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ちゅうカラぶろぐ


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昨日名古屋では千秋楽を迎えた劇団四季の「ゴーストアンドレディ」、最終公演は配信もやってくれるということで観てました。ミュージカルとして洗練されつつも藤田和日郎原作らしい泥臭い熱さも持ち合わせた珠玉の名作を映像でも堪能。やっぱり痺れるほどにエモーショナルで震えるほどに熱い。12月からは大阪でも公演が始まるそうですが、瞬く間に人気を獲得した演目でもあるので鑑賞のハードルが低くなるこう言った配信公演も折々でやって欲しいですね。

 こんばんは、小島@監督です。
 ところで「ゴーストアンドレディ」を現地で観たとき私は「藤田和日郎原作なのに女性客がい多い!」と思ったのですが、劇団四季ファンの家族に言わせると「劇団四季なのに男性客が多い!」と思ったそうで、触れてるものの違いで全く真逆の印象を受けるのが何とも(笑)

 さて、今回の映画は「近畿地方のある場所について」です。

 オカルト雑誌の編集長・佐川(夙川アトム)が失踪した。残された編集部員・小沢(赤楚衛二)は出版社からこのまま次号を落とすようなことがあれば雑誌を廃刊にすると通告され佐川が残した資料から特集記事を組み直すためにフリーライターの瀬野(菅野美穂)に協力を求めた。資料の再検証と再取材を通して小沢と瀬野は佐川が調べていた事件や怪現象が全て近畿地方のある場所に繋がっていることに気づく。

 民俗学者折口信夫氏によれば夏場が怪談の季節となったのは死者の魂が帰ってくるとされるお盆の時期に「涼み芝居」と称して「東海道四谷怪談」などの幽霊譚や怪異譚で冷んやりしてもらう趣向が定着していったからだとか。私の子どもの頃も夏場にホラーなTV番組が良く放送されていましたし、「仮面ライダー」や「スーパー戦隊」などでもちょっぴりホラーテイストなエピソードが登場するのが定番だったように思います。1990年代後半に花開いた「Jホラー」ムーブメントも遠い日の残響と化して夏場にホラーもすっかり廃れてしまったかと思いきや今年はひと味違います。「ドールハウス」「事故物件ゾク恐い間取り」、洋画では「アンティル・ドーン」「V/H/Sビヨンド」「IMMACULATE聖なる胎動」が相次いで公開、更に先週「8番出口」が封切られ「カラダ探しTHE LAST NIGHT」「侵食」「男神」が9月公開待機と今までの冷遇ぶりはどこへ行ったんだくらいのホラー過剰供給(笑)。さすがに全ては見切れそうにありません。

 そんな中で目玉として公開されたのが2023年に発表されるや大評判となった小説を原作にした「近畿地方のある場所について」です。監督は昨年の「サユリ」のスマッシュヒットも記憶に新しい白石晃士。脚本には原作者背筋も参加する形で製作されました。
 
 いわゆる都市伝説を紐解いていくことになる前半は様々な形で語られる怪異譚をPOVホラーの名手白石晃士が本領を発揮していてビデオテープやWEB動画の質感を活かした趣向を凝らした恐怖映像が次から次へと飛び出して来てかなりガチめに怖いことに加えて、見せ方のバリエーションの多さにカタログ的な面白さがあります。この導入部、ショート動画が席巻しつつある昨今らしいとも言えますね。
 物語のギアが少しずつ上がって行き後半に突入することになりますが、ここで白石晃士監督ならではの味というか作風が炸裂しており、早い話が怪異に物理で挑みかかるようになる上に変なドライブがかかります。これが良くも悪くもと言ったところで私みたいに白石晃士監督作品を見慣れてる人は楽しめると思いますが原作のざわりとした感触を楽しみたい向きには特にラストの展開はだいぶ趣旨が違うように感じられるでしょう。賛否両論がかなり大きいのも分かります。

 また、今作の見どころの一つとして菅野美穂が主演している点が挙げられます。菅野美穂はキャリアの初期は路線を探っていたのか意外とホラーにも出演していて「世にも奇妙な物語」では3作で主演していたりします。映画の方でも1999年に伊藤潤二の漫画を原作にした「富江」で主演しており今作で実に約25年ぶりのホラー主演はいちファンとしてアガリます。そして期待を裏切らないカッ飛んだ演技を見せてくれ、それに受けて立つ赤楚衛二も良い演技していてこの2人の掛け合い観ているだけで元が取れた気になりました。これを機にまたこう言ったジャンルにも積極的に出て欲しいですね。

 個人的にはもうちょっと「見せ切らない」方向に作ってくれる方が好みなんですがB級的な楽しさを提示してくれるので猛暑から少しでも逃げたい時に観るにはちょうどいいかと思います。冷んやりは…しないかもしれませんが(笑)

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