昨日の歌会に参加された皆さん、お疲れ様でした。
今回前日に大学の同期の集まりがあって東京まで行ってました。カジュアルで良いとは言え雑な格好をしていくワケにもいくまいととジャケット着て行ったら、まあ暑かったですね(笑)。着る服を間違えたとちょいと後悔しましたよ、ええ。
こんばんは、小島@監督です。
十数年ぶりの再会でしたが、次は皆が健康な内に早めに集まろうぜと約束を交わしたあたり、やっぱり歳を重ねてしまいました(苦笑)
さて、今回の映画は「教皇選挙」です。
カトリック教会の最高指導者ローマ教皇が亡くなった。
バチカンの首席枢機卿トーマス・ローレンス(レイフ・ファインズ)は次期教皇を決める選挙「コンクラーベ」を取り仕切ることになった。
世界中から108人の枢機卿団がシスティーナ礼拝堂に集結する。その中から誰かが2/3の票を獲得し新教皇として選出されるまで何日も投票を繰り返し、その間枢機卿団は礼拝堂の外へ出ることは許されない。
果たして新たな教皇は誰になるのか。長い数日間が始まる。
2013年に職を辞したベネディクト16世のように生前辞任する方もごく稀に出ますがローマ教皇というのは基本的に終身制です。カトリック教会の信徒の数は14億人に及ぶとか。選任者の寿命が尽きるまで、それほどの数を擁した教会の方向性を決めることになるコンクラーベは、恐らく私のように信者でない者には想像しがたいほどに熾烈でしょう。キリスト教世界の行く末を決めると同時に閉ざされた礼拝堂の中で行われる密室劇。不謹慎な言い方をすれば極めて魅力的な題材とも言えるコンクラーベをスキャンダラスかつサスペンスフルに描きます。ロバート・ハリスの原作小説を「裏切りのサーカス」で知られるピーター・ストローハンが脚色し、「西部戦線異状無し」で高い評価を得たエドワード・ベルガーが監督を務めています。あまり大手シネコンの配給には乗らなかった作品ながら期待以上のヒットとなり、上映館ではロングランになりそうな勢いです。
徹頭徹尾計算され尽くされたカメラワークで痺れるような緊張感を持続させてくるサスペンスです。かなり複雑な構図をしていますが、主要な枢機卿たちが割と皆アクの濃いキャラクターしているのである程度メインどころを押さえてしまえば物語の流れを追うこと自体はそれほど難しくはないでしょう。舞台が舞台な上に要所要所で宗教画を思わせる構図が登場するので荘厳な雰囲気を持っているのも特徴です。
むしろそうであるが故にこの映画を難しくしているのは、かなりの予備知識を必要としている点でカトリックに馴染みが無いとどうしても表層を追うだけになってしまうところでしょうか。正直なところ私もどこまで読み取れたものか。
例えば現教皇フランシスコはアルゼンチン出身で、ヨーロッパ以外からの教皇選出は実に1272年ぶりだったと聞きます。そうなった背景にはカトリックの司祭が信徒の子供たちを性的虐待していたというスキャンダルに端を発してカトリックの権威が低下していることへの危機感もあったようです。カトリックは司祭の威光が強く、妻帯を禁じられている傍ら女性の地位を非常に低く見ていることでいわゆるミソジニーを生みやすく、故に性加害が起こりやすい土壌をしていました。2002年ボストン・グローブ紙が司祭の長期間の性的虐待をスクープ報道してそれが露見しました。しかし当時教皇の座に就いたベネディクト16世は非常に保守的なスタンスを堅持し、謝罪はすれども改革に着手しなかったことが一層権威を失墜させる結果を招きました。
こう言ったところを踏まえて鑑賞すれば、挑戦的と言って良い最後のシークエンスの凄みにも思い至れるかと思います。他にも様々なトピックを内包しているようで、配給側も必要性を感じているのかパンフレットだけでなくオフィシャルサイトでも結構な文章量で解説してくれています。さすがに事前に見てしまうと結末の楽しさが半減してしまうので鑑賞後の閲覧をお薦めします。
と、ここまで書いていたらローマ教皇フランシスコの訃報が。ちょっと待っていくら何でもタイムリー過ぎる。数週間後にはフィクションではない現実のコンクラーベが始まります。激動する世界の中でカトリック教会はどんな道を指し示すことになるのでしょうか。
今回前日に大学の同期の集まりがあって東京まで行ってました。カジュアルで良いとは言え雑な格好をしていくワケにもいくまいととジャケット着て行ったら、まあ暑かったですね(笑)。着る服を間違えたとちょいと後悔しましたよ、ええ。
こんばんは、小島@監督です。
十数年ぶりの再会でしたが、次は皆が健康な内に早めに集まろうぜと約束を交わしたあたり、やっぱり歳を重ねてしまいました(苦笑)
さて、今回の映画は「教皇選挙」です。
カトリック教会の最高指導者ローマ教皇が亡くなった。
バチカンの首席枢機卿トーマス・ローレンス(レイフ・ファインズ)は次期教皇を決める選挙「コンクラーベ」を取り仕切ることになった。
世界中から108人の枢機卿団がシスティーナ礼拝堂に集結する。その中から誰かが2/3の票を獲得し新教皇として選出されるまで何日も投票を繰り返し、その間枢機卿団は礼拝堂の外へ出ることは許されない。
果たして新たな教皇は誰になるのか。長い数日間が始まる。
2013年に職を辞したベネディクト16世のように生前辞任する方もごく稀に出ますがローマ教皇というのは基本的に終身制です。カトリック教会の信徒の数は14億人に及ぶとか。選任者の寿命が尽きるまで、それほどの数を擁した教会の方向性を決めることになるコンクラーベは、恐らく私のように信者でない者には想像しがたいほどに熾烈でしょう。キリスト教世界の行く末を決めると同時に閉ざされた礼拝堂の中で行われる密室劇。不謹慎な言い方をすれば極めて魅力的な題材とも言えるコンクラーベをスキャンダラスかつサスペンスフルに描きます。ロバート・ハリスの原作小説を「裏切りのサーカス」で知られるピーター・ストローハンが脚色し、「西部戦線異状無し」で高い評価を得たエドワード・ベルガーが監督を務めています。あまり大手シネコンの配給には乗らなかった作品ながら期待以上のヒットとなり、上映館ではロングランになりそうな勢いです。
徹頭徹尾計算され尽くされたカメラワークで痺れるような緊張感を持続させてくるサスペンスです。かなり複雑な構図をしていますが、主要な枢機卿たちが割と皆アクの濃いキャラクターしているのである程度メインどころを押さえてしまえば物語の流れを追うこと自体はそれほど難しくはないでしょう。舞台が舞台な上に要所要所で宗教画を思わせる構図が登場するので荘厳な雰囲気を持っているのも特徴です。
むしろそうであるが故にこの映画を難しくしているのは、かなりの予備知識を必要としている点でカトリックに馴染みが無いとどうしても表層を追うだけになってしまうところでしょうか。正直なところ私もどこまで読み取れたものか。
例えば現教皇フランシスコはアルゼンチン出身で、ヨーロッパ以外からの教皇選出は実に1272年ぶりだったと聞きます。そうなった背景にはカトリックの司祭が信徒の子供たちを性的虐待していたというスキャンダルに端を発してカトリックの権威が低下していることへの危機感もあったようです。カトリックは司祭の威光が強く、妻帯を禁じられている傍ら女性の地位を非常に低く見ていることでいわゆるミソジニーを生みやすく、故に性加害が起こりやすい土壌をしていました。2002年ボストン・グローブ紙が司祭の長期間の性的虐待をスクープ報道してそれが露見しました。しかし当時教皇の座に就いたベネディクト16世は非常に保守的なスタンスを堅持し、謝罪はすれども改革に着手しなかったことが一層権威を失墜させる結果を招きました。
こう言ったところを踏まえて鑑賞すれば、挑戦的と言って良い最後のシークエンスの凄みにも思い至れるかと思います。他にも様々なトピックを内包しているようで、配給側も必要性を感じているのかパンフレットだけでなくオフィシャルサイトでも結構な文章量で解説してくれています。さすがに事前に見てしまうと結末の楽しさが半減してしまうので鑑賞後の閲覧をお薦めします。
と、ここまで書いていたらローマ教皇フランシスコの訃報が。ちょっと待っていくら何でもタイムリー過ぎる。数週間後にはフィクションではない現実のコンクラーベが始まります。激動する世界の中でカトリック教会はどんな道を指し示すことになるのでしょうか。
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