昨日の歌会に参加された皆さん、お疲れ様でした。
今回は家の事情で前半のみの参加でしたが、初参加の方も満喫していってくださったようで何よりです。ちょいとした思いつきで「最近リメイクされた、あるいはこれからされる作品」縛りで歌ってみましたが気づいて付き合ってくれた同室の皆さんもありがとうございます。
こんばんは、小島@監督です。
ちゅうカラが20周年の時に配布していたノベルティの測量野帳を3冊も頂いてしまいました。実はもらった時から測量野帳を映画の鑑賞記録に使っていて、今5代目。1冊あたり1年半前後のペースで使っているのでこれであと5年は戦えます(笑)
さて、今回は配信で観られる作品の中からご紹介。今回の映画は「サタンタンゴ」です。
集団農場が崩壊し、活気を失い寂れつつあるハンガリーのある田舎町。
農夫のシュミット(ルゴシ・ラースロー)は友人のクラーネル(デルジ・ヤーノシュ)と共に村人たちの貯金を持ち逃げする計画を進めていた。そんな折、数年前に死んだはずの男イリミアーシュ(ヴォーグ・ミハーイ)が生きていて、そして村に帰ってくることを聞かされる。にわかに信じがたい話に驚くシュミットたちだったが、しかし本当にイリミアーシュは帰って来た。
イリミアーシュは村人たちに集団農場の再建を持ちかけてくるのだが…
映画を鑑賞するに当たってのハードルはさまざまです。権利関係の都合で配信やソフト化がされず上映の機会も限られているとか、映像がグロテスクかつショッキングで耐性が無いとキツいとか。ごく古い映画ですと上映素材が散逸していて完全な状態での鑑賞が事実上不可能、という作品もあります。今回の「サタンタンゴ」はもっとシンプルな理由で非常にハードルの高い映画です。
それは上映時間。
なんと7時間18分!「スターウォーズ」のエピソード1〜3がすっぽり収まるほどの長さ。劇場公開時には途中で2回の休憩が差し挟まれ、12時30分スタート20時30分終わりというフルタイムの勤務時間かな?みたいなタイムテーブルに戦慄した記憶があります。ロードショーの期間が短く、結局機会を捕まえられなかったこの作品が、気づけばAmazonプライムでの配信が始まっていました。
この大作はハンガリーの巨匠タル・ベーラ監督が1994年に発表、日本では東京国際映画祭で1度上映されたのち長く幻の作品でしたが2019年にようやく4Kリマスター版での劇場公開が実現した作品です。
タル・ベーラ監督は決して多作の人ではありませんが、世界の映画人に与えた影響が計り知れない人物です。9本の長編映画を製作し、2011年発表の「ニーチェの馬」を最後に映画製作からの引退を表明しましたが、その後は後進の育成に尽力し映画学校を設立したり世界各地でワークショップを開いたりしており、日本でも福島でワークショップが開かれたことがあります。
その映像の特徴はモノクロによる強調された深い陰影と、長回しによる撮影。「サタンタンゴ」でも1カットで10分を超えるシーンが度々登場し、映画全体のカット数はなんと150。これは一般的な2時間の映画のカット数が邦画で600〜700、ハリウッド映画なら700〜1,000と言われていることを思うと驚異的な少なさです。例えば放牧されている牛ののんびりした足取りや、酒場での乱痴気騒ぎをたっぷりとした時間をかけて見せることで唯一無二の映像世界を作り上げています。また、意外に感じるかもしれませんが、登場人物が歩く姿を背中から捉えて追う、という映像の手法はタル・ベーラによって確立されたとも言われています。
恐らく物語の主要な構成要素だけを切り出して編集すれば2時間ちょっとに抑え込むことは可能でしょう。しかしそれでは「タル・ベーラの映画」ではなくなってしまう。7時間もあって余分なものも多いように思うのに削れるところは無い。秩序に縛られながらも自由を希求し、未来に希望を抱きながら世界に幻滅しそれでも歩き出さずにはいられない人間の業を凝視する、そんな凄みを感じます。
こんな言い方もなんですが観たことをちょっと自慢できる映画です。配信で観るなら一気に完走するも良し、12に章分けされているので細かく刻んでいくも良し、好きなペースで観れども観れどもなかなか終わりに辿り着かないユニークな映像体験を楽しんでみてください。AmazonプライムやU-NEXTで鑑賞が可能です。
余談ですが、記録にある中で世界で最も長い映画の上映時間はどれくらいだと思いますか?
それはスウェーデンのアンデシュ・ヴェドベリが2020年に発表した実験映画「アンビアンス」。なんと720時間!!72分と7時間20分と72時間の3パターンの予告編があるというちょっと何を言ってるのか良くわからない映画が世の中には存在します。7時間20分バージョンの予告編に挑んでみたことがありますが、ま、1時間もたずにめげましたね(笑)
今回は家の事情で前半のみの参加でしたが、初参加の方も満喫していってくださったようで何よりです。ちょいとした思いつきで「最近リメイクされた、あるいはこれからされる作品」縛りで歌ってみましたが気づいて付き合ってくれた同室の皆さんもありがとうございます。
こんばんは、小島@監督です。
ちゅうカラが20周年の時に配布していたノベルティの測量野帳を3冊も頂いてしまいました。実はもらった時から測量野帳を映画の鑑賞記録に使っていて、今5代目。1冊あたり1年半前後のペースで使っているのでこれであと5年は戦えます(笑)
さて、今回は配信で観られる作品の中からご紹介。今回の映画は「サタンタンゴ」です。
集団農場が崩壊し、活気を失い寂れつつあるハンガリーのある田舎町。
農夫のシュミット(ルゴシ・ラースロー)は友人のクラーネル(デルジ・ヤーノシュ)と共に村人たちの貯金を持ち逃げする計画を進めていた。そんな折、数年前に死んだはずの男イリミアーシュ(ヴォーグ・ミハーイ)が生きていて、そして村に帰ってくることを聞かされる。にわかに信じがたい話に驚くシュミットたちだったが、しかし本当にイリミアーシュは帰って来た。
イリミアーシュは村人たちに集団農場の再建を持ちかけてくるのだが…
映画を鑑賞するに当たってのハードルはさまざまです。権利関係の都合で配信やソフト化がされず上映の機会も限られているとか、映像がグロテスクかつショッキングで耐性が無いとキツいとか。ごく古い映画ですと上映素材が散逸していて完全な状態での鑑賞が事実上不可能、という作品もあります。今回の「サタンタンゴ」はもっとシンプルな理由で非常にハードルの高い映画です。
それは上映時間。
なんと7時間18分!「スターウォーズ」のエピソード1〜3がすっぽり収まるほどの長さ。劇場公開時には途中で2回の休憩が差し挟まれ、12時30分スタート20時30分終わりというフルタイムの勤務時間かな?みたいなタイムテーブルに戦慄した記憶があります。ロードショーの期間が短く、結局機会を捕まえられなかったこの作品が、気づけばAmazonプライムでの配信が始まっていました。
この大作はハンガリーの巨匠タル・ベーラ監督が1994年に発表、日本では東京国際映画祭で1度上映されたのち長く幻の作品でしたが2019年にようやく4Kリマスター版での劇場公開が実現した作品です。
タル・ベーラ監督は決して多作の人ではありませんが、世界の映画人に与えた影響が計り知れない人物です。9本の長編映画を製作し、2011年発表の「ニーチェの馬」を最後に映画製作からの引退を表明しましたが、その後は後進の育成に尽力し映画学校を設立したり世界各地でワークショップを開いたりしており、日本でも福島でワークショップが開かれたことがあります。
その映像の特徴はモノクロによる強調された深い陰影と、長回しによる撮影。「サタンタンゴ」でも1カットで10分を超えるシーンが度々登場し、映画全体のカット数はなんと150。これは一般的な2時間の映画のカット数が邦画で600〜700、ハリウッド映画なら700〜1,000と言われていることを思うと驚異的な少なさです。例えば放牧されている牛ののんびりした足取りや、酒場での乱痴気騒ぎをたっぷりとした時間をかけて見せることで唯一無二の映像世界を作り上げています。また、意外に感じるかもしれませんが、登場人物が歩く姿を背中から捉えて追う、という映像の手法はタル・ベーラによって確立されたとも言われています。
恐らく物語の主要な構成要素だけを切り出して編集すれば2時間ちょっとに抑え込むことは可能でしょう。しかしそれでは「タル・ベーラの映画」ではなくなってしまう。7時間もあって余分なものも多いように思うのに削れるところは無い。秩序に縛られながらも自由を希求し、未来に希望を抱きながら世界に幻滅しそれでも歩き出さずにはいられない人間の業を凝視する、そんな凄みを感じます。
こんな言い方もなんですが観たことをちょっと自慢できる映画です。配信で観るなら一気に完走するも良し、12に章分けされているので細かく刻んでいくも良し、好きなペースで観れども観れどもなかなか終わりに辿り着かないユニークな映像体験を楽しんでみてください。AmazonプライムやU-NEXTで鑑賞が可能です。
余談ですが、記録にある中で世界で最も長い映画の上映時間はどれくらいだと思いますか?
それはスウェーデンのアンデシュ・ヴェドベリが2020年に発表した実験映画「アンビアンス」。なんと720時間!!72分と7時間20分と72時間の3パターンの予告編があるというちょっと何を言ってるのか良くわからない映画が世の中には存在します。7時間20分バージョンの予告編に挑んでみたことがありますが、ま、1時間もたずにめげましたね(笑)
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