昨日閉館を迎えた大須シネマの最終上映を観ようと当地へ行ったら、結構な人数が早朝から並んでいたらしく、自分が劇場に着いた頃には既に完売。ただその前の上映回がまだ辛うじて席が残っており、せめてそれくらいはとその回を観てきました。特色のあるミニシアターは得てしてそうなるものですが、作品ではなく映画館自体にファンが付きます。僅か6年半ほどの短い営業期間だったとは言え大須シネマもそんな映画館でした。街に定着し切らないままに閉館となってしまったことが本当に残念でなりません。
こんばんは、小島@監督です。
しかし最狂サメ映画フェスみたいなエッジの効いた企画を受け継げるような映画館、名古屋どころか日本にあるのかな…
さて、今回の映画は「名探偵コナン隻眼の残像」です。
長野県、国立天文台野辺山で何者かが施設内に侵入し、居合わせた職員が襲撃され負傷する事件が起きた。捜査に向かった大和勘助(声・高田裕司)と上原由衣(声・小清水亜美)だったが突如勘助の左目の傷が疼き苦しみ始めた。
その頃、毛利小五郎(声・小山力也)の元に警察時代の同僚・鮫谷浩二(声・平田広明)から連絡が入った。10ヶ月前に起きた八ヶ岳連峰雪崩事故とそれに巻き込まれた大和勘助について調べていた鮫谷は小五郎の言葉に何かを気づき、小五郎と会う約束を取り付けた。当日、蘭(声・山崎和佳奈)、コナン(声・高山みなみ)と共に小五郎は約束の場所へ向かうが、会う直前に鮫谷は何者かに射殺されてしまった…
長年ゴールデンウィークの顔にして近年は興行収入上位の常連でもある「名探偵コナン」、今年は隻眼の刑事大和勘助を始めとした長野県警の面々をフィーチャーしつつ、陰謀と絶望が渦巻く事件が展開します。序盤で旧友が殺されてしまう毛利小五郎もいつものコメディリリーフぶりをかなぐり捨ててひたすらに本気スイッチが入っているのも大きな特徴で、結果的にいつも以上にヘビーな雰囲気を持った作品になっています。
コナンにしてはいつに無く深い悲哀を携えた登場人物が多い今作の脚本をものにしたのは櫻井武晴。2013年の「絶海の探偵」以降2〜3年おきにコナン映画の脚本を手がけており、今回で7作目になります。2023年の「黒鉄の魚影」と言い彼が脚本を書くと割とシリアス寄りの作風になりますね。
鮫谷の射殺事件に加えて天文台の侵入事件、勘助が巻き込まれた雪崩事故、更には8年前に起きたというある事件まで絡んでくるという非常に重層的で複雑な構成をしており、まずミステリとしての出来が良く、なかなか先を読ませず伏線も練られています。関係者も数多い中、ほぼ全員に何かしら見せ場が用意されている匙加減も大したもの。珍しく大人が慟哭するシーンが多い今作は観客の感情の揺さぶり方もひと味違う印象で、特に小五郎役小山力也の演技が変わり画面の空気感が変化する瞬間は出色です。
一方でコナン映画と言えば定番とも言えるクライマックスのカタストロフですが、今回は実在する国立の研究施設相手ではさすがに気が引けたのかちょっと控えめ。そのぶん作品としては引き締まっています。いや、実在の施設と言っても「紺青の拳」でシンガポールのマリーナベイ・サンズは派手にブッ壊されてましたが(笑)。ただ惜しい点としてはこのテーマと流れであるなら最後の「詰め」も毛利小五郎に任せてやって欲しかったというところでしょうか。
約30年に渡り日本のエンターテインメントを牽引して来たタイトルの底力の強さと懐の深さを存分に味わえる一本。個人的にはシリーズの中でも結構上位に食い込む出来映えに思います。連作障害をものともしないコナン映画の楽しさを是非スクリーンで味わってください。
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こんばんは、小島@監督です。
しかし最狂サメ映画フェスみたいなエッジの効いた企画を受け継げるような映画館、名古屋どころか日本にあるのかな…
さて、今回の映画は「名探偵コナン隻眼の残像」です。
長野県、国立天文台野辺山で何者かが施設内に侵入し、居合わせた職員が襲撃され負傷する事件が起きた。捜査に向かった大和勘助(声・高田裕司)と上原由衣(声・小清水亜美)だったが突如勘助の左目の傷が疼き苦しみ始めた。
その頃、毛利小五郎(声・小山力也)の元に警察時代の同僚・鮫谷浩二(声・平田広明)から連絡が入った。10ヶ月前に起きた八ヶ岳連峰雪崩事故とそれに巻き込まれた大和勘助について調べていた鮫谷は小五郎の言葉に何かを気づき、小五郎と会う約束を取り付けた。当日、蘭(声・山崎和佳奈)、コナン(声・高山みなみ)と共に小五郎は約束の場所へ向かうが、会う直前に鮫谷は何者かに射殺されてしまった…
長年ゴールデンウィークの顔にして近年は興行収入上位の常連でもある「名探偵コナン」、今年は隻眼の刑事大和勘助を始めとした長野県警の面々をフィーチャーしつつ、陰謀と絶望が渦巻く事件が展開します。序盤で旧友が殺されてしまう毛利小五郎もいつものコメディリリーフぶりをかなぐり捨ててひたすらに本気スイッチが入っているのも大きな特徴で、結果的にいつも以上にヘビーな雰囲気を持った作品になっています。
コナンにしてはいつに無く深い悲哀を携えた登場人物が多い今作の脚本をものにしたのは櫻井武晴。2013年の「絶海の探偵」以降2〜3年おきにコナン映画の脚本を手がけており、今回で7作目になります。2023年の「黒鉄の魚影」と言い彼が脚本を書くと割とシリアス寄りの作風になりますね。
鮫谷の射殺事件に加えて天文台の侵入事件、勘助が巻き込まれた雪崩事故、更には8年前に起きたというある事件まで絡んでくるという非常に重層的で複雑な構成をしており、まずミステリとしての出来が良く、なかなか先を読ませず伏線も練られています。関係者も数多い中、ほぼ全員に何かしら見せ場が用意されている匙加減も大したもの。珍しく大人が慟哭するシーンが多い今作は観客の感情の揺さぶり方もひと味違う印象で、特に小五郎役小山力也の演技が変わり画面の空気感が変化する瞬間は出色です。
一方でコナン映画と言えば定番とも言えるクライマックスのカタストロフですが、今回は実在する国立の研究施設相手ではさすがに気が引けたのかちょっと控えめ。そのぶん作品としては引き締まっています。いや、実在の施設と言っても「紺青の拳」でシンガポールのマリーナベイ・サンズは派手にブッ壊されてましたが(笑)。ただ惜しい点としてはこのテーマと流れであるなら最後の「詰め」も毛利小五郎に任せてやって欲しかったというところでしょうか。
約30年に渡り日本のエンターテインメントを牽引して来たタイトルの底力の強さと懐の深さを存分に味わえる一本。個人的にはシリーズの中でも結構上位に食い込む出来映えに思います。連作障害をものともしないコナン映画の楽しさを是非スクリーンで味わってください。
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