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ちゅうカラぶろぐ


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職場で私と組んで仕事している方が今週の半ばから10日間ほど入院する事になり、その影響で今来週は休み無しというちょいとハードスケジュールに突入。その前にやれるだけやっておこうと一昨日の土曜日は病院行ってカラオケ行って映画2本観るというちょっとやり過ぎた感のある予定の詰めっぷりで1日過ごしてました。

 こんばんは、小島@監督です。
 充実感も半端無かったけれど、もう少しゆったり日程組みたいかな、出来れば(笑)

 さて、今109シネマズ名古屋にて「109シネマズ名古屋映画祭」と題してライブ向けの音響機材をセッティングして通常とは違う音響環境で映画を鑑賞する「ライブ音響上映」が31日まで実施されています。今回はその上映作品の中から一つ、「アイの歌声を聴かせて」です。

 母一人子一人の家庭で暮らす高校生のサトミ(声・福原遥)は、ある事件から校内で「告げ口姫」と揶揄され疎外されていた。
 AIの開発責任者を務める母のミツコ(声・大原さやか)は新型AIを搭載した人型アンドロイド・シオン(声・土屋太鳳)を開発し、その実地試験としてシオンをサトミの通うクラスに転校生として送り込んだ。期限は5日間、その間にシオンがアンドロイドと他の人間にバレなければ成功だ。
 しかしシオンは何故かサトミを知っていて、サトミを見るなり駆け寄って歌い出してしまった。その後もおかしな行動を繰り返すシオンに振り回されるサトミは、ひょんなことからシオンがアンドロイドであることを知ってしまう。母ミツコのためにサトミはどうにかシオンの正体を隠し通そうとするが…

 「イヴの時間」「サカサマのパテマ」など独創的な世界観のオリジナル・アニメーションを作り上げる吉浦康裕監督の最新作です。昨年10月に公開され、観客の口コミによって評判が広まり、既にレンタル配信なども始まりBlu-rayの発売も目前に迫っている状況にもかかわらず小規模ながら現在も上映が続いている作品です。伝え聞いた評判に、気になっていた作品だったのですが思いもかけない形で鑑賞の機会を掴みました。
 
 牧歌的な田園都市の風景の中に目立つAIのための開発研究所であるツインタワーが建っていたり水田のように見える場所が実はメガソーラーだったりという実験都市的な性格を持つ地方都市を舞台に展開する青春SFミュージカル活劇です。
 クラスに疎外されるサトミをはじめ、機械オタクで人づきあいが苦手なトウマ(声・工藤阿須加)、柔道部員で腕前は良いのだが本番に弱いサンダー(声・日野聡)、恋人同士だが現在喧嘩中で気まずい雰囲気が流れるゴっちゃん(声・興津和幸)とアヤ(声・小松未可子)ら青春の悩みを抱える高校生たちがシオンの登場と突拍子もない行動に振り回されながら次第に葛藤から解きほぐされていきます。

 ミュージカルのお約束である「登場人物が前触れなく突然歌い出す」という振る舞いを「AIがずれた行動取ってるから」で説明づけるアイディアが秀逸。しかもシオン役土屋太鳳の歌声が絶品です。そしてその「突然歌い出す」ことも物語の主舞台である実験都市というロケーションも全てちゃんとクライマックスに活きてくる作劇の妙が素晴らしい。変にハードな方向に転がり込むことなくある種の楽天的な雰囲気を持たせながらの語り口が心地よく、「何故シオンは最初からサトミを知っていたのか?」「何故唐突に歌いたがるのか?」「そして何故サトミの幸せをひたすらに希求するのか?」これらの謎が明かされる頃には観る者の心に涼やかな風が吹いているはずです。その涼風に力強さも加わって突き進む終盤と、その後にたどり着く結末の余韻も実に爽やかです。

 青春映画の新たな傑作の誕生と言って良く、現時点における吉浦康裕監督のキャリア・ベストじゃないでしょうか。長く支持を集める理由も観て分かるというものです。是非多くの方にご鑑賞いただきたい逸品ですね。

 ところで109シネマズ名古屋などで不定期に開催される、音響機材をシアター内に設えての特別上映、敢えてやってみて分かりましたが通常の映画鑑賞では決して良い位置とは言えない最前列中央が恐らく一番醍醐味を堪能できるポジションです。いやもう音圧が凄いのなんの。没入度が半端じゃないです。機会を捕まえたら是非トライして頂きたい。

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