先日年一の健康診断を受診。例年は職場が健診車を呼ぶ日があるのでその日に受けるようにしているのですが、思うところあって今年は内視鏡検査を受けることにしたためこれまで行ったことの無いクリニックへ足を運ぶことに。
何が驚いたって採血をしたスタッフが顔見知りだったことですね(笑)。余計なことが喋りづらいとても静かな空間だったので敢えて事務的なやり取り以外はしませんでしたが、内心は「そんなことある!?」と我が内なる善逸君が大騒ぎしておりましたですよ。世間は狭い。
こんばんは、小島@監督です。
内視鏡検査、初めて受けたのですが麻酔が効いて半分寝てるような状態の間に終わってしまったのでバリウム飲むよりずっと楽。来年もこれで行こう。
さて、今回の映画は「サユリ」です。
郊外にある中古の一軒家を買い取り、引っ越して来た神木家。引っ越しを機に離れて暮らしていた祖父・章造(きたろう)と認知症を患う祖母・春枝(根岸季衣)も呼び寄せて三世代7人での新生活が始まった。ところが暮らし始めて早々に次男の俊(猪俣怜生)は何かを感じ取り不安を覚え、春枝はひたすらにある一点を見つめ続けるようになる。長男・則雄(南出凌嘉)は学校で違うクラスの住田(近藤華)に呼び止められ「気をつけて」と忠告された。
やがて神木家を惨劇が襲う。弟思いだった長女・径子(森田想)は突然俊に暴力を振るったかと思えば時を置かずに父・昭雄(梶原善)が怪死する。人ならざる「何か」の存在の猛威に次々と命を落とす神木家の者たち。なす術なく全滅は避けられないかに思われたが。
世界的にも大きな影響を及ぼしたと言っていい「リング」や「呪怨」を旗手としてジャンルを確立してきた「Jホラー」と呼ばれる作品たち。元を辿れば「怪談」に源流を見ることもできるからか生者と死者の情念の相克を物語の主眼に据え、大抵の場合怪異に対して一度は打ち勝つあるいは逃げ切ったように見えても実はまだ、というラストになることが多く実質ほぼテンプレのようなものになっています。そのモヤモヤとした感覚をも味わうのがJホラーの楽しみ、と言えばそうなのですが、不完全燃焼に思う方も多いでしょう。そんな作品たちへのカウンターパンチとも言える出色の逸品が登場しました。
押切蓮介が2010年に発表したホラー漫画を、鬼才・白石晃士監督が見事に映像化。色んな意味でホラーの枠を軽々と飛び越えるエネルギッシュな作品になっています。
物語は前半は正統派のオカルトホラーとして展開。新居に棲みついていた悪霊に翻弄される家族の姿を色調を少し落とした映像でしっかりと怖く作ってあります。しかし後半に差し掛かると認知症を患っていた春枝ばあちゃんが突如覚醒。なんと悪霊に対して復讐を始めます。この後半のパワーが尋常ではありません。もはやどっちが悪役か分かったものじゃないクライマックスのスパルタンぶりも含めて何も知らずにいつものホラー映画を期待して観に行った人がいたらブッ飛ぶこと必至。
思えば白石晃士監督は呪術で支配しようとする相手に反撃に打って出る「カルト」や怪異に対して金属バットでカチ込む「戦慄怪奇ファイル・コワすぎ!」シリーズなど人間がオカルトに怯えたままにしない作品を以前から作って来た実績があり、遂に自身のテイストにがっちりハマった原作と出会ってしまったようです。
悪霊に対抗するのは強い信仰心でも超能力の才能でもなく生きている人間の生命力。おばあちゃんというよりある種の敬意を持って「ババア」と呼びたい春枝の力強い生き方と言葉に背中を押され勇気付けられる人も少なくないはず。このジャンルを超えた飛翔ぶりはちょっと類似作品が思いつきません。Jホラーが持つこう着したイメージをこの1本で覆すほどのパワーを秘めています。白石晃士監督の、現時点での最高傑作と言って過言ではないでしょう。まさに観るエナドリ。「元気ハツラツ」に、「命を濃く」したいあなたは是非とも劇場へ!太極拳を習いたくなるかもしれないぜ!
何が驚いたって採血をしたスタッフが顔見知りだったことですね(笑)。余計なことが喋りづらいとても静かな空間だったので敢えて事務的なやり取り以外はしませんでしたが、内心は「そんなことある!?」と我が内なる善逸君が大騒ぎしておりましたですよ。世間は狭い。
こんばんは、小島@監督です。
内視鏡検査、初めて受けたのですが麻酔が効いて半分寝てるような状態の間に終わってしまったのでバリウム飲むよりずっと楽。来年もこれで行こう。
さて、今回の映画は「サユリ」です。
郊外にある中古の一軒家を買い取り、引っ越して来た神木家。引っ越しを機に離れて暮らしていた祖父・章造(きたろう)と認知症を患う祖母・春枝(根岸季衣)も呼び寄せて三世代7人での新生活が始まった。ところが暮らし始めて早々に次男の俊(猪俣怜生)は何かを感じ取り不安を覚え、春枝はひたすらにある一点を見つめ続けるようになる。長男・則雄(南出凌嘉)は学校で違うクラスの住田(近藤華)に呼び止められ「気をつけて」と忠告された。
やがて神木家を惨劇が襲う。弟思いだった長女・径子(森田想)は突然俊に暴力を振るったかと思えば時を置かずに父・昭雄(梶原善)が怪死する。人ならざる「何か」の存在の猛威に次々と命を落とす神木家の者たち。なす術なく全滅は避けられないかに思われたが。
世界的にも大きな影響を及ぼしたと言っていい「リング」や「呪怨」を旗手としてジャンルを確立してきた「Jホラー」と呼ばれる作品たち。元を辿れば「怪談」に源流を見ることもできるからか生者と死者の情念の相克を物語の主眼に据え、大抵の場合怪異に対して一度は打ち勝つあるいは逃げ切ったように見えても実はまだ、というラストになることが多く実質ほぼテンプレのようなものになっています。そのモヤモヤとした感覚をも味わうのがJホラーの楽しみ、と言えばそうなのですが、不完全燃焼に思う方も多いでしょう。そんな作品たちへのカウンターパンチとも言える出色の逸品が登場しました。
押切蓮介が2010年に発表したホラー漫画を、鬼才・白石晃士監督が見事に映像化。色んな意味でホラーの枠を軽々と飛び越えるエネルギッシュな作品になっています。
物語は前半は正統派のオカルトホラーとして展開。新居に棲みついていた悪霊に翻弄される家族の姿を色調を少し落とした映像でしっかりと怖く作ってあります。しかし後半に差し掛かると認知症を患っていた春枝ばあちゃんが突如覚醒。なんと悪霊に対して復讐を始めます。この後半のパワーが尋常ではありません。もはやどっちが悪役か分かったものじゃないクライマックスのスパルタンぶりも含めて何も知らずにいつものホラー映画を期待して観に行った人がいたらブッ飛ぶこと必至。
思えば白石晃士監督は呪術で支配しようとする相手に反撃に打って出る「カルト」や怪異に対して金属バットでカチ込む「戦慄怪奇ファイル・コワすぎ!」シリーズなど人間がオカルトに怯えたままにしない作品を以前から作って来た実績があり、遂に自身のテイストにがっちりハマった原作と出会ってしまったようです。
悪霊に対抗するのは強い信仰心でも超能力の才能でもなく生きている人間の生命力。おばあちゃんというよりある種の敬意を持って「ババア」と呼びたい春枝の力強い生き方と言葉に背中を押され勇気付けられる人も少なくないはず。このジャンルを超えた飛翔ぶりはちょっと類似作品が思いつきません。Jホラーが持つこう着したイメージをこの1本で覆すほどのパワーを秘めています。白石晃士監督の、現時点での最高傑作と言って過言ではないでしょう。まさに観るエナドリ。「元気ハツラツ」に、「命を濃く」したいあなたは是非とも劇場へ!太極拳を習いたくなるかもしれないぜ!
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