よりにもよってこの三連休に入ると同時に夏場にやった溶連菌が再発して高熱を出してブッ倒れてしまい、連休中はひたすら寝て過ごす羽目になってしまいました。何よりアイドルユニットTHE ENCOREの最推し藤元ういさんのバースデーライブに行けなかったのがマジで辛い。何という不甲斐無さ。ぐぬぬ。
こんばんは、小島@監督です。
インフルエンザも大流行中です。皆さんマジで健康には気をつけましょう…
さて、今回の映画は「正体」です。
東村山の民家で一家三人が惨殺される事件が起きた。警察は現場にいた高校三年生の鏑木慶一(横浜流星)を犯人として逮捕し、その後死刑判決が下された。しかしある時鏑木は東京拘置所から決死の脱出を図り逃走した。死刑囚の脱走を許した不祥事を挽回すべく警察はかつて鏑木を逮捕した又貫(山田孝之)の指揮のもと一大捜査体制を敷く。だが鏑木の行方は杳として掴めずにいた。
数ヶ月後、大阪の飯場で働く野々村和也(森本慎太郎)は工事中の事故で足を骨折してしまうが、会社からの保障を得られず途方に暮れていた。だが周囲から「ベンゾウ」と呼ばれる青年が豊富な法律の知識で助力を買って出、それがきっかけで2人は友人になる。しかし鏑木に報奨金がかけられたことをニュースで知った和也は、その人相から「ベンゾウ」が鏑木ではないかと疑い始めた…
「余命10年」「新聞記者」など話題作・問題作を相次いで世に送り出す実力派・藤井道人監督。ドラマや配信作品も手掛けておりそれらも含めるとかなり多作の部類に入るフィルムメーカーですが、中でも近年抜群の相性でタッグを組んでいる俳優がいます。それが今作でも主演を務める横浜流星。今年のNHK大河ドラマ「べらぼう」でも主演に抜擢され躍進目覚ましい横浜流星の、恐らく現時点でのキャリアベストと言って良い珠玉の名演できるのがこの「正体」です。昨年11月公開作品ですが好評を得てロングランが続いており、おかげで私も先日ようやく鑑賞できました。
物語は鏑木が潜伏する先々で出会った人との交流と共に鏑木を追う又貫の矜持と葛藤を描きつつ、更に発端となった事件の真相を解き明かしていくという非常に重層的な作りになっています。逃亡する囚人と追跡する刑事の確執というモチーフは、それこそ「レ・ミゼラブル」のジャン・バルジャンとジャベール警部や「逃亡者」のリチャード・キンブル医師とジェラード保安官の関係性を思い起こさせ、古今より人気の題材とも言えますね。
演出面で巧みだなと感じたのは物語が進むと潜伏先も変わって行きますが、「逃亡から〇〇日」のテロップ一つ出すのみでその過程をほぼ全く見せないところ。容姿も変えるわ職も得るわと大胆な立ち回りを見せる鏑木ですがそれをどう準備してそこに入り込んだかについては触れないことで映画の流れを疎外しないばかりか「年若いが頭が切れる」鏑木のキャラクター性を強調するのに成功しています。
そして「若いが頭が切れる」しかし「頭が切れるが若い」、この相反する要素が同居する鏑木慶一を演じる横浜流星の演技がとにかく素晴らしい。容姿を変えつつ各地で潜む中で友人と呼べる者や信頼するに足る人物と出会い、世界が広がっていく喜びを感じていきながら、一方でいつ追っ手が来るかも分からない中で真相を追う焦燥に取り憑かれてもいるその際どさに見事なまでの説得力を持たせています。
映画は最後までなかなか予断を許さず、サスペンスと人間ドラマが高次元で絡み合う極上の映画体験を用意してくれています。しかもこれほどの密度で物語を展開しながら120分ジャストという上映時間も私は高く評価したい。スクリーンで味わうに足る一本だと自信を持ってお薦めしたい。流石に回数は減ってきていますがまだまだ上映は続いています。まだの方は是非。
こんばんは、小島@監督です。
インフルエンザも大流行中です。皆さんマジで健康には気をつけましょう…
さて、今回の映画は「正体」です。
東村山の民家で一家三人が惨殺される事件が起きた。警察は現場にいた高校三年生の鏑木慶一(横浜流星)を犯人として逮捕し、その後死刑判決が下された。しかしある時鏑木は東京拘置所から決死の脱出を図り逃走した。死刑囚の脱走を許した不祥事を挽回すべく警察はかつて鏑木を逮捕した又貫(山田孝之)の指揮のもと一大捜査体制を敷く。だが鏑木の行方は杳として掴めずにいた。
数ヶ月後、大阪の飯場で働く野々村和也(森本慎太郎)は工事中の事故で足を骨折してしまうが、会社からの保障を得られず途方に暮れていた。だが周囲から「ベンゾウ」と呼ばれる青年が豊富な法律の知識で助力を買って出、それがきっかけで2人は友人になる。しかし鏑木に報奨金がかけられたことをニュースで知った和也は、その人相から「ベンゾウ」が鏑木ではないかと疑い始めた…
「余命10年」「新聞記者」など話題作・問題作を相次いで世に送り出す実力派・藤井道人監督。ドラマや配信作品も手掛けておりそれらも含めるとかなり多作の部類に入るフィルムメーカーですが、中でも近年抜群の相性でタッグを組んでいる俳優がいます。それが今作でも主演を務める横浜流星。今年のNHK大河ドラマ「べらぼう」でも主演に抜擢され躍進目覚ましい横浜流星の、恐らく現時点でのキャリアベストと言って良い珠玉の名演できるのがこの「正体」です。昨年11月公開作品ですが好評を得てロングランが続いており、おかげで私も先日ようやく鑑賞できました。
物語は鏑木が潜伏する先々で出会った人との交流と共に鏑木を追う又貫の矜持と葛藤を描きつつ、更に発端となった事件の真相を解き明かしていくという非常に重層的な作りになっています。逃亡する囚人と追跡する刑事の確執というモチーフは、それこそ「レ・ミゼラブル」のジャン・バルジャンとジャベール警部や「逃亡者」のリチャード・キンブル医師とジェラード保安官の関係性を思い起こさせ、古今より人気の題材とも言えますね。
演出面で巧みだなと感じたのは物語が進むと潜伏先も変わって行きますが、「逃亡から〇〇日」のテロップ一つ出すのみでその過程をほぼ全く見せないところ。容姿も変えるわ職も得るわと大胆な立ち回りを見せる鏑木ですがそれをどう準備してそこに入り込んだかについては触れないことで映画の流れを疎外しないばかりか「年若いが頭が切れる」鏑木のキャラクター性を強調するのに成功しています。
そして「若いが頭が切れる」しかし「頭が切れるが若い」、この相反する要素が同居する鏑木慶一を演じる横浜流星の演技がとにかく素晴らしい。容姿を変えつつ各地で潜む中で友人と呼べる者や信頼するに足る人物と出会い、世界が広がっていく喜びを感じていきながら、一方でいつ追っ手が来るかも分からない中で真相を追う焦燥に取り憑かれてもいるその際どさに見事なまでの説得力を持たせています。
映画は最後までなかなか予断を許さず、サスペンスと人間ドラマが高次元で絡み合う極上の映画体験を用意してくれています。しかもこれほどの密度で物語を展開しながら120分ジャストという上映時間も私は高く評価したい。スクリーンで味わうに足る一本だと自信を持ってお薦めしたい。流石に回数は減ってきていますがまだまだ上映は続いています。まだの方は是非。
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