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ちゅうカラぶろぐ


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先週の大型寒波、皆さんの影響はどうでしたでしょうか。私の自宅の方では数年ぶりにまとまった量の雪が降り、週の後半は連日朝に自宅周りを雪かきしてから出勤してました。幸いにも電車が運行を止めるほどではなかったので通勤に差し障るほどではありませんでしたが。

 こんばんは、小島@監督です。
 昨日も良く晴れてくれ、今週は少し気温も上がるようでいくらかは過ごしやすくなりそう。

 さて、今回の映画は「ミッシング・チャイルド・ビデオテープ」です。

 幼い頃、弟が一緒に出かけた山で失踪した過去を持つ青年・児玉敬太(杉田雷麟)、今は失踪した人間を探すボランティアを続けていた。ある日、敬太の元に母から突如古いビデオテープが送られてくる。そこには弟が失踪した瞬間の映像が収められていた。
 霊感を持つ敬太の同居人・天野司(平井亜門)はビデオテープに禍々しいものを感じ、敬太に深入りしないように助言するが自身にまつわる忌むべき過去を決着させたい敬太は行動を起こす。新聞記者の久住美琴(森田想)はそんな敬太を記事のネタにしようと追い始め、3人はやがてあの「山」へと導かれてゆく。

 津々浦々で語られる怪談の中には無念を抱いて死んだ悪霊という分かりやすいものばかりではなく「何だか良く分からないが恐ろしい」というものもあります。そんな「良く分からないもの」は人の想像力を刺激し、その想像の中に怖さを植え付けていくのです。
 「リング」や「呪怨」という金字塔を大きなマイルストーンとして今日まであり続けるJホラー。貞子や伽倻子のようなアイコンとなるキャラクターが牽引する幽霊譚を保守本流とし、近年では怖がらせるというよりいっとき驚いてもらうアトラクション色の強い作品も少なくない中で、なかなかに異色のホラーが登場しました。ジャンプスケア(大きな音と共に映像や出来事を突然変化させる手法。1980年代以降から主に使われ始め、現在ではホラー映画の常套手段になっている)を一切排除した静謐な作りで、観客を禍々しい怪異譚へと誘います。
 監督はフェイクドキュメンタリー「イシナガキクエを探しています」を手がけた新星・近藤亮太。これが長編映画初監督作品になります。

 ノイズ混じりのビデオ映像やカセットテープの音声と言ったクラシックでアナログな媒体をフル活用した不気味な空気が全編を包み込み、また残された者の焦燥を丁寧に描いて不穏さをいやましていきます。撮影もかなりアナログに作っていたようでビデオ映像のノイズはVFXでそれっぽく処理したのではなく監督が友人から譲り受けたビデオテープの一番ノイズが走るところを見つけ出してそこにうまくハマるように調整して収録したのだとか。
 登場人物たちが直面する怪異は杳として全容を見せず、良く吟味された効果音の妙も手伝って観る者の想像を掻き立てます。中でも中盤ある青年が敬太に語る物語は、優れた民俗的な怪異譚を聞いているようで非常に怖くなってきます。

 一方で単純な分かりやすさとは無縁の作りな上に変なところで生真面目でそれでいてちょっとたどたどしいところもあり、序盤で掴まれなければ退屈さすら覚えてしまうかもしれません。ただCGも特殊メイクもほとんど使わない画作りは地味に見えつつも挑戦的で荒削りながらも新風と反骨精神を感じさせてくれる一本であるのは間違いなく、閉塞しかけたJホラーにまだ可能性があることを教えてくれます。今週末より名古屋会場の開催がスタートする「行方不明展」でも場内映像の一部を手がけているそうで、近藤亮太監督、今後要注目と言ったところですね。

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