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ちゅうカラぶろぐ


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こんばんは、小島@監督です。
 今回は前置き無しで本題に入ります。

 さて、ミッドランドスクエアシネマにて16日から22日まで、「第2回どまんなかアニメ映画祭」が開催されています。昨年全上映回でトークイベント付きという破格の構成で開催され好評を得たようで、今年も開催してくれました。昨年は期間が3日間のみでしたが今年は会期が1週間に。さすがにトークイベント付き上映は土日のみですが、上映作品を鑑賞できる機会が増えました。
 その中の1本、「ファイブスター物語」のトークイベント付き上映を観てきました。

 星団歴2988年、レディオ・ソープ(声・堀川りょう)はドクター・バランシェ(声・田中秀幸)から領主ユーバー・バラダ(声・永井一郎)に連行された人造人間「ファティマ」であるラキシス(声・川村万梨阿)の救出を依頼され、惑星アドラーに降り立つ。

 原作は永野護がアニメ誌「ニュータイプ」にて1986年より度々長期休載を挟みながらも現在に至るもなお連載が続いている作品で、映画は1989年に製作・公開されました。初公開時には「宇宙皇子地上編」と二本立てで上映されており、「ファイブスター物語」は上映時間65分と中編規模の作品になっています。永野護の繊細な描線をキャラクターデザインと作画監督を務めた結城信輝が最大限に活かし切ってアニメートしており、全編に渡って流麗な作画を楽しませてくれます。結城信輝は後年「ロードス島戦記」や「天空のエスカフローネ」などで称賛を受け90年代を代表するアニメーターの1人になっていき、現在でも「宇宙戦艦ヤマト2199」シリーズなどで第一線で活躍しています。

 上映時間が短いため世界観を示すワードに対しほぼ説明がなされないのですが、テンポが良いので流れに乗るように観ていられるのも良いですね。
 実はこの機会を捕まえるまで全く観たことが無かったのですが、作画の美しさと緻密さは今観ても特筆ものです。力のある若いクリエイター達が作り上げているので勢いもあり、その根底にバブル期の力強さみたいなものも感じられます。

 トークイベントにはプロデューサー植田益朗さんと主演した堀川りょうさんが登壇。本編上映前に行われ、当然のように内容に深入りした話が展開されるので今回が初見の私はプロデューサーと主演から盛大にネタバレを頂くという極めて稀有な鑑賞体験になりました(笑)
 植田さんは角川書店のアニメを何故サンライズが製作することになったかという経緯や、自分のところに話が来た時点で公開まであまり時間が無い中で座組をしないと行けなかった苦労などを語ってくれました。そもそも「銀河漂流バイファム」のゲストメカデザインでデビューした永野護を同作で抜擢したのが植田さんだそうで、付き合いが長いせいか強い信頼と共に色々と思うところもあるらしく言葉の端々にちょっと毒が混ざっているのがおかしい。
 堀川さんはソープ役を演じる際、本編の台本をもらう前にキャラクター像を掴む間も無くCM用のセリフを収録することになったらしくそこだけ全く違う演技になってしまったことや作中で
ソープが言い放つ第一声が驚くほどに今の自分には出せない声をしていること、長い付き合いになる役が来たのかと思ったら意外とこれっきりだった(苦笑)、という話などが出てきました。また、植田・堀川両氏に加えて「ファイブスター物語」で演出を務めた今西隆志は後に「機動戦士ガンダム0083」でも組むことになるため、「0083」についての言及もありました。

 「ファイブスター物語」、まず配信にも乗らない上にBlu-rayもほぼ絶版状態で観てみたくても観られないでいたところに今回の企画はまさに渡りに船。付け加えれば関連作品である「ゴティックメード花の詩女」に至っては未だソフト化もされておらず現在では観ようとするなら散発的な企画上映を捕まえるしかない状況で、いずれももっと気軽に観られる機会が増えると良いのですが。
 「どまんなかアニメ映画祭」、前回今回と80年代を中心にした作品のチョイスが素晴らしく、当時直撃できなかった作品が多い自分としてはとてもありがたい企画で是非来年以降も続けて行って欲しいですね。

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