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ちゅうカラぶろぐ


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冬アニメの消化も今ひとつなのにこういう時に限って旧作にどハマりしてしまう罠。女子高生4人が南極を目指す「宇宙よりも遠い場所」を何気なく観始めたらこれがもうどストライク。清々しい青春ドラマと南極観測のディテールにかき立てられる知的興奮に気づけば一気見。ニューヨークタイムズが取り上げたというのも納得の面白さでした。

 こんばんは、小島@監督です。
 それにしても出会うのが30年遅かった。10代の頃に出会っていたらきっと南極目指してましたよ(笑)

 さて、今回の映画は「トワイライト・ウォリアーズ決戦!九龍城砦」です。

 1980年代香港。密入国したチャン・ロッグワン(レイモンド・ラム)は身分証を獲得すべく港湾を支配するボス(サモ・ハン)の元へ赴くもトラブルになり、九龍城砦へ逃げ込んだ。ロッグワンは九龍城砦を支配するロン・ギュンフォン(ルイス・クー)やその右腕であるソンヤッ(テレンス・ラウ)と出会い城砦での生活を始めるが。

 熱い時代を生きた者たちの矜持。
 1990年代初頭まで香港に存在したスラム街「九龍城砦」、現地の本来の読み方ではありませんが「クーロンじょう」という読み方に親しみがある方も多いのではないでしょうか。施政権がはっきりしないまま放置された城砦は無計画に増築が重ねられ、「一度入ると出られない」と言われるほど迷路のような状態になったと聞きます。1970年代、無法を極めた状態に対抗するため住民たちが自警団を結成したことで治安が徐々に回復し、平穏が訪れた時期がありました。とは言えど1997年の中国への香港返還へ向けて1987年には香港政庁が住民の強制移住と九龍城砦の取り壊しを決定。数年後にはもうこの場所は無くなっているだろうという不安や焦燥が住民に通奏低音として響く時期。これがこの映画の時代背景です。

 どこまでも熱く観る者を震わせてくれる、ド直球の熱血少年漫画のような映画です。ストーリーは大味でご都合主義。しかし出てくるキャラクターが誰も彼も魅力的。特にルイス・クー演じるロン・ギュンフォンの燻し銀の色気は出色です。谷垣健治が手掛けたアクションは天井知らずのボリュームで超ハイカロリー。エンターテインメントとはこういうものさ!という気概と熱量が全編に満ち溢れています。香港映画のオールドファンにとってはレジェンドと言うべきサモ・ハン・キンポー(現サモ・ハン)が70代になってもなお衰えぬキレを見せてくれるのも嬉しいところ。

 九龍城砦が取り壊され中国へ返還された香港は、中国共産党により民主主義が骨抜きにされ今や往時の輝きは見る影も無くなり中国の一地方都市に変容させられてしまいました。香港映画界も時代の波に抗えず、俳優やスタッフの海外流出、巨大な大陸資本の流入により独自世界の多くは失われたと言って過言ではないでしょう。
 この映画はそんな輝いていた時代の香港映画を思わせてくれる点においてどうしようもなくノスタルジーを感じさせ、それが唯一無二の味わいともなっています。
 しかし消えかけていてもその残照はどこまでも烈しく熱い。この映画、実は大陸資本が全く入っていません。香港の資本のみで製作されたこの作品にもしもあなたが強いロマンを感じたなら、それは時代に埋もれさせられた魂を蘇らせ再び火を灯そうと集まった者たちの矜持の結晶です。

 幸いにもというべきか香港映画史上最大のヒットとなった「トワイライト・ウォリアーズ」は三部作となることが決定され、2作目3作目が製作準備に入ったそうです。続報を楽しみに待ちたいところですね。

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