷害事件が相次ぎ住民たちの反米感情が高まりつつあった…

 1952年と言えばサンフランシスコ講和条約が発効し日本は独立を回復。しかし沖縄は未だアメリカ占領下。1972年に日本へ返還されるものの現在に至るもなお歪な状況が続いています。映画は1人の男の失踪を機に人生が変わった3人の男女の運命を縦軸としつつ1952〜1972年までの20年間に起きた頻発する米兵による暴行やレイプ事件だけでなく宮森小学校米軍機墜落事故(1959年)、嘉手納基地VXガス漏えい事件(1969年)などの主要事件を網羅した重厚な大河ドラマとなっています。
 太平洋戦争以前から続く日本本土の関係性を思うと100年以上に渡り日米両国から搾取され抑圧され続けた消えない「痛み」の切実さをこれほどスクリーンに焼き付けた映画も少ないのではないでしょうか。

 まるで本当に1950年代の沖縄に観客を放り込むような非常に作り込まれた画面に加えてセリフの大半はがっちり監修の入ったウチナーグチになっているのも大きな特徴で、私には正直なところ3分の1くらい何言ってるか分からなかったのでできれば字幕を入れて欲しい思いもありましたが(笑)、分からなくても俳優たちの演技が「激情」を伝えてくれるので外国映画を字幕無しで観るようなことにはならないはずです。むしろその「分からなさ」こそが迫力を生み出すことに一役買っています。というか妻夫木聡にしろ窪田正孝にしろ沖縄出身者ではないのにちゃんとウチナンチューに見えるのはさすがです。

 鬱積した怒りが沸点に達したように、映画のクライマックスでは1970年に起きたコザ暴動が描かれます。ニュース映像でお茶を濁さず劇映画として余さず作り上げてみせたこのシークエンスの異様とも言える迫力はまさに白眉。予算の注ぎ込み方が正しいと言うべきか、今の日本映画でこんな映像作れるとは思ってなかったくらいの圧巻の映像が展開します。

 欠点はと言えば非常に濃密でこれ以上削れるところも無いとは言え191分ノンストップは流石に長すぎる点です。今回たまたま通路沿いの座席だったのですが何度と無く中座してトイレに立つ観客が前を通って行ったのでここまで長いならもうちょっと上手く編集して途中休憩を入れて欲しかった。
 ただそうは言っても戦後80年という節目、そして冷戦終結後かつてないほど世界的緊張が高まっている現在にこの映画が公開されている意義は決して小さくありません。「歴史を知る」、その入り口として極めて優れた一本です。
 私たちはこの物語の地続きの先に生きている。

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