なかなか普段の自分のパターンには無い行動ですが、ゴールデンウィークも終盤の今日は気心の知れた仲間たちとバーベキューを楽しんでました。中には数年ぶりに会う人もいたのですが、多少近況を話せばもう以前のままのノリで会話が弾んで行くのはやっぱり嬉しいし楽しいですね。
こんばんは、小島@監督です。
いよいよ私も後半に差し掛かって来た身なので、会える内に会っておきたいものです。
さて、今回の映画は配信作品から一つ。Netflix版「新幹線大爆破」です。
新青森発東京行き新幹線「はやぶさ60号」は定刻通りに出発した。車掌の高市(草彅剛)はいつもと変わらぬ思いで乗客を迎え、乗務に向き合っている。そんな折JR東日本に一本の電話が入った。はやぶさ60号に爆弾を仕掛け、時速100kmを下回ると爆発するという。いたずら電話かと思われたがデモンストレーションとして貨物列車が一編成本当に爆破されてしまう。新幹線総合司令長・笠置(斎藤工)は直ちにはやぶさ60号に時速120kmでの走行と全駅の通過を命じ、少しでも時間を稼ごうとするが。
新幹線というのは現代日本の建造物やインフラとして極めて象徴的な存在と言えるでしょう。それ故に数え切れないほど様々な作品の舞台にもなって来ました。1975年に佐藤純弥監督が高倉健や千葉真一ら豪華キャストで作り上げた「新幹線大爆破」は、オイルショックにより高度経済成長が止まり、更には東アジア反日武装戦線が三菱重工や鹿島建設など旧財閥系や大手ゼネコンを次々に爆破した、いわゆる連続企業爆破事件が勃発し極左勢力が急速に支持うるさい失っていった時期に製作され、当時の世相を色濃く映した作品になっていました。今観るとガバガバな部分も多いもののそう言った時代の後ろ暗い空気感は読み取れるはずです。「一定のスピード以下になると爆発する列車」というアイディア自体も秀逸で後に与えた影響も大きく、キアヌ・リーブスが主演した「スピード」や名探偵コナンの劇場版第1作「時計じかけの摩天楼」などのフォロワーも生まれました。
そんな作品を半世紀越しに蘇らせるこの企画、一体どんなアプローチで来るのかと思ったら、単純なリメイクではなく1975年版が実際に起きた事件として半世紀を経た今になって模倣犯が現れた、という筋立てになっており、1975年版が思いもかけぬ形で物語に作用してくるところが大きな見どころになっています。
正直言うと、監督が樋口真嗣で主演が草彅剛と聞いた時、この2人がタッグを組んだ2006年の「日本沈没」のイマイチにも程がある出来を思い出してちょっぴり不安だったのですが、そんな杞憂を振り払う見事な作品に仕上がっていました。1975年版に負けず劣らずの大味な脚本ではあるものの、それを補って余りある魅力が炸裂しています。
サスペンスとしては中盤当たりで犯人や構図がほぼ固まり切ってしまうため、いささか拍子抜けする部分もあるのですが、むしろ「止められない新幹線から乗員乗客をどう救うか」に焦点が絞られてから映画としてはより強く一本線が走るようになります。序盤はちょっといけ好かない人物として描かれる者まで含めて官民あげてできる最善を尽くし、変に無能な存在が足を引っ張ったりしない最強お仕事映画として熱い展開が待っています。雰囲気としては樋口真嗣も参加していた「シン・ゴジラ」が近いですね。1975年版が企業体や国家権力に対する不信感を強く滲ませた作りになっているのとは対照的です。何より1975年版では当時の国鉄から協力を取り付けられず、駅舎などは隠し撮りで撮影した映像を使ったりしていたそうですが、今回はこんな内容であるにも関わらずJR東日本の全面協力を取り付け、ディテールを確かなものにしているあたりにエンターテインメントに対する企業側の姿勢の変化も作風に如実に表れています。
主演草彅剛を始め斎藤工、尾野真千子らの演技も素晴らしく、特に運転士役ののんさんは出色です。また個人的には映画監督でドキュメンタリー作家の森達也さんが出演していたのにも驚き。正直こう言ったエンタメ色の強いタイプの作品には興味を示さない方だと思っていました。
この映画、ほとんどの製作大手から企画を断られ最終的にNetflixが拾い上げたことで実現したとか。その経緯故に配信映画として製作されましたが結果的にそれが唯一最大の欠点ともなりました。いや、こういうのこそ映画館の大画面と大音響で観たい。今からでも遅くないからどこかで上映して欲しいものですね。
こんばんは、小島@監督です。
いよいよ私も後半に差し掛かって来た身なので、会える内に会っておきたいものです。
さて、今回の映画は配信作品から一つ。Netflix版「新幹線大爆破」です。
新青森発東京行き新幹線「はやぶさ60号」は定刻通りに出発した。車掌の高市(草彅剛)はいつもと変わらぬ思いで乗客を迎え、乗務に向き合っている。そんな折JR東日本に一本の電話が入った。はやぶさ60号に爆弾を仕掛け、時速100kmを下回ると爆発するという。いたずら電話かと思われたがデモンストレーションとして貨物列車が一編成本当に爆破されてしまう。新幹線総合司令長・笠置(斎藤工)は直ちにはやぶさ60号に時速120kmでの走行と全駅の通過を命じ、少しでも時間を稼ごうとするが。
新幹線というのは現代日本の建造物やインフラとして極めて象徴的な存在と言えるでしょう。それ故に数え切れないほど様々な作品の舞台にもなって来ました。1975年に佐藤純弥監督が高倉健や千葉真一ら豪華キャストで作り上げた「新幹線大爆破」は、オイルショックにより高度経済成長が止まり、更には東アジア反日武装戦線が三菱重工や鹿島建設など旧財閥系や大手ゼネコンを次々に爆破した、いわゆる連続企業爆破事件が勃発し極左勢力が急速に支持うるさい失っていった時期に製作され、当時の世相を色濃く映した作品になっていました。今観るとガバガバな部分も多いもののそう言った時代の後ろ暗い空気感は読み取れるはずです。「一定のスピード以下になると爆発する列車」というアイディア自体も秀逸で後に与えた影響も大きく、キアヌ・リーブスが主演した「スピード」や名探偵コナンの劇場版第1作「時計じかけの摩天楼」などのフォロワーも生まれました。
そんな作品を半世紀越しに蘇らせるこの企画、一体どんなアプローチで来るのかと思ったら、単純なリメイクではなく1975年版が実際に起きた事件として半世紀を経た今になって模倣犯が現れた、という筋立てになっており、1975年版が思いもかけぬ形で物語に作用してくるところが大きな見どころになっています。
正直言うと、監督が樋口真嗣で主演が草彅剛と聞いた時、この2人がタッグを組んだ2006年の「日本沈没」のイマイチにも程がある出来を思い出してちょっぴり不安だったのですが、そんな杞憂を振り払う見事な作品に仕上がっていました。1975年版に負けず劣らずの大味な脚本ではあるものの、それを補って余りある魅力が炸裂しています。
サスペンスとしては中盤当たりで犯人や構図がほぼ固まり切ってしまうため、いささか拍子抜けする部分もあるのですが、むしろ「止められない新幹線から乗員乗客をどう救うか」に焦点が絞られてから映画としてはより強く一本線が走るようになります。序盤はちょっといけ好かない人物として描かれる者まで含めて官民あげてできる最善を尽くし、変に無能な存在が足を引っ張ったりしない最強お仕事映画として熱い展開が待っています。雰囲気としては樋口真嗣も参加していた「シン・ゴジラ」が近いですね。1975年版が企業体や国家権力に対する不信感を強く滲ませた作りになっているのとは対照的です。何より1975年版では当時の国鉄から協力を取り付けられず、駅舎などは隠し撮りで撮影した映像を使ったりしていたそうですが、今回はこんな内容であるにも関わらずJR東日本の全面協力を取り付け、ディテールを確かなものにしているあたりにエンターテインメントに対する企業側の姿勢の変化も作風に如実に表れています。
主演草彅剛を始め斎藤工、尾野真千子らの演技も素晴らしく、特に運転士役ののんさんは出色です。また個人的には映画監督でドキュメンタリー作家の森達也さんが出演していたのにも驚き。正直こう言ったエンタメ色の強いタイプの作品には興味を示さない方だと思っていました。
この映画、ほとんどの製作大手から企画を断られ最終的にNetflixが拾い上げたことで実現したとか。その経緯故に配信映画として製作されましたが結果的にそれが唯一最大の欠点ともなりました。いや、こういうのこそ映画館の大画面と大音響で観たい。今からでも遅くないからどこかで上映して欲しいものですね。
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